日本でハイパーインフレ、有事が訪れた場合に個人としてなにができるのか Cygnos・三原 弘之氏

bitbank COOを経てCygnos Capitalを運営する三原 弘之氏に、日本でハイパーインフレ、有事が訪れた場合に個人としてできる対策などについて伺いました。

三原 弘之氏 プロフィール

早稲田大学を卒業後、楽天株式会社にエンジニアとして入社し、楽天市場の開発業務に従事。2014年、ビットバンク株式会社へ社員第一号として参画し、執行役員COOとして国内最大級の仮想通貨取引所へ成長させる。現在は海外クリプトヘッジファンドの戦略へ分散投資する日本初のファンド、Cygnos Crypto Fund を運営。Twitter:https://twitter.com/h3hara Cygnos:https://cygnos.capital/ https://overseas.cygnos.capital/

取材実施日

2023年11月15日

日本でハイパーインフレ、有事が訪れた場合に個人としてなにができるのか

ーー日本でハイパーインフレーション、有事が訪れた場合に個人としてできることについてどのように考えていますか。

前提として、ハイパーインフレと有事で取るべき対応は大きく変わると思います。

仮に、ハイパーインフレだけを想定するのであれば日本の土地を買うのもありですが、有事で政府が強権を発動するのであれば土地を買っても意味がないかもしれません。

参考:戦争が起こると税金はどうなる? ~終戦後に起きた課税と預金封鎖 | 辻・本郷 税理士法人

インフレが起きたときに持つべき資産は金や不動産、外貨が一般的ですが、外貨も選択肢から外れるようであれば前者の二つに絞られます。金に加えてビットコインを入れるのも良いでしょう。ただ、金はETFではいざというときに動かせないので、注意が必要です。

そのほか、物価に連動して給与が上昇している職種もあるはずで、外貨を稼げるように海外企業の仕事をリモートで受けられるようにしておくことも、日本のみでハイパーインフレが起きているのであれば有効な手段でしょう。

ーーハイパーインフレの対策として、外国語の習得やビザ、不動産の取得を推奨する声もありますがいかがでしょうか。

ハイパーインフレだけの対応であれば、資産のマネージメントさえできていれば生きていけますので、外国語の習得、ビザは不要でしょう。ただ、海外企業でリモートで働けるようになると有利かもしれません。

物価に連動して物件価格も上昇しますし、家賃収入も得られますので不動産を買うのもいいと思います。土地を保有している場合は本人の資産状況や土地等の諸条件にもよりますが、太陽光発電を活用してビットコインをマイニングするのもお勧めです。

有事における資産保全、資産移動を想定するのであれば、ビットコインはノンカストディアルなウォレットで自身で管理すべき

ーー有事についてはいかがでしょうか。

有事の定義にもよりますが、もし日本政府が日本国内の資産の海外移転を禁止した場合、海外口座を持っていてもヘッジできないという事態も十分にあるかと思います。

完全に没収されるという可能性は低いと思いますが、自由に資産を動かせなくなるなど、政府がよりコントロールしやすい状況に置かれる可能性は高いでしょう。

現物のビットコイン、金であればそのようなリスクもヘッジできますが、ビットコインをいま保有している人の多くは取引所に置いていますよね。

取引所で働いていた私が推奨するのは変な話ではありますが、有事における資産保全、資産移動を想定するのであれば、ノンカストディアルなウォレットで自身で管理すべきです。

取引所に限らず、ビットコインのETF、マイニング株も同様です。価格がビットコインに連動しており、税制的に有利であることから推奨する声を見かけますが、資産保全、資産移動の自由という意味では全く意味がありません。

また、有事を想定して手に職をつけておくという話もありますが、私は海外ではホワイトカラーよりもブルーカラーにニーズがあると考えています。

昔、日系人が米国、ブラジルに移住した際には、比較的すぐに始められて手先も器用で真面目ということもあり、クリーニング屋、散髪屋から始めたという話があります。

移住受け入れ側の気持ちを考えればわかりますが、高所得者が移住してきて、自国の職を奪われては反発も生まれます。そういった意味でも、ブルーカラーにニーズがあると思います。

参考:ブエノスアイレスに日本語名のクリーニング屋が多い理由|ニューズウィーク日本版
参考:現役の洗染業者の和田佐代子(わだ・さよこ)さん 移民の肖像

真に仕組みを理解せずにビットコインを管理するのが最も危険

ーー有事を想定したビットコインのノンカストディアルウォレットでの管理について、ハードウェアウォレットとペーパーウォレットなどがありますが、選択肢や特徴を教えてください。

ペーパーウォレットが紙に秘密鍵を書くという意味だとすると、管理が面倒、貸金庫などの費用がかかるからか、使っている人が少ない印象で、事故の話はあまり聞きません。

あくまで私の予想ですが、ハードウェアウォレットを使っている人のほとんどは、ウォレットを家の中に置いてシードフレーズを自分の家の金庫に入れる、パソコンで管理する、パスワード管理ツールで管理する、という人が多いと予想しています。

しかし、これらは事故が起きますね。パスワード管理ツールで管理するというのも便利だと思いますが、ハッキングのリスクはあります。

紙、鉄などの現物でパスワードを管理するという方法もありますが、家の中に置いていたら盗られる可能性があります。

では貸金庫で保管しようとなるのですが、貸金庫は月に1、2万円ほどの費用がかかってしまい、払えない、払いたくない人が多いのではないでしょうか。

参考:三井住友銀行の貸金庫 : 三井住友銀行

ーーノンカストディアルウォレットでの管理について、ハードウェアウォレットとペーパーウォレット以外の選択肢はありますか。

スマホのウォレットで管理して鍵は紙に書くという方法もありますが、結局は仕組みをある程度理解しないと、自分が何をやっているのかわからなくなってしまうんですね。それが一番危ないと思います。

