びっとぶりっと氏に、氏が代表を務めるSettlerのサービスについて伺いました。
びっとぶりっと氏 プロフィール
投資歴は株式20年、暗号資産8年、エンジニア歴は組込5年、web10年。2014年にMt.Gox事件でビットコインを知り暗号資産の世界へ。2021年にFIREしたが世の中のDX化の流れをもっと加速したいと思うことがよくあり株式会社Settlerを創業。趣味はポーカーやボドゲ。Twitter:https://twitter.com/yuma300
────────────────────
「毎月100万円以上のビットコインを買えるキャッシュを生み出すスモビジについて研究」するコミュニティ、「BMRスモールビジネス研究所」を開始しました。ご興味ある方はぜひ覗いてみてください。
────────────────────
取材実施日
2023年6月12日
びっとぶりっと氏が運営する、暗号資産の損益計算サービス・Settlerポートフォリオ
ーーSettlerのサービスについて教えてください。
我々はSettlerポートフォリオとSettler会計という2つのプロダクトを開発しています。
Settlerポートフォリオはある程度完成していますが、Settler会計は2023年6月にベータ版をリリースしたばかりのサービスです。
現在はSettler会計の開発に注力しています。
▼Settlerポートフォリオ

画像引用元:株式会社Settler、暗号資産ポートフォリオサービスでNFTに対応
▼Settler会計

ーーSettler会計はどのようなサービスでしょうか。
BMRの読者は暗号資産の取引経験がある方が多く、税の計算のために損益計算サービスを利用した経験がある方も多いと思います。
クリプタクトさん、クリプトリンクさんなどが有名です。
Settlerもカテゴリとしては同じで、2023年6月にクローズドベータ版をリリースしました。
参考:株式会社Settler、NFT/暗号資産の損益計算サービスのモニター参加者募集開始
正確な記帳への特化とNFTの損益計算が可能であることが特徴
ーーおっしゃるとおり既に同様のサービスがありますがSettlerはどのように違うのでしょうか。
まず一つ目は、私たちのサービスが正確な記帳に特化している点、二つ目はNFTの損益計算が可能である点です。
まだベータ版であり機能開発はまだまだこれからですが、現状はこの二点が特徴です。
ーー特徴の一つ目について、他社では正確な記帳ができないのでしょうか。
できないわけではありませんが、正確な記帳を行うための十分な配慮がなされていないと考えています。
例えば、会計ソフトのfreeeでは、APIから取得した実際の残高と、帳簿上の残高を比較して差分を表示する機能が存在します。
▼freeeの実際の画面例
しかし、他社によってはそのような機能は提供されていません。
Settlerでは、実際の残高と帳簿上の残高を比較することで、より正確な記帳を促しています。
Settlerではウォレットごとの詳細な情報を記帳、閲覧することが可能
ーーなぜ他社では実際の残高と帳簿上の残高を比較する機能が実装されていないのでしょうか。
他社のとあるサービスでは「どんなウォレットであっても全ての資産を一つにまとめる」形式を採用しており、「各ウォレットごとに記帳する」という概念を持っていないためだと考えられます。
そのようなサービスの場合、あるウォレットが特定の時点でどの銘柄でどれくらいの資産を持っているといった情報を把握することができません。
それに対しSettlerでは、各ウォレットごとに取引履歴を記録する形式を採用しており、ウォレットごとの詳細な情報を記帳、閲覧することが可能です。
ただし、これはユーザーにウォレットという概念を意識させ、それぞれの取引履歴をSettler上に記録してもらうことが必要で、一部のユーザーにとっては手間だと感じられるでしょう。
ーー他社がそのような設計を採用している理由はどのようなものが考えられますか。
恐らくユーザーがより簡単に操作できるようにするためだと考えています。
これはトレードオフで、一部のユーザーにとってはウォレットという概念を意識する必要がなく便利であるとされますが、他方ではそれが情報の精度を損なうことにも繋がります。
Settlerとしてはウォレットごとの情報というのは貴重で、ウォレットを意識していただくという手間はありますが、ユーザーにとっては必要な機能であると考えています。
▼Settlerポートフォリオのウォレット一覧画面

