トレーダーの壇上氏に、勝てないトレーダーの共通点などについて伺いました。
壇上氏 プロフィール
暗号資産のトレーダー。2018年、20代で会社員のころに暗号資産のトレードを始める。現在はトレードを減らし、実業にシフトしている。
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取材実施日
2024年2月7日
同じミスは繰り返さない、知識がない取引には手を出さないなど負け癖を減らせば、いずれ勝ちに転じていく
ーー勝てないトレーダーの共通点や犯しがちな失敗について教えてください。
勝てないトレーダーは、他責思考の人が多いと感じます。
まぐれで勝つというのは往々にしてありますが、理不尽な理由で負けるというのはあまりなく、負けた取引には必ず原因があります。
時間をかけてでも負けた取引について自分なりに昇華しきれなければ、おそらくいつまでも負け続けるでしょう。
最終的に勝てるようになるかどうかは別ですが、負けを減らすだけで、勝ちに転じやすくなると思いますね。
犯しがちな失敗については、欲を出して負け、焦って損を取り返そうとしてさらに負ける、というのが多い印象です。
ーー「負けを減らす」について具体的に教えてください。
例えば、一度したミスを繰り返さないように工夫する、ということですね。
私の場合、桁を間違えて注文してしまったら次回から指差し確認するなど、初歩的な対策も馬鹿にせず真面目に行います。
また、ナンピン買いの失敗をした際は、私はナンピン買いは出来ないと感じ、それからは行っていません。
同様に、勝ち方が分からない取引にも手を出さない方が良いでしょう。
同じミスを繰り返す、どうしてもメンタルで負けて同じことを繰り返す、という人はもうトレードはしないほうが良いと思いますね。
減らなかったはずのお金をわざわざ自分で減らしてしまうなら、一旦はトレード以外のことに集中して、一度自分の中で整理した方が良いのではないでしょうか。
ーー「焦って損失を取り戻そうとしてしまう」は対策が難しい印象です。
安定して勝てた体験があれば、多少損失を出しても「どうせ最終的には勝てるからいい」と割り切れるようになり、焦って取り戻そうとしなくなります。
大きな逆転シナリオを求めるのではなく、損も出しつつコツコツ勝てるような自分に合ったトレードの構築を目指すと良いでしょう。
そして自分のトレードを見つけられたら、それを信じて、一回負けようが三回負けようが「どうせ最終的に勝つ」と勝つまで取引を続けることが重要だと思います。
「今のチャートは2017年夏のあの時のチャートと似ている」と即座に連想できるくらい凡人はチャートを覚えるべき
ーー「勝った実績があれば焦って損失を取り戻そうとすることもなくなる」について、納得感がありますが、勝つ実績を積むまでが難しい印象です。必要な考え方やコツがあれば教えてください。
私の場合、目を閉じても各銘柄の時系列ごとのチャートの形が脳裏に浮かぶほど過去のチャートを覚えました。
ほとんどのトレーダーは凡人であり、凡人なら凡人らしく、リアルタイムのチャートを見ながら「今のチャートは2017年夏のあの時のチャートと似ている」と即座に連想できるくらい自分の中に染み込ませるなど、地道な努力の積み重ねが大事でしょう。
一日10時間以上デスクに座って、チャートを見て、データを集計し、傾向を探って仮説を立てるといった、そういった一連の作業が苦じゃない人であれば、おそらくトレードには向いていると思います。
逆にそういったプロセスを楽しめない人は、トレードに向いていないでしょう。
ーー「目を閉じても各銘柄の時系列ごとのチャートの形が脳裏に浮かぶほど過去のチャートを覚えた」とのことですが、どの時間軸のチャートまで見ていたのでしょうか。
時期によって違いますが、ビットコインについては2017年から2020年までは1分足のチャートまで見ていました。
その後、私のトレードの時間軸が長くなり、1分足ではノイズも出てしまうため、2021年以降は5分足、2022年以降は15分足から見ています。
2023年からはトレードから少し距離を置いており、あまり見れていませんね。
一日10時間以上のチャート分析も楽しかった
ーー「一日10時間以上チャートを分析するようなプロセスを楽しめない人はトレードに向いていない」とのことですが、壇上さんは睡眠を2時間にして取り組んだ時期や会社員を休職してからは丸一日取り組んでいた時期があります。そのような時期も楽しんでトレードや分析に取り組めていたのでしょうか。
全然苦ではなかったですし、楽しかったですね。
Pineスクリプトを覚えることから始めましたが、私はエンジニアではないので、自力でコードを勉強して書いたり、手探りで勉強、分析しましたが、一番楽しい時期でした。
ーー今はいかがでしょうか。
今は全然楽しくないですね。
