個人投資家になるには。メリットやリスクについて解説

顧客から資金を集め運用する機関投資家に対し、個人の資金を用いて投資を行う人を個人投資家といいます。この記事では、個人投資家になるステップや、メリット/デメリット、個人投資家になるための基礎知識について解説します。

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個人投資家とは

個人投資家と機関投資家

投資家は大きく個人投資家と機関投資家の二種類に分かれます。

機関投資家

  • 顧客から預かったお金を運用する機関
  • 保険料を運用する生命保険会社や、 顧客から預かったお金を運用する資産運用会社など

個人投資家

  • 自分の資金を、自分の判断で投資をする人

個人投資家の投資対象は、株式投資、国債、投資信託、FX・仮想通貨、外貨預金、不動産投資など様々です。つまり、優待株投資をやっている方も、積立NISAで投資をしている人も個人投資家と言うことができます。

2021年度株式分布状況調査(日本取引所グループ発表)の調査結果によると、個人株主数は6,460万人(延べ人数)で、株主全体の97.7%を占めます。

しかし、投資金額でみると機関投資家のほうが動かす金額が大きいため、2021年投資部門別株式保有状況(同発表)によると、個人投資家の持つ株式は全体の16.6%となっています。

(参照)https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/examination/nlsgeu000006i70f-att/j-bunpu2021.pdf

個人投資家の職業と年収

いわゆるデイトレーダーのようなモニターを何台も見ている専業投資家だけでなく、本業の傍ら投資を行う兼業投資家も個人投資家です。

2021年個人投資家の証券投資に関する意識調査(日本証券業協会)によると、個人投資家の職業上位は下記のとおりです。

無職・年金のみ:22.4%

管理職以外の勤め人:22.2%

専業主婦・主夫:16.5%

また、年代別の年収は300万円未満が全体の45.9%を占めており最も多いですが、ここにはリタイア後年金暮らしの方や、専業主婦・主夫の数字も含まれています。

出典:https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/2021kozinntousika4.pdf

個人投資家の保有資産

金融資産の保有額は1000万円未満が過半数(56.8%)を占めますが、20~30代の約8割(83.8%)が金融資産保有額1000万円未満となっており、年齢が上がるにつれ保有資産の金額が上がる傾向にあります。

(出典)https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/2021kozinntousika4.pdf

個人投資家になる5個のステップ

投資家というと、なんとなく特別な職業で、選ばれた少数のお金持ちしかなれないものと思いませんか?実は個人投資家になるために特別な資格は必要なく、元手資金と証券口座が用意できれば今日からでも始められる事業です。ここでは個人投資家になるためのステップを解説します。

①今の生活費を計算し、投資にいくら使えるか計算する

投資はリスクとリターンの両側面があり、損する可能性も大いにあります。まずは現在の生活コストを把握し、収入の中でいくら生活に使い、いくら投資に使うのかを明確にしておくことが大切です。

また、万が一投資で利益が出せず収入がなくなっても生活できるように、数カ月~1年分の生活防衛資金を用意しておくことも大切です。

家族構成生活防衛資金の目安
独身・一人暮らしの場合 生活費の3ヶ月〜6ヶ月分(約45万円〜約90万円)
※1ヶ月の消費支出平均は約15万円で算出
夫婦の場合(子供がいない場合)生活費の約3ヶ月〜6ヶ月分(約85万円〜170万円)
※1カ月の消費支出平均は約28万円で算出
夫婦の場合(子供がいる場合)生活費の6ヶ月〜1年分(約170万円〜340万円)
※1カ月の消費支出平均は約28万円で算出
(参照)家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果の概要 (stat.go.jp)

②兼業投資家として、小額から投資を始める

最初からまとまった金額を投資し、ハイリスクハイリターンを狙うのではなく、失っても支障のない金額から投資を始めることがポイントです。

いきなり本業を辞めて専業投資家一本に絞るのはリスクが高いので、できれば今の仕事を続けながら、兼業投資家としてスタートするのがおすすめです。ちなみに、サラリーマンや公務員の方は会社で副業(兼業)が禁止されている場合がありますが、投資は労働の対価の報酬とみなされず、副業とならない可能性が非常に高いため、おすすめです。

(参照)https://www.jinji.go.jp/fukumu_choukai/handbook_r4.pdf

③自分にあった投資手法を知る

先ほども挙げた通り、個人投資家といっても投資先は様々です。株式投資一つとっても、1日から数日スパンで頻繁に売買を繰り返すものや、長期保有し、配当で儲けるものなど様々です。

