「Web3.0は流行っているが本質的に分散を実現したのはビットコインだけ」初期ビットコイナー 中島宏明氏 2/2

2013年ごろからビットコインやリップル、イーサリアムなどの暗号資産を長期保有している中島氏。バリ島でアパート経営もしているが、投資やお金儲けにはほとんど興味がないという。そんな中島氏に、多くの投資家やトレーダーを見てきた経験から、投資やトレードに対する考え方や失敗しないためのコツなどを聞いた。

インタビュー・編集:内田 誠也
執筆:山本 裕司

中島宏明氏 プロフィール
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主に投資家、顧問・アドバイザーとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

投資に向いている人はじっと我慢し、自分の行動に責任を持てる人

――身の回りに投資家やトレーダーの方も多いと思いますが、投資に向いているのはどんな人だと思いますか。

一喜一憂せずに、じっと我慢して待てる人ですね。それと、これはお金に関することだけではありませんが、自己責任で考えられる人。

投資というと、自分はお金を出すだけで、後は人任せみたいな感覚の人が多い気がするのですが、自分が結果に責任を持つ姿勢で取り組むことが大切だと思います。

インタビュー中の中島宏明氏

海外の不動産投資などはまさにそうで、現地の会社が動いてくれないと文句を言う人もいますが、自分が手掛ける事業だと思って自分から動いて解決しなければなりません。何か違和感があったら改善する、ダメだと思ったら撤退するとか、自分で判断して行動しなければならない。

それでいて、じっと我慢できる。難しいことですよね。

――実際に、そうした失敗をしている人を見てきたのですか。

すぐクレームをつけたり文句を言ったりする人は、だいたいダメですね。

思い通りにいかないとすぐに詐欺だと声を上げる人や、想定より運用益がでないと、いつ上がるのかと周囲にしきりに聞いて回る人もいますね。そんなことは市場が決めることで、だれにも確実なところはわからない。

私もビットコインを持っているからか、よく聞かれます。ビットコインはいくらぐらいまで上がりますかとか。そんなのわかるわけありません。

一時的に儲かっても自分を過信せず、調子にのらないことが大切

――投資で心がけていることはありますか。

投資したことを忘れることですね。そして、調子に乗らない。

ビットコインなどの暗号資産を早い段階で買って資産を作った人で、自分の能力を錯覚してその後失敗した人を多数見ました。

特に17年のバブルで増やした資産を、その後に溶かしてしまった人も多いです。自分は投資の才能があると思い込んでICOに投資したけれど塩漬けとか、完成前の海外不動産に投資したけれどいまだに完成していないとか。

DeFiのプラットフォーム開発やNFTのマーケットプレイス開発、暗号資産の取引所などの事業に手を出して失敗したとか、ビットコインなどのFXとか、投資の幅を広げて大損したという話も聞きます。

多額の納税資金を確保できていなくて困っている人も見かけますね。

――どうすればよかったのでしょう。

何もせずにビットコインを持っていればよかったんです。一時的に下がって、暗号資産はもう終わりと言われたころもありましたが、その後、戻していますからね。余計なことをしないのも立派な戦略なんです。

ごく初期に暗号資産を保有できたというだけで幸運なんですから、その後はさらに増やしたいという誘惑に負けずに持ち続ければよかった。

短期的な下落はただのイベント。長期保有で経済成長に乗る

――投資やトレードには予期せぬ状況が起こりますよね。暗号資産でもコロナショックでは、いきなり50%下がりました。そうしたときに慌てないようにするには、どうすればいいのでしょう。

私は何もしないですね。短期的な動きには一喜一憂せず、長期保有するだけです。

昔から、「ウォール街のランダムウォーカー」や「敗者のゲーム」など古典的な本にはインデックスの長期投資が良いと書いてあるでしょう。

インデックスといっても、日本なのか、米国なのか、全世界なのかで変わってきますけど、現代は、ずっとお金が刷り続けられてきて、世界のどこかでバブルが起きてきた。

今までのような右肩上がりの経済成長は起こりにくくなっているかもしれませんが、経済は成長し続けるものです。成長しなければ、経済は衰退してしまう。「現状維持」という経営方針だと会社の経営は衰退するのと同じです。

大恐慌があろうが、戦争が起ころうが、リーマンショックが起きようが長期的に見れば、経済は実際に成長しています。

だから、コロナショックだとか、何とかショックって言ったって、長期的に見れば、一時的なイベントというか、バーゲンセールのようなものです。ドルコスト平均法で買い続けている人にとっては、いつもより多く変えてよかったね、という話です。

そこで変に一儲けしようと思うから、おかしなことになる。

暗号資産にはまだ伸びしろがある

――最近のマーケットをどう見ていますか

米国の金利引き上げが世界的に影響を及ぼしていますが、これもたまにあるイベントの一つで、いずれは落ち着くところに落ち着くと思っています。

暗号資産は歴史が浅いので今後どうなっていくのかわかりませんが、夏と冬が交互にやってくるという感じですよね。今後も激しい価格変動が続くのではないでしょうか。

円安を大変だと言っている人もいますが、日本の経済や金融政策を反映したもので、別に大騒ぎするほどのものではないという気がします。むしろ、1ドル160円ぐらいが適正価格ではないかと思います。

