「ビットコインは海外送金に便利だった」2013年に資金の1/3を投じた初期ビットコイナー 中島宏明氏 1/2

2013年からビットコインを保有し、リップルやイーサリアムなどの暗号資産も早い時期から購入していた中島宏明氏。バリ島に移住していた時期もあり、インドネシアのバリ島でアパートも経営している。

若い頃から、経営者や起業家、投資家との交流を広げ、いつしか暗号資産やブロックチェーンと関わるようになったという。

そんな中島氏に、暗号資産と関わるようになったきっかけやバリでのアパート経営などについて話を聞いた。

インタビュー・編集:内田 誠也
執筆:山本 裕司

中島宏明氏 プロフィール
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主に投資家、顧問・アドバイザーとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

大学時代にハイエクの「貨幣発行自由化論」を読む

――ご経歴を教えてください。

学生時代は、美術史や表象文化論など芸術や文化の勉強をしていました。絵画や写真、映画、小説などを扱っていて、それがいまの文章を書く仕事に繋がっているとこもあるかもしれません。映画のシナリオなども書いていましたし。

当時、経済学者のフリードリッヒ・フォン・ハイエクの「貨幣発行自由化論」も読んでいました。ビットコインはハイエクの理論を具現化したものだなどと言われますが、私はそういう経済学的な読み方をしていたわけではありませんでした。

インタビュー中の中島氏

お金には仲介する役割がありますよね。そういう意味で、私はお金をメディア(媒介)だと考えていて、そのお金というメディアが統制を受けずに自由に発行される世界って面白いなと思っていました。

ビットコインを知ったときは、ハイエクの理論とはすぐに結びつかなくて、多くの人がハイエクとの関連を言い出してから、私もそういえば、と思い出しました。

――大学卒業後は会社に就職したのですか。

大学卒業後はいろいろあって大手求人会社の代理店で働き始めて、テレアポから原稿も書くところまで、何でもやっていました。それからしばらくして、求人広告会社が制作部門をアウトソーシングするという話がありまして、委託会社の責任者を探しているという話があって、そちらの仕事を始めました。

そういうのも、いまの執筆のお仕事に繋がっていると思います。

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ビットコインの海外送金の便利さに魅力を感じ資金の1/3を投じる

――ビットコインはいつ頃から保有しているのですか。

ビットコインの存在を知ったのは2013年で、実際に保有したのも2013年です。

当時、妻からバリ島で暮らしたいという話が出てて、実際に準備も始めたのですが、海外送金がめんどうでした。

まず、書類が多くて、受取人とはどういう関係なのか、何のためのお金なのかなどを報告しなければならないんです。どうして自分のお金を動かすだけなのに、こんなに手間がかかるのだろうか、と疑問に感じました。

そのうえ、相手先にお金が届くまで5営業日かかったりする。

手続きは面倒、日数もかかる、そして手数料も高い。すごくストレスを感じていたそのときに、たまたま知り合った経営者にビットコインを教えてもらったんです。海外で事業をしている人でした。

――2013年といえば、ビットコインがあまり知られていなかった頃ですよね。

そうですね。私も最初は詐欺かと思いました。怪しい人に怪しい話をされているという感じで。

当時は、ネットで検索しても日本語ではほとんど情報がありませんでした。英語で検索すると出てくるんですが、専門用語が多くてよく分からない。

そこで、とりあえずウォレットを作って試しに使ってみたのですが、送金が早いし便利だということで、お金を入れてみることにしました。

当時は将来の値上がりとかは一切、考えていなかったですね。ただ、送金に便利だし一定持っていようかな、という。

それで、当時1BTC=20ドル弱くらいのときに、そのとき持っていた資産の三分の一をビットコインに換えました。もともと投資やトレードとして保有したわけではなかったので、いまでもずっと放置しています。

▼2013年前後のBTC/USDのチャート。13ドルから380ドルほどで推移している。

出典:tradingview.com

もちろん、日本円に換算したときの資産はそれなりに増えていまが、それは勝手に増えたというだけでそれ以上でもそれ以下でもないです。

イーサリアムの契約や取引が自動化に将来性を感じて投資

――ほかに暗号資産は持っているのですか。

リップルとイーサリアムを買いましたね。あとはビットコインがハードフォークしたときに、ビットコインキャッシュをもらった。なので暗号資産で持っているのはその4つだけです。