会社勤めをしながら副業で、本業としてデイトレード主体で、世の中の情勢を分析して、という風に人の数だけ投資のスタイルがあります。自分の性格や能力にあったマーケットや方法を選んで、その能力に磨きをかけることが重要となります。例えばSNSやYouTubeで成功している人の手法と同じことをしてもうまくいくとは限りません。自分が投資を行う目的や、やりやすい手法を知るために、色々な投資方法を試してみるのもおすすめです。

④実践で経験を積む

実際の取引を始める前に、サイト上のデモトレードで注文の仕方や画面の見方を確認しておくことは大切です。しかし、デモトレードをやってうまくいったからといって、いきなり大きな金額を投入するのはお勧めしません。実際の金銭が動かないデモトレードでは慌てずにタイミングを待つことができても、実際に取引を始めると自分のお金を失う可能性がよぎり、タイミングを待てないケースが非常に多いからです。

デモトレードに時間を割きすぎず、まずは10万円程度から自己資金で実際に始めたほうが良いでしょう。小さくトライ&エラーを繰り返すことが成功の近道です。

④リスク管理について学ぶ

投資はリスクとリターンが表裏一体になっており、プロでも簡単に損失を出してしまう世界です。最初からすべてがうまくいく人はほんの一握りで、ほとんどの人が金額の大小の差はあれど、損失を出してしまうものです。もちろん、自分が対応できる以上のリスクを背負うと、最悪破産してしまう可能性も十分あります。

投資の主なリスクとしては、金融商品の価格変動のリスク、為替変動のリスク、投資先の信用のリスクなどがあり、自分ではどうにもできないものです。

そのためのリスク管理として、①失っても生活に支障がない金額で行うこと、②分散投資を行い、1か所に投資を固めないことが大切です。不動産投資と株、FXを投資信託など、特徴の異なる様々な投資先を組み合わせることで、リスクが最小限に抑えられます。

⑤資産が形成できたら、高額投資にチャレンジする

コツコツ投資を続け、元手資産が1000万円程度になると、株価の高い銘柄や不動産投資など、高いリターンが期待できる商品に手を出すことができます。また、元手資金が多くなれば、低い利益率でも大きな金額になります。リスクについてはきちんと管理しながらも、将来的には高額な商品にも挑戦していくことを目指しましょう。リスク管理と利益のバランスがとれていれば、個人投資家として長く活躍することができます。

その他:本を読む

どのようなジャンルで投資を行う場合でも、書籍から得られる情報はあなたの味方になってくれます。これから個人投資を始めるにあたり、おすすめ本は下記のとおりです。

◎超初心者が投資の勉強を始めるなら

ほったらかし投資術

◎稼ぐ人の考え方を知るなら

金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント : 経済的自由があなたのものになる

『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』

◎不動産投資について学ぶなら

300万円で大家になって地方でブラブラ暮らす方法

働かずに年収333万円を手に入れて『幸せ』に暮らそう

◎トレードについて学ぶなら

投資苑

マーケットの魔術師

マーケットのテクニカル分析 ――トレード手法と売買指標の完全総合ガイド

その他:他の投資家と交流する

投資は個人でもできますが、仲間がいると失敗例や成功例を知ることができ、困ったときには相談相手となってくれます。それぞれの投資において、おすすめの交流ツールは下記のとおりです。

◎不動産なら…大家の会

不動産オーナーになるための知識や、困ったときに相談ができる先輩オーナーに出会えます。特に初心者の時期は、経験豊富な大家仲間がくれるアドバイスは有用です。大家の会はネット検索やFacebookなどで見つけることができます。

◎株や暗号資産なら…ツイッター

リアルタイムでの値動きを発信している方や、初心者向けのノウハウを発信している方など、株や暗号資産の界隈では有用な知識がツイッターに集まっています。

おすすめのアカウントはこちら

・初心者向け

やさしい株のはじめ方🔰株初心者向け情報発信中

投資初心者が身につけておきたい知識を発信しているアカウント。発信者の著書『はじめての株1年生』『ゼロから始める!マンガ株入門』など4冊で、累計11万部を突破しています。

・中上級者向け

cis@株 先物 FX 仮想通貨 リネレボ

cisさんは、1人で日経平均を動かせる投資家と言われており、総額230億円の資産を保有しています。cisさんの相場の分析を参考にする投資家が多いです。

https://twitter.com/cissan_9984?s=20

◎不動産、株、暗号資産、投資初心者なら…交流会

個人投資家向けの投資家交流会に参加してみるのもおすすめです。初心者向け、仮想通貨投資家限定など、様々なカテゴリの交流会が開催されおり、投資家仲間に出会える可能性があります。飲食店や会議室などイベント形式で開催されているものが多く、直接会って交流できる点もポイントです。

