「ITバブルを経験したからこそビットコインにデジャブを感じられ投資できた」初期ビットコイナー・bigstone氏 1/3

初期ビットコイナーのbigstone氏に初めてビットコインを知ったきっかけなどについて伺いました。

bigstone氏 プロフィール

ビットコインに2013年から投資。海外居住。自由主義者。

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取材実施日

2024年6月6日

2012年に海外に移住し、オンラインサロンを始め、Jimmy本間氏と出会う

ーー改めてビットコインを知ったきっかけについて教えてください。

2013年にJimmy本間さんにビットコインについて教えてもらったのが最初です。

そもそも本間さんとは当時私が運営していたオンラインコミュニティで知り合ったのですが、それまでの経緯についてまず話をさせてください。

2011年、私が人材の会社を経営していた頃に日本でFacebookが流行り始め、友人とどんどん繋がるようになりました。

それで友人の多くが海外、特にアジアに移住していることに気づいたのですが、その理由に興味があり、友人たちに会いにアジアを一周しました。

フィリピン、カンボジア、ベトナム、シンガポールなど、当時経済が発展していた国で起業している人が多く、みんな口を揃えて「経済成長しているアジアでは上昇のエスカレーターに乗れるので儲かりやすく、税金も安い」と言います。

そういった話に刺激を受けつつ、当時はドル円が80円ほどで円高だったということもあり、私も日本で円を稼いでアジアに移住しようと決めました。

それで2012年に移住を決め、そういった情報を今で言うオンラインサロンでシェアし始めたのですが、本間さんとそこで出会って、経済や世界情勢の話などをするようになったんですね。

▼Jimmy本間氏のXアカウント

本間氏の主導でビットコインに関する勉強会が開催され、そこに参加したのが最初

ーーその後について教えてください。

ある日、本間さんがビットコインを見つけたと言いました。

当時のビットコインは2013年の初めに13ドルだったところから、キプロスの通貨危機などをきっかけに1,000ドル超まで上昇し、ニューズウィークの表紙にも取り上げられ、既に知っているひとは知っているという存在でした。

当時から「世紀の詐欺」「チューリップバブル」とも言われていましたが、「これが本物か、偽物なのかを検証したい」と本間さん主導でビットコインに関する勉強会が開催され、そこに参加したのが最初です。

私も最初は怪しんで話半分で参加したのですが、話を聞いていると、明らかな詐欺のようなものではないと感じました。

それで一旦その場は帰ってホワイトペーパーをそれぞれ読みましょうということで解散して、私も帰って読みましたが苦戦しました。

日本語での情報はまったくなく、英語にしてもまとまった情報がないので、Redditの議論すら参考にしました。のめり込んでしまい、三日三晩徹夜で読み解きました。

三日目の朝には興奮して、「やばいものを見つけた、本物だ」と感じました。

いったん理解してから、その後の行動は早かったです。

そこまでにどう至るかというのがなかなか難しいんですね。

ーービットコインの特徴は自由の象徴、2100万枚の発行上限、分散など様々ありますが、bigstoneさんは当時ビットコインの特にどのような点に興味を持ちましたか。

発行体がなくどこの国家にも依存しない、自由で独立した世界初のお金、という点ですね。

ビットコイン以前から、リーマン・ショックを経て、日本の衰退を薄々感じていて、アジアの国々の急成長を見たりと、ダイナミズム、世界の流れが変わる雰囲気は感じ取っていて、「お金と国家」に関心があったというのもあります。

それまで保有していた株式もすべて売却し、全額でビットコインを購入

ーー最初の勉強会では半信半疑だったとのことですが、その後三日間かけて調べるほどには興味を持ったのですね。

そうですね、調べるとだんだん興味深くなって、理解した瞬間に「これは本当にやばい」と大興奮しました。

技術的なところを読み込み、ソフトウェアをダウンロードして触ってみましたが、仕組み、理論的にはおかしなところも見当たらなかったんですね。

また、インターネットが始まったときにビットゴールドなどインターネット通貨のようなものはいくつか登場していて、私もデジタル通貨の歴史を大学のときに勉強したことがあったのですが、全て中央集権的な仕組みでした。

ビットコインはそういった誰かが発行したものではないということがホワイトペーパーを読んで非常にクリアになりました。

誰のものでもなく分散的な仕組みで動いていて、今後、よほどのことがない限りこの仕組みがなくなることはないだろうと確信しましたね。

価格的にもどんどん上昇し1,100ドルのピークをつけようとしていて、最初からドカッとお金を入れましたね。

それまで保有していた株式もすべて売却して、全額ビットコインを買いました。

ーー理屈では理解していても当時のビットコインに最初から多くの資金を投資するのは心理的に難しいと思うのですが、怖くなかったのでしょうか。

むしろなるべく早く買わなければこの値段では買えなくなるんじゃないかと焦っていたので、全然怖くなかったですね。

しかし、1,000ドル付近、マウント・ゴックス事件の直前で買っていて、見事に当時の天井を掴みました。

それから事件が起きて価格は大きく下落したので、その後に買った方が良かったです。

もちろんその後買い増しました。

ビットコインにハマったことで会社の経営が手につかなくなり、会社を畳む

ーーbigstoneさんは当時人材系の会社を経営されていたとのことですが、2013年頃よりこの会社からビットコインにシフトされたのでしょうか。

はい、ビットコインの仕組みを理解してからというものの、ビットコインにどっぷりハマってしまって、脳のリソースの99%はビットコインに取られるようになりました。

それで会社の経営が手につかなくなり放置状態になってしまって、それまでの事業に取り組むのが苦痛になってきてしまった。

辞めざるをえないというか、放棄ですね。

一年ほどビットコインと並行していましたが、最終的には完全に畳みました。

ーー「お金を稼いだ後に時間を作るのではなく、時間を作った後にお金を稼ぐ方がいい」と以前主張されていましたが、ビットコインを知ったときも調べるだけの時間があったことがポジティブに働いたと思いますか。

