自身のトレード結果をどのように振り返り・分析すればよいか

前提

「トレード経験が一定あるが利益が安定しない」「自分なりに創意工夫しているがベストな取引手法が見つからない」そうお考えのトレーダーは少なくないのではないでしょうか。

そのような方に向けて、今回はトレードに対する基本的な考え方や定量的なリスク管理方法、表計算ソフトを使った自身のトレード結果に対する具体的な振り返り方について解説いたします。

なお、トレードにおいて自身が望むリターンを追求する際に重要なことは、自身の能力や正確にあったニッチな取引手法を見つけることだと弊メディアでは考えます。そのような前提で、本解説の中から1個でも参考になる箇所がございましら幸いです。本記事内容の解説を完全に模倣いただくことは推奨いたしません。(トレーダーそれぞれに自身の能力や性格に合った取引手法があるため)

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免責事項

本記事は情報提供を主目的としており、有価証券投資(及びそれに準ずる金融商品)の勧誘を目的とはしておりません。 最終的な投資に関する意思決定は、ご自身の判断であることをご理解ください。また、本記事の正確性や完全性を保証もしくは約束したものではございません。また、本記事の情報に基づいて被ったいかなる損失についても弊メディアでは一切責任を負いませんのご承知ください。

筆者プロフィール

インベストデイズ合同会社 代表 平田
国内理系大学院(物理系)卒業後、国内大手金融機関(IT戦略部門、投資銀行部門)に勤め、その後、独立した個人投資家。勤めの間で個人でトレードを勉強し、独立後、2020年の暗号通貨のバブル相場で数千万円のリターンを得る。
大手証券会社行の経験を活かし、経済歴史の書物や調査分析レポートなどを中心に情報収集し、世界各国の中央銀行、中央政府、大企業の戦略を読み解くのが得意。現在は暗号資産、株式、コモディティ、為替、国債など広くトレード。
中長期のロングポジションと短期の売買を行い、常にどのような相場でもリスクを限定し利益を出すようなトレードを得意とする。
インタビュー記事はこちら。https://burry.co.jp/articles/tag/hirata/

トレードは1つの事業である

トレードの手法や振り返り方法について考える前に、まずはそもそもトレードとはどういうものかということかについて触れます。

“Trade”という言葉は“商品の売買”を示します。金融マーケットだけでなく、現物商品を扱う総合商社などでも、国Aから商品を買い込み、国Bへ品を売る作業を”トレード”という言葉で表現します。

その場合の損益とは購入価格と売却価格の差であり、商品をどれほど安く仕入れて、どれほど高く売れるかで勝負が決まります。 

つまりそのような取引の立場に立った時に意識することは「今日、自分の財力でどれほど仕入れられるか?」「自分が仕入れた商品を、明日、どれ程売りさばくことができるのか?」という見通しを立てて日々取引を行い、成果を日々積み上げるという考え方が必要になると考えています。

私もそうですが、つい、気を抜くと、損益の計算が甘くなってしまします。上記を意識した取り組みを日々行い、取引計画表を自分で作ってトレードし、振り返りをしていますでしょうか。ただ何となく情動に任せて取引をしていませんでしょうか。

トレードとは楽してお金が儲けられるものではありません。1つの事業のように仕入れや売りさばきを論理的に管理することが重要であると考えています。

取引できる金額について定量的に管理する

仕入れ、売りさばき、そのどちらかが不明確な状況で取引(Trade)を行えば、当然ですがその取引を行った者(Trader)はリスクとして損失に襲われます。

そのためまず行わなければならないことは、年間のトレードで損失額を限定させることで最大リスクにリミットを張る作業だと考えています。

月次あたりに許容できる最大損失額を、個別具体的な日付ベースに置き直すことで、今自分がどれだけ損失ができる状況なのか、というリミットを浮き彫りにさせます。

具体的に解説いたします。

例えば、3,000万円が投資資金で、現在2,000万を運用している投資家がいたとします。その投資家が一か月の最大損失額を投資資金の50%の1,000万円を上限に設定した場合、

時間軸最大損失の許容ライン
半月500万円
1週間250万円
1日50万円
午前・午後25万円

となり、その枠の中で取引することが強制的に決まります。

日次トレードで許容ラインを上回った損失がある場合は、取引を止め、新たな金融商品を仕入れることはできません。

利益が乗っていれば、その利益を使って金融商品を仕入れます。その仕入れた金融商品を次にどれだけ売りさばなければならないのか、といった取引の全体像が見えてきます。

日次結果を、限定させた最大損失の中に閉じ込め、それを守り続けることで、リスクを限定しながらリターンを積み上げ、月間で利益を出します。

このような手法は決して特別な方法ではなく、大手証券や大手保険、大手医療機器販売メーカーなどの営業員がノルマをこなす方法でも使われます。

月締めのノルマを日単位にブレイクダウンして切り落すことで、達成状況を小さい単位で管理し目標達成に役立てます。

トレードにおいても便利で重要な管理手法であると考えます。

プロとそれ以外を区分するのは損失管理に対する徹底さ

金融商品に関わらず、他のどの事業もそうですが、利益を出すプロとその他の人間の唯一の違いは損失に対する認識だけだと考えています。

プロは損失管理を重視し、損失の要因になるものを全力で排除します。損失の管理や排除に24時間、気を配っています。

プロではない方は損失に対する認識があまりにも低い、プロとそれ以外を区分する要素は損失管理にする徹底さであると考えています。

トレードの損失について事業のように管理する

次にトレードにおける損失について記載します。理解されている方もいるとは思いますが重要なことなのでお付き合いください。

トレードでの損失とは、買い値以上の高値で売りさばけなかったことが原因で発生します。

例えば、実ビジネスでラーメン屋、ホテル、美容院などが顧客の需要数以上に大きいお店を構えたり、顧客の需要以上に多くの商品を仕入れて売ろうとした場合、上手く高値で商品を売りさばくことが出来ず、結果として損失として襲われます。

