「仮想通貨は株と変わらない」グローバル・マクロ トレーダー平田氏 1/4

20代後半で金融会社をリタイアし、個人投資家として仮想通貨や株式、為替、商品などを幅広く取引している個人投資家の平田氏。仮想通貨の取引を始めるまで、1年以上、市場について学び、チャンスと見るやトレードに乗り出して数千万円のリターンを得たという。

幅広くアンテナを張り、さまざまな情報を仕入れてトレードに生かしているという平田氏に、トレードを始めたきっかけや市場の見方などについて聞いた。

平田氏プロフィール
インベストデイズ合同会社 代表
国内理系大学院(物理系)卒業後、国内大手金融機関(IT戦略部門、投資銀行部門)に勤め、その後、独立した個人投資家。勤めの間で個人でトレードを勉強し、独立後、2020年の暗号通貨のバブル相場で数千万円のリターンを得る。
大手証券会社行の経験を活かし、経済歴史の書物や調査分析レポートなどを中心に情報収集し、世界各国の中央銀行、中央政府、大企業の戦略を読み解くのが得意。現在は暗号資産、株式、コモディティ、為替、国債など広くトレード。
中長期のロングポジションと短期の売買を行い、常にどのような相場でもリスクを限定し利益を出すようなトレードを得意とする。
記事はこちら。https://burry.co.jp/articles/tag/hirata/
インタビュー・編集:内田 誠也
執筆:山本 裕司

1年以上、仮想通貨の相場を見続けてチャンスを待つ

――最初にプロフィールを教えてください。

私立の大学院で物理学を学んだあと、国内の証券会社に就職しました。そこには5年ほど勤めて、自主退社した後は個人投資家としてトレードをしています。

会社では、トレーダーや顧客対応などではなく、業務の電子化やデジタル化を推進するというのが仕事でした。ですから、証券会社の仕事を全体的に見て、知ることができた。

金融マーケットの仕組みや経済での位置づけをおおまかに見られたというのは、良い経験だったと思います。

――当時から投資やトレードには関心があったのですか。

そうですね。働いて余ったお金を、どう資産運用していこうか、と考えていたのですが、証券会社ですので運用方法には制約がある。

私が勤めていた会社では、株などを個人で取引するのは禁止されていたので、投資信託などで堅実にコツコツと言うのではなく、ある程度増やそうとすれば、不動産投資などを考えるしかありませんでした。

そうした中、ちょうど仮想通貨が注目され始めて、私も注目するようになりました。だから、選択肢が限られている中で、資産を運用するには仮想通貨しかなかったという感じですね。

当時は、仮想通貨の取引は禁止されていませんでした。仮想通貨は金融商品として認められていなかったんですよ。その後、仮想通貨に対する見方も変わりましたから、今はどうなっているのか、知りませんが。

実際に、仮想通貨のトレードを始めたのは、2018年からですね。株の動きを見ながら、株が買えないので、代わりに仮想通貨を買い始めました。

――2018年と言えば前年のバブルが弾けて、暴落した年ですが。

私が買い始めたのは、暴落も一段落して、かなり下げていた時期です。100万円を切って30万円台に向けて下がっていく局面でしたので、年末に近い頃ですね。

それまでも、買いたいと思っていたのですが、相場の見方がよく分からなかったんです。

値動き自体は2017年くらいから見ていて、急騰しているのも分かっていたのですが、マーケットの動きが読めなくて入れませんでした。どんどん急騰していくのを横目に、悔しい思いをしていました。

でも、よく分からないまま買ったら、高値づかみする危険もありますからね。

平田氏が観察・参入した2017-2019年のBTC/ドルのチャート。出典:tradingview.com

――分からないというのは、何を買ったらいいのか分からないということですか、それとも通貨としての可能性と言うか、信頼性が分からないという意味ですか。

マーケットの動きが分からなかったということですね。見慣れていなかったということだと思います。

初めて外国に行ったときに、相手の言っていることが分からないので、どう反応すればいいのかが分からない。そういう感覚ですね。

どういう値動きをするのか想像もできないので、今、上昇局面なのか、下落局面なのかも見当がつかなかった。

――2017年に230万円を記録したときなどは、相当歯がゆい思いをしたのではないですか。

「入ればよかったかなあ」という思いもなかったわけではありませんが、本当に入り方などが分からなかったので。

でも、相場というのは上がったり下がったりを繰り返すものだということは、本を読んだり、仕事を通じたりして理解していましたから、「次のチャンスのためにしっかり勉強していこう」と思って相場を見ていました。

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仮想通貨はファンダメンタルズも重視してトレード

――2018年の暴落後に仮想通貨を買われたとのことですが、そのタイミングを選ばれたのには理由があるのですか。

絶対に勝てるという簡単なタイミングでもありませんでしたが、仮想通貨の市場のことが分かってきたということですね。値動きが読めるような感覚を得られたのがやり始めた一番の理由です。

ボリンジャーバンドだとか、さまざまな指標を組み合わせて、みなさん、市場を見ていると思うのですが、それはパターン認知だと思うんですね。指標がこんなパターンのときは、価格がこう動くとか。そのパターンから値動きを予想できるようになり、実際の動きにはまるようになってきたのが、その時期だったということです。

