売上高が前年比3倍予測のSuperMicroComputer ( $SMCI )の株価がなぜ急騰の後、急落し、高値を更新できないのか?

SuperMicroComputer(SMCI)の株価推移

SMCIの年初来日足チャート
(引用:https://www.tradingview.com/symbols/NASDAQ-SMCI/)

上図は、SMCIの年初来日足チャートです。

1月18日にプレスリリースで売上高ガイダンスの大幅上方修正が告知された結果、株価が急騰し、2024年の生成AIブームの火つけ役の一つになりました。

3月には年初来株価の騰落率が+326.4%を記録し、テンバガー候補として注目されましたが8月決算後に20.5%下落しており、現在高値から53.0%下落しています。

なぜ株価が落ち込む状況になっているのでしょうか?

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8月決算から読み解くSMCIの需要

株価が低迷している事から業績が悪化していると考えるかもしれませんが、実際には製品需要は高く、非常に好調です。

従来の主力製品である空冷式AIサーバーの需要に加えて、液体冷却式AIサーバーの開発及び提供を開始し、顧客のニーズに合った製品を提供しています。

その影響もあり、売上高は大幅に上昇しています。

SMCIの売上高成長率と粗利の推移

上図は、SMCIの売上高成長率と粗利の推移を纏めた図です。

SMCIの売上高ガイダンス

上図は、SMCIの売上高ガイダンスを表した図です。

今期は前年比で約2.4倍、来期は約3.1倍の売上高を示しています。

成長過程の企業とは言え、1年間で売上高が3倍になる企業は非常に稀であり、評価されるべき数字です。

また、2025年度通年売上高ガイダンスでは26.0〜30.0B$(YoY+74〜101%)を提示しており、高い成長性が続くことが予想されています。

決算から読み取れる懸念

売上高の大幅成長は大きなポジティブ要素です。

しかし、SMCIの今期決算では二つの懸念を投資家に与えました。

一つ目は、利益率の大幅低下です。

投資家は成長によって増加した利益分配を期待して企業へ投資を行います。

前段階として利益をある程度犠牲に売上高成長を伸ばしていた場合は、将来コストの正常化を行うと想定します。

その時に得られる利益を想定して投資を行います。

しかし、元々利益率の低いSMCIは今期の決算で15.2%から11.2%まで低下しました。

前々回のガイダンスでは長期粗利目標が14〜17%と示していた為、投資家が期待していた将来の利益を大幅に縮小させた決算でした。

SMCIは液体冷却式のコストが急騰した事が要因であり、1年後には緩和されると発言しましたが鵜呑みには出来ません。

その背景として、競合他社との競争による値引きが要因であったり、1年後のAIサーバー需要が今ほど強くない可能性が考えられたりするためです。

今までの利益曲線と同じと考えることは難しく、投資家は見直す機会になりました。

二つ目は、株式希釈の継続です。

株式は企業の価値を分割した存在であり、発行数が増加すると価値が希釈されます。

今期の決算における発行済み株式数は64.8M株で、前年同期は57.2M株でした。

つまり、1年間で約12%の価値が毀損しており、投資家がリスクを背負っている事が示されています。

来期ガイダンスで発行済み株式数が66M株が発表された事で、来年度も同じ水準で株式希釈が継続する可能性が高いと読み取れます。

この二つの懸念から、SMCIは成長戦略の為に利益率を更に落とし、投資家の将来の利益を減らすばかりか、株式希釈によるリスクを継続的に背負わせていると読み取れます。

そのため、投資家はSMCI株を売ったと考えられます。

SMCIの株価展望と高値更新に必要な事

2024年3Q決算期ではAI銘柄の投資コストに対する収益性に疑問を持つ投資家が増えてきました。

SMCIはその逆風を強く受ける局面になっています。

目先の株価展望は8月末のNvidia決算で決まり、その後は株式環境とAI需要次第で変化する事が予想されます。

現時点の観測では高値を更新するには相当の年月が必要と思われます。

SMCIの向こう12ヵ月PER
(引用:Koyfin)

上図はSMCIの向こう12ヵ月PERを表した図です。

2024年3月時点のPERは42.9倍、現在は16.9倍です。

AIブームによって実態よりも早く株価を押し上げた結果が表れており、現在の水準も利益率低迷などの懸念がある中でどれだけ保たれるかが論点になるでしょう。

来年度も2倍の売上高成長が継続したと仮定し、現在のバリュエーションが維持されても株価は高値まで届かない計算です。

また、今のバリュエーションも歴史的には高く、相場が不安定になれば戻る可能性は低いです。

高値を更新する難しさはありますが、高い成長性を維持する事が条件と言えるでしょう。

最後に

SMCIの様に相場のブームに乗った株式は上昇も速いですが下落は更に速い傾向にあります。

早乗り、早降りが原則です。

最高値のバリュエーションを確認して高すぎる場合は、株価の下落率で安易に判断するのは危険です。

SMCIは良い成長を遂げていますが、現状では良い投資先とは言えない難しさが株式投資にはあります。

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