独自の需給で上昇するアルトコインにトレードを絞り$GMTでは約1億円の利益 トレーダー・ツァビ氏 1/3

クリプトトレーダーのツァビ氏に、過去の取引について伺いました。

ツァビ氏 プロフィール

2017年5月から取引を始めたクリプトトレーダー。本業は広告、マーケティングの会社を経営。ビットコインの現物を積み立てつつ、ビットコインの価格と連動せず、価格変動率が高いアルトコインをFRやOIなどを見ながら取引。

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取材実施日

2024年2月14日

2017年に暗号資産を知り、50のICOプロジェクトに資金を投下

ーーご経歴を教えてください。

年齢は30代半ば、広告、マーケティングの会社を経営する傍ら、ビットコインを積み立てながら、アルトコインを短期取引しています。

大学卒業後、広告やマーケティング関連の外資系の会社に入社し、5年間勤務した後、外資系のスタートアップに転職、その後は知人と会社を設立、自分で会社を作ったりもしました。

暗号資産は2017年5月頃に知って、少しずつ買い始めたのが最初です。

ーー最初はどのように取引していたのでしょうか。

当時は暗号資産関連のブログが乱立しており、「10万円を1億円にする」といった射倖心を煽るブログで溢れていました。

元々私がギャンブル好きということもあり、夢があると思って参入したのがきっかけです。

2017年はICOが流行っており、私自身も取り憑かれたようにホワイトペーパーを読み、どのインフルエンサーが言及しているか、どのように資金調達しているかをリサーチし、多くのプロジェクトにお金を入れました。

その頃は、2社目のスタートアップ企業で持っていたストックオプションを売却して、起業するかちょうど迷っている時期でしたね。

ーーICOはどれくらい参加されましたか。

50プロジェクトはお金を入れたと思います。

当時はトレードの知識が乏しく、プロジェクトにお金を入れて上場したらすぐに売るという戦略が最もパフォーマンスが良いと考えていて、ICOにお金を入れては上場すると初動で売るという取引をひたすら繰り返していました。

ーーその取引はうまくいったのでしょうか。

2017年はマーケット全体がブルで環境がよかったということもあり、ある程度はうまくいきました。

しかし、この時はまだ趣味程度の取引で入金額も大きくはなかったため、絶対額としてはそれほど大きくありません。

アルトコインの劣悪な結果を受けてビットコインに切り替え

ーーICO以外では2017年、2018年頃ごろの取引はいかがでしたか。

アルトコインのスキャルピングやデイトレなどいろいろ試しましたが、大体負けていましたね。

2017年にICOで得たリターンをアルトコインに投下しましたが、2018年から相場全体が低調になって行く中で、ほとんどのアルトコインが低迷し、私のポートフォリオも大きく毀損しました。

「ICOであれだけ色々調べたのに、蓋をあけたら、アルトコインのパフォーマンスは劣悪」と当時はかなりショックを受けました。

その経験を経てアルトコインの長期保有に見切りをつけ、2018年の夏頃から、当時、不動産の売却で得た利益やそのほかの余剰資金、保有していたアルトコインを売却して得た資金のほとんどをビットコインに換えました。

その後も、毎月、限界まで日本円を削って買い続けるようになりましたね。

ーー2020年にはコロナショックで大きく下げますが、その時期も買えましたか。

コロナショックで急落した際は買い増しする日本円がなかったため買えませんでしたが、その頃は本業がうまくいっていた時期でもあり、余剰の日本円で毎月ひたすらビットコインを買っていましたね。

コロナショックの暴落でも買い集めていた現物が一瞬含み損にはなりましたが、特に狼狽売りもしてません。

▼2020年3月前後のコロナショック時のBTC/USDのチャート。一時は4,000ドルを割っている。

▼2020年3月前後のコロナショック時のBTC/USDのチャート。一時は4,000ドルを割っている。

ーー2018年、2019年はビットコインの価格が最高値から大きく下落し、ボラティリティーもなく、世間からの関心もなくなった時期です。本業がうまくいっていたとは言え、なぜそれほど買い続けられたのでしょうか。

私が2017年に参加したICOの多くはホワイトペーパーが実現しない、実現しても付加価値がないプロジェクトばかりでしたが、ビットコインは2009年に誕生して以来、コアな価値はずっと変わっていません。

そういった多くのアルトコインと比較しての優位性、サトシ・ナカモトが姿を消し真に分散を実現していること、ナラティブや思想が好きということもあり、買い続けられたのだと思います。

