「いずれ儲かるだろうということがわかっていても損切りや利確まで待つプロセスは嫌」トレーダー・壇上氏 2/3

トレーダーの壇上氏に、印象的なうまくいった取引などについて伺いました。

壇上氏 プロフィール

暗号資産のトレーダー。2018年、20代で会社員のころに暗号資産のトレードを始める。現在はトレードを減らし、実業にシフトしている。

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取材実施日

2024年2月7日

2024年2月7日時点でのビットコインのチャートに対する見立て

ーー「バブル相場は上がり続けて日足レベルでは押し目がなく、入るタイミングがないため苦手」というお話がありました。それほど俯瞰して見れているのであれば現物を握っておく選択肢もあると思うのですが、そうしないのは自身の得意なトレードに徹したいからということでしょうか。

ずっと現物を握ったままでもいいんですが、一旦目標にしてたのは40,000ドル、48,000ドルで、そこから折れる見立てでその通りに取引しているだけなんですよね。

48,000ドルから一直線に7万ドルを抜く強い上げという見立てには懐疑的で、機会損失が生じる可能性を考慮しても一旦ここで利確して様子を見よう、と。

次は30,000ドルか35,000ドルで他の人より安く拾えればよくて、わざわざ他のトレーダーと同じ土俵に立って今の価格帯で殴り合わなくてもいいかなと思って、いまはノーポジですね。

▼2023年10月から取材日の2024年2月7日までのビットコイン/米ドルのチャート。43,000ドルで膠着状態となっているが、記事掲載の2月下旬ごろでは51,000ドル付近まで上昇

ーー私は2019年のチャートパターンに近しいと思い、38,000ドル付近まで下がると見ていましたが、直近2週間はレンジでむしろ上がりそうに思えています。壇上さんから見ていかがでしょうか。

半減期がやたらと注目されていますが、半減期が来てもすぐには往々にして上がらないので、私はここから下げてダラダラする2019年の3月から5月あたりのパターンになるんじゃないかなと見ています。

半減期から1年後に相場が動くことを考えれば、今焦ってポジションを持たなくてもいいかなと思います。

これで上がっちゃったらごめんなさい、爆上げしてたら下手くそってことで。

▼2019年1月から2020年5月までのビットコイン/米ドルのチャート。6月に14,000ドル弱をつけたあと下げている。

ーー記事掲載がおおよそインタビュー日である2024年2月7日の1ヶ月後なので、記事掲載時には上か下かどちらかには動いていそうです。

折れるとしたら32,000ドル、35,000ドルぐらいはいくと思いますし、もしそこまで下げたらポジションを持つと思います。

※編集者注:記事掲載時ではビットコイン/米ドルは61,000ドルほどを推移

ーーそれは直近の48,000ドルまで上がっているチャートや2019年のチャートを考慮するとそれぐらいまで下がっても不思議ではない、ということでしょうか。

そこまで下がってもいい、そこまで来たら買いやすい、ということですね。

ベストは32,000ドルまで下げて反発ですが、基本的には願望通りには価格は動いてくれないので35,000ドルから32,000ドルのあたりで買いたいですね。

なので35,000ドルまではなにも触りません。

「馬鹿になって人生を賭けてトレードする」というのはできなくなったので自分はトレードで上がれない側

ーー印象的なうまくいった取引について教えてください。

まだトレーダーとして駆け出しの頃ですが、BitMEXでXRPのチャートが初動で伸び始めたタイミングでフルレバでロングに入ったところ、資産が5倍になったというのがあります。

リターンが大きく一番印象に残っているトレードですが、まぐれの要素が強くギャンブル的な成功だったと思います。

そのほか、草コインが伸びて価格が5倍に上昇、アンプルという独特な動きをするアルトコインで利益を出したりというのもありましたね。

勉強してコツコツ積むトレードとは別の取引で、そっちのほうが意外とリターンの絶対額は大きかったりしますね。

また、個人的な印象ですが、暗号資産は馬鹿になった方が儲かる印象です。

ーー「暗号資産は馬鹿になった方が儲かる」について私も同じ意見ですが、学習が進むと逆に馬鹿になりにくくなり難しさを感じます。

私は分相応の儲けがあればいいと考えてトレードしているので馬鹿になって人生を賭けてトレードするというのはできなくなりましたが、それはそれで自分の器だと思って諦めていますね。

資産額が大きくなったり、学習が進んでもあえて意識的に馬鹿になって大きなリスクをとれる人もいますが、おそらくそこがトレードで人生が上がれる人と上がれない人の差なのだと思っています。

