botterのちゃま氏に、botを始めたきっかけやB級botterになるにあたって寄与した取り組みについて伺いました。
ちゃま氏 プロフィール
20代後半のソフトウェアエンジニアの会社員。2017年ごろに初めてビットコインを買い、2023年9月からbotを開発、2024年4月からB級botter。
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取材実施日
2024年7月17日
情報系の学部を経て、会社員としてソフトウェアエンジニアに従事
ーーご経歴を教えてください。
20代の会社員でソフトウェアエンジニアをしています。
ソフトウェアエンジニアというとbotterと相性が良さそうと言われることもあり、一定は事実ですが、私はソフトウェアエンジニアとしては三流以下なので、botter活動にすごく活きている感触はありません。
ーー「ソフトウェアエンジニアとしては三流以下」とのことですが、それは若いからでしょうか。それとも素養的なお話でしょうか。
素養の問題ですね。
大学は情報系の学部ではありましたが、プログラミングができなさすぎて大学に行くのをやめて麻雀していた時期があるほどで、素養的には向いていないと思っています。
大学院の試験も当日麻雀をしていて行けませんでした。
今20代の後半ですが、おそらく私と同じ年齢の人の平均的なソフトウェアエンジニアが持っているスキルよりもビハインドしていると思いますね。
100ドル分の$SOLのステークが200万円分のエアドロップに化ける
ーー暗号資産を最初に買ったのはいつでしょうか。
2016年か2017年です。
当時は学生で、大学の先輩が「ビットコインという新しいお金がある」と言い出したのがきっかけです。
最初はうさんくさいと思い無視していたのですが、すごくよく話していた先輩ではあったので、学生でお金はなかったのですがとりあえず2万円分だけ買いました。
そのときは儲かるとも考えておらず、そもそもビットコインがなにかもほとんど理解していなくて、2017年に数倍になったときにすべて売りました。
ーーその後について教えてください。
その後はずっと忘れていたのですが、2021年のバブルの際に、「デルニューでビットコインのエクスポージャーを取らずに利回りだけ得られる」ということだけはTwitterで見て知りそういった運用を始めました。
しかしFTXの倒産で資金拘束されてしまい、再び「暗号資産はうさんくさいもの」という結論になって、また放置することになりました。
もちろんFTXの倒産と暗号資産、ましてやビットコインは何の関係もないわけですが、当時はそれすらもわかっていませんでした。
その後、2023年まではビットコイナー反省会を見たり、botterのブログを読んだりしていたと思います。自分がbotterになるためというよりはこの時はエンタメ的にこんな人たちもいるんだなと見ている程度でした。
その後、2023年の冬頃に$JitoのエアドロがありたまたまAlbertさんという方のリファを踏んでいて、100ドル分の$SOLをステークしただけで、200万円分のエアドロップに化けました。
これでさらにのめりこんだのもあると思います。しかし、この時はまだ「値動きがわからない」「怖い」という感覚が強く残っていました。
botterを始めたきっかけ
ーーその後について教えてください。
$Jitoのエアドロより少し前になりますが、当初はビットコインのホワイトペーパーを読んでみる、ビットコインの解説本を読むなど、ビットコインの仕組みの理解から着手しました。
ビットコイン以外にもbotterのブログなどさまざまな情報を調べていると、QASHさんのブログを見つけて、「CEXとDEX間の価格乖離を利用した取引で1,000ドル、2,000ドルを拾った」といったことが書かれていました。
そのほか、Hohetoさんのbotでの稼ぎ方まとめなども読み、自分でも調べて試してみるようになって、実際にbotを初めて動かしたのは2023年9月ですね。
参考:「お前もbotterにならないか?」仮想通貨のボットで稼ぐのどうやるのまとめ。|Hoheto (仮想通貨botter)
ーー実際にbotを初めて動かしたのは2023年9月とのことで、B級botterになったのはいつでしょうか。
2024年4月で、これ以降は毎月B級で推移しています。
4月はギリギリA級に届かなかったのですが、その後だんだん下がってきていて、最近はギリギリB級ですね。
下がってきているのは相場環境と自分の努力不足が原因ですね。
※取材実施日は2024年7月17日
手動のデルニューについて
ーー2023年9月から2024年3月まではB級に届かなかったとのことですが、取引をしていなかったのか、取引していたがパフォーマンスが出なかったのか、詳細を教えてください。
2023年9月から11月までは相場が盛り上がらなかったというのと、最初なので本当に手探りでやれることが少なかったというのが理由です。
ーー2024年1月から3月はETF関連でビットコインは大きなボラティリティが生じましたが、この時期にB級に到達できなかったのはなぜでしょうか。
C級だったというのはbotterとしての成績の話で、手動のデルタニュートラルはやっていましたね。
ーーなぜbotではなく手動で取引していたのでしょうか。
一つは面倒だったからです。
私は面倒くさがりで、デルニューしているときでも、一回ポジションを組んでしまえば頻繁に銘柄を持ち替えるということはありません。
そのため、一回現物を買って先物をショートするだけならそれを放置するだけなので別にbotじゃなくてもいいというのが理由の一つです。
もう一つは、単純にデルニューのbotをどのように作ればいいかよくわかっていなかったというのがあります。
