周到に準備しながらも数千万円の機会損失を生んでしまった取引 botter・くりぷとべあー氏 2/3

botterのくりぷとべあー氏に、最近の取引や今後の人生の目標などについて伺いました。

くりぷとべあー氏 プロフィール

機械学習エンジニアを本業として行う兼業アービトラージトレーダー。プログラミングを始めたきっかけは大学での研究だった。価格の上下を予測しなくても収益を上げられるトレードをメインに行っている。

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周到に準備しながらも数千万円の機会損失を生んでしまった取引

ーー成功した取引について伺いました。印象的な失敗についても教えてください。

失敗した取引は数えられないほどありますが、最も後悔しているものの一つはRaydiumのIDOでの失敗です。

Solanaの黎明期にはRaydiumというDEXでIDOがよく開催されていたのですが、黎明期だけあって仕組みも単純で、開始直後に最も早く取引ボタンを押した人がとても安い価格でトークンを買えるというものでした。

ある日、そのRaydium上でStar AtlasというゲームのトークンのIDOが開催されました。

非常に注目されていたIDOで、早押しに成功すれば数十倍の値段でトークンを転売すること間違いなしです。

私は睡眠時間を削って早押し用のbotを準備し、数百台単位までサーバーの台数をスケールできるようにクラウドのインフラも整えました。

しかし大注目のIDOということもあり私と同じ狙いの早押しbotterが集結しSolanaが大混雑。

その結果、運営のIDO開始トランザクションが通らず、IDOの開始時間が大幅に過ぎてもIDOが開始されませんでした。

そこで、用意していた複数のbotを止めたところ、そのしばらく後にIDOが開始されてしまったんですね。

結局、早押し競争に参加することすら出来ませんでした。

botを動かし続けていたら数千万円のリターンが得られた可能性がありました。

当時は流動性が入ったかどうかをきちんと確認する概念すら知らなかったので仕方ないとは思いますが、「botを止めるべきではなかった」「動かし続ければ良かった」と今でも後悔しています。

FTX崩壊時にアラートを全て切ってしまい莫大な収益機会を逃す

ーー失敗した取引について「色々ある」とのことですが、他の事例についても教えてください。

FTXショック時にbotのアラートを自ら切ってしまい、アービトラージの機会を逃したという失敗があります。

FTX崩壊後、ブリッジの裏付け資産が無くなったいくつかのトークンが大きく価格変動を起こし、これに反応したアラームが何度も鳴っていました。

それで一旦アラートを全て切ってしまったのですが、それによって莫大な収益機会が取れるはずだったとあるトークンのアラートに気づくことができませんでした。

アラートを切っている間は他の収益機会のためトレードしてはいたのですが、アラートを切って気づけなかったとあるトークンの⁨⁩取引機会のほうが百倍以上の利益が見込めていて、気付いたときには後悔しましたね。

全てのアラートを切らずノイズとなるアラートだけをピンポイントで切るべきでしたが、当時の睡眠時間は一日三時間程度と短く、正常な判断ができなかったことが要因だったと思います。

ーーFTXショック時の鞘取りについて、具体的にどのように行っていたのか教えてください。

FTXが出金を止めていたため、Binanceやbitbankなどとの鞘取りはできませんでした。

それで、FTXと繋がりの深かったSolanaも危ないと考えた人が多かったのか、Solanaで投げ売られていたトークンが散見されました。

私はその投げ捨てられたコインを丁寧に拾って、正しい方法で、正しい場所で売却して、利益を積み重ねるということをやっていましたね。

言い方は悪いですが、火事場泥棒のようなものでしょうか。

Mango Marketsのハッキングにより一時的に資金を失う

ーー失敗した取引については、何か失敗をして損をしたというよりも、機会損失での失敗が多いのでしょうか。

機会損失だけでなく、純粋に損失が出た取引もよくあります。年に何度かは出来心で草コインをショートするのですが、稀によくショートスクイーズを食らって爆損を出してますね。

その他でいうと、SolanaのMango Marketsでのハック被害などもあります。

Mango Marketsは創業者が有名な人であることから持ち逃げされることはないだろうと思ってお金を入れていたのですが、ハッキングに遭い、朝起きたら預けていたお金が全て無くなっていたということがあります。

その後、運良くお金は返還されたのですが、後から考えれば、あまり大きくない利回りを得るために大きなリスクをとってしまっていたということで、猛省しましたね。

ブリッジされたトークンの保有も最低限の数に留め、頻繁に取引するウォレットには最低限の金額しか入れない

ーーDeFi特有の取引のリスクについてどのように認識、ヘッジしていますか。

Mangoのハッキング以降はDeFiプロジェクトを全く信用していません。

基本的にレンディングも利用せず、利用する際は限界まで借りて万が一の際の被害を最小限に抑えるようにしています。

ブリッジされたトークンの保有も最低限に留め、頻繁に取引するウォレットには最低限の金額しか入れていません。

持っているお金をなるべく失わないよう最大限のヘッジをかけています。

もちろん、その分機会損失は生じていると思います。

キャッチアップを「勉強」と感じたり、睡眠時間を削ってまでトレードしたくないという人は暗号資産のトレードには向いていない可能性が高い

ーー暗号資産やDeFiの取引で成功するために最も重要だと思うことを教えてください。

大きく分けて二つあります。

一つ目は、そもそも自分が暗号資産のトレードに向いているかということです。

暗号資産の領域はひたすら新しいプロジェクト、トークンが登場し、常に情報をキャッチアップする必要があります。

その上、何日もの間ほぼ寝ずにトレードしないといけない場面も決して少なくありません。

そのためキャッチアップを「勉強」と感じたり、睡眠時間を削ってまでトレードしたくないという人は暗号資産のトレードには向いていない可能性が高いです。

私自身、本業次第ではありますが、情報キャッチアップやbotの改善に毎晩三時間程度は費やしています。

2023年の退屈だった時期でも、日々の情報キャッチアップに加え、botのインフラ改善を粛々と行なっていました。

退屈な時期はbotの取引量も少なく改良しづらい時期ではあるのですが、その時期にインフラを整備していたおかげで2024年の取引が盛んだった時に安定して動いてくれました。

