今回題材にするのは前澤工業(東ス:6489)です。
「まえざわこうぎょう」と読みます。
国、地方公共団体の上・下水道および農業用水・河川関係の各種処理施設並びに、これらに関連した単体機器および装置の設計・製作・据付を一貫して行っている上下水道用機器・水処理装置専業メーカーです。
東証スタンダード市場に上場し、時価総額は約330億円です。
大型株を投資対象としている筆者にとって、そのルールにのっとれば投資対象外の銘柄ですが、300株持っています。
2024年7月11日に2024年5月期決算を発表しました。
その内容に触れるとともに、この銘柄と筆者のスタンスを綴ります。
2024年5月期 決算概観
筆者が決算短信で最初に見るのは今期予想です。
売上高はわずかに成長する一方、営業利益等は減益を予想しています。
前澤工業は、2024年5月期決算発表とともに、中期経営計画を発表しています。
2022年5月期からの推移を見ると、2024年5月期が想定より良すぎた実績になったので、2025年5月期は控えめに予想されている印象を受けました。
営業利益については、資材価格等の上昇も加味されて予想されているかもしれません。
投資家としてもう一つ着目したいのは、株主還元姿勢です。
平成30年5月期(2018年5月期)以降、毎年度前年比で増配しています。
適宜自社株買いも行っています。
それでも、配当性向は20%程度と全く無理がありません。
個人的には増配余地を感じます。
自己資本比率は約67%。
健全な財務です。
中計では、海外ビジネスの拡大にも触れています。
日本の人口減少に伴う、インフラ予算規模縮小に対応するものと考えます。
株価は、中計を好意的に受け止めたように見えます。
2024年7月11日の引け後に決算発表を行い(赤く丸で囲んだ部分)、翌日はやや下げてスタートしましたが、後場は上昇し、前日比プラスで終えました。
7月12日は日経平均株価が前日比マイナス1,000円以上で終えた日でした。
前澤工業は、日経平均採用銘柄ではありませんから、マイナス1,000円に一切関与していません。
指数の変化だけを見ると、前澤工業のような銘柄があることを見落としがちになります。
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筆者と前澤工業株
前述したとおり、筆者は前澤工業株のホルダーです。取引履歴を遡ったところ、初めて買ったのは2017年の11月でした。
418円で200株買ったようです。
その後414円で300株買い増ししています。
こちらは前澤工業の10年チャートです。
赤で囲んだあたりが筆者が初めて買った時期です。
チャートを見ればわかりますが、それからしばしは低迷しました。
取引履歴を見ると、売ったり買ったりしています。
損はしていないようです。
2020年3月に309円で買ったのが一番安い買いだったようです。
この銘柄を買おうと思ったきっかけがありました。
初めて買った頃、筆者は地方公務員をしていて、行政課題の洗い出しなどをしていました。
その過程で、自治体のインフラ問題に気づいたのです。
道路や橋、トンネル、水道管といったインフラが老朽化しており、住民生活を維持するためにはメンテナンスが不可欠であること。
しかし、それを可能な業者はそれほど多くないように思え、自分なりに探してたどり着いた銘柄の一つが前澤工業でした。
当時の時価総額は100億円以下だったはずです。
当時は、時価総額の大きさにあまりこだわりが無かったことが、この銘柄に手を出せる結果になりました。
今は、新たに買う銘柄については最低でも数千億円の時価総額を求めるので、今から新たに前澤工業株に手を出すことは出来なかったかもしれません。
取引履歴を見ると、2021年春に611円で100株売却したのを最後に、売り買いはありません。
スタンダード市場へ移行
東証は2022年4月に市場再編を実施し、その際、上場維持基準を改定しました。
その基準が発表されたころ、前澤工業は東証1部上場銘柄でしたが、プライム市場の上場維持基準を満たせず、スタンダード市場を選択しました。
東証一部上場企業であればTOPIX資金が買っている銘柄でした。
しかし、スタンダード市場へ移行するのであれば、TOPIX内で占めるウエイトは段階的に低減し、いずれゼロになることが決まっています。
これに伴い、筆者は当時保有している中小型株に対する方針を考えました。
さしあたりはホールドすることにしました。
その経緯を綴った筆者のブログ記事です。
https://ssizehappy.exblog.jp/32400527/
この時ホールドの方針をとったのは正解でした。
先ほどのチャートをご覧いただければわかりますが、2023年以降株価は大きく上昇し、2024年7月にはPBR1倍を超える水準になっています。
大きく上昇し続けたのは、筆者が初めて買うきっかけになった水道インフラメンテナンスが社会問題として顕在化してきたからだと思います。
自然災害に限らず、水道管の老朽化による、漏水などが相次いだのは記憶に新しいところでしょう。
首相肝入り
2024年7月に、岸田首相は愛知県豊田市の水道局を視察し、記者団に「メンテナンス効率を向上させる上下水道DX技術について、今後5年程度で標準装備を進めたい」と表明しました。
また、全国の重要施設に関係する水道管の耐震化について、緊急点検を開始し、10月までに完了させる方針も表明しています。
これで、水道インフラ関連銘柄には特需が起きそうと投資家には捉えられているようです。
首相が表明したのは7/8の午後です。それから前澤工業の株価は窓を開ける形で大きく反応しました。
簿価390円でホールドしている筆者は現在約4倍になっています。
水道インフラは生きている間ずーっとお世話になるものです。急激な株価上昇は目論みにくくても、底堅い動きをすると考えています。
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