bitbank COOを経てCygnos Capitalを運営する三原 弘之氏に、Cygnosのマイニング事業の概要や利点などについて伺いました。
三原 弘之氏 プロフィール
早稲田大学を卒業後、楽天株式会社にエンジニアとして入社し、楽天市場の開発業務に従事。2014年、ビットバンク株式会社へ社員第一号として参画し、執行役員COOとして国内最大級の仮想通貨取引所へ成長させる。現在は海外クリプトヘッジファンドの戦略へ分散投資する日本初のファンド、Cygnos Crypto Fund を運営。Twitter:https://twitter.com/h3hara Cygnos:https://mining.cygnos.capital/ https://cygnos.capital/ https://overseas.cygnos.capital/
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取材実施日
2024年1月17日
日本企業がビットコインのマイニングに参加できる「Cygnos Bitcoin Mining」
ーーCygnosで新しく始められたビットコインのマイニングサービス、「Cygnos Bitcoin Mining」について教えてください。(サービスページはこちら)
前提として、本サービスは日本の法人様のみに提供しており、マイニングマシンの購入は1,000万円から可能です。
その上でですが、まずお客様にマイニングマシンを購入、所有いただきます。
そして、そのマシンを弊社の米国のパートナーの工場に送り、設置、稼働させることでお客様のウォレットにビットコインを積み立てることができる、というサービスです。
在庫さえあればマシンの購入から最短二週間ほどでマイニング開始まで可能です。
米国のパートナーとのやり取りは弊社が行うため英語は必要なく、稼働後は工場で実際のマイニングマシンの稼働を見学することも可能です。
ーー利用にあたってどのような費用が発生するのでしょうか。
お客様には、最初に購入いただくマイニングマシンの費用、毎月お支払いいただく電気代、マシンが故障した際の修理代などが発生します。
毎月の電気代は基本的には採掘したビットコインの売却益を充てます。
修理代は内容によりますが、それほど高額でなく100ドルほどで済むことが多いです。
日本法人でビットコインを保有でき、節税効果も見込め、米国のマイニング工場を利用できるのが利点
ーー「Cygnos Bitcoin Mining」の利点について教えてください。
メリットは三つあります。
一つ目は、日本法人でビットコインを保有できる点です。
現在の日本において、法人でビットコインを保有するためには一定の手続きや事務処理が必要などハードルがあり、KYCも煩雑です。
そのため、興味があっても保有できていない企業が多い印象ですが、本サービスでは、開始手続きからビットコインの着金まで全て弊社を通して行われ、手続きや事務処理が非常にシンプルです。
二つ目は、節税としても有効である点です。
一般的に、マシンの購入費用を初年度に50%、2年目に25%、3・4年目に12.25%を償却できる四年の定率法で費用として計上し、節税に活かすことが可能と言われています。
詳細についてはご自身の法人の担当の税理士に確認ください。
計上方法について、以前は初年度100%を推している業者の方もいましたが現時点では不可で、以前ほど節税効果は高くありません。
そのため、メリットの一つとして挙げさせていただいたものの、節税だけが目的であれば本サービスはお勧めしていません。
三つ目は、米国のマイニング工場を利用できる点です。
日本は、電気代が高いため国内でマイニングしたくてもできないというのが現状ですが、米国は日本に比べ電気代が安価です。
また、中国やロシア、カザフスタンなど米国よりも電気代が安価な国もありますが、そのような国は政治情勢が不安定であり、マシンの盗難や電気の供給が止まるリスク、治安もよくないなどデメリットが多々あります。
その点、米国は世界最大のマイニングのハッシュレートの集積地であると同時に、比較的、政治情勢や治安が安定していますし、ビットコインのマイニングを産業のひとつとみなしており、州や国としてもバックアップしているなどマイニングの環境が整っています。
参考:米テキサス州フォートワース市、ビットコイン採掘を行う全米初の市政府に(米国) |ジェトロ
マイニングが電力価格の安定供給に貢献している
ーー米国はマイニング環境が整っているとのことですが、よく指摘される環境への負の影響についてはどのように捉えられているのでしょうか。
おっしゃるとおり、よくマイニングは環境に悪いと指摘されますが、実際、マイニングに使用される電力の多くは再生可能エネルギーが用いられており、環境にはそれほど悪くないことがわかっています。
