投資家はどのように信用、リスク管理すべきか Cygnos・三原 弘之氏

bitbank COOを経てCygnos Capitalを運営する三原 弘之氏に、暗号資産や投資に携わる上での信用やリスク管理について伺いました。

三原 弘之氏 プロフィール

早稲田大学を卒業後、楽天株式会社にエンジニアとして入社し、楽天市場の開発業務に従事。2014年、ビットバンク株式会社へ社員第一号として参画し、執行役員COOとして国内最大級の仮想通貨取引所へ成長させる。現在は海外クリプトヘッジファンドの戦略へ分散投資する日本初のファンド、Cygnos Crypto Fund を運営。Twitter:https://twitter.com/h3hara Cygnos:https://cygnos.capital/ https://overseas.cygnos.capital/

Sponsor

仮想通貨トレーダーズクラブ COINRUN

COINRUNは暗号資産の古参トレーダーである、田中さん、ヨーロピアンさんの2名による、暗号資産のトレードによって「まとまった資産を築く」「継続的な収入を得る」「ビットコインを増やす」ことを目的に、様々な有益情報を共有するオンラインコミュニティです。

会員限定のトレード番組やチャットコミュニティ、月20回程度のレポート配信が利用・閲覧可能になります。

→サービスについてもっと詳しく知りたい方はこちらををご覧ください。

取材実施日

2023年6月14日

暗号資産の世界は、残念ながら多くが詐欺

ーー2014年以前からクリプトに参加していた人たちが2017年に大きな利益を得たものの、後に大損してしまうケースについてよく耳にします。実際によくあるのでしょうか。

よく聞く話ではあります。

大きな利益を得たと言っている人たちの大半は未実現利益であり、実際に利確できた人は少ない印象です。

一度利益を実現した人たちの中でも、その後別の投資で失敗するという話もよく聞きます。

特定のICOプロジェクトに投資し一時的に利益を得たものの、その後、同じ発行体が発行した別のトークンを購入したら価値がゼロになった、というケースも聞いたことがあります。

ーー暗号資産は一般的な投資の領域と比較しても詐欺の話が多いように感じます。携わられて長い三原さんから見ていかがでしょうか。

暗号資産の世界は、残念ながら多くが詐欺です。

ーー三原さんにも怪しい話が来ることはあるのでしょうか。

たまにそれらしき話がある程度で、多くはありません。

おそらく詐欺師も狙う人を選んでおり、暗号資産自体をよく理解していない人のほうがターゲットにされやすいのではないでしょうか。

金融知識があまりないけれども資産がある人などが詐欺のターゲットになることが多い印象です。

信頼できる第三者の意見を必ず確認する

ーーそのようなリスクに対して三原さん自身はどのようなことに注意していますか。

これは単に詐欺の話に限らずトークン選定や人生全体に通ずる考えだと思いますが、基本的に私は「何も信用しない」というスタンスをとっており、それが最も大事だと考えています。

「あの人がやっているから大丈夫」などのように自分が何も理解していない状態で投資することは絶対ありません。

特定の誰かが信頼できると主張しても、私の中で一定程度腹落ちしない限りは安易に信用しません。

ーー特にビットコイナーにはそのような考えの方が多い印象です。トークンの善し悪しを見る際もスキャムである前提から考えるというスタンスがあると思います。

そうですね。

とはいえ、あらゆる領域において自身だけで正しい判断を下すことは不可能です。

私の場合、自分で正確な判断が取りづらいトピックにおいては、自分である程度調べた上で、信頼できる第三者の意見を必ず確認します。

また、信頼する第三者の意見をとりにいくスタンスだけでは十分ではなくて、「暗号資産の技術の側面ならこの人に質問する」と誰に質問すべきかが整理されていて、なおかつ質問できる関係値にあることが重要だと考えています。

