AndGo・代表の原利英氏に、AndGoで提供されているリカバリーサポートのサービスなどについて伺いました。
原利英氏 プロフィール
情報科学で博士 (理学)取得後、東京理科大学理工学部情報科学科助教として、ゲノム解析・創薬、カオス尺度、暗号理論に関する数理面の研究を手がける。2017年4月、株式会社AndGoを創業。現在は独自の秘匿暗号、ブロックチェーンセキュリティ、ウォレットについて研究開発を行っている。
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取材実施日
2024年4月27日
リカバリーフレーズを基にウォレットを作り直すサポートを提供
ーーリカバリーサポートのサービスについても詳細を教えてください。
ウォレットをセットアップした際にウォレット側で設定される24単語を弊社ではリカバリーフレーズと呼んでいます。
このリカバリーフレーズは必ずメモしておく旨がウォレット側から通知されますが、これは万が一ウォレットが使えなくなってしまった際、ウォレットを新しく作り直す際に必要なためです。
リカバリーサポートサービスでは、このリカバリーフレーズを基にウォレットを作り直すサポートを提供しております。
ウォレットにはマニュアルが用意されていますが英語で記載されていることが多く、英語に自信がないお客様、操作に不安があるお客様のご利用を想定しています。
リカバリーサポートサービスもオンラインと対面とそれぞれでサポートさせていただいております。
ーーリカバリーサポートサービスもウォレットを操作をするのはユーザーでしょうか。
はい、ウォレットの操作自体はユーザー様に直接操作いただきます。
リカバリーフレーズは資産にアクセスできる権利そのものであり、第三者に任せずご自身でしっかり管理しなければなりません。
悪い人はどこにでもいることを認識し、リカバリーフレーズを決して他人に共有せず、ご自身で管理してください。
弊社がサポートする際も弊社がユーザー様のリカバリーフレーズを見たり、聞いたりすることは絶対にありません。
リカバリーフレーズの24単語は正確に記録していなければリカバリーすることは難しい
ーー貴社のサポートを利用しても資産を復元できないケースはどのようなケースでしょうか。
弊社のサポートはユーザー様がリカバリーフレーズを適切に記録できていることが前提のサポートです。
24単語を間違えずにメモしていること、そしてその24単語の順番を正しく管理されていることも必要不可欠です。
リカバリーフレーズの単語はスペルミスが起こりにくい単語が選定されていますが、日本人は英語が苦手な方が多く、単語の綴りを間違えていたり別の単語で記録したりしているケースも少なくありません。
1文字違い程度であれば復元できる可能性もありますが、単語自体をそもそも記録していない、もしくは記録していても単語の順番を誤って管理してしまっている場合はほぼ復元は不可能です。
新しくウォレットを作る際はリカバリーフレーズを再確認できるタイミングがあるため、間違いなくメモできているか注意して作業を行ってください。
また、上級者の中にはリカバリーフレーズを鉄製の立体型パズルの中に入れて保管されている方がいらっしゃいますが、そのパズルを落としてバラバラにしてしまうと24単語の順番もバラバラになってしまい、復元ができなくなってしまいます。
順番間違いは非常に多いので、十分に気をつけたほうがよいです。
ーーリカバリーフレーズがなければ絶対に復元できないのでしょうか。
最近のファームウェアではリカバリーフレーズに相当する情報を残したままアップデートするようになっており、最後に行ったファームウェアアップデートが比較的新しい場合は復元できるケースもあります。
ひと昔前のファームウェアではアップデートの際にリカバリーフレーズを消去してしまうため、ファームウェアが古い場合は復元できない可能性が高いです。
リカバリーフレーズを正しく記録していても復元できない事例はどのようなものか
ーーリカバリーフレーズを正しく記録していても、復元できない事例はありますか。
そういった事例もあります。
最もわかりやすい例では、「マイナーなウォレットを使用していたが、メーカーが撤退したためメジャーなウォレットに変えたい」というケースです。
この場合、リカバリーフレーズに互換性がなければ、復元できません。
大抵のウォレットは標準規格を搭載しておりそのような場合は復元可能ですが、利用者の少ないマイナーなウォレットの中には標準規格に従っていないリカバリーフレーズを利用するものもあり、この場合復元できないケースもあります。
また、リカバリーフレーズに日本語が採用されている場合は英語のみ対応のウォレットでは基本的には復元できません。
取引で資産を増やせても適切に保全できなければいつか失ってしまうリスクがある
ーー投資家やトレーダーは調査や実際の取引だけでもやるべきことが膨大にあります。ウォレットの管理に適切に時間を割けている方は少ないかもしれません。
私も同じような印象を持っています。
特に個人のトレーダーは忙しく、ウォレットの管理まで手が回らないかもしれませんね。
しかし、取引で資産を増やせても適切に保全できなければいつか失ってしまうリスクがありますので、これを機会にぜひ一度立ち止まっていただき、管理方法を見直して欲しいと思います。
ウォレットの管理マニュアルを作っていただき、そのルールに則って行動を起こせば、意外とできることだと思います。
ぜひ、数ヶ月に一回チェックするといったご自身のルールを作っていただければと思います。
「1on1オンライン相談」で多種多様なご相談に対応
ーー三つ目の「1on1オンライン相談」についても教えてください。
弊社にお問い合わせいただくお客様のなかには、ご相談内容のカテゴリーがわからない、なんて方もいらっしゃいます。
例えば、最初はファームウェアのアップデートのご相談でお問い合わせをいただき、詳細を伺うと「特定のトークンを取り出したい」「この取引をやめたい」といった本当の困りごとが判明することが多々あります。
そういったご相談をまとめて1on1オンライン相談でサポートさせていただいております。ご相談内容は多岐にわたるのですが、具体的な相談事例を三つご紹介させてください。
1つ目は「ブラウザから利用するブロックチェーンウォレットにアクセスできなくなってしまった」というご相談。
2つ目は「海外製のハードウェアウォレットを使用していたがそのメーカーが撤退してしまい、サポート窓口もなくなってしまった」というご相談。
3つ目は、事業者様から「NFTを役員二人で管理したいためセキュリティや体制の組み方について相談したい」というご相談です。
このような多種多様なご相談について「1on1オンライン相談」で対応させていただいております。
ーー三つ目の事例のような、直接的に技術的でないテーマについてもサポートされているのですね。
はい、全体を俯瞰した設計は弊社も知見があるテーマなのでぜひこのようなテーマでもご相談していただきたいと思います。
最近は日本政府もWeb3.0について話題にすることがあり、ビジネスに暗号資産を取り入れたい事業者様は増えてきていると感じます。
ファイナンシャルアドバイスや遺産相続の手続き、管財人を担うなどライセンスが必要な領域についてはサポート外
ーー逆に貴社が対応されていないサポートについて教えてください。
ファイナンシャルアドバイスや遺産相続の手続き、管財人を担うなどライセンスが必要な領域についてはサポートできません。
テクニカル面の操作のフォローやトラブルシューティングなどがサポート対象です。
ーー原さんが直接対応されることもあるのでしょうか。
私は技術畑で技術が大好きなので、私が直接対応させていただくこともございます。
マニアックなご相談も大歓迎です。
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全三回の株式会社AndGo・代表の原利英氏のインタビュー、3記事目に続きます
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