「大きい値幅にこだわるのではなく市場の歪みや上下当てが可能な部分だけ触る」専業トレーダー よーぶん氏 2/4

トレーディングカードの売買をきっかけにトレードを始め、現在は大学休学中でエジプトに住むよーぶん氏。「運が良くてここまでこれた」と話すよーぶん氏だが、もちろんトレードではしっかりと根拠を持って売買に臨んでいる。2021年の暗号資産のバブル崩壊で、トレードへの向き合い方を考え直したというよーぶん氏に暗号資産での取引手法や失敗談などについて聞いた。

インタビュー・編集:内田 誠也
執筆:山本 裕司

よーぶん氏 プロフィール

休学中の大学4年生。エジプト在住。高校生の頃にトレードをはじめ、現在は専業トレーダーとして活躍。トレーダー向けのスクール、訓練所を運営し、自らのトレードの再現性を追求。エジプトの投資用・住居用の不動産を2件所有。
Twitterアカウント:https://twitter.com/youbun_trader_
note:https://note.com/youbun_trader_

────────────────────

「毎月100万円以上のビットコインを買えるキャッシュを生み出すスモビジについて研究」するコミュニティ、「BMRスモールビジネス研究所」を開始しました。ご興味ある方はぜひ覗いてみてください。

サービス紹介ページはこちら

────────────────────

Twitterを見ながらミラトレでスタート

――暗号資産のトレードは2019年からですが、勝てるようになったのはいつ頃からですか。

最初からそれほど負けませんでした。でも、それはトレードがうまかったというわけではなく、強い人のTwitterを見ながらミラトレをしていたからです。

その頃は、自分のポジションや利益確定のタイミングをTwitterで公開しながら、本当に稼いでいる人がたくさんいました。いわゆる「先出しトレーダー」です。

HATさんのツイートなんか特によく見てましたね。

▼HAT氏のツイート例

最近は、いい加減なことを言って商材を売るのが目的のような人が多い印象もありますが、当時は信用できる人が多くいましたね。

そんな人を頼りに、自分の実力ではなく、要領よくなんとか勝っていたという感じでした。

――トレードではポジションをどれくらいの期間持つのですか。

当時はデイトレでした。

20年末から21年5月ぐらいにかけての暗号資産バブルの頃は、スイングトレードしながらスキャルピングもしていくという形で、時期によってスタイルは変わります。

それに、そもそもミラトレでスキャルピングはできませんので。時間軸が短すぎて、どうしても遅れてしまう。相場の動きについていけません。

――自分なりのトレードの手法が確立したのはいつ頃ですか。

そもそも相場に合わせて手法というのは変わっていくので今でも”確立”などしていませんが、真剣に向き合うようになったのはある意味、21年5月のバブル崩壊後かもしれません。

バブル崩壊の暴落でスイングの含み益、数千万円がすべて吹っ飛びました。

よーぶん氏が真剣に向き合うようになったきっかけになったという21年5月のバブル崩壊後時のBTC/USDのチャート。出典:tradingview.com

もちろんスキャの利益も沢山残っていたのですが、それでも数千万円がいきなり消えたのは人生初体験でしたので衝撃的でした。

というのも、当時はよく考えずに感覚+少しのデータだけでも勝てる時期でした。相場全体がブル相場だったのでロングだけしていればある程度利益が出ましたし、勉強も真面目にせずに本当に怠けていたと思います。

バブル前にはコロナショックがありましたけど、そのときは偶然食らいませんでした。そんなわけで相場を甘く見ていたんでしょうね。

しかし、真面目に勉強といっても再現性のある勝ち方を発信している人なんてほとんどいないですし、自分でデータの意味を調べるところからのスタートです。仮説と検証を繰り返していきました。

