BMRさんから、「なぜ女性投資家は少ないのか?」というお題を頂きました。
そういえば、そんなことを考えてみたことが無かったです。
いい機会ですので、向き合ってみました。
おせちーず氏 プロフィール
投資歴約32年の女性株式投資家。新卒でシステムエンジニアとして従事し、その後証券アナリストを経て、現在は企業に勤めながら大学で非常勤講師にも従事。『個別株でインデックス以下のローリスク・ローリターン』を追求した株式投資を行っている。
Twitter:https://twitter.com/osechies
ブログ:https://ssizehappy.exblog.jp/
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前提として、本当に女性投資家は少ないのか
まずは、「女性投資家が本当に少ないのか」を検証します。
これは、自力でサンプル調査をすることが難しいので、調査結果を借りることにしました。
日本証券業協会(以下:日証協)という団体があります。
全国の証券会社を構成員とする社団法人として1973年7月に設立されています。
日証協の役割は、協会員である証券会社や銀行、保険会社などの金融機関が遵守すべき自主規制ルールの制定やその遵守状況の監査などの自主規制業務、金融商品取引業、金融商品市場の発展を推進する業務や、国際業務・国際交流、金融・証券知識の普及・啓発活動などです。
日証協が3年に1度全国を対象に実施しているのが「証券投資に関する全国調査」です。
日本における個人の証券保有実態や証券投資に対する意識等を把握することを目的としています。
直近は2021年に実施されました。
全国の20歳以上の男女を対象に、地域ごとの人口分布等をもとに抽出された7000サンプルの結果です。
対象者属性に「性別、年代、職業、年収」といったものがあるので、参考になるでしょう。
この結果を考察します。
女性は男性と比較して相対的に収入が少ない
投資は、しばらく使わなくてもいい資金で行うのが原則だと筆者は考えています。
その点で、収入の大小は投資出来るかどうかを左右する重要な要素の一つでしょう。
性別と年収をクロス集計した結果があります。
端的に言えば全体の半数以上は年収が300万円未満であり、その収入レンジの多くを女性が占めています。
言葉を選ばず言えば、「概して言えば女性は投資の種銭が少ない」と言えます。
保有金融商品と収入額にはそれなりの関係がありそうだと示す結果もあります。
収入が多い人の方が預貯金以外のリスク性商品を保有する人が多いことを示しています。
保有する金融商品の種類に関しては性別と年齢のクロス集計もあり、リスク性商品の保有は40代後半以降の男性に多いという結果が見えます。
女性投資家が少ないことはほぼ事実で、男性との収入差がその理由でしょう。
筆者は50代の女性です。
有職者です。
しかし、筆者以上の年代の女性には専業主婦だったり、配偶者控除内で働く方が多いです。
投資したくても、それほどお金に余裕が無いのは当然かもしれません。
「値上がり益を期待する」女性は少数派
金融商品に対する重視点を複数回答で尋ねた結果もありました。これが非常に興味深いです。
「値上がり益を期待する」女性は男性に比べてかなり少ないです。
そもそも金融商品にリターンを求める女性が少数派だと読み取れます。
だとすれば、投資に消極的であっても不思議ではありません。
この問いの結果をリスク性商品の保有の有無で分類した結果が非常にわかりやすいです。
証券保有者(=リスク性商品保有者、と解釈)は、値上がり益を期待する人が多いです。
一方、非保有者は値上がり益を金融商品にほとんど求めていません。
証券保有者が全体の2割弱です。
つまり、多くの人は金融商品に値上がり益を期待していないのです。
女性はリスク性商品への興味が男性に比べて低い
興味を持っている金融商品を尋ねた問いの結果があります。
明らかに女性はリスク性商品への興味が男性に比べて低いです。興味が無ければ、投資しないのは自然でしょう。
これまでの結果を踏まえれば当然ですが、女性の方が証券投資の必要性を感じていない人が多い結果になっています。
必要がないと考えることには手を出さないでしょう。
必要がないと考える理由は「値動き」にありそうです。
また、知識がないからと答える人も女性に多いです。
今や、100円でも投資できる時代ですが、そのあたりの啓もうはなかなか進まないのが現状というところでしょうか。
「投資に興味がない」理由を想像してみる
これまでに述べてきたことは調査結果から見えることでした。
ざっくりまとめると
・収入が男性より相対的に少ない、故に「余裕資金」が少ない女性が多いと想像される
・証券投資の必要性も感じていないし興味もない
・値上がり益を期待していない
と言ったところでしょうか。
加えて、年齢が高い層では女性は有職者が少なく、いわゆる「自分のお金」がそれほどないことも女性の証券投資が相対的に少ない理由だと考えられます。
ここからは結果を踏まえた筆者の想像が入ります。
女性の方が、お金の使い道のフィールドの数が多いかもしれないなとは思います。
男性がゼロだとは申し上げませんが、化粧品やファッション、服飾雑貨への支出は女性の方が相対的に男性より金額が多いと想像します。
であれば、相対的に女性の収入が少ない状況では、投資をするための資金を確保できないのは無理が無いように感じます。
投資は難しいと考える方も女性には多いかもしれません。
難しいと感じるなら、わざわざ着手しないのも無理がありません。
それほど難しく考えなくてもできることは沢山あるのですが、それに気づく機会が少ないのかもしれません。
女性の方が資産が減ることに抵抗があるのかもしれないとも考えます。
麻雀や競馬、パチンコといったギャンブルは掛け金を減らしやすい娯楽だと思いますが、それらのファンにはやはり男性が多いように思います。
それでも、ファンが多いのは、お金が増える可能性があるからでしょう。
だとすれば、お金が減るかもしれないけど増えるかもしれないと考える機会が女性には少ないのかもしれません。
加えて、女性は「ロールモデル」を求めたがるように思います。
多様化した時代で、目指すべき姿をピンポイントで特定するのは容易ではないように思いますが、身近に投資で成功した人が多くなければ、見習うべき存在がいないからやらないという理屈も透けて見える気がします。
最後の方は想像ばかりになりました。
実際どうなのか、生の声を聴いてみたくもあります。
ぜひ、ご意見、ご感想をお寄せください。
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