「いい絵」を描くためにトレードで資金を稼ぐ クリプトトレーダー・AIポメラニアン氏 3/3

AIポメラニアン氏に、人生全体での目標などついて伺いました。

AIポメラニアン氏 プロフィール

美大出身で「いい絵」を描くことを目指す画家。2017年より国内のCEXを主戦場とし、主にスキャルピングで暗号資産を取引。

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取材実施日

2024年5月27日

トレードで勝てなくなっても元に戻るだけなので不安はない

ーーAIポメラニアンさんは現在は専業でトレードされていますが、スキャルピングで勝てなくなった際を想定してなにか備えていますか。

なにも備えていませんが、多分大丈夫です。

みんな、仕事を辞めてお金がなくなったらどうなるんだと不安になるじゃないですか。

「スキャルピングで生きていくのは危険だ」みたいな。

でも最初からスキャルピングだけだったら元に戻るだけなんですね。

何もない人間が急にトレードでお金を稼いで、やめても元に戻るだけなので大して困りません。

東京で裕福に暮らしているわけではなく、田舎で月に数万円で暮らす生活に戻るわけですが、田舎で数万円で暮らすのはそれほど大変ではありません。

いざとなればどうにでもなるし、意外と怖くないですね。

ーー「1億円稼ぐのは難しくないけど1億円貯めるのは難易度高い」という投稿も拝見しました。詳細について教えてください。

本業の収入があると、トレードの収益は泡銭だと思い込んで稼いでも高額な車とか買っちゃう人が多いように思います。そういった高額な出費から解放されないと稼いだとしても貯まらないんですよ。

私は地方出身なのですが、暮らしていた地域には何もありません。

セレクトショップなどもなくて、一般的なブランドや高級ブティックもありません。

そうなると、そもそも存在を知らないので、みんな興味がないんですね。

誰も欲しがらない。

所持していても自慢にもならないので買う意味もありません。

トレードで一日の利益が100万円だったとして、使い道がないので贅沢をするにしても食事程度になります。寿司屋で好きなだけ食べても一人1万円程度、そうするとお金が減らなくなるので自然と貯まっていきます。

人付き合いの少ない専業トレーダーは余程のメリットがない限りは東京に住まなくてもいい

ーーAIポメラニアンさんは絵を描かれていますが、東京だと美術館など文化的な面が充実していると思います。東京に住みたいとは思いませんか。

私は美大出身で学芸員の資格も所持しているので多少美術館事情には詳しいのですが、東京の美術館で行われるのは1枚の名画をレンタルしてきて行われるブロックバスター展ばかりで、世界的にみれば重要な美術館はありません。

「エルメス、ヴィトンなどの限定商品が好きで、いつでも最新の服や限定のアイテムを買いたい」という人は東京に住んだ方がいいのですが、多くの人は買えないのに東京に住んでいますよね。

