1970年代の高インフレ時に金の価格はどのように高騰し、BTCには今後どのような可能性があるか

現在、米国は高いインフレ率に苦しんでいます。このインフレ率は約30年ぶりの高水準です。しかし過去には今よりも高インフレになった時代もあります。それが1970年代です。

この記事では現在と同じくインフレに苦しんだ1970年代に金価格がどのような動きをしたかを解説し、BTCが今後どのような動きをするのか予想します。

1970年代の高インフレと金価格の動き

1970年にインフレになった主な要因はオイルショックです。オイルショック時のインフレはニクソンショックによる金とドルの交換停止と変動相場への転換が大きく関わっています。

詳細はこの記事では説明しませんが、ベトナム戦争なども関連してドルが大量につくられました。貨幣が大量につくられていたという意味では現在の量的緩和政策と似たような状況だったといえます。(1970年代前半は変動相場制へ変わる時期なので、為替の状況は現在と異なります)

下のチャートは1970年代のインフレ率(青字、左ラベル)と、FFレート実行金利(赤線、右ラベル)です。

出典:fred.stlouisfed.org

インフレ率は約5~10%程度を保ち、FFレート実効金利もそれにあわせるように動いています。

この時期の金価格は1970年頃の1トロイオンスあたり35ドル(当時は固定相場だったため)から、1980年に1トロイオンスあたり875ドルの最高値をつけました。約25倍の上昇率です。

出典:tradingview.com

これは、単純にインフレが起きたからというだけでなく、先にも説明したとおり、金とドルの交換停止と変動相場によって、米ドルの信頼が大きく揺らいだからと考えられます。

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ビットコインの直近の動き

ビットコインは2018年末から2019年初めに底値をつけ、その後上昇しました。2020年にはコロナショックにより一時的に下落していますが、その後の米経済の大規模な金融緩和や、ビットコインの半減期3回目を経て上昇を続けました。

現在は米国のインフレ抑制のための利上げや、テーパリングの終了からQTへの金融引き締めの影響からか、米国株式市場の下落に合わせるようにビットコイン価格も下落しています。

現在の米国市場の状況

直近のCPI(米国消費者物価指数)は以下のようになっています。赤線が米国の消費者物価指数(CPI)を示しており、青線は食品はエネルギーを除いたコアCPIです。

米国のインフレ率は高止まりしており、まだ、利上げの効果が出てきたとは言い難い状況です。

出典:fred.stlouisfed.org

この結果を受け、9月FOMCでは0.75%の利上げが発表されました。2022年内の着地点としては、4.25~4.50%が主流となってきました。この1カ月でさらに利上げがされるという意見が多くなってきています。

出典:cmegroup.com

下のドットプロットを見ると、FRBが推奨する中立金利(FFレート:2.5%程度)に戻るのは、2025年以降になると予想されています。FRBはインフレ抑制を最優先にしており、景気をある程度犠牲にする覚悟なので、FFレートのコントロールはかなり慎重に行うと考えられます。状況によってはさらに時間がかかるかもしれません。

出典:cmegroup.com

ビットコインと金価格は今後どうなるか

大きく分ければ、今後の展開として以下の3パターンが考えられます。

  1. 利上げは実施しているが、インフレ率が高止まりしている
  2. 利上げを実施した結果、インフレ率が下がりすぎて、再度利下げを実施する
  3. 利上げを実施した結果、徐々に(適正値まで)インフレ率が下がる

1つ目とに関しては、金価格が上昇し、ビットコインの価格は予想がむずかしいです。1970年代のようにインフレヘッジとして上がった金のようにビットコインも上がるシナリオも予想されますが、同時に金利のつかないビットコインは売られ価格は上がらないのではとも予想できます。

2つ目の可能性では再び市場にお金が流れることにより、金とビットコインの価格は上がりえます。また、再度インフレになった時には米ドルの基軸通貨としての信頼が大きく揺らぐことにもなります。

3つ目がFRBが実施しようとしていることです。この場合、ある程度米国経済は計画通りの動きをすることになり、いったんは金価格は上昇すると思いますが、次第に株価は上昇し、金価格は落ち着いてくると考えられます。

ビットコインは現在は米国市場の下落とあわせるようにリスクオフの状況が続いています。価格もまだ下落の余地がありそうですが、4回目の半減期(2024年頃)に向けて価格は上昇していくものと予想しています。

ビットコインの今後の予想についてはこちらの記事でも解説しています。

ビットコインについてはやや強気な分析をしましたが、ビットコインにとって現在のようなインフレやFFレートの利上げ、リセッション(の可能性)を経験したことがないため、今後の値動きについては注視する必要があります。