クラウドストライクによるシステム障害
2024年7月19日にクラウドセキュリティ大手のクラウドストライクがアップデートミスにより、世界850万台のWindwos搭載のパソコンにシステム障害を発生させました。
この影響で、航空/小売/金融/医療機関など幅広い分野でシステムを担うパソコンが停止し、営業を停止せざるを得ず、アメリカの売上高上位500社だけでも54億ドルの損失が発生しました。
この原因は、アップデート時に工数短縮のためにテストの工程を減らしていた事です。
https://www.crowdstrike.com/falcon-content-update-remediation-and-guidance-hub/
クラウドストライクによる損害の補填
最低数十億ドル以上の損失を発生させた問題に対して、補填がどの様に為されるかが一つの注目でした。
本件に関して現在までに公式から出た補填は、UberEatsの10ドルクーポンだけです。
https://www.bbc.com/news/articles/ce58p0048r0o
実際問題として発生する補填は、
1.規約に記載されている取引額分の返金
2.裁判による損害賠償
が考えられます。
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投資家の当時の反応と現在までの流れ

7月19日のプレマーケットでは株価が20%まで下落する場面がありましたが、引けには11.1%の下落まで買い戻されました。
SNS上ではクラウドストライクは買い場であるという声も多数上がっていました。

その根拠として、昨年10月末に大手セキュリティ企業Oktaが不正アクセスによる情報流出で、株価を2日間で18.7%下落させた事件が影響しています。
その後、時間経過と相場の後押しで元の株価へ戻り、5ヵ月後の3月には事件後の底値から74.7%上昇しました。
その事件を連想し、下落は一時的な要因で直ぐにクラウドストライクの株価は戻ると考える個人投資家が多くいました。
しかし、1週間後の株価は事件前と比較して25.9%の下落を記録しており、投資家の安易な買いは否定される結果となりました。
Oktaの事件との相違点
Oktaの事件は顧客情報の1%に対して間接的な影響を与え、信頼を失う結果でした。
しかし、クラウドストライクは顧客に対して直接的な損害を与えています。
投資家は類似事項と比較して相場へ反応する傾向がありますが、今回の件は同じ土俵に並べるべきではない違いがあります。
クラウドストライクは競合他社よりも優れたセキュリティである事から、優位性を高く取引を勝ち取っていますが、Okta以上に顧客離れや新規取引数の減少は避けられないでしょう。
グローバルハイテク企業への影響
今回の問題は、クラウドストライクだけに留まるものではありません。
現代のシステムはインターネットを経由しており、自動的にアップデートされ、日々運用されています。
AmazonのAWS、MicrosoftのAzureなどが近年システムの根幹として使用されており、類似の問題が発生する可能性があります。
アメリカの大手ハイテク企業への依存度が高まる中でこの様な問題が発生すれば、グローバルハイテク企業への信頼が失われていきます。
現実問題として、直ぐに梯子を外せる様な環境ではありませんが、投資家や経営者の中で懸念が広がれば株価や業績に影響を受けます。
現在大手ハイテク企業への期待は歴史的に最も高い水準にあった事もあり、この事件がハイテク企業の株価低下を誘発しています。
クラウドストライクの今後の展望と関連した投資への影響
クラウドストライクへの投資を値ごろ感で行う事はお勧めしません。
先述の様に、損失補填や業績への影響はこれから発生する見通しで、事の大きさから前例と比較する事は難しいです。
クラウドストライクはグロース銘柄であり、赤字転落、成長性の減少が起これば同じ価値観で投資を行う事はできません。
また、競合他社への顧客流出を想定して競合他社の株式を買い向かう動きもありますが、これも良い戦略とは言えないでしょう。
例えば、競合他社のSentinel Oneは1週間で14.7%上昇していますが、同じリスクを保有していますし、提供内容の差でクラウドストライクに競争で負けていました。
直近の決算もイマイチであり、決算発表後に13.1%下落している事から保有するリスクが高いです。
今回の問題は、クラウドセキュリティ及びグローバルハイテク企業が保有するリスクを提起するものであり、下がったら直ぐに買うといった今までの安易な戦略を取るべき場面ではありません。
2024年後半はリセッション懸念と大統領選による株式市場の揺れ動きがあります。
焦らず、ポートフォリオ全体のリスクを見直す機会にしていく事をお勧めします。
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