美術館もいい展示はありませんし、高額なブランドものを私は欲しくないので、そうなると東京に住む意味がありません。

そういう意味で、人付き合いの少ない専業トレーダーは余程のメリットがない限りはわざわざ東京に住まなくてもいいと思いますね。

友達付き合いがある、音楽やイベント好きということなら東京で暮すこともいいかもしれません。

「バッキンガム宮殿でしか見れない作品があるから見学できる冬に行こう」と自由に旅行できるのが専業トレーダーのよさ

ーートレードで得たお金を使ってこれは良かったというのはありますか。

旅行はよかったですね。

トレーダーは旅行に行く時期を自由に決められるのがよくて、閑散期に旅行できるのでホテルも安く済みます。

一ヶ月間旅行にいくとなっても休みを調整する必要もありませんし、好きな場所に好きなタイミングで好きなだけ行けて、空いています。

ーー特にどの国を旅行してよかったですか。

イギリスは美術館が無料で、大英博物館も全て無料でよかったです。

文化サービスが安いというか、無料で見れるのはメリットとして大きいです。

ーーそういった文化施設を目的に旅行することが多いのでしょうか。

絵が好きなのでそうですね。

例えばバッキンガム宮殿なんかも普段は内部見学できませんが、冬は高額にはなりますが人が少ない時期なので10人程度でツアーをしています。

「バッキンガム宮殿の中でしか見れない作品があるから、宮殿が見学できる冬に行こう」というプランで動いたりすることは多いです。

人生の目標は「いい絵」を描くこと

ーー若くして一定の経済的自由を実現していますが、今後の人生で目指しているものなどがあれば教えてください。

「いい絵」を描きたいです。

みんな気づいていませんが、「いい絵」というのはあまりありません。

美術館で展示されているものも含めて、世の中全体として「いい絵」というのは少ないんです。

ーー「いい絵」とは具体的にどのような絵でしょうか。

音楽でも、「いい音楽をやりたい」という人はいるじゃないですか。

そして音楽の専門家でなくとも、「この歌手が好き」「この歌がいい」という感性は誰しもが持っていますよね。

それは特に音楽に詳しくない人でも、曲を聞いて「めっちゃいいな」と感じる感性を持っているということです。

絵も同じで、絵について特に学ばなくとも「この絵がいい」と感じる感性は本来誰しもが持っています。風景なんかも、誰かに教えられなくても殆どの人は絶景が何なのかや、それが美しいと感じることはできますよね。

それが美なんですが、しかし絵になった途端「私は絵がよくわからないので・・・」と言います。

それは「いい絵」を見ていないからなんですね。

「いい絵」を見ていないから、わかる、わからないという話になってしまう。

「いい絵」を見る機会があれば、理屈で考えなくても直感でわかります。

▼追記:AIポメラニアン氏の投稿

ーー私は絵に知見がありません。それでも「いい絵」を見れば、自然とそう感じるのでしょうか。

はい、見ればわかると思いますよ。

でも、日本には「いい絵」はあまりありませんので、そういった体験はしにくいです。

ルーブル美術館には何万枚もの絵が展示されていて、行けば少なくとも一枚は「これはすごい」と感じる絵があると思います。

有名画家の「名誉は得たが歴史に残るほどの作品は作れなかった」

ーー「いい絵」を描きたいと思うようになったきっかけについて教えてください。

象徴的なエピソードを一つお話します。

野田弘志さんという方がいるんですが、彼は天皇家の肖像画も担当していて、日本の画壇の中では有名な画家です。

参考:野田弘志 – Wikipedia

その野田さんが私に指導してくれた際に、「人生最大の後悔は売れっ子になったこと」だと話してくれました。

若いときに、自由に自分のペースで絵を描いていいと言ってくれたパトロンがいたものの、有名になりたい気持ちが勝って展示会を多数開催し、人気になる道を選んでしまった。

そしてその結果、名誉は得たが歴史に残るほどの作品は作れなかった、と。

野田さんがそう思うきっかけを作ったのが、アントニオ・ロペス・ガルシアというスペインで一番有名な現代写実画家です。

参考:アントニオ・ロペス・ガルシア – Wikipedia

ロペス氏は「一年のこの時期にこの絵を描く」「この時期がいいからこの絵を描く」という描き方をしていて、一枚の絵の完成に長い年月をかけています。その様子は彼の制作を撮ったドキュメンタリー「マルメロの陽光」でも伺うことができます。

参考:マルメロの陽光 – Wikipedia

野田さんがロペス氏と交流を持つようになり、自分も「いい絵」を描くことに没頭できていたら、彼のような立派な画家になれたかもしれないのに、普通の、国の中で絵がうまい画家で終わってしまった、と悔いたそうです。

ーーロペス氏はなぜそれほど一つの作品の創作に時間をかけられたのでしょうか。

わかりません。

パトロンがいたのかもしれませんが、どう考えても普通ではありません。

街中や山の中でずっと絵を描いているそうで、普通の人は費用を考えてもそんなことができないのですが、そういった普通ではない姿勢で取り組めなければ後世に残る立派な作品は描けない、そういう話なのだと思います。

最初の5年間で資金を一気に稼ぐことができれば、残りの50年間で「いい絵」を描くことだけに専念することができる

ーーAIポメラニアンさんもロペス氏のような画家を目指しているのでしょうか。

はい、私もロペス氏のように「いい絵」を描くことに専念するためにどうすればいいかを考えました。

アーティストとして戦略を練り活動することを選ぶと有名にはなれるかもしれませんが、忙しくなってしまい、「いい絵」は描けなくなってしまいます。

アルバイトは論外で、パトロンを見つけるというのも簡単ではありません。

そこで、一番いいのは短期間に一気に稼いでしまうことだと思いました。

最初の5年間で資金を一気に稼ぐことができれば、残りの50年間で「いい絵」を描くことだけに専念することができる。

私が楽しくもないのにトレードに励んでいるのはそういった背景からです。「いい絵」を描ける様になるためにトレードしています。

▼AIポメラニアン氏の本棚の写真。本人提供

ーートレードで絵と言えばbigstoneさんが連想されます。AIポメラニアンさんから見ていかがでしょうか。

アートマーケットはすごく難しいところなのですが、bigstone氏は僕の知っている限り、一流の画廊やフェアでいい現代アートを買うという資産運用の目線から見ても一番堅実な方法でアートを集められている印象です。

