トレーダーの灯篭氏に、過去の印象的な取引などについて伺いました。
灯篭氏 プロフィール
2008年に株式トレードをはじめ、2017年より暗号資産に全面的に参入。これまでに150以上のWeb3プロジェクトや企業、DAO等にて様々な活動を行い、2023年3月にはWeb3コミュニティ『Crypto Hiroba』を創設。
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取材実施日
2023年11月29日
2008年の金融危機を機に株式投資を開始
ーー投資に関するご経歴について教えてください。
最初の取引は2008年、ちょうどサブプライムローンやリーマンショックで騒がれていた頃で、日本の個別株への投資から始めました。
ビットコインについて初めて知ったのは2016年ですが、実際に購入したのは2017年2月頃です。それまでは主に株式を取引していましたが、この頃からはポートフォリオの100%を暗号資産に替え、日本円もほとんど保有していません。
トレーダーとしてDeFiやNFTなどに触れているうちにライティングやマーケティング、Twitterやコミュニティの運営など様々な暗号資産関連の業務を受けるようになりました。
今年の2月からは「Crypto Hiroba」というコミュニティの運営も始め、直近ではブロックチェーンを活用したトークンベースのアプリケーションの開発に着手し、リリースに向けてプロジェクトを進めています。
ーー2008年に株式の取引を始めたきっかけについて教えてください。
当時、リーマンショックで市場は大暴落していて、「株はこのような時にこそ買うべきなのでは」と考えたからですね。
それで任天堂とソフトバンク関連銘柄を買ったのですが、結果論ではありますがこれはいい取引になりました。
任天堂は私自身が子供ながらにゲームが好きだったから単に選んだだけで、初めての取引ですし深い洞察があったわけではありません。
「企業が潰れることなく、長期間存続することさえできれば将来的に大きなリターンが期待できる」
ーー2016年までの取引について教えてください。
バリュー投資的な発想で割安な銘柄に投資することが多かったのですが、最初の取引が金融危機のタイミングだったということもあり、「企業が潰れることなく、長期間存続することさえできれば将来的に大きなリターンが期待できる」という考え方で取引していました。
そのほか、短期での取引や優待を目的とした取引も行っていましたね。
一般的に配当と優待はセットで考えられがちですが、「株式会社は株主のものである」という原理原則から考えれば、会社から株主への配当はプラマイゼロなので意味がないと思っています。一方で、優待はそれを活用できる人とそうでない人がいて、適切に活用することができればアドバンテージになるということもあり、投資の際にはよく見ていました。
ーー過去の株式投資のなかで、特に印象に残っている取引について教えてください。
読者の方には不快に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、あえて取り上げさせていただくとすれば、2011年に発生した東日本大震災での取引です。
震災直後は日経平均が8,000円代まで下落するほど暴落しましたが、復興による特需でそう遠くないうちにリバウンドする銘柄があるはずと考え、建築関連の企業に投資し、これがうまく行きました。
ただ、多くの人々が不幸に見舞われる中で、このように経済的利益を目指すことに道徳的な葛藤もあり、悩んだ時期もあります。
※編集者注:当該インタビューは2023年11月29日に実施
ーーお気持ちは察しますが、灯篭さんのような買い手がいなければ暴落する市場の中で売り手はもっと安い価格で株式を売却しなければならなかったはずで、批判されるようなものではないと私は思います。
そうですね、そういった側面もあるとは思います。
インドネシアでの体験からビットコインの可能性を認識し、クリプト投資を決意
ーー暗号資産への投資を始めたきっかけについて教えてください。
一番は、2016年のインドネシア旅行で財布を盗まれた経験がきっかけです。
現地へ向かう最中の機内で、カードも現金もない状況になってしまい、友人に送金してもらったことで何とか帰国することができましたが、この送金時の体験から、国際送金の課題を痛感しました。
また、現地でスマートフォンを持つ人々の多さや銀行口座を持たない方々の状況を目の当たりにし、ビットコインの有効性も感じました。
そのような経験もあり、2014年のマウントゴックス事件後の市場の低迷を経て2017年初頭に最高値を更新した際、投資対象としての魅力も感じ、実際に資金を投下することになりました。
ーー2021年以降はどのような取引をされていたのでしょうか。
2021年は仕事が忙しくなったということもあり、ビットコインの4年周期に合わせて最も良い時期に売り最も悪い時期に買うというすごく単純な取引に終始していました。なので取引も2年に1回程度だったと思います。
そのほか、DeFiプロジェクトへの流動性の供給やレンディングの利用なども一部で行っていました。
5ヶ月のスキャルピングで400円を60万円に増やす
ーー15年にわたる取引で、特に印象的な取引について教えてください。
2017年後半から2018年にかけて行ったZaifでのスキャルピングでしょうか。
たまたま、その時アカウントに入っていた400円からスタートしたのですが、スキャで1日に数百回取引し、開始から5ヶ月後には60万円まで増やすことができました。
絶対額は小さいのですが、率では1,500倍と高いリターンを出せたということもあり、印象に残っています。
ーースキャルピングとのことですが、具体的にどのように取引されたのでしょうか。
初期はロットも小さいので、ビッドとアスク間の隙間を利用したマーケットメイク的な取引をメインにやっていました。100万円、1,000万円の元手ならそう簡単には約定しませんが、400円だと指値も簡単に拾われるため、結構簡単に増やすことができます。
Zaifのビットコイン以外の全ての板で取引していたのですが、1回で10%程度の利益を得ることもあり、数万円までは効率よく増やせましたね。
ーーなぜZaifだったのでしょうか。
当時のZaifはアルトコインのリスティングも豊富で、板取引ができたというのが大きいです。ほかの取引所は販売所形式だったり、アルトコインの取り扱い銘柄が少なかったりとちょうどいい取引所がなかったので。
国内外のマーケットにおける価格の歪みを利用したアビトラ
ーーそのほかに取り組んでいた取引などがあれば教えてください。
当時、Zaifで$SJCXというトークンが取り扱われていたのですが、このトークンがチェーンを変更するため、一方的なトークンのスワップを行っていました。
分散型ストレージ系の$SJCXというトークンに対し$STORJを一対一で交換していたのですが、この交換によって生じた歪みを利用して利鞘を取ったり、アビトラを行っていました。
そのほか、国内外のマーケットにおける価格の歪みを利用したアビトラも行っていましたね。国内での取引量が多いアルトコインの場合、海外の取引所と比較し高い価格で取引されていることが多く、海外から仕入れて日本で売る、またはその逆の取引を行っていました。
海外のトレーダーは日本の取引所を利用できないという参入障壁もあり、この取引も結構うまくいきました。
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灯篭氏の全3回のインタビュー、2記事目に続きます。
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