「天井はわからないので一定満足したら利確するのが引き際のコツ」クリプトトレーダー・タキオン氏 2/3

暗号資産のトレーダーとして活動するタキオン氏に、トレードをはじめたきっかけや2017-2022年のトレードなどについて伺いました。

タキオン氏 プロフィール

クリプトトレーダー、BTC短期から長期まで幅広く株も商品もボラさえあればなんでも触る。最近はNFT多め。本業はWeb系のプロダクトマネージャー。

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取材実施日

2023年3月13日

本業はウェブサービスのプロダクトマネージャーに従事

ーーご経歴を教えてください。

年齢は30代です。新卒でWebの制作を数年やって、その後ウェブ系のプロダクトマネージャーに転職をしました。いまはこれが本業です。

プロダクトマネージャーといっても完全にビジネス側で、コードが全く書けないわけじゃないですが、いまは仕事としては書いていないですね。

長期と短期を8:2で運用

ーータキオンさんのトレード手法について教えてください。

相場に惑わされずに積み立てる、何かショックが来たら買い増す長期投資用の資金と、短期でガツガツ取引する短期トレード用の資金に分けて運用しています。

ーー長期と短期のポジションは何対何に分けているのでしょうか。

長期が8割、短期が2割です。結果的に、長期の割合が多くなってきています。

あくまで短期は何かの事故でなくなってもいいぐらいの金額でやっています。

クリプトはどれだけ資金管理しても、gox、ロスカット、ハッキングなどが一定発生してしまう。2023年のUSDCのシリコンバレー銀行破綻でのディペグもそうですよね。

なのでクリプトは信用できないというスタンスで、最悪全部失ってもいいという覚悟でやっています。

2011年からトレードや積み立てを開始

ーー投資やトレードを最初にはじめたのはいつでしょうか。

2011年ですね。

私は国に依存した価値が好きではないので、儲かる儲からない以前の哲学的な問題として、ゴールドを買っていました。

当時、東日本大震災で東京電力の株価が乱高下していた時期で、株も短期で取引していましたね。

トレーダーあるあるだと思いますが、例に漏れず私もギャンブルが好きで、特に競馬、麻雀が好きなんですね。その延長線上でデイトレードをやっていました。

なにもわからず取引していたので、もちろんうまくいきませんでした。

2017年のアルトコインのpumpでリターンを出す

ーー暗号資産やビットコインのトレードを始めたのはいつごろでしょうか。

2017年6月で、ビットコインが33万円ぐらいの頃だったと思います。

最初はビットコインしか買っていなくて、現物を短期で取引していたのですが、うまくいきませんでしたね。

2017年のあるタイミングで大きく損を出し反省して、トレード手法にフォーカスして勉強しはじめました。

ーーそれから取引はうまくいったのでしょうか。

2017年11月のビットコインキャッシュが暴騰したときのトレードはうまくいきましたね。

たまたましっかり勉強し始めて基礎がわかりはじめたタイミングで、ビットコインキャッシュ、モナコイン、イーサなどアルトコインをいくつか転がして、2018年初頭にはかなりリターンが出ました。

あの時のアルトコインはどれも一回はpumpしていたので運がよかったです。

▼2017年12月 – 2018年1月のBCH/USDのチャート。12月19日ごろに大きな髭と実線をつけている。

ーー「かなりリターンが出ました」とはどのくらいでしょうか。

億ってはいませんが、数十万円の元手が100倍にはなりました。その大部分が含み益で終わってしまいましたが。

バブル崩壊後もビットコインをウォッチし仕込みを行う

ーー「含み益で終わってしまいました」とのことですが、2018年1月の大暴落を受けてのことでしょうか。

そうですね、そこで大きく減らしました。当時はイケイケでホドル、取引していて、引き際がまったくわかっていませんでした。だいぶ失いましたね。

天井で利確できなかったことを悔やんだのですが、トータルで元手からは増えてはいたのでなんとか納得させました。

ーー2018年はどのように過ごしていましたか。

2018年の前半はデリバティブがブームだったので、レバレッジをかけてショートしていました。

2018年の中頃以降はいよいよボラがなくなってきて、世間で暗号資産の話をされることもなくなり、手を引きました。

▼2018年のBTC/USDのチャート。右肩下がりで価格が下落し、後半ではボラティリティも縮小している。

ーー2019年はいかがでしょうか。

ビットコイン自体が完全に終わったとも考えていなかったので、2019年の春にもう一度買ったり、1万4,000ドルまで上がってからはガンガントレードしていました。

コロナショックまでの間もボラティリティがあったので、コツコツ、トレードに励んでいましたね。

▼2019年のBTC/USDのチャート。7月にかけて大きく価格が上昇している。

過去の経験を活かして2021年は一定の価格帯で売り抜ける

ーー2020年に資産を増やして、その後2021年からは暗号資産の価格が下がりましたが回避できたのでしょうか。

回避できましたね。

2017年、2018年の乱高下を経験していた分、冷静に考えられていたので、2021年の盛り上がりはかなり警戒していました。もちろん、天井では売れませんでしたが、自分が納得する価格帯では売り抜けることができました。

