bitbank COOを経てCygnos Capitalを運営する三原 弘之氏に、富裕層の考え方の傾向などについて伺いました。
三原 弘之氏 プロフィール
早稲田大学を卒業後、楽天株式会社にエンジニアとして入社し、楽天市場の開発業務に従事。2014年、ビットバンク株式会社へ社員第一号として参画し、執行役員COOとして国内最大級の仮想通貨取引所へ成長させる。現在は海外クリプトヘッジファンドの戦略へ分散投資する日本初のファンド、Cygnos Crypto Fund を運営。Twitter:https://twitter.com/h3hara Cygnos:https://cygnos.capital/ https://overseas.cygnos.capital/
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取材実施日
2023年5月10日
資産10億円、30億円あるとシンガポールで余裕をもった生活ができる
ーー三原さんの周りのいわゆる富裕層の方々というのは、現在どのような運用をされている方が多いのでしょうか。
まず富裕層の定義ですが、Twitterに投稿していたとおり、一旦この場では資産10億円以上と仮定して話をします。
そして、日本在住の方々とも話す機会はありますが、頻繁に交流があるのはシンガポールやタイに滞在している方々です。なのであくまでその交流の中での経験で話せる範囲になります。
ちなみに、全てをプライベートバンクに預けて低リスクで運用して得られるリターンがおおよそ3-5%と言われています。
そのため全資産が10億円だとすると年間で3,000万円から5,000万円程度がリターンになると思われます。
事業を何もせずに配当だけで生活する前提として、これくらいの収入だとシンガポールで家族がいて満足のいく生活ができると思いますが、シンガポールは物価もかなり高いので、資産30億円あるともっと生活に余裕が出て、年に数回の海外旅行や高級ブランド品の購入等を楽しめるというのが水準かなと思います。
シンガポールの富裕層は上を見たらキリがないので、あまりギリギリで生活したくないという方が多いでしょう。
ーーもし全資産が30億円の場合、どれくらいをプライベートバンクに預けるものなのでしょうか。不動産など様々な形で資産を持っていると思いますが、それらはどのように扱われるのでしょうか。
配分は人にもよると思います。
基本的に、日本の不動産は海外のプライベートバンクには預けられないことが多い印象です。預けるのは現金が主体となります。
もちろん、それを担保に借り入れができるという意味である程度の不動産を持っていることは強みになりますが、日本の不動産をどれだけ所有していてもシンガポールでそれを担保にした借り入れができないのであれば、シンガポールで生活する上ではあまり関係がありません。
プライベートバンクに預けるためには、担保価値がありプライベートバンカーが扱えるものでなければいけません。
プライベートバンクでは受け入れられないビットコイン
ーーどういうことでしょうか。
例えば、ビットコインを大量に持っていても、殆どすべてのプライベートバンクでは口座開設を受け付けられません。
マネーロンダリング対策等で、暗号資産は資産として受け入れを認められていないからです。
既にドルに変えていたとしても、元々の資産がビットコインやクリプトだとすると、ほぼ全てのプライベートバンクではお断りされます。(数少ない受け入れ可能な会社は問い合わせいただければ紹介することも可能です)
また、ビットコインを担保に何も金融商品を提供できません。ビットコインを担保に現金の貸出ができないためです。
一方で、株など彼らが理解できるもの、あるいはカストディが使えるものなら、それを担保にしてさらにレバレッジをかけて他の債券を買うことも可能です。
そのため、殆どのプライベートバンカーはクライアントがビットコインを現物で買いたいと言っても、あまり勧めないのではないでしょうか。
担保価値が下がってしまうからです。
例えば、プライベートバンクへの預け資産5億円のうち1億円をビットコインに換えると、その1億円はプライベートバンクから出てしまうわけです。
ーー富裕層とされる方々は、一般的にプライベートバンクを利用するものなのでしょうか。
それは人によります。
元々トレーダーであったり、金融機関出身の方で既に金融知識をある程度持っている人等は、自分で運用していることが多いです。参考として比較するために利用するという話も聞いたりします。
プライベートバンクは低リスクで資産を分散させるのが基本ですが、それがわかっていても、面倒と感じてお任せする人もいます。
特に起業家出身で金融に興味がない人はプライベートバンカーに全てを任せていることが多いと思います。
ビットコインや米国株、日本株が大きく上昇した2010年代に入金力があった当時30代がいま資産を築いている
ーーどのような方々が多いのでしょうか。
クリプト富裕層に関していうと、事業で最初に大きな利益を得たり、高収入な職種についていた人で、その元手を使った投資で大きな利益を得ている方が多い印象です。