個人投資家のメリットやデメリット、リスク

メリット

①頑張った分だけ自分の報酬につながる

例えば証券会社の社員が会社のお金でトレードを行い莫大な利益を出しても、その社員には利益は入らず、せいぜいボーナスに反映される程度です。しかし、個人投資家であれば、運用で得た利益はすべて自分のものになります。そのため報酬も青天井となり、若くして「億り人」になる人も少なくありません。

②時間や場所に縛られず働ける

投資の多くはネット環境があれば行うことができます。オフィスへの出勤や満員電車に耐える必要もなく、サラリーマンがとりづらい長期休暇や、リゾート地にいながらネット環境を通じて取引を行うことができます。時間や場所の制約から自由になれることは、個人投資家になる大きなメリットです。

③たとえ損をしても誰からも責められず、経験は蓄積される

機関投資家やファンドマネージャーは、市場平均や競合他社より高いリターンを上げることを求められており、決算の時期には成果を出資者に報告する義務があります。そのために様々な制約があり、自分の思うとおりに投資をすることはできません。

一方個人投資家の場合は、長期投資も短期投資も縛りがなく自分で決められます。自分の為だけの投資だからこそ、自由度が高いと言えます。

また、たとえ投資で損失があったとしても、投資で得た知識やノウハウは失われることはなく、必ず次に役立てることが可能です。

デメリット

①資産がゼロになる可能性がある

投資はリスクとリターンの両側面があり、得するだけでなく損する可能性も大いにあります。特にレバレッジをかけて実資金以上の金額を投資すると、資産がゼロどころかマイナスになる可能性もあります。破産経験のある投資家やトレーダーは多く、伝説の相場師ジェシー・リバモアでさえ、生涯で4回破産をしています。

②個人投資家は、職業上は無職の扱いとなる

個人投資家の仕事は、厳密には職業として扱われていません。公的な書類上で無職となった場合、住宅ローンやクレジットカードの審査が通らないなど不都合があります。しかしながら、投資で大きな収益があれば看過されるケースがほとんどです。

③資金力に限界がある

まとまった資金が既にある場合は別ですが、個人投資家の最初の一歩としては本業で稼いだお金を元手資金として始める方が多いです。投資は元手が少なければ、その分リターンも小さくなります。そのため、資金力が乏しい場合は信用取引(レバレッジをかける)ことも視野に入れましょう。しかし、信用取引は一歩間違えると破産につながるので、あなたが取ることのできる、適正なリスクの中で行うことが非常に重要です。

個人投資家の実例

一口に個人投資家と言っても、始めたきっかけや投資において大切にしていることは人それぞれです。ここでは3人の個人投資家の実例を紹介します。

株式投資家の例

投資家の親の影響を受け、中学1年生から投資を始めたM氏。投資を独学で学び、1,000万円の元手から現在は6,000万円を運用する専業投資家に。開始当初はデイトレ、スイング、個別株など様々な投資に挑戦していましたが、現在はインデックスや個別株をメインに運用しています。徹底的に生活コストを抑えることでリスクを下げ、投資を楽しむ生活を送っています。

不動産投資家の例

大手メーカーに勤務する傍ら大家業に挑戦し、翌年脱サラ。訳あり物件を専門とする完全歩合制の不動産会社に参画し、プロの不動産投資家になったtakuwaさん。不動産の知識ゼロから、様々な失敗や損を経験しながらトライ&エラーを繰り返し、現在では1年間で10件の物件を購入・仲介。多いときで月600万円、平均月収160万円を稼ぐ不動産投資家です。

トレーダーの例

大学時代、100万円を元手に投資やトレードで資金を1,500万円まで増やし、銀行や証券会社、仮想通貨取引会社と金融業界を渡り歩きながらトレードの腕を磨いた中島翔氏。30代前半で独立し、現在は個人でトレーダーをしながらエステ店経営や不動産開発など実業家としての顔も持っています。

まとめ

年金問題や将来への不安から、昨今投資を始める方が非常に増えています。個人投資家としての最初のステップは、少額でもいいので自分のお金で投資をし、利益を得る経験をすることです。今はネットやアプリで気軽に投資を始められるので、まずはチャレンジをしてみましょう。コツコツ続けて個人投資家として安定すれば、サラリーマンをしていてはかなわないライフスタイルや、青天井の収入が実現する可能性が高まります。

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