「社会保障の破綻などにより日本は全体主義もしくは共産主義に大きく振れかねない」初期ビットコイナー・bigstone氏 3/3

初期ビットコイナーのbigstone氏に現在の日本の経済や社会におけるコアな問題点などについて伺いました。

bigstone氏 プロフィール

ビットコインに2013年から投資。海外居住。自由主義者。

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取材実施日

2024年6月6日

通貨危機のようなものが引き金となって全体主義などをもう一度呼び起こしかねないというのが最大の懸念

ーーロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・パレスチナ戦争など地政学的リスクが高まっていますが、どのように見ていますか。

おっしゃるとおり地政学リスクは高まっていますが、それが今すぐに大戦争に繋がるとか、そういったことは考えていません。

中国が台湾を攻めるかと言うと、それは当面起こらないでしょう。

最近はそういった戦争のリスクよりも、各国の財政リスクを私は危惧しています。

どんどん法定通貨を刷っていて、どう考えても今の状態というのは維持できません。

そして通貨危機のようなものが引き金になって、過去のイデオロギー、例えば全体主義、共産主義の復活だとか、そういった過去の亡霊をもう一度呼び起こすような土壌ができかねないというのが私の最大の懸念です。

それらが二度と起きないためにどのように対処すべきか、今考慮すべきはそっちだと思いますね。

極端な人が再び世界を動かしたり、何かに火がついてしまう、加速してしまう可能性を懸念

ーー「今すぐ大きな戦争が起きることはないだろうが、財政リスクが顕在化していく中で全体主義や共産主義の復活、それに伴う戦争の勃発などのリスクを懸念している」ということでしょうか。

そうです。

今すぐ戦争、世界大戦とはならないと思いますが、現状を維持できなくなって様々な問題が噴出した時に、全体主義や共産主義の中でもっと極端な人が現れます。

そういった極端な人が再び世界を動かしたり、中国が極端な方向に走ったり、何かに火がついてしまう、加速してしまう可能性を懸念しています。

そうなると本当に大戦争が起こりかねません。

地政学リスクが高まると銀行のリスクは急上昇し、自分のお金へのアクセスは簡単に失われてしまう

ーーbigstoneさんは地政学リスクが顕在化したときのために何か備えていますか。

私は国を超えた引っ越しを三回していますが、様々な状況に備え、なるべくポータブルにしておくことが大切だと思います。

その最たるものがビットコインでしょう。

銀行は一旦アクセスを失ってしまうと使い物になりません。

一つ、印象的なエピソードがあります。

20年ほど前、中国元への投資が流行っていて、中国経済も急成長、中国元に4%の金利がつき中国元高にもなっていて、当時中国元はとても魅力的な利回りが出ていました。

それで私も中国を訪れた際に口座を開設し預金してみたのですが、今その口座は勝手に凍結されてしまっており、アクセスするためには中国に渡航し、中国現地で手続きをしなければならないなど障壁が多く、そのお金を取り戻すことは実質不可能になってしまいました。

地政学リスクが高まると、銀行のリスクは急上昇します。渡航制限などで、自分のお金へのアクセスは簡単に失われてしまう、非常にリスキーなものです。

多くの方が投資対象としてビットコインを見ていて、確かにそれも魅力ではありますが、私がビットコインを保有する最大の理由はここにあります。

日本の最大の問題は社会保障にお金がかかり過ぎていること、お金をかけすぎていること

ーーXにて日本の経済、社会について度々苦言を呈されていますが、改めてコアな問題点や必要な対策についてどのようにお考えか教えてください。

日本の最大の問題は社会保障にお金がかかり過ぎていること、お金をかけすぎていることです。

日本の現役世代の給与の30%が社会保険料として強制的に徴収され、無尽蔵に高齢者の医療、年金に使われています。

そして社会保障費というのは積立方式ではありませんので、現役世代が一年間に支払った社会保険料というのは全てその年に高齢者の社会保障に使い切られています。

将来、このシステムが維持できなくなった際には現在以上の大増税もあり得るでしょう。

読者の中にも、「海外に住んでお金にも余裕があるのに、bigstoneはなぜそれほど日本の社会保障問題を心配しているのか」と不思議に思う方が少なくないかもしれません。