なのではっきり断言できますが、私はトレードで上がれない側です。

ただ、そもそもトレードで一生生活していく気もないですし、生活していけないとも思っているので上がれない側で問題ないと思っています。

いずれ儲かるだろうということがわかっていても、損切りや利確まで待つプロセスは嫌

ーーではトレードはいつまで続けるのでしょうか。

勝てそうなタイミングがあればもちろん今後も取引していきますが、基本的には実業にシフト、実業の拡大に注力する方針です。

チャートを分析したり、ロジックを考えるのは好きなんですがトレードそのものは好きではなくて、実業のほうがストレスも小さいので。

ーートレードのほうがストレスが大きいのは、ポジションをとって緊張したり、負けた際に悔しいなど、そういうことでしょうか。

そうですね、裁量で取引している限り、そういったストレスからは離れられません。

私の場合、ある程度抑えるようにしつつも、損切りが一定発生する取引スタイルで、やっぱり損切りはストレスがかかりますよね。

損切り率が4割だとして、絶対数として結構出るわけじゃないですか。勝つときは一気に伸びるけれど、損切り自体は、細かくしないといけない。

また、勝つ取引でも、利確のタイミングまでずっと待たなくてはいけません。

いずれ儲かるだろうということがわかっていても、その作業はやっぱり嫌ですよね。

損失が発生しない労働の方が楽でいいです。

労働自体が嫌なのではなく、上司に指示、管理されることが嫌だったということに気づいた

ーートレードに慣れた今でも損切りで痛みを感じるのですね。

実際にお金が減ってるわけですからね。仕方がないと受け入れはしますが、不愉快は不愉快です。

ーーいまは労働の方が楽しいのでしょうか。

楽しいというか、性には合っていると思います。

ーー労働が嫌でトレードで一発当てたいというトレーダーが多い印象ですが、壇上さんは労働が性に合っているからこそトレードにおける心の余裕に繋がっている印象があります。

出勤や、上司に管理、指示されるのが嫌で消去法的にいま一人で仕事しているのですが、もう会社員には戻れないですね。

なのでいまの労働がこれがこけたら行き場がなくて、のたれ死ぬかもしれません。

行き着く先がトレードなのか、自営業なのか、選び方は人それぞれだと思います。

ーー壇上さんがトレードを始めた際のモチベーションもそこでしょうか。

元々は働きたくないというモチベーションでトレードを始めましたが、自営業で一人で働き始めてみたところあまりストレスがなく、いまはそれが定着していますね。

労働自体が嫌なのではなくて、上司に指示、管理されることが嫌だったということなのだと思います。

月次の利益をすべて吹っ飛ばすような大失敗をしたときに、その損失を1日、2日で取り返せるかというとそれは無理

ーー印象的な失敗した取引についても教えてください。

失敗はたくさんありますね。

ロットの桁を間違える、ナンピン買いしたアルトコインを全て失うなど、一般的なトレーダーあるあるは私も一通り経験したと思います。

ーー失敗した取引に対してはどのように防止していますか。

失敗しても特別な防止策はありませんね。仕方がないとしか言いようがありません。

今振り返っても各失敗は腸が煮え返る思いですが、やってしまったものはしょうがないですよね。

また、失敗しても短期的に取り戻そうとはしません。

ーーそれはなぜでしょうか。

例えば、月次の利益をすべて吹っ飛ばすような大失敗をしたときに、その損失を1日、2日で取り返せるかというとそれは無理です。

それだけのポテンシャルが本当にあるのであれば、最初から1日、2日でそれぐらいの利益を積み重ねられているはずです。なので焦って取り返そうとしてもさらに傷を深めるだけなんです。

それまで積み上げた日数と同じ日数をかけて取り戻すか、他のことで儲けるか、どちらか覚悟を決めてもう一度稼ぐしかないですね。

コロナショックでの原油の暴落時にロングして損失を出す

ーーでは特に大きく失敗した取引について教えてください。

コロナショック時の原油の取引ですね。

原油の取引経験も知識もなかったのですが、原油の価格が暴落する中で「価格は暴落しているものの世の中で原油が不要になることはないだろう」と思ってロングしたのですが、その後も下げ止まらず最終的には損切りして大きな損を出しました。

10ドルから入り最悪でも1ドルを背にすればと考えていたので、価格がマイナスまで下落した時は驚きましたね。

ーーそのほか失敗した取引があれば教えてください。

これは失敗した取引というわけではありませんが、わからないものに手を出さないことによって無駄な損失を回避できているものの、その分自分の視野を狭めて儲ける機会を失っているはずなんですよね。

わかりやすい損失として可視化されていないものの、こういった機会損失を認識しておくことも重要だとは思っています。

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全3回の壇上氏のインタビュー、最後の3記事目に続きます

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