デルニューするにあたって、例えばFRがどの程度高いのか、ファンディングレートも当然変わるので、銘柄によってFRがどの程度続きそうか、その辺りを機械的に判別するのは難しいなというのがあります。
また、ポジションの組み方もいろいろあると思います。
例えば、先に現物を指値で買って、約定した瞬間に先物を成行でショートするなどいろいろな方法が考えられますが、そういった執行戦略をまだちゃんと理解できていませんでした。
手動だとある程度適当に成行売りしてもプラスに持っていけますが、botはルールをきっちり決めなければならず、その具体的な方法論がまだわかっていませんでしたね。
B級botter到達に特に寄与した取り組み
ーーB級botterに到達するにあたって、特に寄与した取り組みがあれば教えてください。
単純に調査の量を増やしたことが大きいです。
DefiLlamaでは主要なチェーンのプロトコル一覧が見れるので例えばソラナチェーンに乗っているプロトコルの全てのホワイトペーパーやWebページを読み、Discordも見て、その上で「この機能は知らないからとりあえず触ってみる」「これはどういう意味なんだろう」といったことを一通りやりました。
DefiLlamaに掲載されていない、例えばAptosならAptosのファウンデーションが出しているプロジェクトの一覧も全部見てと、調査の量を増やしたのが最もリターンに貢献したと思っています。
ーーなぜそれをやるようになったのですか。
シンプルにそれまで儲からなかったからですね。
ホワイトペーパーは英語ですし、内容も難しく何を説明しているかわからない、読んでも儲かる保証がされているわけでもなく、本当は調査なんてしたくなかったです。
ただQASHさんが「DefiLlamaに掲載されている1,000個のプロトコルは全部調べている」とnoteに書いていて「S級botterがすべて読んでいるのに自分がやらないで勝てるはずがない」と感じ、それで腹をくくって真面目に調査することになったんですね。
それでまずはホワイトペーパーを順番にすべて読むことから始めました。
最初は月数千円のリターンでも「自分が書いたプログラムがお金を生んでいる」とすごく嬉しかった
ーーそれ以前はどの程度のリターンだったのでしょうか。
9月にbotを動かし始めたのですが、9月は数千円、10月から12月は月数万円のリターンでした。
最初は月数千円のリターンでも「自分が書いたプログラムがお金を生んでいる」とすごく嬉しかったのですが、刺激に慣れてつまらなくなってきます。
2023年12月といえばビットコインの価格も上がり、ボラティリティが出て多くのbotterが爆益報告をしていて、「自分は何も成長してない」と感じ、手当たり次第に頑張ろうと考えはじめましたね。
「まず手当たり次第にやる」というのは根性論みたいではあるがやってよかった
ーー定量的にはどの程度調査しましたか。
いくつあるかは正確に数えていませんが、例えばDefiLlamaに掲載されているソラナのプロトコルは全て調べたと思います。
ちなみに調べたといってもdAppsを触ってみたりMedium読んだりと表面的なところばかりで技術的な部分は全然です。
ーーちゃまさんは会社員ですが、調査や作業は平日に行っていたのでしょうか。もしくは土日でしょうか。
両方ですね。
平日は18時、19時には帰宅していて、それから21時、22時まで作業していました。
土日も1日あたり6時間は調査していたと思います。
ーー結果的にはこれらの調査はやってよかったのでしょうか。
はい、やってよかったです。
例えばUniswapのようなメジャーなDeFiのプロトコルも最初はよく分かっていなくて、「流動性提供の流動性って何だよ」というレベル感だったんですね。
それでも調査を進めるとプロトコル同士の共通点や相違点がわかるようになり、調べる効率も上がっていって、「まず手当たり次第にやる」というのは根性論みたいではありますがやってよかったと思いますね。
暗号資産botterは孤独で、努力を続けるのは大変
ーー2024年4月以降はbotterとしてはB級で推移しているとのことですが、A級にはなれそうでしょうか。
A級になれる感触はまったくなく、困っています。
ーー仮に他の条件が同じだと仮定して、市況が2024年3月、4月の状況まで回復したらA級はいけそうでしょうか。
可能性は上がりますがそれでもA級に到達するかはわかりませんね。
ーー最近の取引はいかがでしょうか。(※取材実施日は2024年7月17日)
バブルが来ないとなかなかリターンを出しづらいですね。
また、4-6月はB級になれて嬉しかったのですが、それで安心してサボってしまうことがあるんですよね。
ーー平日に3時間、土日6時間の調査を行っていたとおっしゃっていましたが、最近はいかがですか。
今は本当に1日1時間見ていればいい方ですね
ーーそれはB級になれた達成感や相場環境の悪さが要因でしょうか。
それもありますし、負け惜しみですがシンプルに最近やる気が出ないというのもあります。
そもそも暗号資産をやっている時点で孤独じゃないですか。
大学の友人には話せませんし、アービトラージは喋るとエッジをなくす恐れがあるのでbotter同士でも話せないと思います。
プログラムを書いているときも含めて人と関われませんし、最近は孤独を感じることが多く、怠けてしまっています。
A級、S級のbotterの方が孤独に努力を続けているのは本当にすごいと思います。
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全三回のちゃま氏のインタビュー、2記事目に続きます
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