「スマホシフトが危ぶまれる中でも広告との相性の良さを予想しFacebookへ投資」個人投資家・九条氏 1/5

個人投資家でブロガーの九条氏に、クリプトへの投資やFacebookへの投資について伺いました。

九条氏 プロフィール

2018年FIRE済み。米国株、クリプト、優待クロス、太陽光、不動産、オプションなどなどを行うインデックス投資家でリバタリアン 。ポイ活、クレカ活用なども。ブログ「FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

取材実施日

2023年4月7日

クリプトへ投資することがポートフォリオ全体のリスクを減少し、シャープ・レシオを向上させる

ーー九条さんの投資先は株式や債券、クリプトなど様々ですが、特に興味がある、または詳しい領域はどこなのでしょうか。

投資先を分散することでリスクを下げることができるとされる、現代ポートフォリオ理論が一番好きですね。

株式に関しては、特定の銘柄だけではなく、インデックスのように複数銘柄を持つことが推奨されており、また、株式だけでなく債券も保有することでリスクを下げつつリターンを維持することができるとされています。

そして、私はクリプトにも同様の効果があると考えています。

ーークリプトへ投資することがポートフォリオ全体のリスクを減少し、シャープ・レシオを向上させるということでしょうか。

クリプトは株式や債券、金とは相関が異なる資産で、リスクオン資産と呼ばれたりデジタルゴールドと呼ばれることもあります。

株とは逆の動きをすることもあれば、同じ方向に動くこともあり、長期的に見ると相関のないアセットクラスであることがわかっています。

そのため、クリプトに一部の資金を回すことで全体としてのリスクを下げることができます。これが理論的な話です。

しかし、多くの人はクリプトというと、理論的な話よりも「クリプトだから投資したくない」という反応になりがちです。

クリプトを怪しい、うさんくさいと評価する人がいますが、実際によく調査した上でそのように主張している方はすごく少ない印象です。

クリプトはこの10年で最もリターンが大きいアセットクラスであり、他のアセットとも相関が非常に少ないアセットのため、少額でもポートフォリオに組み入れておくことは非常に有効な手段であると考えています。

野口悠紀雄氏の『仮想通貨革命』に影響を受ける

ーー九条さんはいつ頃からクリプトへ投資されているのでしょうか。

本格的に買い始めたのは2017年の春です。1ビットコインが約14万円ごろの頃ですね。

2014年に野口悠紀雄先生の『仮想通貨革命 ビットコインは始まりにすぎない』を読んで、クリプトに出遅れていると感じ、早く買わなければと焦りを感じました。

また、当時、イーサリアムがICOから1,600倍になったことも話題になっていて、このチャンスを逃すわけにはいかないとも思いました。

仮想通貨革命 ビットコインは始まりにすぎない』ではクリプトが世の中を変える可能性や技術的な未来について熱心に説かれており、界隈でDAOの議論も活発に行われており、クリプトが世界に与える影響が大きいと考えました。

そういった興味や直近で価格が上昇していたことも相まって、投資に至ったというのが最初です。

クリプトや株式、債券や不動産など幅広く分散して投資

ーー現在、どのような種類の資産を所有されていますか。

クリプトが約10%、株式や債券などの資産がドル建てで38%、円建てで28%、不動産や土地、太陽光発電所などのリアルアセットが25%程度です。

クリプトは2022年の段階だと6%程度だったのですが、今年に入ってすごく上がりましたので、やや比率が上がっています。

内訳はビットコインとイーサリアムが1:1です。

ーービットコインとイーサリアム以外で売買していたトークンはありますか。

2022年ごろにBinance内での手数料の節約のためにBNBを少しだけ保有していたのですが、同年の秋か年末にはすべて売却しました。

Poloniexで外部の方のbotに手数料を払い一部運用していただいたこともあります。

ほかにも、USDCとWBTCのペアやステーブルコインのペアでBinanceで流動性提供もやっていましたね。

BlockFiやNEXOも利用していましたが、BlockFiのチャプター11に巻き込まれて痛い思いもしましたね。

革新的なテクノロジーへの投資は勝率の高い賭け

ーー株式については、バリュー投資のようにファンダメンタルズを見て割安・割高を判断されているのでしょうか。

大きく分けて二つあり、S&P500などの先進国のインデックスへの投資と、例えばGAFAのようなグロース銘柄へビジネスモデルを見て判断する投資の二つのやり方をとっています。

ーーグロース銘柄への投資について詳しく教えてください。

世の中を変えるほどの革新的なテクノロジーが出てきたときに、そこに投資することは勝率の高い賭けだと考えていますが、当時、GAFAは別格だと言えるぐらい、その可能性が高いと考えました。