このように、取引で忙しい時はもちろん、退屈な時期でもできるだけ時間を費やして将来の取引に備えるようにしています。

暗号資産に時間が使えない人はそもそもの部分で向いていない可能性があります。

色々な取引を試し、試行錯誤を重ね、自分に合った取引手法を確立することが大事

ーーもう一つの「暗号資産やDeFiの取引で成功するために重要だと思うこと」について教えてください。

もう一つは、自分にあった取引手法を確立するということです。

私の場合、FR取りという利幅が比較的小さい取引から始めたのですが、それでも早期にまとまった利益が得られたのは、それまで仕事や株式投資で得たまとまったお金を運用資金にできたからです。

運用額が最初から一定あったからこそ、利幅が大きくても成功確率が低い取引に手を出す必要がなかったとも言えます。運用資金がとても小さい人は私と同じ取引をしても利幅が薄すぎると感じるかもしれません。

私自身は今回のインタビューで話したように取引し成功体験を積んできましたが、他の人は他の人で、その人に合った取引を見つけていく必要があります。

ーー「その人に合った取引を見つけていく必要がある」とのことですが、おすすめの方法はありますか。

早めに色々な取引を試していき、修正しながら、試行錯誤を重ねることでしょうか。

とにかく手数を増やし、その中で、自分に合った取引スタイルを見つけることが大事だと思います。

コミュニティに入ったり、情報交換ができる知り合いを作ったほうがいい

ーー「一日三時間程度キャッチアップしている」とのことですが、具体的にはどのようにキャッチアップしていますか。

Xのタイムライン、DEG鯖は毎日チェックしています。

そのほか、KudasaiJPのKudasai日報 (まとめ)を読んだり、気になったプロジェクトがあれば触っています。

ただ、キャッチアップを一人で完結させるのは非常に大変で、コミュニティに入る、情報交換ができる知り合いを作るということをおすすめします。

DEG鯖はSolana系に非常に強く、トレーダーの方も多く参加されています。

可処分時間が多い方 (隠語) もたくさんいて、旅行やグルメの情報も充実していてとても楽しいです、

KudasaiJPはEVM系に強いコミュニティです。可能ならMore Kudasai NFTを購入し、Kudasai日報を併せて読むと良いでしょう。

COINRUNも利用させてもらっていて、定例放送という毎月の振り返りYoutubeは毎月欠かさず見ています。

取得した情報をそのまま全て鵜呑みにするのではなく、ある程度自分なりに理解し、調べて、少額でも良いのでお金を入れてみるということが非常に大切だと思います。

そういう事を繰り返すと、知識も勝手に身についてくると思います。

ーーおすすめのXのアカウントについても教えてください。

大きなコミュニティのリーダーであるDEGさん、ヨーロピアンさんをまずはフォローするのがいいでしょう。彼らがコミュニケーションしている方を中心に、徐々にネットワークを広げてみてください。

Xのフォロワー数は多ければいいというものでもなく、正直あまり当てになりません。有名なコミュニティで発言数が多く、周囲から信頼されている人を追うとよいでしょう。

トレーダーとしての自身のエッジをどのように捉えているか

ーートレーダーとしてのご自身のエッジについて、どのようにお考えですか。

本職がエンジニアなので、ドキュメントがなくてもGithubのコードを見ながら必要なものを作れることでしょうか。

プログラムは綺麗な方だと思います。

最初に本格的に触ったのがSolanaだったこともあり、EVM以外のDEXのbotも持つことができていて、EVMを主戦場にしているトレーダーとは違う立ち位置を取れたこともエッジになっていると思います。

新しいチェーンがEVMでどんどん生まれることもあり、EVMを主戦場としている人はあまりそこから出ていきませんし、Solanaは知識が汎用的でない面が多く、ゼロから勉強するにはコストがかかるんですよね。

そのためライバルの参入も他のチェーンよりは少ないと感じます。

しかし、私もそろそろ他のチェーンの仕込みを始めようと考えています。

Solanaのチェーンが大きくなりライバルも増えてきたので、「二年後(?)に来るであろうバブル」に向け、競争が少ないチェーンを探していく必要が出てきました。

自身のエッジについて付け足すとするならば、睡眠時間が三時間でもトレードのためなら苦を感じないところ、自分の狩場を荒らしたライバルのアドレスをメモしてずっとストーキングしている執念深さ、などもエッジになっていると思いますね。

ーー「仕込み」とは、他のチェーンを理解するということですか。

そうですね。

競争が発生すると収益はその分減ります。

もちろん真正面から戦うという方法もありますが、できれば殴り合わなくて済む方法を選びたいです。

黎明期の暗号資産であればそういった戦場はまだまだあると思っています。

ーーその他、ご自身のエッジについて思いつくものがあれば教えてください。

フットワークは軽いほうだと思います。

大きなトレードイベントには必ず参加しますし、全体的に楽しんでやっています。

暗号資産はオープンワールドゲームのようなものだと思っているので、あちこち行っている感覚ですね。

トレードに必要なことは継続することだと思っていて、楽しんでやれるかどうかが大事だと思います。

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全三回のくりぷとべあー氏のインタビュー、最後の3記事目に続きます

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