参考:ビットコインマイニング 再生可能エネルギーの比率は50%以上に=ブルームバーグアナリストが指摘 | Cointelegraph
また、米国では、マイニング企業は地域に電力の安定供給をもたらすとしてポジティブな認識が広まりつつあります。
例えば、テキサス州の電力市場はフリーマーケットが用いられており、年間を通じて、電気代が上昇するなど変動があります。
マイニング企業は、電気代が高騰した際にはビットコインを採掘するよりも地域に電力を供給することでより高いリターンを得ますが、マイニング企業によって電力が供給されるということは、それだけ電力価格の高騰が抑えられているということです。
つまり電力価格の安定化に貢献しているわけです。
地域の消費者はより安く電力を利用でき、マイニング企業もマイニングよりも高いリターンを得ることができる。地域も企業もビットコイナーも幸せになる仕組みができているのです。
実際、あるマイニングの上場企業の売上の半分程度は地域への売却益、残り半分がビットコインのマイニングによる売却益のようです。
これまで捨てられていたはずのエネルギーがビットコインのマイニングによって電力として価値保存され、より需要が大きい場所へ価値を移動させることが可能になった
ーー非常に興味深いお話です。
そのほか、極東などエネルギーはあるがエネルギー以外には何もない地域では、人口も少なく、このような地域のためだけに電力を発電するのは勿体ないとされていました。
しかし、もしそのような地域にマイニング施設を作って電力を供給することができれば、地域に電力の需要があるときは供給し、需要がないときはビットコインをマイニングする、といったスキームも可能です。
つまり、これまでは捨てられていたはずのエネルギーが、ビットコインのマイニングによって電力として価値保存され、その時々のより需要が大きい場所へと価値を移動させることが可能となったわけです。
これらは以前からビットコイナーが主張してきたことですが、最近ようやく認められつつあります。
参考:「ビットコインマイニングは、州の電力網にとっても恩恵に」米テキサス州で議論|CoinPost
参考:ビットコインマイニング、電力と環境にメリット【オピニオン】|CoinDesk JAPAN
ーー米国マイニングが活況なエリアはどこなのでしょうか。
今はミッドウエストのエリアが人気で、弊社が組んでいる米国のパートナーの工場もこのエリアです。
テキサス州の中でも西側に寄るほど気温が上がり砂だらけの地域も出てくるため、マイニングはしづらくなっていきます。
マシンへの影響を考慮すると涼しいエリアが望ましく、ハリケーンなど災害の多い地域はマイニングに向いていません。
ビットコインのマイニングはハイリスク・ハイリターンであり、楽してリスクなく儲けられるものではない
ーーリスクなどネガティブな側面についても教えてください。
前提として、お客様にはサービス開始時のマシンの購入費用と、マイニングマシンを稼働させるための毎月の電気代をご負担いただく必要がありますが、毎月の電気代というのは、その月に採掘して得られたビットコインの一部を売却しお支払いいただくのが一般的です。
その上でですが、ビットコインの価格が大きく下落、もしくは電気代が高騰してしまった場合、採掘して得られたビットコインの価格と発生した電力の価格が逆転し、お客様に持ち出しで電気代をお支払いいただく場合があります。
100万分のビットコインの採掘に対し、電気代の支払いに110万円が必要になる、といったイメージです。
電気代の高騰については、例えば、将来12ヶ月分の電気代を事前に一括で購入いただくなどによりヘッジが可能です。
そのため弊社としては、お客様にはマイニングに必要な電気代を契約時に一括支払いされること、ビットコインの価格が下落し続けても電気代が払えるよう余剰資金で行っていただくこと、の二点を推奨しています。
ーー理解しました。リスクも一定あるのですね。
ビットコインのマイニングは基本的にハイリスク・ハイリターンであり、楽してリスクなく儲けられるという類のものではありません。
そのため、本サービスはどのような企業様にもご利用いただきたいというよりは、ビットコインのマイニングにロマンを感じる方やビットコインの未来を信じている方、一定のリスク・リターンを受け入れられ、かつ余剰資金のある企業様にご利用いただきたいと考えています。
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全2回のCygnosのマイニングサービスのインタビュー、後編に続きます。
Cygnos・三原氏が提供するサービスはこちら。
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