「パブリックブロックチェーンの恩恵をより多くの人に」をパーパス(存在意義)に掲げ、暗号資産を使った資産形成や運用サポートの事業を展開しているHashHub。暗号資産のコワーキングスペースを提供する事業からスタートし、リサーチ情報の配信、レンディングサービスとビジネスを広げている。さらなる成長に向けて2022年8月に新たな全社ビジョンを策定したHashHubの代表・平野淳也氏とHashHub Researchマネージャーの城戸大輔氏に、HashHubの理念やサービス内容について聞いた。
平野淳也氏 プロフィール 起業家・経営者。株式会社HashHub 代表取締役CEO。 学生時代に衣料品・物販事業を創業して譲渡。2013年頃から暗号資産領域へ活動を広げる。個人での投資活動や国内外企業へのコンサルティングを行う。2017年には合同会社d10n Labを創業して暗号資産領域のレポートサービスとしてユーザー数が国内有数の規模に成長する。 2018年にHashHubに創業メンバーとして参画して2019年にCEOに就任。 Twitterアカウント:https://twitter.com/junbhirano
城戸大輔氏(HN:Da-) プロフィール 有料暗号資産メディアへの2年半リサーチをはじめ、数々のメディアへリサーチを寄稿。預入額Top10に入るDeFiプロジェクトの日本コミュニティマネージャーとしてグラントを獲得。2021年から国内最大手の有料メディアの1つであるHashHubリサーチで責任者を勤める。 Twitterアカウント:https://twitter.com/otukarehitoiki1
インタビュー・編集:内田 誠也 執筆:山本 裕司
クリプトの「ワクワクと経済性」を広く伝えたい
――HashHubの事業について教えてください
平野 現在の主要な事業は、暗号資産で中長期の資産形成を図る「HashHubレンディング」と、パブリックブロックチェーン、つまり暗号資産をはじめとしたプロダクトやサービスに関するレポートを配信する「HashHub Research」の2つです。
創業は2018年で、当時はクリプト業界で仕事をする人を対象としたコワーキングスペースの運営が本業でしたが、やがて私が個人で運営していたオンラインサロンを原型にして、HashHub Researchを始めました。
HashHubレンディングは2020年11月に先行リリースという形で始めて、21年12月に正式リリースしました。
コワーキングスペースの運営は今もやっていますが、事業としてはResearchとレンディングが2本柱で半分ずつくらいリソースを注力しているという感じです。
――Researchについて、具体的なサービス内容を教えていただけますか。
城戸 HashHub Researchでは有料会員向けの記事を配信していて、一部、無料で読める記事もあります。
情報提供のターゲットとしているのは、自分で考える力がある人、暗号資産について一定以上の知識がある人で、初心者には少し難しい内容となっていると思います。ただ、これは現状のターゲットで、対象となる人も広げていくつもりです。
我々は会社のパーパスとして「パブリックブロックチェーンの恩恵をより多くの人に」を掲げ、ミッションを「クリプトのワクワクと経済性をどこよりも追求し、プロダクトに宿す」としています。
つまり、より多くの人にパブリックブロックチェーンのことを知ってほしい、その恩恵を受けてほしいと願っています。
だから、Researchではクリプトのワクワクするような面白さを伝え、なおかつ、クリプトで利益を得るお手伝いをしたいという気持ちで情報を発信しています。
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投資判断の材料提供がHashHub Researchの役割
――具体的にはどのような記事があるのですか。
城戸 情報の内容としては、読者に気づきを与えることを重視していて、ただのプロダクトの紹介で終わらないように気を付けています。
記事の種類にはいくつかあるのですが、例えばプロダクトに関するものであれば、プロダクトのポイントだけではなく、そのプロダクトの役割や、どのような応用が考えられるのか、今後どう発展していくのか、といった考察を非常に大事にしています。
例えばNFT向けのAMM(自動マーケットメーカー)のsudoswapを紹介した記事では、単なるNFT取引のツールだけでなく、NFTの流動性を高めてNFTfiと呼ばれるNFTを使ったDeFiにも応用ができるといったことまで解説しています。
参照:sudoswapの概要 従来型NFTマーケットプレイスとOpenSea(Seaport)とのアプローチ比較
プロダクトの可能性や将来性、それについて筆者はどう考えるのかといった深い内容まで言及することで、読者も自分なりに考えて、何らかの気付きを得てほしいと考えています。
これはプロダクトのワクワクする部分の紹介ですが、もちろん、それだけではなくて経済性、読者がそれで経済的な利益を得られることも重視しています。
投資や運用の際に最適な判断ができるような材料もできるだけ多く提供したいと思っています。
読むと、自分にはなかった気づきが得られ、「クリプトって面白いな」と思っていただける、さらに経済的利益も手にできる、そういったメディアを目指してます。
個別のファンダメンタルズからマクロまで、暗号資産のディープな情報を網羅的に提供
――多くの投資に関するメディアがありますが、その中でどのように独自性を出していきたいと考えていますか。
城戸 確かにさまざまなメディアがあって、ネットで検索すると多くのものが出てきますが、それぞれ投資手法などを重視したり、ニュースを主に扱っていたりと特色があります。
そのなかでHashHub Researchの特色といえば、ワクワクと経済性と気づきという3点になると思います。