私がやりたいクラシックな絵画の追求というのと全然違う分野の人ですが日本にもしっかりとしたアートコレクションをしたいという人がいるのは嬉しいことです。

目指している「いい絵」を描くとは

ーーどのように違うのでしょうか。

アートというのは絵画(ペインティング)の後から出てきた分野で、現代では音楽、映像、空間、果てはNFTのようなデジタル分野の作品すべてがアートと言われます。

絵画というのはアートの一つの部分ではありますが、現代における絵とヨーロッパ全盛の絵画は全く違うものです。

ヨーロッパの人からすると、ペインディングにおけるパーフェクトというのは既にあるわけで、そういった作品を描いた画家をオールド・マスターと名付けて作品を収集・展示しています。

フランスではルーブル美術館でクラシックな絵画が展示され、対する「○○アート」という風なアートはポンピドゥーセンターと言われる近代美術館に展示されます。

アメリカのMoMA、スペインのソフィア王妃芸術センターなど現代アートを飾る場というのはクラシックな絵画を飾る場と明確に分けて作られることが多いです。

音楽もそうですね。

クラシックの業界ではモーツァルトやベートーヴェンの演奏はしますが、多くの人はモーツァルトになろうとはしていません。

もう既に「完璧な楽曲」が存在していて、クラシックの曲を作る取り組みは終わっているんですよね。ですから音楽を作詞作曲する場合はポピュラーミュージックの制作が主流になっています。

オペラなんかも同様に新しく作らないですよね。

最高の演目が既にあるのでそれを演じればいいのです。

私は皆がもう終わったとしているペインティングの領域をまた一人でやろうとしているから、興味を持たれません。

お金になることでもない、趣味の世界です。

暇な時間を生み出し、時間があるからこそ掴めるチャンスを掴むことも大切

ーー最後に読者にメッセージをお願いします。

チャンスを作るためにも、暇な時間、自由な時間を確保した方がいいです。

仕事をやめなくてもいいと思いますが、自由な時間を確保することを一つの目標にした方がいいと思います。

ーーひたすらトレードを頑張るよりも、まずは自由な時間を確保し、それからトレードを頑張る方がいいかもしれないということですね。

はい、自由な時間があると稀に訪れるチャンスを掴むことができます。

絵の業界でも、「美術館の展示招待枠がありますが来れますか」と言われたときに、「講義があるので」「仕事があるので」となるとチャンスは掴めません。

私は李禹煥氏ともご飯に行ったことがあるのですが、実績がなくても自由な時間さえあればそういった滅多にない機会を逃さず動くこともできます。

参考:李禹煥 – Wikipedia

私はずっとそういったチャンスを掴めるように、あえて意識的に自由な暇な時間を確保してきました。

学生時代からバイトもせず、飲み会などに誘われたら基本的に参加するようにし、興味があることがあればいつでも参加できるようにしていました。

そういった、たまに訪れるチャンスを掴める様にする姿勢が大事だと思っています。

ーー興味深いお考えです。

実際、アーティストで成功している人たちの多くはそのような方々ばかりです。

誰かが会に誘ってくれたときに、「忙しいです」と言わない人や「今日行けます」と即答する人です。

ビットコインもそうですよね。

誰もが一度はビットコインについて話を聞く機会があったわけじゃないですか。

そこで忙しいからといって調べずスルーしてしまうと、買えないわけです。

初期にビットコインを買った人たちはそこでスルーしなかったわけです。

スルーせずに、ホワイトペーパーを読んだり、マイニングしてみたり、時間を使ってみて、ビットコインの将来性に気づくことができたわけです。

取引の手法や考え方云々も大事なのですが、暇な時間を生み出し、時間があるからこそ掴めるチャンスを逃さず掴むこともそれと同等に大切なことだと思います。

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