また、ビットコインが好きという以上に単に法定通貨に嫌悪感があるのも影響していると思います。

ビットコインを証拠金に低レバでのトレードを試したら勝てるようになった

ーー2020年、2021年は、どのようなトレードをしていましたか。

2020年はアルトコインのトレードで勝てるようになった時期ですね。

ーーなぜ勝てるようになったのでしょうか。

それまでは少額、ハイレバで取引していましたが、FTXを使い始めたのをきっかけにビットコインを証拠金に取引するようになりました。

ビットコインの現物はひたすら買い集めていたので必然的に証拠金が多くなり、レバレッジも2倍、3倍と低レバを試すようになったところ、急に勝てるようになりました。

ただ、その後の2021年のバブルでは、界隈のトップランカーの方々に比べるとそれほど利益は出ていません。

2018年から積み増ししたビットコインの現物の値上がりは大きかったのですが、アルトコインに対するネガティブな印象が強く残っていてビットコイン以上に強かったアルトコインの上昇に乗れなかったので。

損しても問題ないという開き直りにより狼狽しての損切りや小さい利益での利確が減った

ーーアルトコインのトレードで勝てるようになった理由について、詳しく教えてください。

見るポイント、取引方法は負けていた時期と変わらず、ロスカットされない水準、自分のメンタルの部分が変わったことが要因としては大きいと思います。

ーーメンタルが変わったというのは具体的になにが変わったのでしょうか。

2018年に起業して始めた本業が軌道に乗ったこともあり、「負けて多少損しても特に問題ない」といい意味で開き直れるようになったことが大きいと思います。

その結果、含み損が大きくなったことで狼狽する損切りや少しの利益でポジションを閉じてしまうなども減りました。

それで、含み損や含み益に惑わされず、目線だけ合っていれば勝てることに気づき、とにかく目線を合わせることに注力した結果、うまくいくようになりました。

ーー時間軸はデイトレでしょうか。

これまでもいまもデイトレで取引していて、長くて数時間、短い時は10分で決済しています。

ーービットコインの価格で変わるとは思いますが、短期取引用の資金と現物の割合はおおよそどれくらいでしょうか。

現物がイコールで証拠金なのですが、現物が全てビットコイン、短期取引用のポジションはその10%未満ですね。

バブルならバブルなりのFRの水準があり、FRの現在地よりも推移を見なければならない

ーー2021年は4月と11月に二度、ビットコインの価格が700万円まで上昇し、大きなボラティリティーが生じた年です。この時期のトレードについて教えてください。

私はショートで入ることが多いのですが、バブルでは焼かれるケースも多くて、それほど利益は出なかったですね。

現物で買い増し続けているビットコインもあったのですが、ヘッジの意味も込めてアルトコインのショートを持ち損を出すことも多かったのでトータルの利益ではそれほど出ていません。

ーー当時はどのような指標を見て取引していましたか。

過熱感やトレード参加者の需給を読んでアルトコインの無期限先物を取引するというのが得意だったので、ファンディングレート(以下、FRと記載)とOI、現物と先物の価格の乖離を見ていました。

しかし、バブルではFRやOIを見て過熱感を判断してショートしてもそこからまだ上がり続けるケースが多く、焼かれるパターンが多かったですね。

いま思えば、バブルならバブルなりのFRの水準があって、FRの現在地を見るというよりは推移を見ないといけないんだと思います。

バブルではそもそものベースとなるラインが普段とは異なってくるので。

ーー2021年には二回、700万円まで価格が上昇し、二回とも価格が急落しましたが、その際はショートは取れましたか。

価格が下落しているときは大体取れていますね。

現物のビットコインは下落の際も売らずに保有し続けているものの、アルトコインのショートは取れるので、トータルではビットコインの枚数が増えました。

独自の需給で上昇するアルトコインにトレードを絞り、$GMTでは約1億円の利益を得る

ーー2021年はトータルではそれほど大きな利益は出なかったとのことですが、2022年についてはいかがでしょうか。

2022年はバブルが崩壊してマーケットが大きく下落した年ですが、私の資産はピークとまではいかないものの、トレードでは最も利益が出る年になりました。

この年はバブルが崩壊した認識でとにかく様々なアルトコインをショートしていのたですが、例えば、STEPNで発行されている$GMTは2022年の3月にBinanceに上場し、3月と4月に価格が急上昇、5月に暴落と凄まじいボラティリティーだったのですが、この$GMTの取引だけで約一億円のリターンが出ました。