これはさきほどの地政学リスクと非常に密接に関係しています。

社会保障の破綻などにより全体主義もしくは共産主義に大きく振れかねないことを危惧

ーーどういうことでしょうか。

日本が持続可能性を失った場合、短期的に、例えば社会保障が破綻し、医療や年金に影響があっても、先のない高齢者が困るだけで、だからどうしたという話ではあるんですよ。

危惧されるのはそういった表面的な問題ではなく、そういった事柄を引き金に、全体主義もしくは共産主義に大きく振れかねないことです。

極左の色を帯びた全体主義が日本の政権や権力を支配することになってしまうともう終わりです。

もしそうなってしまうと何が起きるのか、最終的には資産課税や預金の封鎖、為替取引の禁止、海外にある資産の没収などです。

戦後も「一回限りの財産税」という名目で、国民の資産の大半を没収したことがあります。

参考:戦後税制のスタート|税務大学校|国税庁

現代の平和な日本を生きている日本人にとって「まさかそんな」と感じる話かもしれませんが、これは突飛な話ではありません。

実際、Xで相続税に関して議論すると、必ず、「相続税を100%にしよう」と主張する人が少なからず出てきます。

むしろ、そういった考えの人は増えてきてしまっている印象です。

日本は自由主義全体主義・共産主義、どちらに向かうのか

ーー悲観的なシナリオですが現実味があります。

では社会保障を減らせば現在の財政状況が完全に健全化するかというとそうでもありません。

日本の財政状況というのは今それくらい厳しい状況にあるのです。

どこかで抑えきれなければ、最終的には破綻など何らかの形で精算せざるを得ません。

大切なのは、そのときにどのように舵を切るかです。

アルゼンチンがハビエル・ミレイ氏を大統領に選んだように、日本も自由主義に向かうのか。

もしくは、お金はあるやつから奪えという全体主義・共産主義になるのか。

もし後者になってしまえば、多くの人が海外に出てしまい、日本のマーケットはなくなって、努力しないクレクレの人たちだけが国内に残ってしまうことになります。

実際、大企業の内部留保から税金を取れといっている政党もありますよね。

企業の内部留保というのは法人税を払った後に残ったお金であって、そこにもう一度課税しろというのは無茶苦茶です。

そうやって、儲かっているところから取ればいいやと考えている人が増える流れになってしまっては、努力して頑張っている人、お金を持っている人が最終的にはスケープゴートになりかねません。

もしそうなれば海外にいる人は日本に戻ってこれないでしょうし、下手すると日本と関わりを持っているだけで無茶な税金を要求されたり、海外居住者の財産没収なども本当にあり得ます。

日本政府が中国共産党みたいになったら、と考えればおかしな想像ではありません。

日本はつい80年前まで全体主義国家でした。

そうなってからでは遅いので、いずれ日本人がミレイ氏のようなリーダーを選んで再建の道に進むよう、いまから繰り返し自由主義を伝えて土壌を拡大したい、というのが私の想いと危機感です。

人によっては、「さすがにそこまでは到達しないだろう」という人もいますし、「日本のことは無視して生きていけばいい」という人もいますが、僕は完全に日本を見捨てたくはないんです。

最も可能性が高いのは、15%、20%のインフレが10年以上続くような状況

ーー日本の破綻シナリオには極端にはハイパーインフレなどがありますが、どのようなシナリオが最も高いと予想されますか。

最も可能性が高いのは、15%、20%のインフレが10年以上続くような状況ですね。

現在でいえばトルコでしょうか。

1米ドルが300円、400円、500円、1,000円に達する未来が徐々に現実のものとなりつつあるような状況です。

ーー経済や財政を考慮して、移住にあたっておすすめの国はありますか。

回答が難しいですが、財政だけで言えば資源が取れる国は安心でしょう。

最悪、お金がなくなっても資源が取れますからね。

他のことを抜きにすれば、オーストラリアは資源もあり、地政学的にも安定しています。

どんなことがあっても売らない分のビットコインを保有しておくべき

ーー読者ができる対策としては、ビットコインをセルフカストディで管理し、ある程度海外にも住めるように備えておくことでしょうか。

そうですね。

伝えておきたいのは、投資ではなくリスクヘッジとして常に一定のビットコインを確保しておくことが重要であるという点です。

投資対象としてのビットコインというのも悪くはないと思いますが、絶対に売らないビットコインの枠を設けておくことが大事だと思います。

私は2014年前後のビットコインが3万円程度の時から、どんなことがあっても売らない分のビットコインを保有しておくべきだと主張していました。

そういう意味で、例えば今なら1BTCは最低限保有し、セルフカストディで管理するというのは悪くない備えだと思います。

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