トレードそのものより、知識を調べること自体が楽しいタイプで、儲かるのは嬉しいですが楽しくはありません。
マエダイさんのようにゲーム感覚で楽しんでトレードできる人が強いトレーダーだなと思います。
ーーマエダイさんのお名前が上がりましたが、勝てるトレーダーの共通点があれば教えてください。
無理して逆転しようとしない点でしょうか。
やがみさんもそうですが、一回損失が出ても気にしないし焦らない。
「どうせ最終的には勝つ」と自信を持っているのは共通していると思います。
破産しない範囲で試行錯誤して勝ちパターンを見つける
ーー勝てない人にとっては自信を持つまでが難しいですね。
まずは自分が破産しないように、自分なりに勉強しながら小さなロットでも良いので試行錯誤して勝ちパターンを見つけて実績を作っていく。
小さな額でもいいので勝つまで試行錯誤ができるかどうか、それがトレーダーにとって大事な素質だと思います。
センスだけで勝てているように見える人もいますが、どのようなタイプのトレーダーであっても何かしら自分なりに考えて取引していますし、自分の軸を見つけたあとはそれを信じてトレードしている印象です。
ーーセンスのあるトレーダーとはどのような人でしょうか。
今はいなくなってしまったヤジュトレさんという方は伸びるアルトコインを見つけることがとても上手な方でしたね。
FTXが使われ始めたときも、早い段階から利用し、ソラナ関連の銘柄などその後に伸びるアルトコインを見つける嗅覚が優れていました。
他の人には真似できないタイプです。
やがみさんはロジックが頭の中にある人で、頑張って情報を聞き出して言語化できればある程度の人は近いラインまでは儲けられるのではと思います。
頭が良い悪いは問題ではない。頭が悪いなら悪いなりに泥臭い努力を積み重ねる
ーー話を戻しますが、頭が良いか悪いかよりは、自分の頭で考えられるかどうかがトレードにおいて大事なのですね。
頭が良い悪いの問題ではないですね。
頭が悪かったら、それなりに時間かけて泥臭い方法でチャートを丸暗記するなど努力をすれば良いだけの話です。
結果が出るまで早い遅いの違いはありますが、そこはおそらく重要ではないでしょう。
ただ、その努力を続けられるモチベーションや根気があるかどうかは重要な要素です。
トレーダーのBBBさんが、「勝てないのは面倒くさがるからです」と言っていましたが、自分で調べる努力をせず面倒くさがる人は勝てないでしょう。
トレードで勝ったお金を何に使ったか
ーートレードで得たお金で買ってよかったものがあれば教えてください。
コンビニで値札を見ずに買えた、食べたいものを金額を気にせず食べに行けるようになった、というのはあるかもしれません。
普段からそれほどお金を使わず、トレードで勝てるようになっても多少生活水準が上がったという程度ですが、快適さが得られたという点においてトータルでは豊かになったかなとは思います。
贅沢がしたくてトレードを始めたわけでもないので、トレードで勝ったからバッグや車など贅沢品を買ったというのはありませんね。
ーー「クリプトトレードは、不動産やその他金融資産など、簡単にクリプトに戻せない場所にお金を移して初めて、「勝ち」って言えると思う」といった意見もありますがいかがでしょうか。
戻せても良いとは思いますね。トレードしようがしまいが、身を持ち崩さなければその人の勝ちだと思います。
どこに資産を移すかというより、結局、自分が得たお金をマイナスにせず、ゴールドや家、もしくは生活水準を上げるなど、何らかの価値に換算できたなら、それで良いと思いますね。
私にとってはまだトレードは投資ではなく投機の段階です。投資と言えるほどのレベルまでは練り詰めていない。
だったらそこで得た金はあぶく銭です。
そのあぶく銭を有意義なものに使えたなら勝ちだと自分では思っていますね。
ーーこれまでのトレードで得たお金について、今後は事業の資金や貯蓄などに回すのでしょうか。
そうですね、本業で使うか、貯蓄するか、誰かに提供して事業をやってもらうのも良いと考えています。
何かしらの形でお金は回したいですね。
ーー最後に読者へメッセージをお願いします。
まずは自分のレベルを把握し、分不相応な欲さえ持たなければ大負けはしないと思います。
大勝ちに過度に期待せず、まずは負けないことを目指して、少しずつでも勝ち続けることを目標とするのがよいかと思います。
大勝ちしているトレーダーに憧れを持つというのは決して悪いことではありませんが、彼らほど上り詰められる人はそうそういません。
高望みしている自覚があるのであれば、その夢は捨てて分相応なトレードに移していった方が安定して勝てるようになりますし、充実したトレードライフが送れると思います。
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