ビットコイン図鑑の運営に携わるSigeru Minami氏に、取引を始めた経緯や暗号資産界隈のメディアの課題などについて伺いました。
Sigeru Minami氏 プロフィール
ビットコイン初心者向けサイト「知っとこ!ビットコイン図鑑」制作者。過去に仮想通貨系メディアで多数の執筆経験有り。
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「毎月100万円以上のビットコインを買えるキャッシュを生み出すスモビジについて研究」するコミュニティ、「BMRスモールビジネス研究所」を開始しました。ご興味ある方はぜひ覗いてみてください。
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取材実施日
2024年1月19日
YouTubeやXで見た情報を盲信し、アルトコインの取引で損を出す
ーーまずはご経歴について教えてください。
小学校の教員を経て、フリーのライターとして主にアフィリエイト系のメディアで記事を執筆し、2022年から暗号資産の取引を始めました。
現在は「ビットコイン図鑑」のメディア運営や記事執筆に携わっています。
ーー2022年から暗号資産の取引を始めたとのことで、どのように取引されていたか教えてください。
仕事で暗号資産の記事を執筆する中で「執筆するからには自分でも購入してみよう」「2021年のような価格上昇がもう一度あるかも」と思って2022年1月からビットコインとイーサリアムの積み立てを始めたのがきっかけです。
その後、某国産アルトコインを同年4月に一括購入したのですが、翌月5月にTerraの暴落がきっかけで価格が暴落。
最初は「また上昇するだろう」と気楽に考えていましたが、下落が続き不安になってきてXで調べたところ古参プレイヤーの批判的な投稿、記事が目に入り、精神的にも耐えられなくなってすべて売却しました。
最終的には4分の1程度まで下がっていましたね。
▼2022年11月に起きたFTXショック前後のビットコイン/米ドルのチャート
ーービットコインとイーサリアムはわかりますが、その国産アルトコインはどういった理由で購入されたのでしょうか。
YouTubeやXで見た、「ビットコインは古い技術だから、新しい技術を使ったコインの方が将来性がある」「ビットコインはすでに数百万円まで価格が上昇しているから今後は価格の上昇が見込めない」といった主張を安易に信じてしまったからですね。
それで、その国産コインの「新しいコインだからみんなで応援しよう」というムードが魅力的に見えてしまい、「これは良いコインだ」と信じ込んでしまったんです。
コインを憎まず自分の認識の甘さを反省
ーー価格の暴落や批判的な主張を見つけたことでその国産コインに対する印象はどのように変化しましたか。
コインの印象が変わったというよりは、自分の認識の甘さを痛感しました。
それまではYouTubeやXで見た情報を警戒心もなく鵜呑みにしていて、例えばYoutuberの発信も「有名な人が言っているから」と怪しまずそのまま信じてしまっていました。
盲信してしまった自分を反省しましたね。
ーーその後はどのように取引しましたか。
懲りずに別の中堅のアルトコインを購入し、2023年3月のシリコンバレー銀行破綻の騒動で下落した際に損切り、アルトコインの取引で利益を出すことは難しいと感じました。
それで基本に戻り、ビットコインに投資するのがいいのではと考え、「ビットコインは本当に大丈夫なのか」と調べるようになり、現在に至ります。
ビットコインはサトシ・ナカモトが姿を消し、分散を実現している点に魅力を感じる
ーーMinamiさんは紆余曲折を経てビットコインにたどり着きましたが、今はビットコインのどこに特に魅力を感じていますか。
サトシ・ナカモトが姿を消している点ですね。
他のコインは運営元が存在し、分散していませんが、ビットコインはサトシ・ナカモトが姿を消し、その後もプロジェクトが止まらず動き続けています。
ほとんどのアルトコインは往々にして将来的には分散すると言っていますが、本当に実現するのかなと思います。
メディアの多くはアフィリエイトがビジネスモデルの根幹となっており、アルトコインを取り扱っている取引所を紹介したいインセンティブを持ってる
ーー暗号資産の取引をこれから始める人が注意すべきことがあれば教えてください。
