日本居住者はどのように米国不動産へ投資したか?米国株投資家O氏 2/3

投資家のO氏に、米国不動産への投資について伺いました。

前のインタビューはこちら。

一記事目:資産のポートフォリオ全体のリスクを分散させるべく海外不動産への投資を行う 米国株投資家・O氏 1/3

O氏 プロフィール

2001年から約21年間、米国株を中心に投資をしている個人投資家。“優良なビジネスへの長期投資” に取り組み、現状はFIREができる状態。53歳。総入金額5,000万円、入金額込みのリターン額は1.5億円。過去2年(2020/9〜2022/8)の投資リターン見込みは、米ドルベースで+24%、円ベースでは為替の影響があり+66%。米国の不動産投資も行い、リターン見込みは2018年購入以来+36%。

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取材実施日

2023年5月14日

日本の物件価格は年数と共に下がる傾向にあり、出口における価格が非常にネガティブ

ーー2015年ごろから不動産投資について検討を開始し、2018年から実際に購入を始めたとのことですが、具体的にどのように物件を探し購入に至ったのか、プロセスを教えてください。

私が米国に住んでいた2000年頃、ITバブルが弾けた当時も、米国の不動産価格は比較的安定していました。

私の周りには不動産投資を始めている人も多く、私も興味を持っていたというのがまず最初です。

そして、2015年ごろに不動産への投資を検討するにあたって、まず日本の不動産への投資を検討し始めました。

ーー日本の物件を見てみて、いかがでしたでしょうか。

東京や関東圏の多くの物件を見ました。

私は「実物資産への分散」「投資収益」「節税効果」の3つを目的として物件を探していましたが、日本の物件の価格は年数と共に下がる傾向にあり、出口における価格が非常にネガティブに見えました。