それはそうでしょうね。

忙しいことは忙しかったのですが、経営者という立場なので時間の融通はききましたから、フレキシブルで余裕がある状態だったとは思います。

当時の専門家におけるビットコインの評価

ーー当時、専門家の間ではビットコインはどのように評価されていましたか。

当時、技術者の多くは「既に発見されていたことの焼き直しであり、技術的に新しいものがないからビットコインには価値がない」、経済学者の多くは「貨幣はコントロールする主体が存在しなければ成り立たない」という主張でした。

「中央銀行が金利を通じて貨幣の供給量をコントロールし金融市場を安定させる、それが貨幣の答えであって、中央に管理者が存在せず供給量も固定されている。こんなものが安定した社会に繋がるわけがない」というのが彼らの結論だったんです。

しかし、私はビットコインはドルやユーロの代替ではなく、あくまで混沌とする世界から個人の自由と独立を守るための手段だと考えていたので、そういった専門家の評価はピントを外しているなと感じましたね。

当時のビットコイン界隈の雰囲気は2000年にITバブルが崩壊した後の日本の雰囲気に似ていた

ーー同じ2013年ごろに「ビットコインを知っても買わなかった人」「買っても保有し続けられなかった人」が多数いる中で、bigstoneさんが買えた理由、保有し続けられた理由についてどのようにお考えですか。

当時、ビットコインのミートアップが東京で開催されていて本間さんと参加するようになりました。

そこに段々と人が集まるようになって、現在の業界のコアになっている人がほとんどいて、ワイワイやっていました。

価格的にはマウントゴックスでピークをつけて、2014年は3万円程度で横ばいと、いわゆる冬の時代で大衆の関心もなくなっていたのですが、その中でも未来を感じてビットコインを買ったり、日本にも取引所を作ろうと創業した人たちがいたんですね。

価格だけ見ると最悪でしたが、ビットコインの業界全体のプレイヤーが日々集まって将来を語り合ったよい時代で、そのときの雰囲気が2000年にITバブルが崩壊した後の日本の雰囲気に似ていました。

ITバブルのときも渋谷がビットバレーと呼ばれていて、IT起業家が集まって将来を語り合っていました。

人が続々と集まるようになって、最終的には六本木の「ヴェルファーレ」という巨大なクラブに1,000人の人が集まって、そこに孫さんがチャーター機でやってきて、「これからはインターネットの時代だ」と話して、熱狂の渦になりました。

それがITバブルのピークです。

参考:ネットバブルに躍った2000年、3000万円で飛行機チャーター | 日経クロステック(xTECH)

ビットコインのミートアップには、その時と同じような特徴的な熱気を感じました。

インターネットの初期に会社をやっていた、投資をやっていましたとか、2000年前後のITバブルで乗り切れなかった人、じっと次のチャンスを探していた人が集まっていた印象があります。

参加者はおじさんばかりで、若い人は少なかったですね。

海外のビットコイン関係者もみんな若くはなく、インターネット黎明期を経験している人が多かった印象です。

早い時期にビットコインの可能性に気づいていた人はITバブルを経験した人、前線にいた人が多い

ーー弊メディアの読者は20-30代が多く、貴重なお話です。

1994年にNetscapeを創業したマーク・アンドリーセンも「ビットコインはインターネットの再来だ」と言っていて、早い時期にビットコインの可能性に気づいていた人はITバブルを経験した人、前線にいた人が多いです。

アンドリーセンが「なぜビットコインは1994年のインターネットなのか」と言って評論の文章を書いていたのですが、これに影響された人が多かったですね。

この評論では、世界を変える発明が歴史的には三回あったとされています。

一つ目はパーソナルコンピュータ、二つ目はインターネット、そして三つ目がビットコインであり、世界で初めてデジタルの価値が国境を越える、という話です。

とある動画が有名ですが、インターネットも黎明期はよく馬鹿にされていましたが、ビットコインに対する態度もまさにこれと同じです。

参考:1994: “Today Show”: “What is the Internet, Anyway?” – YouTube

インターネットの黎明期に何かやっていた人は、みんなビットコインをデジャブと感じたはず

ーー興味深い主張です。

私たちはビットコインのテクノロジーや仕組みを知った上で持続性があると理解していますが、「危ない」「詐欺だ」という人もいます。

アンドリーセンはパーソナルコンピューター、インターネットの黎明期と完全に同じでデジャブだと言うんですが、デジャブというのは前のことを経験していないとデジャブとは言えないわけです。

多くの人が当時ビットコインにピンと来なかったのは、一回目を経験していないからなんです。

インターネットの黎明期に何かやっていた人は、みんなデジャブと感じたに違いありません。

結局、ビットコインの黎明期から活動を続けられた人はそういう人じゃないかなと思います。

デジャブと感じられたからこそ最初から全力疾走で、100%の確信を持って時間や資金を注ぎこめたのだと思います。

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全三回のbigstone氏のインタビュー、2記事目に続きます。

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