どんな媒体であれ、メディアやSNSの情報は誤っていることを前提に情報に触れた方が良いです。
多くの初心者は検索エンジンの検索結果に表示された上位記事の情報を鵜呑みに投資判断しがちですが、それらの記事の多くは内容に誤りが多く、とても危険です。
暗号資産について興味があるならまずはビットコインから調べたほうがいいですし、ビットコインについて調べるのであればビットコインに特化したサイトから調べることをお勧めします。
ーーそれはなぜでしょうか。
メディアの多くは取引所への送客、口座開設で売上が発生するアフィリエイトがビジネスモデルの根幹となっており、特定のアルトコインを紹介しつつ、そのアルトコインを取り扱っている取引所を記事で紹介したいインセンティブを持っています。
そのため、「ビットコインは既に600万円まで上昇しているから上昇余地が小さい」「マイニングは環境に悪い」など、ビットコインをネガティブに書きつつ、それらに勝るアルトコインを紹介し、「〇〇コインを取引するなら〇〇の取引所をご利用ください」と誘導するのが定石なんですね。
しかし、そのような記事を読んでも、ビットコインに関する正しい知識を得るのは難しいです。
「ビットコイン図鑑」もこのような問題の解決を目的にスタートしています。
知識がないライターやディレクターがプロジェクトに参加していることもあり、知識がない、認識が間違っているケースも多い
ーーアフィリエイトメディアがビットコインに関する誤った情報を掲載しているのは、意図的なのでしょうか。もしくは意図していないが知識自体が誤っているゆえに掲載してしまっているのでしょうか。
どちらもだとは思いますが、知識がないライターやディレクターがメディア制作に参加していることも多く、知識がない、認識が間違っているケースも多いと思います。
また、アフィリエイトメディアの多くは検索エンジンでの上位表示によるアクセスを柱としていますが、これらのメディアは執筆の際にいま上位表示している記事の内容を参考にするものの、参考にした記事の中身の真偽が検証されないことが多々あります。
そのため、上位表示しているサイトAを参考にサイトBが執筆され、サイトBを見て執筆されたサイトCが上位表示されてと、誤った情報が量産されるループに陥ってしまっています。
参考:ビットコインを勉強するならメディアを疑え!仮想通貨サイトの問題点や独自の勉強方法を解説 – 知っとこ!ビットコイン図鑑
初心者がビットコインに関する正しい情報を得るにあたっておすすめの情報源
ーー初心者がビットコインに関する正しい情報を得るにあたって、「ビットコイン図鑑」以外のおすすめサイトがあれば教えてください。
「Bitcoin日本語情報サイト」は、ビットコインに関する幅広い情報がまとまっていておすすめです。言葉も平易でわかりやすく、少なくとも2014年から運営されており、その点においても信頼できそうと言えます。
そのほか、ビットコインコミュニティが運営している「bitcoin.org」は、世界中のビットコイナーが手がけており内容も詳しく、わかりやすくまとまっています。
中級者向けでは、「ロストイン・ビットコイン」もおすすめです。コントリビューターの協力の元に運営されているサイトで、ビットコインに知見のある方々が正しい知識を伝えるべく記事が投稿されています。
動画では、「ビットコイナー反省会」の「私立サトシ学園」シリーズも初心者が見てもわかりやすくおすすめです。
ーービットコインを勉強する上で、参考になるXのアカウントはありますか。
リバタリマンさんです。Xの投稿やスペース、Podcastでビットコインや経済に関して発信されていて、内容もわかりやすいですし、質問にも丁寧に回答してくれてとても勉強になります。
東晃慈さんも忖度なしに発言をされていて参考になりますし、練木照子さんは海外の情報を日本語でわかりやすく発信されていて、海外の生の情報に触れることができておすすめです。
アルトコインはビットコインや暗号資産について知識が浅い人が安易に手を出すべきものではない
ーービットコインや暗号資産に興味を持って間もない方はアルトコインの取引から始めるケースが多いです。もしMinamiさんが友人にアルトコインの取引について相談されたらなにを伝えますか。
まずはアルトコインの取引について反対し、その上でビットコイン図鑑を読んでほしいと伝えます。特にビットコインとアルトコインの違いについて解説した記事を読むように伝えますね。