悪い円安という言い方もされますけど、円安にもメリットはあって、その恩恵を受けている人も必ずいます。円高、円安への見方も自分の立ち位置で変わるので、今まで円高でメリットを享受していた人が困るようになっただけとも考えられますよね。

だから、その時代にあった投資や事業をやっていけばいいのではないでしょうか。

――暗号資産の将来性についてはどう考えていますか。

ビットコインを持っていると周囲にもビットコインを持っている人が集まってくるので、ビットコインの存在や利用はさも当たり前のように錯覚してしまうのですが、実際はまだ普及したとはとうてい言えない水準です。

全世界でビットコインを持っている人が何人いるのかと数えてみたら、まだまだ少ないはずです。だいたいビットコインを普段使っている人なんていないでしょう。今日はビットコインでランチを食べた、なんて話を聞いたことがない。

海外送金に使っている人もまだ少なくて、2014年ごろのほうが海外送金で使われることが多かった感覚があります。

逆に言えば、伸びしろがあるということですし、今後も技術革新で新たなプロジェクトやトークンが誕生するでしょう。ビットコインの技術も15年ぐらい前の技術なので、技術的にはもう古いです。

ブロックチェーンが本当に最も合理性があるのかという議論も出てくるはずです。暗号資産については、今後も技術革新が続くのは必然で、あとはどう普及させていくのか、だと思います。

本質的に分散を実現したのはビットコインだけ

――Web3.0について聞かれることも多いのではないですか。

Web3.0はブロックチェーンやクリプト、暗号資産と関連付けて語られることが多いですからね。

クリプトとは文脈が異なりますがメタバースを含めて、事業者からVCを紹介してくれませんかとか、こんな事業を考えているのですが、どうでしょうか、といったことを相談される機会も増えました。でも、私はWeb3.0は特に興味はないんです。

もちろん、ネットの世界が分散型への方向に向かって、新たなフェーズに入ろうとしているという感じはわかりますし、その源泉がビットコインのあたりにあるとは思っています。

ただ、DAOの実現を目指すと言っても、本当に実現できるのだろうかという疑念が拭えません。

そもそも、本質的に分散を実現したのはビットコインだけですよね。

サトシ・ナカモトなる正体不明の人物が提唱して、未だに彼の正体がわからない。正体が分からないどころか、彼がビットコインを動かした形跡もないし、ビットコインの運用に関する発信も途絶えている。

彼が一人なのか複数人でやっていたのかもわかっていない。彼が姿を消したおかげで、ビットコインは本質的な分散、DAOを実現している。

でも、ある程度プロジェクトとして大きくなっているリップルやイーサリアムですら提唱者や開発者がいて、彼らの言動は強い影響力を持っています。これは中央集権型の運営であって、いくらDAOを目指すと言っても、実現はできない。

ヴィタリック・ブテリン氏がこれから影響力をなくして完全に分散していくというのは今時点では想像できないですよね。

リップルは中央集権型ですが、イーサリアムですらそういう状況で、最近出てきているいわゆるWeb3.0的なプロジェクトがDAOを実現できるとはあまり思えません。ずっと目指すだけで終わってしまうのではないかと思います。

――つまりWeb3.0やNFTなどよりも、ビットコインのほうが信頼できる。

NFTも、ただの電子証明書じゃないのか、と思いますけどね。NFTに付加価値があるのか、そもそもブロックチェーンを使ってまでやる価値があるのかと疑問に感じます。

Web3.0のトークンも生まれていますが、むやみに飛びつくのはやめた方がいいと思います。投資するならビットコインやイーサリアムなど流動性のあるもののほうが良いです。

今から新たなトークンに投資するのは勝率が低い。ギャンブルのようなものだと思います。

ただ、これからしばらくはWeb3.0やDAO、NFTに関連した事業が次々と生まれてきて、やがて淘汰されていくのでしょう。肝心なのは、その後に何が残るかですよね。

――よく投資について相談されることも多いのですか。

ビットコインの歴史や技術的な質問なら答えてますけど、今何が儲かりますか、などと聞かれる相談は困ってしまいます。

特に困るのは事後の相談です。メタバースの土地を買ったとかNFTを買ったけど暴落してしまったとか、買った後で、どうしたらいいでしょうか、と聞かれてもどうしようもありません…。

バリ島の土地を買ったけれど、どうしたらいいのか、と相談されたこともあります。買う前なら、やめておいたら、と言えるんですけど。

よく言われることですが、投資やトレードをする以上は、最初に自分なりのルールを決めておくのが大切です。買ってそのまま持ち続けるのか、どこで売るのかを決めておく。

買ってから考えるのでは遅いので。

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