ただ、話を聞いてそれをそのまま鵜呑みにするのもリスクがあります。あくまで参考意見として聞きます。

ーーいつ、どのようなきっかけでそのような考え方に至ったのでしょうか。

昔からこのような考え方だったとは思いますが、暗号資産の業界に入ってからより意識するようになったかもしれません。

この業界では信頼できる情報源を持つことが非常に重要であり、その意識が強くなったのだと思います。

断言するというのは私の中では信用に欠く行為

ーーそういったリスクヘッジの方法論がまだ確立していない人は特にどのような点に注意すればよいでしょうか。

一言で言うと「誰も信用するな」となるのですが、それはそれで非現実的でしょう。

そのため一定程度自分以外も信用するという前提の上で、信用するためのスキルを身につけることが大事だと考えています。

ーー信用できそうな人や情報源の共通点、スキャムの共通点や傾向があるとしたらそれは何でしょうか。

まず一つ目ですが、私は断言する人は信用しません。

投資に限らずこの世において断言できることなんてほとんど存在しない中で、何かを断言するというのは私の中では信用に欠く行為だと捉えています。

そういった意味で、何かを断言する人は私の中では信用できない分類に入ります。

また、専門性が異なる人の意見を信用するのも危険でしょう。

例えば、骨折をして整形外科の専門家の意見が必要なのに、精神科の専門家の意見を信じるというのは明らかに不合理です。

しかし同じ「医者」のカテゴリーに属するからと言って、精神科の専門家に意見を尋ねそれを信用するような人が世の中にはたくさんいるのです。

もちろん精神科の専門家といっても医者ではあるため、私よりは骨折において知識があると思いますが、中途半端に詳しいと逆に正しいか否かの判断が難しくなります。

医者はあくまで一つの例えですが、投資や人生全般において同じような過ちを犯す人をよく見かけます。

自分でまず調べた上で何がわからないかを理解し、わからない箇所について自分が信用できる適切な専門家に意見を求め、それに基づいて判断を進めることが重要だと思います。

ただ、結局適切な専門家を判断するのが一番難しいんだろうと思います。

皆が皆、目の前の人を専門家だと認識して意見を聞いてるはずなので、そこで最初から間違ってしまうと、もうどうしようもないです。

自分で興味を持ち自分で調べて学ぶことが、最も良いリスク管理

ーー悪い情報を掴んでしまう人は詳しく調べずにすぐに決断を下す傾向がある印象です。

その通りですね。

実際に、一部の大学教授や助教授など、一見信用できると思われる人々からも誤った情報が発信されることがあります。

これは、コロナウイルスのパンデミック時に特に顕著でした。

私はまず、相手が本当に専門的な知識を持っているか、適当な人間であるかを確認します。

その上で、複数の人からセカンドオピニオンを得ることで、詐欺に遭うリスクを少し抑えることができると考えています。

自分は無知であるという認識からスタートし、どの情報源を信用すべきかを考えることが重要です。

ーーそのほかリスク管理において注意すべき点はありますか。

ハードウェアウォレットの話もありますが、結局のところ、自分で理解しなければ意味がありません。

もし、知り合いにビットコインのエキスパートがいれば良いでしょうが、大抵の場合、そういう状況にはないでしょう。

自分で興味を持ち自分で調べて学ぶことが、最も良いリスク管理だと考えています。

皆んなビットコインを推していたにも関わらず、それぞれの人が「良い」と思っていた部分は異なっていた

ーークリプトに一定以上関わっている人でもビットコインに行き着く人とアルトコインにハマり続けている人の二種類がいます。両者に違いや傾向はありますか。

私は必ずしもビットコインが絶対に正しいとは考えていないというのが前提ですが、その違いについては様々な要素があります。

例えば、2014年当時、ビットコインを支持していた人たちがいました。

それらの人たちがいろいな形で分裂し、ビットコインキャッシュやBSVなど、様々な派生を生み出しました。

その中で私が思ったのは、皆んな2014年には一緒にビットコインを推していたにも関わらず、それぞれの人が「良い」と思っていた部分は異なっていたということです。

誰が正しいということではなく、それぞれの人が何に重きを置いていたかが人によって大きく異なっていたということに、この10年間で気づくことができました。

ーー分裂前は同じビットコインという一つに集まっていたけれども、分裂のタイミングで考え方の違いが明確になったということでしょうか。

そうです。

そして、その違いはまだあるかもしれません。

────────────────────

バーリ・マーケット・リサーチの公式LINEでは、ここでしか見れない「資産/収支管理シート」や「インタビューの録画」を公開しています。ぜひご登録ください。

公式LINE登録はこちら

────────────────────

この記事を読んだ方はこちらの記事もおすすめです。