bitbank COOを経てCygnos Capitalを運営する三原弘之氏に、今後一、二年以内に海外移住をしたいと考えている人が今から準備できることなどについて伺いました。
三原 弘之氏 プロフィール
早稲田大学を卒業後、楽天株式会社にエンジニアとして入社し、楽天市場の開発業務に従事。2014年、ビットバンク株式会社へ社員第一号として参画し、執行役員COOとして国内最大級の仮想通貨取引所へ成長させる。現在は海外クリプトヘッジファンドの戦略へ分散投資する日本初のファンド、Cygnos Crypto Fund を運営。Twitter:https://x.com/h3hara Cygnos:https://btclife.cygnos.capital/ https://mining.cygnos.capital/ https://cygnos.capital/ https://overseas.cygnos.capital/
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取材実施日
2024年7月17日
まずは移住候補の国へ現地視察に行くべき
ーー今後一、二年以内に海外移住をしたいと考えている人に向けて今から準備できることについて教えてください。
まず海外に住んだ経験があるかどうかで大きく分かれます。
海外での居住経験がある人は海外生活がある程度イメージできると思いますし、それに向けた準備やフローもある程度理解できていると思います。
一方、一度も海外に住んだことがない人は移住先でどんな生活になるかのイメージを抱くことが難しいと思うので、まずは移住候補の国へ行ってみるということをおすすめしています。
候補の国で日本食のレストランで食事をしたり、現地の居住用の物件を内見したり、実際に移住後の生活を想像して現地を見てみると良いと思います。
他にも、日本人のエージェントにビザ取得について相談してみたり、お子様がいるなら現地の学校の見学、現地に日本人の知人がいるなら会って話を聞いてみるというのもいいでしょう。
そうすると海外に住んだ経験がない方でも移住のイメージができて次のステップに進みやすくなると思いますね。
Cygnosのツアーでは不動産会社や会計事務所の担当者とも直接話せる機会をセッティング
ーーCygnosでも見学の企画を実施されていますね。
はい、不定期ではありますが、おおよそ半年から一年に一回、現地視察ツアーを開催しています。
ツアーの参加者からは好評をいただいており、参加者の中から毎回一組以上は実際に移住を決められる方がいらっしゃいます。
ツアーでは、現地を直接見に行くだけでなく、我々が紹介している不動産会社や会計事務所の担当者とも直接話せる機会をセッティングしています。
海外の事業者というと不安な点もあるとは思いますが、直接会って話をすることで漠然と抱いていた不安が解消されやすいです。
「次に考えることが明確になり参考になった」前向きな感想をいただくことが多いです。
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なぜ早い段階から会計事務所を探しておいたほうが良いか
ーーツアーでは会計事務所とはどのような話をするのでしょうか。
海外移住において会計事務所と話すべき理由は二点です。
一つ目が税務関連で、海外に移住すると移住先での課税や国外転出時の課税などが発生しますが、未納や二重課税とならないためにも、国際税務を正しく理解している税理士に依頼する必要があります。
二つ目ですが、例えばタイランドエリートで移住する場合、現地法人を作る必要はありませんが、それ以外の国で例えばシンガポールやドバイなどでは法人を作って移住する方がほとんどで、そのため結果的に会計事務所に依頼が必要であるという点です。
そのため、早い段階から会計事務所を探しておいたほうがよく、ツアーの中でもお話する機会を設けています。
ーー確かに、現地でゼロから自分だけで信用できそうな業者を探すというのは負担が大きそうです。
はい、信用できない業者も少なくないので、このようなサポートは好評をいただいていますね。
日本食のスーパーへ足を運ぶことでより移住後の生活のイメージが固まる
ーー現地の視察ツアーで最も反響があった企画について教えてください。
ツアーのメイン企画ではないのですが、毎回参加者に喜ばれるのが日本食のスーパーを一般の買い物客に混じって実際に見て回るというものです。
というのも、日本人は海外に移住しても毎日日本食を食べたいという方が多く、移住後は自分たちで自炊することが多いんですね。
もちろん外食も充実してはいますが、価格も高く味付けも濃いことが多いです。
そのため、移住後の家の近くに日本食のスーパーがあるかという点が凄く大事で、ツアーの中にも組み込んでいます。
ーー確かに、そう聞くと非常に重要ですね。
20代の独身男性だと共感を得づらいかもしれませんが、結婚したり、子どもが生まれたりすると、生活のクオリティを保つことが海外移住において非常に重要な論点になってきます。
また、もし仮に20代独身男性の移住だったとしても、一年以上海外に住んでいたらほぼ確実に日本食を食べたくなります。
伊勢丹など日系のスーパーも海外へ進出しており、日本の地方より品揃えが良いということも珍しくありません。
日本食のスーパーへ足を運ぶことでより移住後の生活のイメージが固まり、「これなら実際に生活できそう」と感想を持たれる方が多くいらっしゃいますね。
参考:三越伊勢丹、バンコクに高級スーパー出店 24年度中に – 日本経済新聞
参考:フジスーパー特集!バンコクの日本人御用達スーパー全店舗のアクセスと特徴をご紹介!
