インフレヘッジとしてのビットコイン、投資家たちの間で本当に需要は高まっているのか?

前提

この記事は、ビットコイナー反省会の動画を書き起こし・要約した記事です。掲載はビットコイナー反省会様に許可をいただいております。書き起こしについて快くご許可をいただきました運営様にこの場を借りて改めてお礼申し上げます。

ビットコイナー反省会とは

ビットコインを中心に、仮想通貨、ブロックチェーン関係の専門的なトピックを黎明期から多分日本では最も深く議論しているチャンネルです。 日本国内の黎明期からビットコイン、ブロックチェーン業界の豪華ゲストを呼びつつ、楽しく、真面目に話しています。

ホスト

Koji Higashi。ビットコインのポテンシャルに魅了され、2014年からフルタイムで関連事業に取り組む。日本のビットコイン業界の草分け的存在の一人。ビットコイン、ブロックチェーン業界においてプロダクトマネジャー、コンテンツクリエイター、マーケターなど多角的に活動しており、国内外で認知されている。Twitterアカウント: https://twitter.com/Coin_and_Peace

参照動画

出演者情報

アズムデ アミン
クリプタクト代表取締役
2003年にアメリカのメリーランド州立大学を卒業後、2004年2月にゴールドマン・サックス証券東京支店に入社。当時、自己勘定部門であったGSPS(株式運用部)のテクノロジー部門に配属され、2005年末にアナリストとして同運用チームに異動。
2007年12月にゴールドマン・サックス・インベストメント・パートナーズに改組。運用担当者として上場株、未上場株、債券、金利スワップ、金利先物、為替、デリバティブの投資を行い、ポートフォリオのリスク管理も兼務。
2014年1月にマネージング・ディレクターに昇格。
2017年12月に退社し、株式会社クリプタクトを起業。

この動画の公開日

2021/07/05に公開された動画で、収録はそれよりも前です。当時の内容として読んでいただければと思います。

コロナ禍のいまとリーマンショック当時、なにが金融や経済の状況はなにが違うのか

東晃慈氏 リーマンショックのときは住宅市場のすごい壊滅的なダメージを受けてその回復にめちゃくちゃ時間かかったっていうところに対して、今のコロナだと、むしろV字回復してきてるという違いがあって。住宅価格も家賃も上がってて。

僕はそれを聞くとむしろリーマンショックのときより今の方が怖いなと思うんですよね。実体経済自体がダメージを受けてるのは間違いなくて。例えば最近、台湾はローカル感染が広がって今はマイルドなロックダウン。お店の中で飲食ができないとか、全部テイクアウトオンリーて感じでお店とかバンバン潰れてる。

アメリカも日本もそうかもしれないですけど、そういうロックダウンチックな生活がずっと続いて、少なくとも個人で感じるレベルでは景気は全然良くなってない認識なんですよね。お店とか潰れてるし、業種によってはすごいきついみたいな。

一方、そういうすごいダメージを受けてるセクターあるのに、住宅価格、株式市場とかいろんなものの価格がすぐに回復してるっていうのは、僕は怖いなと。例えば、金融緩和をやりまくった結果、表面的に株式市場や住宅価格の上昇が起こってるだけなところがあって。

そこはどうでしょうか。それともリーマンショックのときの方がダメージが大きかったから、回復に時間かかるのは当たり前というか、別に今のコロナによる経済のダメージはリーマンショックのときと比較してもまだ懸念する状況ではないんじゃないかとかっていうのはどうですかね。

アズムデ アミン氏 いや今まさに東さんがおっしゃった怖いっていう気持ちは私にもあります。先ほどおっしゃったように観光業、飲食店、旅行、空運とか鉄道とかその他諸々の人の移動に頼っている業種はやっぱ苦しいですし、その辺の経緯、業種の回復はもう少し時間かかるでしょう。

ただその一方、リーマンショックのときはここまで全世界的にSaaSの事業市場がなかったし、例えばオンラインのストリーミングやデータサービスとか、SNSにしても何にしても、オンラインで稼ぐ手段がここ10年間で急激に増えてきている。

だから、外に出られてない分、オンラインでお金を使ったりという面もある。すごい二極化はしてしまってるんだけど、GDPの落ち込みも激しかった分、景気全体で見ると戻りも早いし、個人消費・オンライン消費は急に回復しているので、前回になかったような様子が今回あります。

