佐々木徹氏 プロフィール
40代から自由な時間と収益を作るトレード教育を行っています。ビットコイン / ゴールド / 原油 / 外国為替 の取引方法が学べる「ココスタ」運営(受講生4,800名)。現役トレーダー / 米CMT検定1級保有 / ビットコイン研究所ライター / 株式会社ファム代表取締役。 https://twitter.com/CocostaGeekend
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年率8%を越えるリターンであれば「市場平均以上のリターン」と定義
身の回りの品やサービスは、価格が底上げされてきていますね。コンビニのおにぎりは値上がり曲線がスティープ化し、逆にメニュー価格を値上げしないと宣言したサイゼリヤは、株価にインフレをまるごと転嫁することとなりました(発表→ストップ高!)
さて、こんなタイミングでBurry Market Researchさんから寄稿記事の依頼を頂き、何を書こうか考えておりました。だって書かれている方、みなさん独自のエッジを持っていてすごいんですもの。
改めてコンテンツの狙いを確認すると「市場平均以上のリターン」となっています。そこで「市場平均」をどこに設定するのかを自問しました。
一つの答えとして出てきたのは、やはり「インフレに負けないだけの運用益を出す」ことなのかなということでした。
市場平均のインフレ率については諸説あると思いますが、自分は信頼できる統計として英国の住宅指数を1952年まで遡って調べてみたことがあります。結果として、人類は8%(厳密には7.7%)のインフレ率に収束することを確信するに至りました。
ドル建てのゴールド価格も年率8%に収束していきます。男性の平均体重ですら、1才10.3キロに年率8%成長で25歳時点の理論値を計算すると65.3キロとなり、実勢値63.6キロと「ほぼ一緒」です。
人類の脳は、きっとインフレ率8%を心地よく感じるプログラムが書き込まれているのでしょう。
そこで、年率8%を越えるリターンであれば、「市場平均以上のリターン」と定義して良いのだろうと考えるに至りました。私の直近一年間の運用収益率は、年52%です。
500倍などではありませんが、市場平均の8%は上回っており、マイナスにはなっていません。ならば平凡なリターンですが、この経験が皆様の参考(もしくは踏み台)になればと思い、今回寄稿させて頂くことにいたしました。
取引している市場は、貴金属や原油という、書くだけでページビューが落ちる分野です(Burry Market Researchさん、ごめん)。ただ逆に言えば、特殊な能力を持っていなくても、だれでも年率50%程度の収益率くらいまでは持って行きやすい分野でもあります。
これから、何回かに渡って記事を書いていこうと思いますので、またお付き合いを頂ければ幸いです。
トレードと投資の違い
さてトレードについて書くにあたり、投資との違いは明確にしておいた方が良いのかなと思いました。以下は自分が独断と偏見で定義した内容です。
投資
自分より特定の分野で優れた能力を持つ個人や集団を見つけ、資金を渡し成長につなげてもらい、そのリターンを頂くこと。ただし、見込み違いでまったくリターンが出ないことも普通。
トレード
市場の特性や構造を熟知し深掘りすることで法則を見つけ、それを使って何も知らずに入ってくる参加者の口座残高を頂くこと。ただし、逆に持って行かれることも日常の風景。
じゃあ、ゴールドやビットコインなどの無国籍な通貨を現物で保有する場合はどうなるの?という疑問がわきそうです。
これらの保有は資産残高の一部を現金から移転する行為であり、会社で言えば損益計算書よりもバランスシート内の話になると考えています。投資・トレードは損益計算書側に入る行為ですから、除外して考えることが妥当かもしれません。
市場構造って何?原油と為替で比べてみる
では「市場構造」について少し考えてみましょう。ここではレバレッジを効かせることが出来る先物を前提に考えていきます。
先物の特徴としては、取引の終了する「限月」が存在するという点が挙げられます。まずは世界で代表的な先物の取引市場であるCMEで、為替と原油の出来高を比べてみたいと思います。
(暗号通貨では無期限契約、またFX取引でも限月無しの取引が主流ですね。ですが、これらもスワップポイントや調達金利の支払いを通じて、現物との価格整合性を保つことを目指しています。考え方にもよりますが、「限月を毎日乗り換え続ける」先物取引だと解釈することができます)
CME円先物の限月ごとの出来高
2023年12月限月の「円」がもっとも取引されていることが分かります。というより、ほぼ全部が12月限月で、それ以外はオマケという感じです。これは円に限ったことではなく、その他の通貨も似たり寄ったりです。
ではWTI原油の先物はどうでしょう?
CME原油(WTI)先物の限月ごとの出来高
画像では切れているものの、2026年12月でも1,500枚ほど出来高があるので、将来の期日まで広く取引をされていることが分かります。
もちろん、限月が異なれば取引される価格もそれぞれ異なってきます。同じ原油なのに時間が変われば値段が変わってくるあたりに、市場構造のヒントがあるかもしれません。
ちょっと整理してみましょう。
円などの通貨を取引するなら、主要なところで円・ユーロ・英ポンド・豪ドル・NZドルなどが挙げられます。仮に「買う」なら割安な銘柄を、「売る」なら割高なのを選んで取引していくわけですね。
同じように、原油を取引するときも、関連する対象を選ぶことができます。たとえばWTI原油に対してブレント原油があったり、はたまたガソリンがあったり、軽油、天然ガス、大豆油なども対象になるかもしれません。
整理するため、図で考えてみますね。為替の場合は、こんな感じです。
為替の出来高分布イメージ
取引をするなら出来高が必要なわけで、為替に関しては、勝負する場所が2023年12月に絞られていることが分かります。
では原油の出来高を確認してみましょう。
あくまで数字はイメージですが、ざっくりと上のような感じになります。
では、“仮に「買う」なら割安な銘柄を、「売る」なら割高なのを選んで取引していく”戦略を実行するなら、為替と原油、どちらが有利でしょう?
たとえば上の図で考えるなら、為替の選択肢は、円・ユーロ・英ポンド・・・と、多くて7つから選ぶことになります。
これに対して原油は、WTI・油種1・油種2・・・の横軸に加え、2023年12月・2024年1月・・・と時間の選択肢が加わり、結果として横軸7×縦軸10=70の選択肢があることがわかります。
為替と原油の取引、どちらが有利かという議論自体に答えはありませんが、選択肢そのものは原油の方に増やす余地が大きいことが明らかではないでしょうか。
結局、どうやって稼いでいるの?
さて最後に「結局、どうやって稼いでいるの」という点ですね。ここは保有しているブローカーの能力や資金量によっても変わってくることなので、一概に共通した方法があるわけではないとお断りをした上で。
一つ前の章で限月という市場構造について確認をしてきたわけですが、市場には「限月って何?」という状態でポジションを持つ参加者も、結構いるわけです。
とくに原油のような現物の取引を伴う市場だと、市場参加者は大まかに二つに分かれます。
① 現物を扱える参加者(生産者・販売者)
② 反対売買での決済が義務づけられた参加者(投機筋・個人)
すると、①の参加者だとポジションを持ち続けられるけれど、②だと反対売買を強制される というタイミングがあるわけです。その期日の前に、②の人がどの程度のポジション(玉)を残しているのかが分かれば、あとは強制的に玉が落とされるタイミングを見計らってポジションを取るのです。
上手くいけば、入った瞬間にズバッと動いてくれるので、時間効率は悪くないですね。
市場構造を味方に付ける一つの事例でしかありませんが、何かの参考になりましたら幸いです。
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