いまのインフレ・金利上昇相場はなにが起きているのか。改めて状況を整理

2022年に入り米国株式市場のボラティリティは高まっています。インフレを抑えるためにFRBが政策金利を大幅に上げると予想されていることが大きな要因です。

なぜFRBは金融緩和から一転して急速な利上げを進めるのでしょうか?

今回は直近のインフレ・金利上昇相場が把握できていない方向けに、改めて直近の動向についておさらいします。

コロナショック以降、世界中が金融緩和を行い株価が支えられていた

コロナショック以降、世界中で大規模な金融緩和が行われてきました。金利はゼロ水準となり、資金が市場に大量に流入しました。

その結果、金融緩和によって供給された大量の資金が株式市場にも流入し株価は上昇していきます。

コロナショック後の急激な株価の回復、上昇の主因は世界各国が行った金融緩和です。

出典:tradingview.com

これは、アメリカのマネーストック(市場に供給されている通貨の量)と金利の推移です。

ご覧のように2020年のコロナショック時に金利がゼロ金利となり、それと同時に大量の資金が市場に流れていることがわかります。

この大量の資金が株価を押し上げました。

出典:tradingview.com

NYダウとナスダック指数のチャートです。(NYダウが黄線、ナスダックが青線)

コロナショックにより2020年始めに大幅に下落するものの、大規模な金融緩和により短期間で株価は急回復します。

その後も金融緩和の長期化や政府の莫大な経済対策による景気回復期待から株価は上昇し続け、2021年にはNYダウやナスダック100指数などは過去最高値を記録します。

特にコロナ禍によるDX化の流れを追い風にハイテク銘柄が多いナスダック指数は2021年の終わり頃にはコロナショック時の下値から約3倍程度まで上昇しました。

バリエーションとしては割高な状況でしたが、金融緩和と将来の期待により短期間で株価がここまで株価は上昇したのです。

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インフレ退治のため金利を上げる

状況は2022年に入り急変します。

ロシアのウクライナ侵攻や中国の都市封鎖による影響で、資源価格の高騰や物流の停滞が問題となり始めました。また、ワクチンの普及によりコロナ禍が落ち着いたことで経済が再開され、モノやサービスの需要が高まったことで、需要に対して供給が足りなくなったのです。

そのためアメリカ国内では今年に入り急速にインフレが進みます。

出典:tradingview.com

これはアメリカのインフレ動向を測る重要な経済指標であるCPIの推移です。ここ最近急激に上昇していることがわかります。

急激なインフレの進行を食い止めるため、FRBは当面はゼロ金利政策を続けるとしていた方針を転換し利上げを実行します。

FRBの当初の計画では、段階的にテーパリング(金融緩和の縮小)を行う予定でしたが、予定を変更し急速に金融引き締めへと舵を切ったのです。

2022年に入り金利引き上げを連続実施

FRBは今年3月に政策金利を0%-0.25%から0.25%-0.5%へ引き上げました。

その後も5月に0.75%-1.00%に引き上げた後、インフレが加速していることがCPIなどの指標で判明すると、6月、7月のFOMCでは相次いで0.75%の大幅金利引き上げを実施しています。

これにより現在の金利は2.25%-2.5%となりました。

これは米国の政策金利の推移です。

コロナショック時にゼロ金利まで下落ししばらくはそのままでしたが、今年に入り急激に金利が引き上げられています。金利の引き上げはこれで終わりません。

FRBのパウエル議長はインフレ根絶のために利上げを継続することを表明しており、市場は金利が4%強まで引き上げられることを織り込み始めています。

これにより企業業績の悪化や景気後退が懸念され、ジャクソンホールでこの発言があった8月26日のNYダウは1,000ドル以上の大幅下落となりました。

CPIなどのインフレ指標は6月でピークアウトしたと思われており、市場参加者は早くも2023年の利上げを意識し株価も6月を底に回復基調となっていたところでした。そこでこの発言がでたので、大きなネガティブサプライズとなった模様です。

このように今年に入り金利の引き上げ見通しにより株価は大きく乱高下しています。

今後、金利がさらに上昇していく中で、米国株式を中心としたリスク資産の価格はどのように推移していくのでしょうか。

過去の1961年以降の各金利上昇相場において株価がどのように推移しているのかまとめた記事はこちらです。