2022年にビットコインが6万ドルから2万ドル弱まで下げましたが、2018年を思えば大した下げではありませんでしたね。

ーービットコインは2021年に2回、700万円をつけましたが、タキオンさんはどのように相場を見ていましたか。

何か起きると確信してはいましたが、いつそれがどのように崩壊するのかまでは読めませんでした。短期のトレードもやってはいましたが、現物を買うイメージはなくて、見ているだけに近い状態でした。

ーー2021年は冷静に相場を見て、天井とはいわずとも納得のいく価格帯で売れたとのことですが、では2022年の下げ相場も回避できたのでしょうか。

いえ、むしろ、2022年の2月、3月に1回戻るかもと3万数千ドルで買い戻したポジションの方が損を出しましたね。

まあ、その一発で済んだのでまだましですが。

2022年の9月、10月以降も大損はしてませんが、短期トレードで消耗しましたね。

▼2022年のBTC/USDのチャート。赤丸がタキオン氏がそれぞれ解説した時期。

ーー2022年3月に3万ドル台で買い戻してしまったときは、損切りしたのでしょうか。損切りしたのであればどれくらいの価格で損切りしたのでしょうか。

2万8,000ドルを割ったところで切りましたね。

2022年もショートでリターンを出す

ーー2022年はショートはしていなかったのでしょうか。

5万2,000ドルから3万ドルに落ちたときはうまくとれたのですが、2万8,000ドルから2万ドルに下げたときは、上手くとれませんでした。

2万ドルを割った後はボラティリティがなくなってきたので、しばらくチャンスもなさそうだと考えていました。

ーー短期の取引はやめて毎月ドルコスト平均法で積み重ねるだけに切り替えたということでしょうか。

そうですね。ただ最近は買う一方にしていて、短期トレードもあまりやらないようにしています。時間効率があまりにも悪いので。

見ていないと取り残されるので一応やってはいる、程度です。

2021年は熱気に巻き込まれず冷静に相場を観察

ーー2021年に7万ドルに到達した際に、「バブルではあるが2017年12月と比較すると過熱感がまだ弱い」と言っている人たちがいましたが、そういった声には引っ張られなかったのでしょうか。

そういった声に多少引っ張られはしましたが、あれほどのバブルが2度も来るとは思えず、クリプト界隈特有のバブルでの金遣いの荒さも目立ちはじめて、天井が近いと思いました。

それがいつ終わらないのかはわからないけれども、少なくともここからまだ盛り上がる方にベットするのは分が悪いかな、と。

もしまだ上がるのであれば、金融緩和がもっと進むとかそういった要素が必要で、これから緩やかに金融引き締めが進むにも関わらず、クリプトだけ盛り上がるのは考えにくいと思い、あまり期待はしていませんでしたね。

ブル相場で引き際を見極めるコツ

ーー2021年の相場でうまく引き際を見極められたとのことですが、コツやこういうところを特に見たというのはあるのでしょうか。

前提として、天井がどこかなんてわからないんですね。その中で引き際のコツがあるとしたら、ある程度利益に満足したタイミングで多少逃げておく、それがコツかなと思います。

価格が下がって全額利確しておけば良かったとなったとしても、一部逃げておいた資金があるからいいか、と思えるぐらいの金額を利確しておくことです。

そこで、「やっぱりまだブル相場が続きそうだから利確したお金をもう一度入れよう」というのはやっては駄目です。それはやってはいけません。

利益の使い方

ーー2017年から投資されてある程度リターンがあるかと思いますが、トレード以外で使っているものはありますか。

私はその間に結婚しているので、結婚や引っ越し、旅行で結構使いましたね。それ以外の資金は貯めています。

いまは家が欲しいのですが、家を買ったら本当になくなってしまいそうです。

ーー2024年以降で相場が盛り上がってある程度リターンが出たら家に使ったりするのでしょうか。

そうですね。私は不動産投資だけやってないので、タイミングを見計らってやり始めようかなと考えています。

投資の話を家族と共有するか

ーー奥さまには投資やトレードのことはどれぐらい共有されているのでしょうか。

やっていることは知っています。ただ、妻は全然投資に興味がないので、話してもしょうがなく、あまり話していません。

ただ、奥さんの資産も私がフォローしているので、任されている感はあります。

ーーいくら投資しているかは話しているのでしょうか。

そこまでは言っていないですね。どことなくは知っていますが、あまり詳しくは知らないです。そもそも興味もないみたいなので。

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インタビューの3記事目では、損切りのコツや不確実性にどのように対処しているか、トレードに向いている人について伺います。

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