もちろん、我々が提供する記事の中には「ステーブルコインの運用をどうするのか」といったファンダメンタルズ寄りのものもありますし、「世界情勢から見たビットコインやイーサリアムの立ち位置」のようなマクロ寄りの記事もあります。
筆者にはリサーチャーという私や平野のような内部の人間と、コントリビューターと呼んでいる外部のライター様がいるのですが、コントリビューターは特定の分野に精通して独自の視点から考察を展開してくれる人ばかりです。
▼コントリビューター例
こうした筆者による一歩踏み込んだ記事を幅広い分野で読めるというのが特色ですね。
――他のメディアと比べても幅広い分野を網羅しているという印象があります。
城戸 現在、1,100以上の記事があるので、かなりの分野を網羅していると思います。
単に網羅しているという面ではニュースメディアには適いませんが、ある程度時間が経ってから読んでも参考になるストック型の記事という意味では、かなりの分野をカバーしていると思います。
特にコントリビューターは特定の分野に詳しい人ばかりですので、それぞれが得意分野で深い考察をしてくれています。そのおかげで、広がりも深みもあるコンテンツになっています。
レンディング事業でクリプトの恩恵をより多くの人へ
――HashHubレンディングの事業について教えていただけますか。
平野 HashHubレンディングは、我々のなかでは金融関連サービスという位置づけになっていて、会社組織としては金融事業部で事業を行っています。
この部署ではレンディングのほかにも、暗号資産を使ったさまざまな金融関連サービスを提供していきたいと考えています。
レンディングサービスについて説明すると、ユーザーと我々の間で消費貸借契約を締結して、我々に暗号資産を貸し出してもらい、毎月貸借料をユーザーに支払うというものです。
これによってユーザーは長期的に資産形成を図れます。現在の貸借料率はビットコインで3%、イーサリアムで5.5%です。(2022年10月時点)
今後も有望な暗号資産を中長期保有して値上がりを待つとともに、インカムゲインも手にしていただくというサービスです。
短期の売買で利益を積み上げていくトレードとは違って、中長期の資産形成は、自分でルールを作りそれを守ってさえいれば、大抵はスキルや詳しい知識がなくても失敗するリスクを減らす事ができます。
レンディングも、自分の裁量で資金を動かすのではなく、我々に貸し出し預けっぱなしにしておけば、自然に資産形成できるわけで、中長期の資産形成のツールの一つとして活用していただきたいと思っています。いわば、ローリスクローリターンの商品というわけです。
だから、誰でも安心に利用していただくという点を重視していて、リスク管理を強化していますし、 今後より積極的な情報開示にも取り組んでいく予定です。
今後、4、5年経って暗号資産が普及していくにつれて、貸借料率が低下していく可能性もあります。
しかしできるだけ高い料率を維持していこうと考えていますし、今後は賃貸料として受け取った分を使って買い物ができるといった便利なサービスの開発も進めていきたいと思っています。
効率的な事業形態、リスク管理体制で高い利率と高セキュリティを目指す
――高い貸借料率を維持していくためにどのようなことをしているのですか。
平野 大きく2つのポイントがあります。1つはHashHub Researchという事業を持っているという点です。
クリプト業界は日々変化していて、絶えず幅広い分野での出来事を追っていかなければならないのですが、HashHub Researchというメディア事業を持つことで、リサーチに費用をかけることなく、しっかりと新たな状況に対応できます。
またHashHub Researchを通じて、PRや集客を図れるため、広告費もかからない。こうした形でコストを削減できるというのが1つ目のポイントです。
もう一つは、貸借契約が1カ月の自動更新になっていて、自動更新されると翌月末まで解約できないというルールになっています。
ここはユーザーにご容赦いただかなければならない点なのですが、資金を引き出そうとしたときには最短でも30日、タイミングによっては約60日間待っていただかなければならない。
こうすることで、我々は毎月の資金量を管理して、安定して運用できる。「急に1億円分の暗号資産を返還しなければならなくなった」といった事態は起こらず、1カ月先の返還額はすぐに計算できる。
こうして、取引コストを抑えることで、高い貸借料率を維持しています。
――リスク管理も必要ですね。
平野 もちろん、リスク管理にも力を入れていて、ハードウェアやネットワークが外部から攻撃されないようワークフローを構築してチェックしています。
資金の取り扱いについても厳格なルールを定めて、ミスやトラブル、もちろん間違っても内部のスタッフによる犯罪行為が起きないようにしています。
あとは万が一に備えて、引当金のような形で資金を割り当てています。
銀行などの金融機関とは違い、暗号資産の場合は会計上、リスクに備えた引当金の計上が認められていませんが、リスクに対応するため対策を講じています。
――2022年8月に新たな会社のビジョンを策定しましたね。
平野 はい、それがさきほど城戸の言った「パブリックブロックチェーンの恩恵をより多くの人に」です。
我々はパブリックブロックチェーンの恩恵を引き出し、社会に価値をつくる集団です。そのためには、まずは多くの人にパブリックブロックチェーンの魅力や将来性を知ってもらい、その恩恵を享受していただかなければならない。
今はレンディングやリサーチという形で限定的にしか恩恵を提供できていませんが、まだやるべきことはたくさんあって、将来、価値を届けられる未来のユーザーは確実に存在している。そう信じて事業に取り組んでいます。
HashHubの事業内容や理念について熱く語っていただいた平野氏と城戸氏に、次回はご自身の投資体験や手法について語っていただきます。
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