煩雑なNFTの損益計算処理に対するSettlerとしてのソリューション
ーー二つ目の特徴、NFTの損益計算機能について教えてください。
NFT取引の損益計算を行うためにはNFTを一つ一つ識別しなければなりませんが、これは困難な作業です。
ビットコインやイーサリアムといったFTトークンは各トークンで差がないため把握は容易ですが、NFTには多くのバラエティがあります。
よくある方法として、ユーザーにカスタムトークンを発行させ、そのカスタムトークンを通じてNFTを識別するという方法があります。
しかしSettlerでは各NFTを識別するID管理しており、カスタムトークンの発行は必要ありません。
ーー他社でもNFTの損益計算機能を提供しているものの、カスタムトークンの作成が必要という制約がある。それに対して、Settlerはそのような制約なしにNFTの損益計算が可能で、それが特徴的というわけですね。
その通りです。
他社の多くは、NFTの損益計算をFTの枠組みで行っており、それを強引に適用しています。
SettlerはNFTの売買を前提として設計しており、著名なNFTの取引は帳簿上で名前や画像と共に表示されます。
なぜSettlerはNFTの損益計算にフォーカスするのか
ーーNFTの損益計算にフォーカスしているのはなぜでしょうか。
もともとは私がDeFiの損益計算で困難を感じ、解決策を考えたのがSettlerのきっかけです。
なので初めはDeFi向けのプロダクトを作っていましたが、将来的にはNFTを扱うユーザーのほうがより増加すると考え、NFT特化に切り替えました。
ーーなぜNFTユーザーが増えると考えたのですか。
直近では、暗号資産の取引を厳格化するトラベルルールの導入や海外取引所における日本居住者向けのサービス停止など、規制が強化されてきています。
これらの動きから、今後DeFiを利用するのは一部のマニアックなユーザーに限られ、マスに広がっていくとは考えにくいというのが一点目です。
一方で、NFTは金融商品取引業の規制を受けずに事業を展開でき、日本の事業者が取り扱いやすく、今後はマスにも広がるはずというのが理由の二点目です。
ーー具体的に考えている実装していきたい機能や展開を教えてください。
今後もNFTを利用した独自の差別化を図っていきますが、特に、ブロックチェーンゲームについてはより注力していく予定です。
Oasysを見ればわかるとおり、ブロックチェーンゲームは事業者がNFTを活用しやすいという特徴があり、多くの有名企業が参入しています。
これらに伴いユーザー数も劇的に増加するものと予想しており、Settlerでもサポートしていきたいと考えています。
ブロックチェーンゲーム業界の発展に寄与し、ブロックチェーンゲームを触る人の母数を増やしていきたい
ーー二、三年のスパンではどういったサービスや機能を目指していますか。
今時点、私たちが抱えている課題は三つあります。
一つ目は、まずユーザーの少なさ。
二つ目は、オンボーディングの難しさです。ユーザーにSettlerに慣れてもらうまでにはエネルギーがかかります。
また、それをユーザーの課題や利用目的ごとに最適化しようとすると、より難易度が上がってしまうという問題があります。
三つ目は、暗号資産の損益計算はユーザーから見て遠すぎるという問題です。
当然ですが、暗号資産を扱うユーザーは、損益計算を行いたいから暗号資産を触っているわけではありません。
儲かった結果としてしょうがなくやっているだけです。
これらを踏まえて、損益計算だけでサービス展開するのは困難であると気づきました。
そのため今後は、自分たちで望むユーザーを創り出す、市場を開拓することを考えています。
具体的には、メディア運営や大会の主催などを通じてブロックチェーンゲーム業界の発展に寄与し、ブロックチェーンゲームを触る人の母数を増やしていきたいと考えています。
そのほか、NFTマーケットプレイスの展開も考えています。
▼インタビュー後にリリースされたブロックチェーンゲーム専門メディア・Settler Wave
Settler会計ではクローズドベータ版のユーザーを募集中
ーー最後に読者に向けてメッセージがあればお願いします。
Settlerのクローズドベータ版では参加者を募集しています。
現在無料で利用できますので、NFTの取引をされている方はぜひご利用ください。
様々な背景を持つユーザーからのフィードバックは我々にとって非常に価値あるものです。
ぜひご利用いただき、TwitterやDiscordなどでお気軽にご感想やご要望をいただけると助かります。
株式会社Settler – 暗号資産ポートフォリオで取引所もオンチェーンも一元管理
────────────────────
「毎月100万円以上のビットコインを買えるキャッシュを生み出すスモビジについて研究」するコミュニティ、「BMRスモールビジネス研究所」を開始しました。ご興味ある方はぜひ覗いてみてください。
────────────────────
Settler運営のびっとぶりっとさんの個人投資家としてのインタビュー記事はこちら。