初期ビットコイナーのsatumai_mona氏に、2013年にビットコインに興味をもったきっかけについて伺いました。
satumai_mona氏 プロフィール
大学を卒業後、家業を継ぎ、現在までサツマイモ農家に従事。1997年のアジア通貨危機の最中に株式投資を開始。2013年にビットコインを知り、詐欺を暴くべく調べたところで本質的な価値に気づき、2014年よりビットコインに投資。現在もビットコインを保有。
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「毎月100万円以上のビットコインを買えるキャッシュを生み出すスモビジについて研究」するコミュニティ、「BMRスモールビジネス研究所」を開始しました。ご興味ある方はぜひ覗いてみてください。
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取材実施日
2024年5月27日
アジア通貨危機で株式投資を開始、2014年にビットコインに投資
ーーご経歴について教えてください。
学校卒業後から家業を継ぎ、現在に至るまでサツマイモの農家として個人事業主をしています。
株式投資は1997年のアジア通貨危機の頃から始めました。
まだ学生でしたが、当時の状況をチャンスだと捉え、アルバイト代を元手に勉強を兼ねて投資を始めたのが最初です。
新興株バブルやライブドアショック、リーマンショックなど、様々なマーケットのショックを経験しましたね。
2014年ごろにビットコインを購入し、一部売りましたが現在でも保有しています。
ーー2008年のリーマン・ショックもご経験されたのですね。マーケットへの影響は大きかったと思いますがいかがでしたか。
元々、リーマン・ショックの懸念は株価の暴落前から囁かれており、いずれ深刻な事態になるという危機感を持っていたため積極的に現金化を進めていました。
リーマン・ショック終盤はサーキットブレーカー発動や先物、オプション取引の停止など、市場は極めて混乱していました。
日経平均株価は1万円を割り込むほど急落したりと、1日で1,000円以上の値動きも珍しくありませんでしたね。
▼日経225の2001-2011年のチャート。2008年後半から2009年前半には大きく割り込んでいる。
私は半値になっても諦めがつくだろう覚悟を持って大手株を購入していましたが、振り返ってみればこのタイミングが底でしたね。
ある程度リバウンドしたタイミングで利確しその後のアベノミクスによる株価上昇まで保有し続けることはできませんでしたが、いいタイミングで入れたとは思います。
キプロス・ショックでビットコインを知り、詐欺だと思い仕組みについて調べる
ーービットコインを知った経緯や当時の印象を教えてください。
ビットコインを初めて知ったのはキプロス・ショックでビットコイン価格が高騰したというニュースが話題になっていた2013年頃だったと思います。
参考:キプロスショック | みずほ証券 ファイナンス用語集
参考:プロス・ショック – Wikipedia
当時、ビットコイン価格は10万円程度まで上昇し、金融危機から資産を守るためにビットコインを購入する人が増えていました。
▼2013年ごろのビットコイン/米ドルの価格推移。2013年3月19日にキプロス議会は銀行預金への課税に関する法案を否決。その後、ビットコインの価格は暴騰。
しかし、「いくら経済状況が悪化したからといっても、価値のない通貨でさらに価値のないものを購入しても意味がない」と考えていて、円転と同じようなものだろうと思っていました。
それで「ビットコインは詐欺なのでは」と思い、カウンターパンチを食らわせて詐欺師を黙らせようと考え、仕組みについて調べるようになりました。
ビットコインについて知れば知るほど、詐欺ではなく本物の価値を持ったプロダクトかもしれないと思った
ーー2013年当時はまだ日本語での情報などもあまりなかった時期だと思いますが、どのようにしてビットコインについて調べたのでしょうか。
ネット上の掲示板などでビットコインに関する情報や議論を見ていました。
価格の変動や儲け話には興味がなかったため、初期のビットコイン投資家による技術的な解説や説明に目を通していました。
さまざまな情報や議論に目を通していく中で、次第にビットコインの仕組みを理解し、正しい情報発信を続けている人々の意見に惹かれ、彼らの発言を追いかけるようになりました。
非中央集権やブロックチェーンなどの技術を組み合わせたサトシ・ナカモトの思想など、ビットコインについて知れば知るほど、これは詐欺ではなく本物の価値を持っているプロダクトかもしれないと思いはじめました。
「面白いものになるかはわからないが少なくとも理屈は正しそうだ」
ーービットコインに対する懐疑的な印象が明確に変化したのはいつ頃でしょうか。