GAFA以外ではiRobotも投資していましたが、Amazonに買収され掃除機にフォーカスしたタイミングで売却しました。リターンでいうと二倍ほどです。

NVIDIAも長い期間保有していましたが、2倍弱のリターンで手放しています。その後さらに上昇しているので、保有し続けていればよかった銘柄ですね。

ほかにも、Model 3の生産が始まる前の早い段階でテスラへ投資し、約3年間保有していましたが、1.5倍程度の利益で耐えきれずに手放してしまったこともあります。

ビットコインやイーサリアムへの投資も私の中ではグロース銘柄への投資に分類されています。

スマホシフトが危ぶまれる中でも広告との相性の良さを予想しFacebookへ投資

ーーFacebookも2012年の上場直後に投資されていたとのことで、当時のことを教えてください。

上場した当時、FacebookはPCのSNSにおける王者でした。

しかし、それと同時にこの頃は世の中がスマホへシフトしていた過渡期で、Facebookはスマホに対応できない、時代遅れであると言われていた時期でもありました。

そのため上場直後に初値で42ドルをつけたものの、その後は急激に割り込み、1カ月で20%以上下げました。

私は、それから25ドルほどまで下げた頃に、Facebookへの投資を始め、その後無事にスマホシフトに成功、InstagramやWhatsAppを買収し、現在の強固な地位を築くに至ります。

参考:フェイスブック上場、初値42ドル 時価総額9.1兆円

ーーなぜそのように価格が下がりスマホシフトが懸念される中で買いに向かえたのでしょうか。

当時、FacebookとTwitterは競合関係にありましたが、ポリシーは大きく異なっていたんですね。

Twitterは匿名で情報を流す姿勢だったのに対し、Facebookは当初から実名主義を掲げ、社会の基盤を目指していました。

両社とも将来的に広告ビジネスを展開するだろうと予想されていましたが、広告との相性を考慮すると、実名主義を貫くFacebookの方が収益化しやすいと私は予想しました。

実際、Facebookで広告を出稿したことがある方なら分かると思いますが、Facebookで配信する広告はそのほかの媒体と比較して費用対効果が非常に高い。

出稿時のリーチ単価は高いのですが、それ以上にコンバージョンレートが高く、Googleのアドセンスと比較しても広告効果が高いです。

これだけほかの媒体と比較して高い効果を発揮できるのは、明らかにFacebookが持っているデータの強みです。

2023年現在、Twitterは未だに収益化が難しい状況ですが、Facebookは大変利益を上げています。

今のところ、当時の予想は正しかったと言えるでしょう。

創業者が健在のテック企業は強い

ーーほかにFacebookへ投資するにあたって当時考えていた仮説はありますか。

もう一つのポイントは、創業者が経営に関与していたことです。

ジャック・ドーシーはTwitterの初期から影の立場で権力を持てずにいましたが、Facebookでは上場時からザッカーバーグが100%の統制力を持ち、彼が望む方向に会社をリードしていたんですね。

創業者が残っているテック企業は強いと感じていました。

現在、大手テック企業の中で創業者が残っているのは、テスラは別格として、ザッカーバーグのMetaだけです。

メタバースからAIへのシフトも見事で、今後も非常に期待できると考えています。

ーー当時、Facebookがまだスマホシフトを完了していなかったことは不安要素にならなかったのでしょうか。

おっしゃるとおり、大きな不安要素だったため、Facebookへの投資は一括ではなく、1年程度で数回に分けて行いました。

また、同様の状況で苦戦していたMicrosoftは、ビル・ゲイツが退任した後、新しい環境へのシフトに苦戦した印象がありましたが、Facebookは創業者が健在で、新しい環境へのシフトが可能なのではないかと考えました。

このように広告モデルや創業者健在の仮説は当時からありましたが、あくまで結果論でもあり、最終的には賭けの要素が大きかったと考えています。

MetaのLLM注力には期待

ーーMetaがメタバース事業から撤退したニュースについて市場では一部驚きの声もありましたが、どのように見ていますか。

AIに注力することになったということで、非常にポジティブに捉えています。

実際にMetaの株価は2023年の年初来で約60%上昇しています。

ーーそれはなぜでしょうか。

ビジネスモデルとプロダクトのポイントがまだ評価されていない状況であることが一つの要因です。

私自身、Meta Questや買収前のOculusを試してみましたが、あまり面白くないと感じました。

ゲームプラットフォームとしての可能性はあると思いますが、Metaが目指すメタバースには微妙な感じがして、実現には至らない可能性もあると思っていました。

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九条氏のインタビュー、2記事目では「FIREを目指し、債券や金の現物、太陽光発電所など投資先を分散」「信用スプレッドが高くなっているジャンク債のETFを買い集める」などについて伺います。

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