▼ツァビ氏の当時の投稿

▼GMT/USDのチャート2022年前後のチャート

$APEも2022年3月にリリースされたトークンですが、このトークンのボラティリティーも凄まじく、大きく収益が出ました。

▼APE/USDのチャート2022年前後のチャート

ーーボラティリティーが大きいトレードで大きく利益が出たとのことですが、現物のビットコインについては保有したままだったのでしょうか。

はい、買い集めているビットコインはこの時期も全く売っていません。

ーーボラティリティーが大きいコインは短期売買しやすいものの、想定以上の水準まで極端に動く難しさがあります。今振り返ってなぜうまくいったと思いますか。

いまでもそうですが、ビットコインの価格に比較的連動せず、独自の需給で上昇しているアルトコインにトレードの対象を絞って取引していたことがうまくいった要因だと思っています。

前提として、アルトコインの多くはビットコインの価格に連動して上昇、下落しますが、そのようなトークンを取引するのであれば、ビットコイン価格の変動を予測する必要があります。

しかし、ビットコインは既存金融との連動もあり、価格変動のファクターも多く、個人的にはビットコインの価格を予測するのは難しいと思っています。

そのため、ビットコインの価格と比較的連動せず、かつボラティリティーが高いアルトコインをトレードするようにしています。

$GMTの場合、2022年ではBinanceでもビットコインの次に出来高が大きい期間もあったトークンでありながら、ビットコインの値動きとは完全に独立していました。

FRやOIで過熱感の水準が非常に読みやすい銘柄だったんです。

結果的にはロングから天井のショートまで全部取り切ることができ、2022年はトレードでは過去最高の利益が出た年になりました。

ビットコインが暴落する局面でもビットコインは売らない、アルトコインをショートしてビットコインの枚数が増えればいい

ーー2021年も同じFRやOIを参考に取引しショートで焼かれることがあったようですが、同じ指標を参考に取引し、2022年では勝てるようになったのはなぜでしょうか。

おっしゃるとおり、2021年から現在まで参考にしている指標や取引の手法は全く変わらないのですが、それまでやってきたことが2022年に花開いて、取引の精度が上がった印象です。

2021年と同じように2022年に$GMTをショートをしていたら全部焼かれていたと思いますが、2021年の反省が生かされたんだと思います。

ーー2023年にはシリコンバレーバンク破綻により相場が大きく動きましたがいかがでしたか。

価格が下がっていたので法定通貨建てではビットコインの評価額は下がりましたが、相変わらずアルトコインのショートなどは収益機会になり、ビットコインの枚数は増やすことができましたね。

ーーシリコンバレーバンク破綻時のようなビットコインが大きく下落する相場で、ビットコインの現物を一部売ったりはしないのでしょうか。

正直、ビットコインの価格はそれほど気にしていません。

2021年にビットコインが700万円をつけて暴落しましたが、いきすぎたアルトコインのバブルが弾けるなど、外部要因や価格の調整が入っただけで、ビットコイン自体の価値は昔から何も変わっていないと考えています。

そのため、ビットコインの価格が暴落するような局面でもビットコインの現物は触らず、アルトコインをショートしてビットコインの枚数が増えればいいなと思って取引していますね。

FRやOI、価格変動率は見るがファンダメンタルズやチャートは見ない

ーー2023年はいかがでしたでしょうか。

ビットコイン価格の上昇を嬉しく思いつつ、アルトコインのトレードが洗練された年でした。

特にこだわって見ていた銘柄はなく、ビットコインの価格に比較的連動しない、独自の値動きをする(pumpされている)、一日で30〜40%上昇するようなアルトコインに絞って取引していました。

逆にいうとこのような条件にあてはまればどんなトークンも取引するので、毎日違うトークンをトレードしていましたね。

ーー「ビットコインの価格に連動しない、独自の値動きをする、一日で30〜40%上昇するアルトコインを取引していたとのことですが、ファンダメンタルズ的な要素などは見ていなかったのでしょうか。

まったく見ていないというか、むしろノイズになるので見ないようにしています。

チャートすら意識的に見ないようにしています。

ーーいまは時間としてどれくらい取引していますか。

回数は日によりますが、スマホトレーダーでどこでもトレードができますし、朝起きて夜寝るまでずっとポジションを持っていますね。

ポジションを持ったまま打ち合わせしたり、外出することもあります。

一日中ずっと取引しているとはいえ、常に意識をトレードに向けているわけではありません。

▼ツァビ氏のデスク環境と本棚。本棚には相場やマーケティング環境の書籍が並ぶ。

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全三回のツァビ氏のインタビュー、2記事目に続きます

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