2014年頃です。
2、3ヶ月かけてビットコインについて調べていくうちに、詐欺や誰かが不正な利益を得るために作り上げた仕組みだと言える要素は見当たらないことに気がつきました。
「面白いものになるかはわからないが少なくとも理屈は正しそうだ」と感じましたね。
ーービットコインの仕組みを理解した後について教えてください。
ビットコインの仕組みは非常に興味深いと感じましたが、同時にこの仕組みを壊したり、代替する仕組みを作ることも可能なのではと考え、並行してアルトコインについても調べていました。
コンセンサスアルゴリズムの違い、機能、目指しているもの、ビットコインの思想を代替、または破壊する可能性など、様々な疑問を追いかけることが楽しくて、夢中になって情報を集めていましたね。
当時は2ちゃんねるを中心としたコミュニティで活発な議論が行われており、かなり楽しかった記憶があります。
また、調べるだけでなく、モナコインのマイニングやノード運営、PoS型コインの運用など、実際に手も動かしていました。
ーー「面白いものになるかはわからないが少なくとも理屈は正しそうだと感じた」とのことですが、特にどのような点によってそう感じられたのでしょうか。
ビットコインは、個人が自己の利益のために自由に行動してもそれが全体にとって良い結果につながるよう仕組みが構築されており、しかも、その仕組みはブロックチェーンやPoWなどの既存技術を組み合わせることで実現されているんですね。
これら各技術自体は革新的なものではありませんが、それが非中央集権的な仕組みと組み合わされている点に惹かれました。
サツマイモと引き換えられるバウチャーとしてコインを発行し流通させるアルトコインの構想を練る
ーー ビットコインを初めて購入した時期や詳細について教えてください。
初めてビットコインを購入したのは、Zaifの前身であるetwingsが取引所を立ち上げたというニュースを見て買ってみようと思ったのがきっかけです。2014年ごろです。
値上がり益期待のすごくシンプルな理由で、ビットコイン以外にもモナコインやネムなどをまとめて購入しました。
ーー「ビットコインについて技術的な解説をしている人がいた」とのことですが、今でも覚えている人はいますか。
大石哲之さんは当時から活躍されていましたね。
大石さんは当時ビットコイン研究所を運営されていたので、そこで情報発信や質問のやりとりなどを行っていたのを覚えています。
私もネット上で大石さんに質問したり、議論に参加したりしていました。
ーービットコイン以外で特に興味を持ったコインはありましたか。
実際のサツマイモと引き換えられるバウチャーとしてコインを発行し流通させるアルトコインの構想を練り、準備してみたことがありました。
前払い式支払手段としてスーパーのポイント券のような仕組みを考えていたんですが、準備を進めるうちに、流通や住所、氏名の情報確認などの課題が壁となりました。
当時からビットコインはデジタルコンテンツのやりとりには適しているものの、現物のやり取りには課題があるという意見が多くありました。
私も同じ結論に至り発行には至らなかったのですが、最近ではJPYCの岡部さんがステーブルコインを発行し、その壁を乗り越えようとしているのを非常に興味深く応援しています。
岡部さんの取り組みは革新的で、成功すれば大きな可能性を秘めていると感じています。今後の展開も楽しみにしています。
1996年ごろは株式や土地の投資で破産したり、命を落とす人が多く投資に良いイメージがない時代だった
ーー当時、周囲にビットコインを購入している人がいたり、購入を勧めたことはありますか。
周囲でビットコインを購入している人、深く調べている人は皆無でしたね。
仲の良い友人に話したことはありましたが、本気でビットコインの魅力を伝えたところで理解してもらえないことは明らかだったので、深くは話しませんでした。
大学生の頃に株式投資を始めた際も周囲には理解してもらえず、ギャンブラーのような扱いをされた経験もあったので。
当時は株式や土地の投資で破産したり、命を落とす人が多かったこともあり、あまり良いイメージがない時代でしたからね。
ーー投資に後ろ向きな時代からなぜsatumai_monaさんは株式投資を始めることできたと思いますか。
当時の銀行の金利は1%程度まで下落すると同時に、円高が進行し、ドル円は80円台まで下がり、ひどい状況だったんです。
下落する金利に興味を持ち、情報を集めるうちに「株式投資は必ずしも悪いものではない」と考え、投資を始めました。
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全三回のsatumai_mona氏のインタビュー、2記事目に続きます
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