ついでに、やっぱお金はあるんですね。お金があって富裕層はめちゃくちゃ調子いいし資金がどんどん膨らんでる中で、中間層も株に投資したり、仮想通貨に投資したり、それが全部上がって手元に流動性があるんですね。

そうすると住宅価格が上がっても、車の価格上がっても買い続ける。リーマンショックとその辺の違いを気にしないと、特に中央銀行とか、財政面でそれを気にしないと本当に怖い結末が待ってる可能性はあると個人的に思ってます。

東晃慈氏 リーマンショックのときは富裕層も含めて結構ダメージを受けてる認識ですけど、今は富裕層はむしろ二極化してるけど、案外調子がいい。だからいろんなものの価格が上がってくるのもある意味自然といえば自然、ということなんですかね。

そうするともうしばらく続くんですかね。手元にお金があって、株だったりビットコイン、仮想通貨も調子がいいってなると。この好景気が続くのか、そこら辺はどうでしょうか。

連銀メンバーから住宅価格・住宅市場のバブル的な状況に対してテーパリングの声が出てきている

アズムデ アミン氏 現状が変わらなければそうなるんでしょうね。この一番大きなリバっていうのが金融緩和が続くかどうかっていうところだと思うんですけど。

みんなは永久に方針転換はして欲しくない。仮想通貨は少し調整はしてるんだけども、株価も1年前と比べれば高い水準にあって。揺らさないで欲しいっていうのが市場の見方なんでしょうね。

突然引き締めや利上げ、テーパリング議論が強まるとこのお祭りが終わりを迎え始めるので。それがない限り、今の状況は続く可能性はありますね。

東晃慈氏 テーパリングなんかいきなり結構ガラッと変わってきて、新しいインフラのデータが出て、意識され始める時期って感じなんですか。

アズムデ アミン氏 最近は連銀のメンバー4人が住宅価格・住宅市場のバブル的な状況に対して言及し始めてるので、やっぱ懸念してるんですね。

ていうとテーパリングで、今FOMCが毎月80ビリオンの国債と40ビリオンのMBS住宅ローンの証券化されたものを購入し続けているので、このMBS住宅ローンの証券化商品を、一番先に打ち切った方がいいんじゃないかっていう声が出てますね。

今の住宅市場はもうこれ以上支える必要がない、むしろ少し冷やした方がいいんじゃないかっていうメッセージが出始めてるので、そこは個人的に注目してます。

ビットコインはインフレヘッジであるという発想がある程度根付いた

東晃慈氏 次のトピックに。手元にお金があるってところもあってか、高いインフレの水準が出てるってことで。アメリカの著名な投資家がドルのシットコイン化というか、ドルがトラッシュだという発言がよく見るようになった。

その流れで、ビットコインはそれに対してインフレヘッジとして機能するからいいよねみたいな見方をしてる投資家がすごい増えてるなあという認識をしてます。

テーパリングをするかどうかみたいな話は、同時にビットコイン自体も影響されるのは当然あるんですけど。

ただそれよりもっと長い視点でも、今のドルは仕組みに問題があって、ドルの価値が下落しているのに対してビットコインをポートフォリオの一部に入れた方がいいみたいな話が増えたと思うんです。

アメリカの金融業界だったり投資家の層っていうのも、そういう意識が当たり前になりつつあるんですかね。

アズムデ アミン氏 著名投資家とかよくテレビやメディアに出てくる連中は、やっぱりインフレリスクとポートフォリオの分散効果も含めて、特に昨年の秋口からビットコインを組み入れ始めた人たちも多い。

企業もマイクロストラテジー、テスラ、Twitter、スクエアでもそういったような戦略を見せてきた中で、アダプションが進んでますね。金の代替っていうような側面もあったり。

インフレを気にしてる人たちは、今回でビットコインへの恐怖とか、ビットコインへの心配が少し減ったような気がするので。

規制面で最近うるさくなってる話をいったん置いといて。中長期的に、構造的に彼らがビットコインを自分のポートフォリオの一環として見てくれる気がしますね。

東晃慈氏 でもそれもまだ始まった段階で、まだまだお金の流入は始まりに過ぎないって感じなんですかね。

アズムデ アミン氏 データを見ると秋口からビットコインファンド、ビットコイン絡みの商品に大量にお金が流れてたかと思うんですけど。

同じタイミングで金からお金が出てたので、金の一部をビットコインに移してるっていうような動きがあったような気がします。最近その動きが減速してるっていうか、逆風が始まってるんですけど。

