投資視点での日本の宇宙産業の解説 個別銘柄編

宇宙空間を巡る開発競争が加速しています。 

国内の株式市場でも宇宙関連銘柄がテーマとして本格的に認知されつつあります。いくつかの運用会社は宇宙関連銘柄に投資する投資信託を設定しています。

後編では、日本の代表的な宇宙関連銘柄を取り上げてみます。 

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通信・観測サービスが本格化 

人工衛星による放送分野では、多数の事業者がしのぎを削っています。

国内ではスカパーJSATホールディングス <9412> が存在感を示しています。自社打ち上げの人工衛星と米国の衛星通信リーダーであるインテルサットと提携しています。

緊急時には代替回線や航空機、船舶用の衛星通信サービスを提供しています。 

2024年3月末時点で、17機の衛星を所有し、アジア最大の通信衛星プロバイダーとなっています。 
 
ソフトバンクグループ <9984> は英国の衛星通信大手のワンウェブに出資。傘下のソフトバンク <9434>はワンウェブとパートナー契約を結び協業しています。

ソフトバンクやKDDI <9433> はすでにスペースXとの協業で衛星通信サービスを日本でスタート。

NTTやドコモ、スカパーJSATなどは衛星通信よりも高速で遅延の少ない成層圏通信の商用化に向けて準備を進めています。

早ければ2025年にはスマホから直接、成層圏通信サービスが利用出来るかもしれません。 
 
観測分野では QPS研究所 <5595、グロース> が株式市場で話題となりました。同社はSAR(合成開口レーダー)という優れた技術を用いた小さな人工衛星を開発し、運用しています。

観測にマイクロ波を利用するため従来の光学カメラに比べて夜間・曇天でも観測でき、より高精細な観測ができます。

一方で消費電力や機体が大きくなるといったデメリットを技術開発で克服した点が評価されています。 

スペースデブリ関連に熱視線 

より精度やリアルタイム性の高い通信などのため、小型の衛星を低軌道上に数十機から数万機をシステムにより協調させる「衛星コンステレーション」網の普及が進んでいます。 

同時に不要となった人工衛星やその他の宇宙ゴミ(スペースデブリ)の除去も大きな課題となっています。軌道上のスペースデブリの数は年々増加しており、宇宙開発の持続のためにはデブリの適切な除去が求められます。 
 
6月に東証グロース市場に新規上場したアストロスケールホールディングス <186A>  はスペースデブリの除去や人工衛星のメンテナンスを強みとする宇宙ベンチャーです。

RPO技術と呼ぶ、対象の飛行物体を捕捉してドッキングする技術に長じています。 
 
川崎重工業 <7012> はデブリの除去の商用化に取り組んでおり、3月には自社開発のデブリ捕獲衛星による軌道上での技術実証に成功したと発表しています。 

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ロケットなどのハードメーカーも存在感

かつてJAXA(宇宙航空研究開発機構)主導で衛星やロケットなどを製造していた大手企業も独自路線で研究開発を進めています。

大型ロケット分野では三菱重工業 <7011> が開発する低コストの次世代ロケット「H3」を2月に2号機の打ち上げ飛行試験に成功。

7月初頭には3号機の打ち上げを予定しており、世界の開発レースが激しさを増す中巻き返しが期待されています。 

 IMV <7760、スタンダード> は振動試験装置の国内大手です。H2ロケット試験機の試験に長年に渡り協力した実績があり、足元ではEV向けと航空宇宙向けの受注が伸びています。 
 
小型ロケット分野では、日本初の民間ロケット打ち上げ会社のスペースワンも注目されています。スペースワンはキヤノン電子 <7739> 、 清水建設 <1803> 、IHI <7013> 傘下のIHIエアロスペースなどが出資しています。 
  
代表的な宇宙関連銘柄を紹介しました。

各企業の決算動向でも宇宙関連の受注や業績もこれまでより拡大の兆しが見えています。

関心のある方は、これ以外の銘柄についても調べてみてはいかがでしょうか? 

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