円高、株安の流れが続く中、大型の主力株が特に売られています。
一方もともと出遅れていた小型株の一角は相対的に下げ幅は限定的な銘柄も散見されます。
本記事では、こうした中、物色の対象となりそうな財務が堅固で好業績の時価総額300億円以下の銘柄をピックアップしてみました。
具体的には、ネットキャッシュ比率が1以上で業績が良好な時価総額300億円以下の銘柄を対象としています。
参照: https://tdnet-search.appspot.com/
ネットキャッシュの定義は人によって様々ですが、今回は清原達郎氏が定義する「現金および預金+受取手形及び売掛金+有価証券+投資有価証券×0.7-負債」とし、時価総額300億円以下という条件でスクリーニングしてみました。(データは2024年8月1日時点)
1.イサム塗料(4624)
東証スタンダード 時価総額61億円 ネットキャッシュ比率 1.391
イサム塗料(4624)は、自動車補修用塗料を軸に建築・工業用塗料などを展開するメーカーです。
自動車、建築用はメンテナンス分野に特化しています。
塗料業界では、大気汚染防止などの環境規制の適用が広がる中、環境・化学関連の法規制をクリアした環境対応型製品の開発などに注力しています。
過去の売上高は概ね70~80億円で安定しながらも、今期2025年3月期は売上高が3期連続増収となる前期比1%増の81億円、営業利益が16%増の7億5,000万円と大増増益を予想しています。
コロナ禍以降の原材料高、エネルギー価格上昇の逆風に対しても生産設備投資計画の見直しなどでコストを抑制しており、営業利益率は23年3月期の7%から前期24年3月期の8%に改善しています。
前期末時点の自己資本比率は80%、現金及び現金同等物の期末残高は34億円と時価総額に対して55%の割合と高水準で財務面も堅固です。
2.中部日本放送(9402)
名証プレミア 時価総額167億円 ネットキャッシュ比率 1.276
中部日本放送(9402)は、愛知県や岐阜県、三重県などの東海エリアでテレビ、ラジオなどのメディア事業、不動産賃貸業、ゴルフ場運営などを手がけています。
メディアコンテンツ関連事業では、TBSキー局のCBCテレビ、CBCラジオを中心に番組制作や広告代理、映像コンテンツ制作なども展開しています。
メディア広告はインターネットやスマートフォンなどの台頭により頭打ちの状況が続いています。
こうした中で同社は知的財産(IP)事業や放送枠以外の商品を開発するビジネスプロデュース事業など新たな収益の柱を育てようとしています。
現状の収益の柱は東京・千代田の千代田会館などを保有する不動産事業です。
前期の営業利益のうち約8割を占めています。
そのほか南山カントリークラブなどのゴルフ場運営、保険代理店やパーキング事業のその他事業も収益源となっています。
前期末の現金残高は142億円と時価総額の85%を占めています。
PBR(株価純資産倍率)は0.2倍台と割安かつ月足のチャート上も上昇余地が大きいとみられます。
3.昭和パックス(3954、PAXXS)
東証スタンダード 時価総額81億円 ネットキャッシュ比率 1.227
昭和パックス(3954)は、産業用の包装資材の大手です。
主力の食品や農水産物向けの重包装用紙袋(クラフト紙袋)では、国内トップシェアです。
そのほかコンテナー事業やフィルム製品なども手がけています。
最終用途が多岐にわたっており、景気変動の影響を大きく受けにくいこともあり、売上高や営業利益は安定しています。
今期2025年3月期は売上高が前期比9%増の235億円、営業利益が16%増の11億円と増収増益見通しです。
今期は年間で1株当たり40円の配当を予想しており、予想配当利回りは2.18%です。
配当性向は16%と例年20%を下回っており、株主還元強化の余地は十分にありそうです。
現金および現金同等物の期末残高は79億円と時価総額に対して97%と高い割合となっており、今期予想PER7倍台、PBR0.35倍と割安感があります。
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