これらも最初に買って保有したまま放置していますね。リップルとイーサリアムを持ったのは2015年くらいです。

――どんなきっかけで買おうと思ったのですか。

友人に、ネクストビットコイン的な面白いものがあるよと言われたのがきっかけです。

この頃、「暗号通貨(クリプトカレンシー)」といった呼び名は日本では普及していなくて、ビットコインとリップルやイーサリアムは、別のものという感覚があったような気がします。

リップルはライアン・フガーが論文を書いてクリス・ラーセンらが開発しましたが、彼らは早くから、ビットコインは将来的に送金が遅くなり手数料も高くなるって言っていた。

当時はスケーラビリティ問題の議論も一般的ではなくて、理論上の話みたいな受け止め方をされていた印象です。私は、言われてみればそうかもしれないと思って少しだけ気になったというところでした。

イーサリアムは、スマートコントラクトの話を聞いて、ビットコインより商業利用されやすそうだなと思いました。

今でこそスマートコントラクトという言葉もよく聞くようになりましたけど、当時は説明を聞いてもよく分からなかったというのが正直なところです。ただ、契約や取引が自動化されるという部分でビジネスとの親和性が高いのかなと思いました。

バリ島の郊外でアパート経営を始める

――バリ島で不動産投資に携わられている経緯を教えていただけますか。

さっきバリ島に移住したと言う話をしましたが、結局は1年も住んでいなくて、妻が妊娠した際に日本に戻って来ました。しかし、ワーキングビザを取るために1年に1カ月ぐらいはバリ島に滞在することもあって、よくバリと日本を行き来しています。

2015年に経営者仲間の日本人とバリに出かけたときのことです。ビジネスの話をしているときに、ガイドをお願いした現地の友人(家族ぐるみのお付き合い)が実は20年近く放置している土地があるという話を聞いて。

それで、アパート経営でもしたらどうだということになって、実際にその土地を見に行きました。リゾートエリアではなくローカルエリアの土地で、周囲には新しいアパートも建っていました。

聞いてみると、バリの州都のデンパサールにあるホテルやマーケットなどで働いている地元の人たちが住んでいるエリアだそうで、その後、紆余曲折もあり、じゃあ、アパートをやってみようということになったんです。

▼中島氏が手がけたアパート建設前の空き地

――1人ではなく、他の人たちと始めたんですか。

そうです。一緒にバリに行った経営者仲間や、地主である現地の友人らで、インドネシアに会社を作ってアパートを建設しました。

建設費は日本側で用意しました。トータルで約1,500万円。現金で支払いました。日本に比べたら安いですよね。

現金で払ったのは、現地でお金を調達するのが難しかったからです。

インドネシアで日本人がお金を借りようとしたら、利息がものすごく高いんです。利息の支払いを考えたら、とてもではないけれど採算が合わない。そこが海外で事業をするときの難しさです。

▼実際に完成したアパート

――行政の手続きや建設会社との交渉とかでも苦労したのではありませんか。

役所との折衝や弁護士事務所とのやり取りなどを私が担当しましたが、不動産の知識があまりなくてもなんとかなりましたね。

常識的におかしいという点を指摘することはありましたけど、日本の不動産業界のことをあまりよく知らず、先入観を持たずにやったのが良かったんじゃないですかね。

日本の常識をあてはめていたら、いちいち、あれがおかしい、これがおかしいとなっていたかもしれません。

――初めての不動産投資ですよね。不安などはなかったのですか。

投資と言っても、1,500万円ですから、それなりの会社を経営している人なら決して珍しくない金額ではないでしょうか。これが1億円くらいの投資なら話は別ですが。

それに、この件に関わった人たちはみんな別に本業を持っています。この事業をなんとしても成功させなければならないといったプレッシャーみたいなものはない。

不動産投資と言いますけど、実際は事業です。きちんとした仕組みをつくれば、収入は入ってくるはずなんです。逆に仕組みが悪ければ失敗する。

よく不動産投資で、利回りが低い、だまされたという人がいますが、事業なんですから自分の責任でやるしかない。業者が途中で逃げてしまっても、海外ではよくある話です。黙って人任せにしていれば、自然にお金が入ってくるというものではないです。

――バリ島の移住をきっかけに暗号資産や不動産事業をすることになり、投資関連の仕事につながっていったのですね。

投資というほどではありませんが、暗号資産を保有したり、バリでアパート経営を始めたりすることで、投資仲間や経営者の友人が増えていきました。

そうやって人脈を広げていくうちに、さまざまなプロジェクトにも参加するようになって、今は8社くらいでアドバイザーや顧問、取締役をやっています。

バリ島への移住を契機に、暗号資産や不動産事業に関わり、人脈を広げていった中島氏。次回は投資や暗号資産に対する考え方を聞きます。

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