ーーそのツアーは参加者全員で回るのでしょうか。
そうですね、バンを借りて全員で一緒に見に行きます。
不動産の物件も参加者それぞれの希望に合った部屋を全員で一緒に見て回るのですが、自分が希望した物件でなくても自分の希望の物件と比較ができて参考になると感想をいただいています。
行きたいと思ってからビザを用意するのでなく、常に選択権を持っていられるようビザの取得は早めに行っておくことをおすすめ
ーー現地に行ってその国が気に入り、実際に一年後に移住したいとなったとして、まず始めに準備すべきことは何でしょうか。
ビザの取得方法を調べることです。
最短でビザが取れる期間や費用がいくらかかるのか、そもそも、自分がビザを取得できる要件を満たしているかどうかなどを調べる必要があります。
ビザが問題なく取得できそうであれば、取得の手続きを始めつつ、取得予定日から逆算して移住の準備を始めていきます。
最も懸念されるのはビザの発給が突然停止されることで、特に、タイやマレーシアは、ビザの仕様が変更されることも少なくなく、常にビザの情報は確認しておく必要があります。
取得しようとしていたビザの条件が変わるといった事態も発生するため、行きたいと思ってからビザを用意するのでなく、常に選択権を持っていられるようビザの取得は早めに行っておくことをお勧めします。
日本が暗号資産に対する出国税を課すとした場合、タイランドエリートの取得希望が殺到し、間に合わない可能性もある
ーー極端な話、二年後に移住するために今のうちからビザを取得しておくという判断もありなのでしょうか。
ビザは5年や10年などの単位で取得するためあまりにも早く取得すると移住しない期間分のビザ取得費用がもったいないという見方はありますが、そうしている方も多くいらっしゃいますね。
そのほか、早めにビザを取得しておくメリットについてもう一つご説明しておきます。
例えばタイランドエリートは比較的短期間で取得しやすいビザですが、仮に日本が暗号資産に対する出国税を課すとした場合※、タイランドエリートの取得希望者が殺到し、殺到した後ではなかなか取得できない、という事態に陥る可能性はあるでしょう。
※記事掲載時点では日本では暗号資産に対して出国税が課されていない
単にビザ取得に時間を要するというだけならいいのですが、取得が間に合わず出国税の対象になってしまった、という事態も十分に想定されます。
ビザを先に取得しておけば移住しない期間の金額はもったいないですが、そういった状況が変化するリスクに備えることが可能です。
また、一旦出国してしまい、出国後にどの国へ行くか考える、というのも一つの手です。
病院や学校についても事前に調べる、手続きが必要
ーー他にも移住の準備に必要なことがあれば教えてください。
海外での移住生活で必要な環境を洗い出し、それについて調べることです。
移住者がもし高齢なら現地ではどこにどんな病院があり、どんなドクターがいるか事前に調べておくべきでしょう。
また、お子様がいる家庭なら、日本人学校に入学させるのか、インターナショナルスクールに入学させるかで、やるべきことは全く異なります。
インターナショナルスクールには学校によってはウェイティングリストがあり、定員オーバーで入学できないといったケースもあります。
その際、一旦どこか別の学校に入学する必要があり、その学校を探す必要も出て来ます。
因みに、個人で海外移住される方のお子様は、インターナショナルスクールに入学されるケースが比較的多く、駐在のご家庭では日本人学校に入学されるケースが多いです。
税理士は二人以上に話を聞いて比較したほうがいい
ーーそのほか、海外移住を進める上で注意すべき点などがあれば教えてください。
欲を言えば、税理士に関しては、仮に良い税理士を見つけたとしても、セカンドオピニオン的にもう一人以上に話を聞き、それぞれを比較することをおすすめします。
もちろん、弊社も良いとされる税理士をツアーの中などで紹介していますが、仕事のやり方など、相性もあるでしょう。
また、一部税理士には、他の税理士を批判し貶めることで自分の地位を上げようとする方も稀にいて、そういった税理士に最初に当たってしまうと、その人の話を鵜呑みにしてしまう懸念があります。
後から税理士を変えるのは大変なので、多少面倒でも最初にしっかり比較しておくことをおすすめしています。
英語が話せない、海外移住が初めての日本人はアジア人が多い国に移住した方が生活しやすいはず
ーー三原さんに限らず弊社の取材では移住先としてタイやシンガポール、マレーシアなどが挙がりますが、三原さんが知る限りでは米国やヨーロッパに移住している方もいますか。
米国へ移住した人はいませんね。税金だけを目的にするなら魅力がないので。
欧州への移住者もたまにいるようですが、あまり聞きません。
単身でポルトガルへ移住された方も知っていますが、正直、住みにくいと思いますね。
そのほか、ニュージーランドやオーストラリアへ移住した人もいますが、税金だけで言うならやはりシンガポール、タイ、マレーシア、ドバイなどがおすすめです。
英語が話せない、海外移住が初めての日本人はアジア人が多い国に移住した方が生活しやすいと思います。
日本は好きだがこだわる感覚がない
ーー三原さんはこれまでタイや香港、シンガポールなど複数の国での滞在経験がありますが、どの国が最も良かったですか。
事業をしているかどうか、何の事業をしているかで分かれると思いますが、事業を伸ばしていきたいならシンガポールが良いと思いますね。
仕事の面でも先輩や同世代から刺激を受けることも多いです。
タイも面白く住みやすい国で私も好きですが、エンターテインメントが充実していて、がっつり働きたい独身男性にはおすすめしません。
ーー三原さんは仕事関係の規制の面でシンガポールを移住先に決めたとおっしゃっていましたが、もしそのような規制の観点がなければ移住はしていませんか。
いいえ、仕事は関係なくいずれにしろ海外で暮らしていたとは思います。
ーーそれは日本の行く末を案じてということでしょうか。
そうではなく、日本にこだわる感覚がないからですね。
日本は生まれ育った土地で好きなところもたくさんありますが、好きになれない部分も一部あり、たまには居住地を変えたいという感覚が常にあるんですよね。
▼三原氏が始めた有料のPodcastのXアカウントはこちら
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今回取材にご協力いただいたCygnos・三原氏が提供するサービスはこちら
全2回のCygnos・三原氏のインタビュー、後編に続きます。
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