参考:ビットコインとアルトコインの違いは?有識者にインタビュー【どっちが人気?】
個人的には、アルトコインはビットコインや暗号資産について知識が浅い人が安易に手を出すべきものではないと思います。
一部、真っ当なアルトコインもあるとは思いますが、投資家のお金を搾取するために作られたプロジェクトも多数存在します。知識が浅い、経験がない中では目利きもできずリスクが高いです。
まずビットコインについて正しい知識を学び、その上でどうしてもアルトコインに興味がある、取引したいということであれば、該当のコインをとことん調べた上で判断するように伝えます。
既存メディアがビットコイン普及に悪影響をもたらすと考えビットコイン図鑑を開始
ーービットコイン図鑑を始めた経緯について教えてください。
初心者が暗号資産について調べる際には検索エンジンでの検索から始めることが多いですが、ビットコインについて正しい情報を発信しているサイトの多くは検索エンジンで上位表示されておらず、上位表示するための施策もほとんど行われていません。
私はライターとして暗号資産のメディアに携わり、暗号資産の初心者として検索エンジンで誤った情報を得て失敗した経験から、このままでは日本におけるビットコインの普及において、メディアが非常によくない影響をもたらすという懸念があったんですね。
それで、ビットコインについて正しい情報を発信し、かつ検索エンジンで上位表示されるサイトの必要性を感じました。
このような課題感からSpotlightを通して東晃慈さんに提案したところ、賛同いただき、運営が始まったというのが経緯です。
参考:【企画書】ビットコイナー反省会に参加したいんですけど無謀ですか|Spotlight
ーーMinamiさんと東さんのお二人で運営されているのでしょうか。
LNについて発信されているごっつさんにも記事内容の確認などで参加いただいていますし、加藤規新さん、カシェイCEOの岡田さんにも記事の監修でご協力をいただいています。
そのほか、ビットコイナー反省会のDiscordを通して多くの方々に意見をいただきながら運営しています。
ーービットコイン図鑑の目標について教えてください。
SNSでビットコインに関する誤った情報が拡散された際にビットコイン図鑑の記事をリプライしてもらえるような、ビットコインに詳しい人が初心者に気兼ねなく紹介できるサイトを目指したいと考えています。
一旦は100記事の掲載を目指していますが、もっと増やしていきたいですね。
そのほか、ビットコインは投機的なイメージが強いですが、分散の仕組みや送金技術、決済で使われている事例など、ビットコインの特性や技術的側面についても解説していきたいです。
誤った情報を見つけたら発信してみることも重要
ーー最後に読者へメッセージをお願いします。
業界のメディアについて、「誤った情報が流れている」「この解説はおかしい」など、問題を感じているものの、自分が発信しても何も変わらないと思われている方もいらっしゃると思います。
しかし、現状に問題を感じる人がそれぞれの形で発信を続ければ、なんらかの形で業界のプラスになるのではないでしょうか。
ビットコインコミュニティには「We are all Satoshi」というスローガンがあるのですが、これは1人の創始者に依存するのではなく、ビットコインに関わるみんなで成長や発展を支えていこうという意味合いがあるそうです。
ビットコインを応援したい人は、それぞれができる範囲で、少しでも発信しつづけてみることが大事だと思います。ぜひ疑問を感じたら発信してみてください。
また、暗号資産メディアの領域は競争が激しく、検索エンジンで上位表示される記事を作ることは困難ではあるのですが、ビットコイン図鑑が上位表示され、初心者に正しい知識が届けられることは、日本におけるビットコインの普及において意味のあることだと思います。
これからも記事を作って参りますので、何かの形でビットコイン図鑑を役立てていただければ幸いです。
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「毎月100万円以上のビットコインを買えるキャッシュを生み出すスモビジについて研究」するコミュニティ、「BMRスモールビジネス研究所」を開始しました。ご興味ある方はぜひ覗いてみてください。
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