そのため今やっているトレードは、完全に独自の理論に基づいています。

――具体的にどのようなトレード手法なのでしょうか。

具体的なデータや指標の見方はスクールや訓練所で教えているのでここではお話できないのですが、基本的には大きな値幅を取ろうとするのではなく、たまに訪れる市場の歪みや上下当てが可能な部分だけ触るという形です。

ごくたまに1万ドル幅くらい取ることもありますが、今の値幅で言うと1,000ドル幅取れれば満足です。

トレードのやり方もまだ成長中で改善の余地は大きいと思っています。結果を見ても、21年の損益より地合いが悪かった22年の損益のほうが上なんですよ。

それを見ると、相場にかかわらず成長できているのかな、とも思います。

トレードのチャンスを逃さないため坊主頭に

――記憶に残っている成功談はありますか。

華々しく利益を上げた会心のトレードというものはありませんね。

ただ、日々の動きをしっかり追っていくというスタイルなので、チャンスは逃さないようにしています。常にアラートをかけて、売買のタイミングが訪れたらわかるようにしていて。

だから、私は頭を坊主にしているんです。なぜかと言うと、お風呂に入っていても取引所のアラートが鳴ったら、すぐにパソコンの前に座りたい。

髪の毛を拭いたり乾かしたりしていると間に合わないじゃないですか。

起きている時間はすべてトレードのために費やしたい。服を着替える時間や食事とかもできるだけ手間がかからないようにしています。

――それくらい没頭していると、成功や失敗で一喜一憂しなくなるのでしょうか。

あまり「成功」というものを意識していなくて、偶然勝つことはあっても、偶然負けることはないっていうのが私の信条なんです。

トレードは上がるか下がるか2分の1の勝負なので、何も知らないビギナーが偶然勝てることもあります。それだけに、勝ったトレードが本当に正しかったのか、ただの偶然なのかを検証するのは非常に難しい。

でも、負けたトレードは、損失を避ける方法や過ちを繰り返さない対策などを真剣に考えられる。学ぶきっかけという意味でも、失敗のほうが記憶に残ります。

これまでうまくいったトレードも、もちろん自分なりに根拠を持っていて一定満足はしていますが、結局は運の要素が強かったと思っています。

誤発注で1,000万円が20分で吹き飛ぶ

――失敗した経験はしっかり振り返るので覚えているのですね。

そうですね。トレード手法とは全く関係ないミスで、例えば誤発注で1,000万円失ったこともありますし、失敗したときにはしっかり反省して、対策も考えます。

誤発注で一番ひどかったのは、ロングとショートを間違えて発注してしまったときです。

22年の春でしたが、ショートポジションを持っていたときに、そろそろ反転するだろうとドテンロングしたんです。いまのショートを解消して新規にロングを持つわけなので、ロングをショートの2倍注文したわけです。

それでそれまで下げていた価格は予想通り上がり始め、ロング分の利益が出るはずでした。

ところが、実際はロングの注文ボタンでなくショートの注文ボタンを押してしまっていて、ドテンロングでなく、ショートポジションが3倍に積み増しになっていたのです。

なんで注文後すぐに気づけなかったかというと、当時私はポジションを持ったら一旦チャートを見ないようにしていたんです。注文後もずっと見ていると小さな動きに狼狽してしまうことになるので。

そのため、誤発注に気付かないまま放置していて、20分ほど経って再度取引の画面を見たらビットコインが爆上げていて、マイナス1,000万円になっていました。

――そのときはどのように感じましたか。しばらくトレードをやめて頭を冷やしたりしたのでしょうか。

それはもう最悪の気分です。トレードなんて無理だと思って、その日はそれ以上何もしなかったんですが、翌日にはもうポジションを持っていましたね。

幸いなことに、当時月間のトータルでは、その1,000万円の損失を含めてもまだ数百万円ほどプラスだったんです。ですから落ち込みはしたのですが、立ち直れないというほどではなかった。

それに、お金を稼ぐことにはあまり興味がなくて、トレードで勝つこと自体に興味があるので、いくら失ったかということより、つまらないミスで負けたということのほうがショックだったんです。