事業のオーナーは、自分がその量を本当に売りさばけるのか?なぜ自分は売りさばけると思ってるのか?という自分の認識に疑問を覚え、深堀りして考えた上で、適切な商品を仕入れることが求められていると考えています。

前述のとおり、トレードとはラーメン屋やホテルなど同じで1つの事業です。

自身の取引において発生した損失について、事業に取り組むように真摯に向き合い、なぜ売り抜けられなかったのか、なぜ想定よりも低い価格で売らなければいけなかったのか、を考える必要があります。

自身の損失を毎日しっかり管理しているか見直しましょう。

具体的にどのように自身の取引を振り返り・分析すればよいか

自分の取引記録データをエクセルなどの表計算ソフトにダウンロードし、自分の悪い取引(損失)と良い取引(利益)を一つ一つ色分けします。

利益と損失を分ければ、暴落でも利益が出る時があり、急騰でも損をする時がある、そしてマーケットの急落急騰に関わらず、自分自身のクセが取引結果の9割をもたらすという事実に気がづくかと思います。

これが分析のコアです。

自分のクセがずっと同じ取引結果を出してると気づくかと思います。犬が鏡に映った犬を見て吠えてるのと同じ様に、自分の悪いクセが損失を引き起こしてその損失に悩まされてる状態になります。

しっかり冷静に鏡に映った自分の結果を見比べれば、その存在に気付けると考えています。損失が多い方はこのような分析をしていない可能性があります。

特定取引所・特定期間における取引履歴の分析シートの例

                    ~

特定取引所・特定期間における取引の損益分布図(縦軸:円、横軸:取引数)の例

特定取引所・特定期間における損益積み上げ表(縦軸:円、横軸:取引数)の例

「自分が利益を出しているトレードパターンを繰り返す、そして自分が損失を出しているトレードパターンを辞める」それを日々繰り返すし修正することです。

人間は外界から入ってくる情報をただ脳が分析してるだけですので、悪い取引をする自分のクセは付箋に貼って自分の目の前に貼って意識して避けます。得意な取引は自分の前に付箋で張って、その取引を日々探して記録するのです

そのようにして自分のクセを一つ一つ直していく作業が必要になります。

自分のクセを修正する方法は、利益を上げるための唯一の方法だと考えています。自分のクセを修正しなければ何ヶ月経っても何年経っても向上していくことはありません。

情動で取引を判断しない人間になる

チャートと取引画面を見て、「エントリーをしたい」あるいは「損失があるがロスカットしたくない」と思った時に、立ち止まって一息ついてトレード履歴でのどういうクセが今出ているか?と踏みとどまることが出来れば、自分の過去のトレード履歴が自分にアドバイスをしてくれます。

自分の得意なトレード、自分が苦手なトレード、過去の自分の取引データが自分を支えてくれるので、感情的になることもなく、過度な恐怖や期待を持つこともなく、淡々と取引が行えます。

この記事のまとめ

精神的な説明が多くなりましたが、上記を一つ一つ、コツコツと行っていたかどうかが損益の結果になると考えています。

それは私自身、大学院での研究の仕事、入社した金融機関での仕事、トレードでの仕事も全て同じだと考えています。

実ビジネスでも金融商品(FX、米国株、債券、貴金属、エネルギー、穀物、仮想通貨)のトレードでも全て同じだと考えています。

例えば、「目の前にゴミが落ちていたらそのままにせずにその場で捨てる」「人からサービスをけたらその場でありがとうとしっかり言う」「間違えたらその場で素直に謝る」このような一連の作業を怠るクセがある場合、日々の生活の中で本当はやらなきゃいけないと思っている目の前のことから逃げるクセがある場合は、マーケットの鏡が損失として映し出してくると考えています。

私もつい気を抜くと悪いクセが出てしまいます。さっそく、今机の上にゴミがあれば早速それは捨ててみてください。私も勉強の身です、自身の悪いところを見つけて一歩ずつ治していく時間を持たれればいいなと考えていますので、一緒に頑張っていきましょう。

本記事のワーク

  • 先週一週間の時間をどのように効率に使えたかを記録してみましょう。効率が良かった行動、時間の使い方はどの様なものでしたか?また効率が悪かった行動・時間の使い方はどのようなものがありましたか?
  • 先週一週間のトレード履歴の分析をしてみましょう。利益が出たトレード履歴はどんなものがありましたか?損失を出したトレードはどんなものがありましたか?その特性は自分のどういうところが引き起こしていましたか?
  • 上記の分析から自分の良い特性が分かったらそれを紙に書き出して、その取引の中で自分が収まるように試みましょう。自分の悪いトレードはそれも紙に書き出して壁に貼りその取引をしないように試みましょう。

平田氏のインタビュー記事はこちら。