おせちーず氏 プロフィール
投資歴約32年の女性株式投資家。新卒でシステムエンジニアとして従事し、その後証券アナリスト、シンクタンク研究員を経て、現在大学講師。『個別株でインデックス以下のローリスク・ローリターン』を追求した株式投資を行っている。
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サンリオの株価が好調である
サンリオ(東プ:8136)の株価が好調に推移しています。
2024年も好調に推移しましたが、2025年2月14日に発表した2025年3月期3Q決算で今期の連結営業利益は前期比90%増の512億円と従来予想から102億円上方修正したことが好感されています。
512億円は中期経営計画における最終年度(27年3月期)に目指していた「400億円以上」の目標を大幅に上回る数値です。
決算発表の翌営業日、ストップ高になり、上場来高値を更新しました。
サンリオがリリースしているキャラクターはたくさんありますが、その代表は「ハローキティ」です。
昨年誕生から50周年を迎え、記念グッズやイベントが好調に推移したことも業績にプラス寄与したようです。
筆者は「ハローキティ」に3つ思い出があります。
一つ目は四半世紀ぐらい前に初めてアメリカに出張した時のこと。
当時、米国に本社がある企業の日本法人に勤務していて、2週間ぐらい本社へ出張することになりました。
いつもビデオ会議でしか顔を合わせない現地のスタッフに何をお土産に持っていけばいいか結構悩みましたが、一人だけ悩まずに済んだ方がいたのです。
キティが大好きな女性でした。
あまりかさばらないキティグッズをお土産に持って行った記憶があります。
二つ目は一つ目から数年後のこと。
一つ目のときとは違う企業で働いていましたが、やはり本社はアメリカにある企業でした。
本社から出張してきたスタッフに何をお土産に持たせればいいだろうとある方に相談され、そのスタッフに小学生の娘さんがいらっしゃると聞いたので、「キティグッズがいいと思うよ」といい、自分が調達しに行きました。
キティがデザインされた電卓と缶入りのクッキーを買ったような気がします。
後日その娘さんから、はがきが届きました。特に電卓をとても気に入って、毎日使っていると書かれていたように記憶しています。
三つめは2012年のことだったと記憶しています。
当時、日本株は1ドル100円を割り込む円高がネガティブ寄与し、マーケットはどん底でした。日経平均株価が4桁だったころです。
この時期に、業績を伸ばしていたのがサンリオでした。
当時筆者は、年に3回ぐらい海外へ行っていました。アジアのあちこちでキティを見かけるようになっていました。
この時期、MSCIの世界株式標準指数からは銘柄入れ替えの都度、多くの日本株が除外されていましたが、円高が寄与してドル建ての時価総額が上昇したサンリオは、数少ない新規採用銘柄になっていました。
「ネコが化けた」と業界紙で表現されていたことを覚えています。
ちなみに分割考慮後で当時の株価が1,000円程度。
現在は7,000円を越えますから、12年余りで株価は7倍になったということです。
どの話も「ハローキティ強し」と感じさせられたものです。
一方、OLCが冴えない
一方、サンリオとは対照的な動きをしているのがオリエンタルランド(東プ:4661、以下:OLC)です。
冒頭のチャートに紺色でOLCを加えてみました。
3年間のリターンは約-26%です。特に2024年に大きく差がつきました。
OLCの主力事業は東京ディズニーリゾートの運営です。
テーマパーク事業とその周辺に立地しているホテル事業で売上高の約97%を占めます。
セグメント名 | 構成比 |
テーマパーク | 82.7% |
ホテル | 14.1% |
その他 | 3.2% |
OLCのテーマパーク事業と言えば、米ディズニー・エンタプライゼズ社とライセンス契約にもとづく、「東京ディズニーランド」「東京ディズニーシー」の運営です。
年間2700万人の入場者数を誇るアジアNo1のテーマパークだそうです。
そして、その来場者が1人当たり16,000円以上使ってくれる場所です。

かねてから客単価が高いことがOLCの強みでした。
日本株がどん底にあった2010年代前半であっても、東京ディズニーリゾートの来場者は多く、業績は大きく落ち込まなかったので、当時の日本株市場で積極的に物色されていた銘柄だったように記憶しています。
コロナ禍では大きく業績が落ち込みましたが、インバウンド客が戻ってきた2023年3月期以降はそのインバウンド客の消費がプラス寄与して、業績も好調に推移してきました。

OLCはテーマパーク事業の価格改訂も頻繁に実施しています。
慢性的な混雑を緩和するために、入場者の平準化を追及して、リーズナブルな価格で入園できる機会も提供しています。

それにもかかわらず株価がさえないことには理由がありそうです。
入園者数が想定より下回っています。
OLC自身は「猛暑とリベンジ消費終了」をその理由に挙げています。
近年は首都圏近郊の宿泊費が上昇していることも、地方からの来場者を増やせない要因になっていることでしょう。

ネコvsネズミ
筆者がサンリオとOLCを比較してみようと思ったのは、サンリオの代表的キャラクターがネコのハローキティで、OLCの代表的キャラクターはネズミがモデルのミッキーマウスなので、2社を比較することは「ネコvsネズミ」じゃないかとふと思ったからでした。
ネコはネズミの天敵だと言います。
日本株市場の「ネコ」と「ネズミ」はお互いをライバルと思っているかどうかわかりませんが、奇しくも2024年以降は「ネコ」が「ネズミ」に圧勝しています。
改めて「ネコ」と「ネズミ」を比較してみます。
サンリオ | OLC | |
時価総額(2025/2/18) | 約1兆7,500億円 | 約5兆7,500億円 |
PER(倍) | 39.9倍 | 43.4倍 |
ROE(%) | 48.10 | 12.40 |
予想配当利回り(%) | 0.76 | 0.43 |
PBR(倍) | 18.12 | 5.51 |
対海外客 | 海外で物販等 | インバウンド客として来てもらう |
テーマパーク事業 | 屋内 | 屋外 |
PERや予想配当利回りは大きな差がありません。
サンリオは株価が上昇してもPERが40倍程度ですが、OLCは下落が続いていても40倍程度ですので、同水準でも評価は分かれそうです。
サンリオはROEの高さが際立っています。
海外事業は売上高の1/3程度ですが、近年の成長率が著しく、まだ伸びしろがありそうに思えます。
天候に左右されにくいビジネスを営んでいることは、業績の下支えになるでしょう。

とはいえ、サンリオの25日RSIは75前後で、買われすぎの水準にもあるように思え、筆者は手が出ません。
買いのチャンスがあるとしたら、今後もありそうな売出しでしょうか。
2024年11月に大手銀行が保有株式の一部を売り出しています。

このときは翌営業日に14%超の株価下落となりました。が、その後株価は7,000円を越えたわけですから、この売出しで手に入れた株主はニコニコしているはずです。
このタイミングで大株主である三菱UFJ銀行と三井住友銀行が手放したのは保有株の20%程度です。
今後も少しずつ売出していくのだとすれば、一時的に需給がゆるむことから、株価が一時的に大きく下がる局面があると想定されます。
その時が買い場かどうかは、他の状況も鑑みる必要がありますが、個人的には買うなら今ではないと考えます。
一方のOLCです。
非常に名の知れた銘柄ですが、実は筆者は一度も取引したことがありません。
優待にも興味がなく、配当利回りも低いとなると、キャピタルゲインの追求以外には手を出す要素がありません。
東京ディズニーリゾートへ行く機会が多く、コツコツ株を買って優待を得たいという方であれば、買い下がるという手はあるでしょうか。
ただ、筆者ならNISA口座では買わないと思います。
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