特に新聞などを呼んで、何かしらの情報を得たからというわけでもありません。しだいに分かるようになってきたので、理解度に合わせて少しずつ資金を投入するようになったというスタートでした。

最初は実際に買ってみて、上がったところで利益確定して、「これで合っているんだ」と自分の見立てを確認するという感じでした。もちろん、間違って損失を出してしまうことがありましたが、そうした経験を積んでいき、2019年暮れ頃から、一気に資金を投入しました。

――トレードとしては、ビットコインを短期で売買するという感じですか。

ビットコインはほとんど買っていなくて、アルトコインですね、ビットコインは結構メジャーになっていたので、アルトコインのほうが、利益が出そうだと考えました。

売買の期間は特に決めていないんですが、結果から言えば、仮想通貨は短期取引がいいような気がします。

――19年末くらいから取引を増やしたということですが、その後、コロナ禍がありましたよね

コロナ禍の影響で暴落したタイミングでXRPなどを数百万円分買いました。20円を切って、底値に達する直前のタイミングでしたね。値を戻した後に半分売って、その後、再び下落したりして、あまり利益を上げられなかった部分もあったのですが、結構大きなパフォーマンスを上げました。

――あのタイミングで買って、しっかり利益を出すというのは冷静だなという気がします。

トレードのパフォーマンスは全部結果論なので、たまたまうまくいっただけだと思います。それほど、かっこいいことができたわけではなく、失敗もしながらなので。

それに、売買しようと思っても、手元に資金がなければ何もできません。そのとき、たまたま手元に資金があったというだけで、それまでには、資金がなくて身動きできなかったという経験もしていますから。

ただ、17年ごろから相場を見続けてきて、今の価格が高いのか、安いのかが判断できるようになっていたというのが大きいですね。「今は安値だ」という確信を持てずに、買えなかったのが17年のバブル時期でしたから。自分が確信を持てる範囲内で取引をした結果だと思います。

市場を見てきた3、4年の間に、いろいろな出来事があり、そこで、価格がどう動いたのかを見てきたわけです。

例えば、あるコインにハッキングのようなトラブルが起きた後に、他のコインも連動してどう動いたのかだとか、プレスリリースの内容に応じてマーケットがどう反応したのかとか。仮想通貨の市場だけでなく、ナスダック市場との連動性もあります。

そうやって見る目を養い、コロナショックで一気に暴落した局面で「そのまま戻さずに下がり続けることはない」と判断した。それがうまくいったということですね。

――そのとき、XRPを買ったのは何か理由があるんですか。

当時、XRPがファンダメンタルズ的に一番良いと感じたからですね。仮想通貨を選ぶときに、ファンダメンタルズは重要だと思っています。

急落はまだしも、プロジェクトが破綻してしまうと一切価値がなくなってしまいます。紙切れどころか、消えてなくなってしまう。ですから、運営に名の通った企業が参画しているとか、著名人が加わっているとか、オーナーメンバーがどのような経歴を持つ人物なのか、といったことはきちんと調べます。

この辺は証券アナリストらがやっている企業分析と同じですよね。運営企業にメールを送って、反応を見るということもします。

一般企業でも、クレームや問い合わせのメールを送ったときに、その対応によって、どれくらいのパフォーマンスがあるのか、将来性があるのか、逆にうさんくさい会社なのか、分かることがありますよね。その反応から「ここには資金を突っ込めないな」と判断することもあります。

取引は基本的に短期なのですが、想定と外れて下がってしまったときは、長く持って戻るのを待つことがあります。ですから、いざというときに長く持てるようファンダメンタルズも重視しています。

仮想通貨市場も株式市場と変わらない

――17年のバブルの後の急落では、仮想通貨に参入する人が増えていたこともあって、市場はパニックに陥ったのですが、外から見ていた立場で、どのように感じていましたか。

感じたのは、そんなに株と変わらないな、ということでした。株の場合は、ストップ安、ストップ高と、値幅制限があるけれど、仮想通貨の場合は際限なく下がっていく。そこは違うのですが、逆に言うと違いはそこだけで、他はあまり変わらない。マザーズなどの新興市場の、もう1つ下のランクの市場という位置づけで見ていました。

世間は大騒ぎしていましたが、ハイリスクハイリターンの取引って、商品相場などを見れば他にもあるわけで、そういう動きをする市場の一つという感じですね。幅広い取引市場がある中で、金属やエネルギー、農産物と同じように仮想通貨というグループがあって、その中にビットコインやXRPなどがあるような。

そこで、私が注目していたのは、一つのコインが大きなダメージを受けたとき、他のコインはどのような影響を受けるのか、仮想通貨全体がつぶれてしまいそうになったら、逃げだした資金はどこに向かうのか、ということです。

金融市場というのは、それぞれの個別市場が影響し合って全体の流れが生まれるので、仮想通貨の混乱が金融市場全体にどのような影響を及ぼすのかを注視していたという感じですね。

こうして本格的なトレードに足を踏み入れた平田氏。次回は、成功したトレードなどや失敗談などをお聞きします。

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