――その失敗に対してなにか対策は実施されたのでしょうか。

注文した後は、しっかり約定したポジションを確認するというのはもちろんなのですが、大きなポジションを発注しても約定しないような設定に変えました。

具体的にはデフォルトのレバレッジの設定を調整して、想定外のロットを持てないようにしました。

例えば、証拠金を100ドル入れていて、ポジションを持てるのは500ドルまでにしようと決めたら、レバレッジの上限を6、7倍までにしておくという感じです。

ビットコインの取引指標で重要なのはOI

――ビットコインのトレードで重視している指標はありますか。

ビットコインで見られるデータは全部見ています。

価格から出来高、OI、FR、ロングショート比率とか、人と違うものを見ているわけではなく、見られるものを全部見て、複合的に判断するというのが基本的な手法です。

中でも一番大事にしているのはOIです。OIは市場参加者の未決済の建玉の量ですが、これが価格の変動に影響します。

未決済の建玉がどんどん増えれば、市場参加者が増えていると判断できるし、価格が大きく動いて建玉が減れば、多くの人がポジションを解消したんだと分かる。

そうした建玉の動きを見て、価格が反転しそうなのか、まだまだ一方的に動きそうなのか、トレンドはまだ出ないのか、といったことが判断できます。

私はOIがあるから暗号資産で稼げている。そう言えるくらい個人的には大事な指標だと思ってます。

――OIの見方で具体例があれば教えてください。

こうなったらロングするとか、ショートするとか、そういったパターンで判断するものではないんですね。やはり、そのときそのときで判断していくしかないんです。

大きく下げるような局面だと、ある程度建玉が解消されないと相場が反転しにくいという傾向があります。

そうしたときに、まだポジションを取る参加者が多いのか、そろそろ建玉も無くなってきたのか、といったあたりがエントリーするかどうかの最終判断の材料になりますね。

落ちるナイフはつかむな、という格言がありますが、まさにナイフがまだ落ちている最中なのかを判断する指標だと思います。

――OIの見方もSNSで勉強したのですか。

勉強したわけではないですが、2019年末から20年の初めにかけて、TwitterでOIが大事だと発信する人が増えて来ていた印象がありますね。

それで私も気にするようになっていきました。

予期せぬ未来に備えてビットコインを長期保有

――長期保有しているビットコインもあるのですか。

短期取引用の資金とは別に、長期保有のビットコインも持っています。これは2019年頃からずっと買い続けていて、当面売らないつもりです。

ただ、長期的に見て上がりそうだから持っているというわけではなくて、含み益がどうこうという話ではないんです。本当にビットコインが好きなんですよ。

――ビットコインのどういうところが好きなのでしょうか。

今の社会がこのまま続くのなら、今のままで生活し続ける自信がある。でも、将来何が起こるかわからない。

例えば、今の金融システムが崩壊するとか、想像もしないような未来が訪れるかもしれませんよね。そうするといまの生活を維持できなくなってしまう。

そんなときにビットコインを持っていれば、それがリスクヘッジになるかもしれない。そのような理由でビットコインを持っています。

まあ、中二病みたいなものですけど、世界が大きく変わったときに助けになりそうなものに興味があるんです。別に革命を期待しているわけじゃないんですが。

SNSで出てくる単語を追求し、自分なりの理論を構築したというよーぶん氏。その理論の正しさを証明するため、トレード手法を教えるオンラインスクールも開設している。次回は、スクールの内容や方針、トレードが上達する人の特徴などについてお聞きします。

────────────────────

「毎月100万円以上のビットコインを買えるキャッシュを生み出すスモビジについて研究」するコミュニティ、「BMRスモールビジネス研究所」を開始しました。ご興味ある方はぜひ覗いてみてください。

サービス紹介ページはこちら

────────────────────

前のインタビューはこちら。

インタビューの続きはこちら。