ハードウェアウォレットを買って資金を移動させても、パスワードの管理が甘ければ別の経路での盗難、ゴックスのリスクが高まります。

また、細かい送金テストも意外とみんな行っていません。

例えば、トレザーを買っても、トレザーを二つ買って、一つにビットコインを入れてみて、そこで出てきたパスワードが他のトレザーでちゃんと動くか、出金できるかも確認した上で大きい額を入れるべきですが、意外とそこまでしている人は多くはありません。

いくらハードウェアウォレットで管理していても家に来られたらヘッジできない

ーー送金テスト以外にハードウェアウォレットやペーパーウォレットで管理する際にやった方がいいこと、やってはいけないことはありますか。

絶対にやってはいけないのはオンラインで秘密鍵、パスワードを管理することです。当たり前のことですが、意外とやっている人が多いです。

そのほか、強盗のリスクも無視できないでしょう。いくらハードウェアウォレットで管理していても、家に来られたらヘッジできません。このリスクは昔から私も恐れています。

日本ではまだないと思いますが、取引所の人が誘拐、脅されたというニュースも海外では少なくありません。日本でもこれから増えるかも知れません。

参考:仮想通貨取引所EXMO社取締役が100万ドル分のビットコイン身代金で解放【続報】 | Cointelegraph

ビットコインだけを管理したいのであれば、コールドカードやジェイドなど、ビットコインにしか対応していないハードウェアウォレットの方が事故に合う可能性は低いでしょう。

コールドカードなどの場合は端末自体をPCに繋げる必要がなく、完全にオフラインで操作できるためウイルスが入らないという側面もあります。

最終的には、強盗のリスクがあるから銃の使い方を知っておいた方がいい、格闘技をやった方がいい、といった話に行き着く

ーー「デジタル・ゴールド」では、「秘密鍵をオフラインのノートパソコンとUSBに保管し、それらを貸金庫で保管」というエピソードがありました。手間やコストを除けば、このような方法で保管するのが究極の保管方法なのでしょうか。

そういった方法もあると思います。また、乱数生成でバグがあると危ないため、究極はサイコロではないでしょうか。

繰り返しになりますが、自分で調べて十分に理解しなければ、どのような方法をとろうとも、「自由に移動できるビットコインを常に安全に持っている」という状態にできないのです。

本当に突き詰めてやるのであれば、自分で理解してやるしかありません。

ーー極端にはシードフレーズを全て記憶するという方法もありますが、いかがでしょうか。

私は聞いたことがありませんが、頭を殴られて忘れたら終わりなのでさすがに危ないと思います。

ーー結局どこかで鍵を管理することになりますが、どの選択肢をとってもコストやリスクがつきまとうということですね。

最終的には、強盗のリスクがあるから銃の使い方を知っておいた方がいい、格闘技をやった方がいい、とそういった話に行き着く気がします。

有事を想定した事前のビザ取得とその条件や国々

ーー有事を想定して準備していることがあれば教えてください。

いくつかの国のビザは常に見ていますね。知り合いの中国人には、こういったリスクのヘッジのために6ヶ国のビザを保有している人もいます。

有事になってからビザを取る、ビットコインを買う、引き出すというのはおそらくできませんので、興味がある方は平時のうちからビザの取得、ビットコインのノンカストディアルウォレットでの管理をお勧めします。

ーー日本人が取りやすいビザというのはあるのでしょうか。

少し前であればタイランドエリートでしたが、ちょうど最近、大きく値上げされてしまっています。

しかしタイランドエリートに限らず、オーストラリア、ニュージーランド、ドバイ、ポルトガル、マルタ、米国、ドバイ、マルタなど、その国が指定する資産、期間、金額を投資すれば投資家ビザを取得することが可能です。

資産というのは現地の株や債券、不動産などで、金額はその国によって異なりますが、数千万円から数十億円ほどがだいたいの条件です。

国によっては、ご自身で会社を経営している方であれば、現地に法人を設立し、その法人から自身に対してビザを発行するという方法もあります。

労働ビザになるため更新ができない可能性もありますが、会社を経営したことがある人は、そちらのほうが気軽に始めやすい、楽かもしれません。

Cygnosから日本の法人向けにマイニングに関するサービスを提供予定

ーーそのほか、ハイパーインフレや有事に関して考えていることがあれば教えてください。

ビットコインのマイニングはハイパーインフレ、有事のいずれにおいても有効だと思います。

また、それらの理由抜きでも、ビットコインを現物で得られる、法人であれば節税に使えるなどメリットが多く、日本の法人で広めていくためにCygnosでもサービスの提供を予定しています。

また、マイニング周辺では過去に詐欺などさまざまな問題もありましたので、真っ当なサービスをCygnosから提供したいという想いもあります。

ーーではサービスリリースの際にまた詳細を伺わせてください。リリースはいつ頃を予定されていますか。

実は既にクローズドで始めていますが、一般公開はもうすぐの予定です。

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今回取材にご協力いただいた、Cygnos・三原氏が提供するクリプト移住・海外法人設立サービスはこちら

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