立場・位置的にはビットコインはインフレヘッジであるっていう発想がある程度根付いたんじゃないかなとは思います。

東晃慈氏 規制面で厳しくなってきてるって話があったんですけど、アミンさんマネロンの話も興味があるというか、得意な分野なんですか。

アズムデ アミン氏 自分の興味は多岐にわたる分野なので常に追いかけてます。

東晃慈氏 僕はそこら辺も実は興味ある。最近マネロン関係の規制の話増えてるんで。アメリカ主導の話が多いじゃないですか。

日本で細かい部分を追ってたりとか全体像を把握してる人ってあまりいないと思うので、そのへんを次回話せば面白いかなと思いました。何か追加であれば、最後教えていただければ。

ドルが回復し始め、株式・暗号資産・住宅価格・コモディティなど全資産クラスに影響し始める

アズムデ アミン氏 インフレの話が今後どうかっていう話なんですけど。前回のFOMCの決定会合後に、ガラッと市場の見方が変わって。

結論がまだ出てないっていうのが正直少し不安を感じてるところ。ドルの信頼性が落ちたりドルがシットコインだって見方がずっと浸透してた中で、今月に入ってからドルが結構反発しちゃってるんですよね。

実質金利も下がったり、ドルに対立するようなメッセージが市場の中に現れてるのはどうかと思うんですけど。

ただ、やっぱドルの信頼性はある程度戻り始めてるような気がします。パウエル議長をはじめとした連銀メンバーはインフレがあったとしても放置する、見て見ぬふりをする。

僕は元々ハイパーインフレなんて全く恐れてなかったし、アメリカがハイパーインフレになるんだったらもうこの世の終わりだと思ってる。

なので私はその可能性は1%もないとはずっと思ってたんですけどでも、やっぱそれを見てた人たちは、いたのはいたと思うので。

その中で連銀メンバーが放置しない、ちゃんと金利を気にする、金融市場の面倒見てくれるっていうふうに少しメッセージ性が変わってきてるタイミングで、インフレヘッジが下がっちゃってるんですよね。金も今月はひどい状況だし、その辺は気にしなきゃいけないなとは思います。

ドルが回復し始めると、引き締めをある程度見に行ってる局面に入るとは思うんですけど。かなりいろんな資産クラス、資産価格に大きく影響を与えます。株式もそうですし、暗号資産も住宅価格もコモディティも全部そうです。

過剰流動性が逆戻りを始めるっていう発想になれば、かれこれ11ヶ月、12ヶ月のこのお祭の最後の花火が打ち上げられるタイミングが見えてくるので少し怖いとは思います。

東晃慈氏 それはドルのシットコイン化というかドルはシットコインだと言われたのが、反転して他のものが相対的にシットになっていくという。

アズムデ アミン氏 シットになるかどうかっていうのはともかく。相対的に価値が落ちた分は、それをある程度取り戻す。ドル対比での価値が目減りするていうのが、個人的には不安だなと。

東晃慈氏 最後、クリプタクトさんの宣伝というか、メッセージあればお願いします。

アズムデ アミン氏 いつもクリプタクトをお使いいただきありがとうございます。クリプタクトは暗号資産の損益計算から始まって、かれこれ3年経ちます。

資産管理ポートフォリオ機能、昨年も幅広く株式と為替も、その他もろもろの資産も扱えるSNSの部分であるアイディアブックを立ち上げたり。

ディスカッションとかコンテンツ提供も、私も斎藤も力を入れて、仮想通貨をはじめとした総合的な金融情報金融ツールのプラットフォームを目指しております。

今足元も開発が進んでいて、暗号資産絡みの資産管理の機能拡張であったり、損益計算上のさらなる機能拡張だったり、いろんなところに力を入れて、ぜひ皆さんに楽しみにしていただきたいところです。

近日中にもいろいろ発表できたらいいなとは思う。

※クリプタクトのサービスはこちら:https://www.cryptact.com/

東晃慈氏 何かニュースが出せるかもしれないって感じそうですね。楽しみにしてます。はい。ポートフォリオ機能とか我々50万円チャレンジでいつも使ってますけどそれも、それも改善をされて、を入れようとしてます。

自分的にもかなり期待してます。あれをやっぱり見て一喜一憂してる人も結構いると思う。ポートフォリオ見て。

アズムデ アミン氏 そこは我々もある程度使命だと思ってるので、なるべくそれに応えたいと思っております。

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