また、クリプトに限らずいうと、投資に限らず事業で資産を築いた方が多いです。
年齢層は比較的高く、クリプトで大きな利益を得た方々を見ても、40代以上の方が多いです。
なぜ40代以上の方々が多いかというと、これは入金力の問題です。
私はビットコインに2014年から携わっていますが、その頃は20代前半で買いたくても元手があまりありませんでした。
いま40代以上の方々というのは、ビットコインや米国株、日本株が大きく上昇した2010年代に30代で入金力があり、投資余力があった方々なんですね。
特にクリプトで言うと、2015年頃までに事業を経営したりしていて数百万円から数千万円、数億円をクリプトに投資できた方々が、現在、大きな利益を得ている印象があります。
その意味では、これから富裕層を目指す人は、投資自体を頑張るのも大事なことではあるのですが、そもそもの入金力を得るためにある程度稼げる職業に就くか、自分でビジネスを始める以外の選択肢はないと感じています。
最も自由にお金を使えているのは中小企業のオーナー
ーー入金力があった方々が多かったとのことで、元々は起業家や経営者、または役員などの幹部の方が多いのでしょうか。また、どのような業界の方々が多いのでしょうか。
おっしゃるとおりで、起業家の方々が多いです。
業界については、さまざまな業界の方々がいらっしゃいます。
最近になって気づいたのですが、お金を最も自由に使えるのは誰だと思いますか。
ーー中小企業のオーナーでしょうか。
その通りです。
中小企業の地方のオーナーが最も自由にお金を使っています。単に社長で役員報酬や配当があるからというだけでなく経費も使えますので。
起業してもし仮に上場させることができたとしても株は売りづらいです。
会社員は出世しても税金が高いですし、経費を自由に使えないことがほとんどです。
多様な富裕層の方々と交流をしましたが、お金を最も自由に使えるのは中小企業のオーナーであると改めて実感しています。
ーー投資に関する考え方や仕事、人生観などについて、富裕層の中で何か特徴的なパターンはありますか。
投資、特に金融系の投資に対しては強い興味を示す人が多くない印象です。
株式投資についてもあまり活発ではなく、私が観測していない範囲で取り組まれているかもしれませんが、あまり話題に上がることはありません。
不動産投資については興味を持つ人が多く、実際に投資している人が多数いらっしゃいます。
自分でコントロールできることが多いという点で事業と似ているからかもしれません。
シンガポールでクリプトを扱っている方々の多くも、元々は事業を経営していた方が多いです。
そのほか、バイアウトした方、現在も事業を続けている方、自分が会長になって配当だけで生活している方などさまざまな方がいらっしゃいます。
日本の状況に対しては悲観的、シンガポールについては高評価
ーーそういった方々が現在、いま懸念していることはなんでしょうか。
よく議題に挙がるのは、日本の社会システムや仕組みに対する懸念です。
年金や人口の減少、少子高齢化、そしてその固定化された状況を改善したいと思っていても変えづらいという問題です。
ほかにも、日本の状況に対するビジョン、リーダーシップ、目標、解決策が全く見えないという声も多いです。
シンガポールに移住している方々の意見なので、一定のバイアスはあると思います。
ーー日本の状況についてはネガティブに見ているとのことで、シンガポールについてはいかがでしょうか。
統制がしっかりと行われていて、小規模な政府のために意思決定が迅速であり、合理的に動ける環境が整っているという点を評価している人が多いです。
これについては私も同意します。
リバタリアン的な考え方では政府による規制が強すぎると感じるかもしれませんが。
富裕層になりたければ投資よりもまず先に起業すること
ーーこれから富裕層を目指す場合、何が重要だと思いますか。
富裕層になるために一番確実なのは、投資よりもまず先に、自分で会社を立ち上げ自分自身が社長になることです。
それも自身が100%株主のオーナー社長になることが理想です。
難しいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、間違いなくこの方法が最も確実です。
いまこの記事をご覧の方が医者や弁護士などのプロフェッショナルでない場合、できるだけ早く起業することをお勧めします。
起業で成功した方を一発屋と揶揄する人もいますが、例えばウェブマーケティングのような分野は再現性が高く長く活動している方が多くいらっしゃいます。
そこで一つの成功を収めれば、次また成功できる可能性は高いでしょう。
もう一つのアドバイスは、市場価値の高い専門性を身につけ、英語を学ぶことです。
自分だけができることを見つけ、その分野で価値を生み出すことで高い収入を得ることが大事だと思います。
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今回インタビューに協力いただいた三原氏が取り組むサービスはこちら。
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