今回は、筆者の希望でソフトバンクG(東プ:9984)をテーマにしました。この記事ではSBGと略します。
先に申し上げておくと筆者はホルダーではありません。
20年ぐらい前に100株だけ持っていたことがありますが、当時からボラティリティの高さが筆者の性には合わなかったように思います。
当時は意識していていなかったと思いますが、当時から意識せず現在の筆者のポリシーである「リターンもリスクもインデックス未満」な運用だったのかもしれません。
さて、SBGは改めて申し上げる必要がないくらい知名度があるでしょう。
孫正義氏が率いる企業です。
もともとは、ソフトウェアの卸売業を営んでいました。本当に「ソフトバンク」だったのです。
2006年までは、東証33業種の「卸売業」、つまり総合商社等と同じ業種に分類されていました。現在は「情報・通信」に分類されています。
それは2006年に英国の通信会社ボーダフォンを買収したことが一つのきっかけだったと思います。
ボーダフォンの買収以前にもADSL等の通信事業には参入していました。
通信事業は、その後「ソフトバンク」(東プ:9434)として子会社上場を果たしています。
現在のSBGの柱は事業投資と言っていいでしょう。
例えば英国の半導体関連企業ARMの大株主はSBGです。
この事業投資は「ビジョン・ファンド」を通じて行われることが多いのですが、この「ビジョン・ ファンド」の運用実績がSBGの業績を左右するのが、近年のSBGの姿です。
過去5期中、4期で最終赤字を計上しています。
その業績は株価にわかりやすく反映され、過去5年のうち大半はTOPIXをアンダーパフォームして推移しました。
2021年につけた高値から半値になり、2024年夏に2021年につけた高値を更新しています。
2024年に高値を更新した理由の想像
浮き沈みこそあれ、2024年のSBGの株価は堅調です。
株価上昇の背景の一つは、前述したARMの株価の推移だと考えます。
2023年秋にNASDAQに上場したARMは、上場来の株価が約3倍になっています。
特に2024年春以降急上昇しています。
SBGが運用する「ビジョン・ファンド」はARMの株価上昇の恩恵を受けます。
ただ、筆者はSBGの株価上昇がARMの株価によってだけもたらされているとは考えていません。
それを紐解きましょう。
────────────────────
「毎月100万円以上のビットコインを買えるキャッシュを生み出すスモビジについて研究」するコミュニティ、「BMRスモールビジネス研究所」を開始しました。ご興味ある方はぜひ覗いてみてください。
────────────────────
日経平均株価キャップ調整
こちらは、日経平均株価に占める各採用銘柄のウエイト一覧です。
2022年10月から日経平均株価に導入されたルールがあります。
「キャップ調整」です。
日経平均株価に占める1銘柄の割合が一定水準を超えた場合、ウエイトを調整するものです。
実はルール導入後、該当した銘柄はありませんでした。
何故なら、「一定水準」の数字が段階的に変化しているからです。
2022年10月の定期見直し 12%
2023年10月の定期見直し 11%
2024年10月以降の定期見直しでは 10%
というルールです。
つまり、昨年秋の定期見直し時以降に11%超える銘柄が無かったから実施されなかったのです。
さて、今年10月以降の定期見直しからはその水準が10%になります。
その判定をするのは7月末です。定期見直しの基準日は1月末、7月末と決まっているからです。
先ほどの図で言えば、ファーストリテイリング(東プ:9983)は7月末に日経平均株価に占めるウエイトが10%を超えた場合、キャップ調整の対象になります。
東京エレクトロン(東プ:8035)も10%を超えたら同様です。
キャップ調整で上限10%に抑え込まれることは端的に言えば日経平均株価連動資金が当該銘柄を売ることを意味します。
このルールを理解していると市場参加者が多いと思われ、ファーストリテイリングの株価は直近3ヶ月、冴えない展開です。(紺:SBG 水色:日経平均株価 ピンク:ファーストリテイリング)
筆者はこのルールをわかっていて、ファーストリテイリング株がさえない株価になるなら見直しの基準日である7月末まで日経平均株価は軟調だろうと予想していました。
それにもかかわらず、日経平均株価が7月に入って4万円を回復したのは、キャップ調整の対象にならないけれど、ウエイトが高い銘柄にファーストリテイリング等から資金がシフトしているのではないかと考えています。
SBGはファーストリテイリング、東京エレクトロンに次いで日経平均株価の中に占めるウエイトが高い銘柄です。とはいえウエイトは7月上旬で5%超ぐらい。7月末に10%を超えることはないでし ょう。
この見立てが正しいかどうかを確かめる手段は少なくとも筆者にはありません。
ただ、SBGの株価上昇を説明する合理性はそこそこあるように考えています。
見立てが正しいかどうかは、8月に入ればわかるでしょうか。いったん、節目を超えたからということでファーストリテイリングが一時的に買い戻される展開になれば、見立て通りならSBGからは資金が抜けることになります。
ただ、そのあたりでSBGが1Q決算を発表するでしょうから、株価の動きはそちらに大きく依存しそうな気はしますが。
筆者のSBGへのスタンス
前述したようにSBGのボラティリティの高さが肌に合わないので、筆者は基本的に投資対象にしていません。
投資対象にしていない理由がもう一つあります。
経営者の後継リスクです。
孫正義氏もいつまでも経営者でいられるわけではないと思います。
ですから、いつか誰かに経営をバトンタッチしなければいけないでしょう。
2015年に一度外国人に任せようとしましたが、結局うまくいかなかった経緯を苦々しく思っているのではないかと考えます。
例えばマイクロソフトやアップルといった米国企業はそのあたりをうまくやってきました。
経営者の後継リスクを筆者が懸念している日本企業はSBGだけではありません。ファーストリテイリングもニトリHD(東プ:9843)も同様です。
長い目で見た時に重要な要素に思えるので、この点でも筆者の投資対象には入らないなと捉えています。
────────────────────
「毎月100万円以上のビットコインを買えるキャッシュを生み出すスモビジについて研究」するコミュニティ、「BMRスモールビジネス研究所」を開始しました。ご興味ある方はぜひ覗いてみてください。
────────────────────
この記事を読んだ方は、こちらの記事もおすすめです