かといって、出口時の価格を甘く見積もってしまうと、価格を下げなければ売却できないことになり、結果的に収益が出ない可能性があります。

逆に、厳しく見積もりすぎると、どの物件を見ても魅力的なリターンが得られない計算になってしまいます。

このような理由から、日本の物件ではなかなか良い物件を見つけられませんでしたね。

カリフォルニア、ニューヨーク、ハワイなどは人気があり人口も増えているが、物件価格も高騰しているため除外

ーーそれから米国での物件を探すことになったのですね。

はい、その通りです。

米国では中古不動産であっても価格が上昇傾向にあり、リーマンショックなどのある一時期を除けば、地方でも価格が上がることが多いんですね。

この点を考慮すると米国の物件への投資が魅力的に感じられ、2017年からは米国中心で物件を探すようになりました。

ーーどのように探したのでしょうか。

米国は広大な国なので、どの地域に投資するのかは大きな問題でした。

そこで人口の増加率が高く、物件価格が比較的抑えられているエリアを探すことにしました。

カリフォルニア、ニューヨーク、ハワイなどは人気があり人口も増えていますが、物件価格も高騰しているため、そういった地域は除外しました。

最終的には、地域の不動産価格と世帯収入の比率を見て、住民の年収と不動産価格のバランスを調べ、テキサスやオハイオなどに絞り込んでいきました。

なぜ地域住民の年収と不動産価格のバランスを調べる必要があるのか

ーーなぜそのような情報から絞り込んだのでしょうか。

まず不動産投資においてリターンの源泉は二つあります。

それは賃貸収入と価格上昇に伴う売買益です。

物件価格が住民の年収に対して高いという状況では、賃料の上昇余地が小さく、入居者の退去時に新しい入居者が見つかりづらいなど、ネガティブな側面があるんですね。

人口が増えれば需要が高まりますし、物件価格が比較的抑えられていれば今後価格が上昇する余地は十分にあると見ることができます。

地域選定の際にはこれらを特に重視していました。

ーーテキサスやオハイオでは世帯の収入に対する物件価格がそれほど上昇していなかったということでしょうか。

その通りです。

さらに、これらの地域では人口が順調に増加しています。

ーー人口増加や世帯の収入と物件価格の関係性を見るべきだという考え方はどこから来たのでしょうか。

投資関連の書籍やセミナーなどで多様な観点を学び、その中で不動産の価値、つまりその本質的なポイントを自分なりにピックアップしました。

そして、それらのポイントを基に物件選定の指標を決めました。

メジャースポーツの本拠地の有無やハリケーンの影響も考慮条件

ーー物件選びについてさらに詳しく教えてください。

まず大きな州から選択し、その中でさらに具体的な地域を選定しました。

選んだ州内の都市で、大企業の本社の設立有無、企業誘致が活発であるか、その傾向が強まっているかなどを見ました。

メジャースポーツの本拠地の有無も考慮しましたね。

米国では多くの人々がフットボール、野球、バスケットボールなどのメジャースポーツを観るため、これらの本拠地がある地域は人々が安定的に訪れます。

また、テキサスなどについては、南部に行くとハリケーンの影響を受ける可能性があるため、そのような天然災害の影響が比較的少ない地域を選びました。

これらの観点を踏まえ、4大リーグの本拠地があるダラス周辺が適していると結論づけたのが2017年の後半です。

所在する学校のレートもチェック

ーーそれから実際に投資された物件に決まるまではどのようなプロセスだったのでしょうか。

物件を具体的に絞り込む際、最初に考慮したのは投資する金額と全体の規模でした。

当初の分散投資の目的と、その時点での他の資産の割合を考慮して、物件価格は三千万円を目安にしました。

また、米国の地域選びにおいて重要なファクターとなるのが学校のレートです。

米国人が住む場所を選ぶ際、特に子育て世帯が学校の評価を重視し、良い学校がある地域には、高所得者が引っ越してくる傾向があるためです。

ーー具体的にどの学校のレートを重視したのですか。

すべての学校、つまり小学校、中学校、高校、そして大学のレートをチェックしました。

より具体的には、10点満点で8以上の評価を持つ学校が存在するかを見ましたね。

また、物件の広さや価格も重要な要素です。

地域の平均価格を基準に、過度に高い価格設定の物件は避けました。

ーー最終的に現在の物件に決定したのはなぜですか。

物件を絞り込み数個の候補から、五年間保有した後に売却する前提でどの物件が最も高い利回りを提供するかを計算し、決めました。

税制も考慮した物件の売却戦略

ーーなぜ五年での売却を前提としたのですか。

これは日本の税制を受けてのものです。

日本では物件を購入してから五年未満で売却すると、短期譲渡所得となり税率が高くなってしまいますが、五年以上保有してから売却すると長期譲渡所得となり税率が下がります。

したがって、特別な理由がない限り、五年以上は保有するという前提で計画していました。

具体的な売却時期は、その時点での市場状況を考慮して決定します。

ーー今回対象とした物件の価格は約三千万円とのことですが、そのエリア内での価格帯を考えると、三千万円は中位と言えるでしょうか、それとも高めあるいは安めといった位置づけでしょうか。

大体中位の価格帯に位置しており、最も流動性が高い、いわゆるボリュームゾーンとなる価格帯です。

価格があまりにも高過ぎあるいは安すぎると、流動性がなくなり売却時に時間がかかる可能性が上がります。

三千万円の価格帯を狙ったのはこういった背景もありました。

ーー物件の位置するエリアについて、日本の地理で例えるとどのような地域に該当するのでしょうか。

大都市の郊外です。

大都市はフォートワースやダラスのような地域を指します。

国際空港から車で約30分の距離に位置しており、ダラスへも同様に車で30分程度なので、大都市の通勤圏内と言えるでしょう。

日本の地理で言うと、23区の外側ではあるんですけど都内に車で30分で通勤できる、くらいの地域ですね。

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O氏のインタビュー記事、最後の3記事目に続きます。

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