宇宙空間を巡る開発競争が加速しています。今や宇宙は外交・防衛・経済・情報、科学技術・イノ ベーションなど地政学的な面でも競争が広がっています。
かつて米ソの時代に国家プロジェクトとして推進された宇宙開発は、イーロン・マスク率いるスペースXの台頭もあり、民間主導での競争がさらに進んでいます。
宇宙開発がより身近なものになった理由は主に以下の通りです。
半導体など技術の進化により、衛星やロケットの軽量化、小型化が進んだことです。さらにスペースXの強みの1つであるロケットの再利用化も低コスト化に寄与しています。
さらに安全保障面でも宇宙の重要度が上がっています。
ロシアによるウクライナ侵攻では、ロシアによる通信システムへの攻撃に対して、スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」が活用され、有事における衛星通信システムの重要性が証明されました。
モルガン・スタンレーによると宇宙ビジネス全体の市場規模は2016年の3,500億ドルから2040年におよそ3倍の1兆ドルを超えると目されています。
参照:モルガン・スタンレー
https://www.morganstanley.com/Themes/global-space-economy
国内では、23年6月に経済産業省の「宇宙基本計画」で掲げられた政府目標を見ると「2020年に4兆円となっている市場規模を2030年代の早期に2倍に8.0兆円に拡大していくことを目標とする」とされています。
参照:経済産業省HP
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/space_industry/index.html
現在の宇宙を巡るビジネスは大きく以下の3つに分類されます。
1.人工衛星(通信・観測・放送)
人工衛星による通信や地上観測などは現在最も産業での利活用が進んでいる分野です。能登半島地震の際には国や民間事業者が衛星データや画像を活用したほか、非常用の通信網としても利用されました。
定点観測による防災、減災や気候変動問題への対応など衛星データの利用される場面が増えているのは、より多くのデータ収集が可能となり、収集したデータをAI(人工知能)で効率よく分析できるようになったことも背景となっています。
また人工衛星ビジネスでは、小型の衛星を低軌道上に数十機から数万機をシステムにより協調させる「衛星コンステレーション」網の普及が進んでおり、より精度やリアルタイム性の高い通信・観測などが可能となっています。
2.輸送・旅行
有人宇宙活動についても開発競争が広がっています。米国を中心とする月探査の国際プロジェクト「アルテミス計画」では2026年に向けて有人の月面探査を計画。将来的には月を足がかりに火星への有人探査を目論んでいます。
4月の日米首脳会談では、日本人の宇宙飛行士による月面着陸に向けて協力すると発表されました。
そのほか将来的には宇宙を経由した超高速飛行による旅客や貨物の移動なども期待される分野です。ロケットによる移動で地球上のあらゆる地点間が1時間以内での移動が可能になるとされています。
また、こうしたロケットの拠点となる宇宙港は、海の多い日本が立地として適しているとされています。
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3.探査・資源開発
宇宙利用の促進のため探査・資源開発なども重要な分野です。JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、火星の衛星からのサンプル獲得を目指して、⽕星衛星探査計画(MMX)の探査機を、2026年度に打ち上げるべく開発を進めています。
宇宙を巡る開発競争は現状、スペースXを擁するアメリカが大きくリードした状態であり、次いでロシアや欧州、中国、インドなどが主導権を取るべく開発や投資を進めています。
こうした中、日本政府は企業や大学の技術開発を支援する「宇宙戦略基金」で10年間で総額1兆円規模の支援を行うと表明。民間の宇宙関連企業についてもこれまで以上に関心が高まる状況となっています。
次回は、具体的な宇宙関連企業についてレポートする予定です。
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