「ビットコインは半減期と利下げの二つの期待をマーケットが織り込めば相応の上昇が見込める」ビットバンク アナリスト・長谷川友哉氏 2/2

ビットバンク社でマーケット・アナリストを務める長谷川友哉氏に、現在の暗号資産のマーケットやマーケットの分析において意識していることなどについて伺いました。

長谷川友哉氏 プロフィール

英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と暗号資産市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

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取材実施日

2023年8月17日

取引所のビットコイン残高は2022年から一貫して減少しており、ネガティブな事象として見ている

ーーオンチェーンなど、データで見た現在の暗号資産のマーケットについて教えてください。

ハッシュレートはよく見ています。

最近ではハッシュリボンの点灯が一部で話題になっており、実際にハッシュレートが上昇していますが、価格の上昇が伴わない場合、売り圧力として現れる可能性があるため注意が必要です。

そのほか、塩漬けになっているアドレスや取引所のビットコイン残高などは日次で確認しています。

ーー取引所のビットコイン残高からは、どのような情報や示唆を得られるのでしょうか。

特にFTXショック後は顕著でしたが、2022年から一貫して取引所のビットコイン残高は減少しており、2023年に入っても回復が見られません。

これらについてポジティブな見方を示す人もいますが、私は同意しません。

取引所のビットコイン残高が減少するということは、流動性低下による値動きの不安定化につながりますし、将来的に取引所にビットコインを送り利益を確定させようという動きの裏返しだと解釈しているので。

そのため、現在の持続的に残高が減少している現状は市場にとっては良い兆候だとは考えていません。

ーー相場環境によって、注目するオンチェーンの指標は変わりますか。

基本的には、使える指標をあらかじめ絞り込み、それらの指標を日常的にチェックしているので、特定の相場によって大きく注目するデータが変わることはあまりありません。

ただ、長期的なトレンドの折り返し地点に注目してオンチェーンデータを注視するというのはあります。

特に、閑散期のデータに異常が見られると、閑散期を抜けた可能性が考えられるので。

証券会社の為替レポート、経済レポートはよく読んでいる

ーーオンチェーンのデータなど生データ以外で、マーケットに関してどのような情報収集をされていますか。

証券会社の為替レポートや経済レポートは読んでいます。

これらのレポートは多くが無料で公開されており、特にみずほ証券や三菱UFJ証券のものはよく読ませていただいています。

書籍だと、トレーディングに関する著作はあまり読みませんね。個人としてトレードを行ってはいますが私自身はトレーダーというよりはアナリストなので。

どちらかというと経済に関するものが多く、フランス人著者、セドリック・デュランの「虚構の資本(原題:Fictitious Capital)」はとても印象に残っています。

参考:Fictitious Capital|Verso

この本では経済と金融のマーケットサイクルやそれに伴う経済的なショックとその救済法について述べられています。

ショックが起きると新たな救済策が生まれ、それがまた新たな問題を生むサイクルについての経済理論が紹介されています。

2017年、2018年頃に読みましたが、その後も何度も読み返しています。この本を読むと、金融の世界が虚構のように思えてきます。

半減期と利下げの二つの期待をマーケットが織り込めば相応の上昇が見込める

ーー2023年や2024年に注目しているマーケットのイベントについて教えてください。

イーサリアムのアップデート、FRBの利上げ停止のタイミング、ビットコインの半減期サイクルを考慮した年内の織り込みです。

ーー現在の暗号資産のマーケットについて、2019年と類似しており、それを踏まえ2024年に期待する意見が多く見られますが、どのように見ていますか。

私も半減期サイクルに関しては注目しています。

いまのマーケットも、史上最高値から底打ちするまでの日数が過去のサイクルと類似している点は確認できます。

しかし、その後の動向やチャートの形が全く同じになるかはわかりません。

基本的には底打ちから1年程度は市場が停滞する傾向があります。

そのため、第3四半期の停滞なども視野に入れてはいます。

ーー2024-2025年のマーケットには期待が持てそうです。

はい、半減期に向けてのマーケットの期待や織り込みがあるため、相場が上昇する余地はあると見ています。

さらに、そこに金利の下落に関する期待が重なれば市場がより活性化する可能性も考えられ、特に金利下落の期待が市場で意識され始めると、それが相乗効果をもたらすでしょう。

ーー今後の米国の金利の動向について、2年物国債の動きが重要であると見解を示す方もいますが、どのように見ていますか。

おっしゃるとおりです。

2年物国債利回りの動きは金融政策に左右されやすく非常に重要なものであり、ビットコインの価格との逆相関も強まる傾向があります。

注視しておいたほうがよいでしょう。

事前に緻密なシナリオを立てておくことで、予想が外れた事実や外れた理由が明確になり、次に活かしやすくな

ーーマーケットの分析を行う際に特に意識していることを教えてください。

シナリオの構築ですね。

相場の値動きを当てるというのももちろん大事ではあるのですが、事前に緻密なシナリオを立てておくことで、予想が外れても、予想が外れた事実や外れた理由が明確になり、次に活かしやすくなります。

シナリオは年末、月末、週末、今日が終わるまでといった各時間軸ごとに構築しており、時間軸が短いものから随時更新を行っています。

ーー最も長い時間軸ではどの程度先までのシナリオを構築していますか。

公開されているものだと、最も長いシナリオは年末年始に立てる年末までのシナリオです。

最近は2025年までの動向を見据えて新たなシナリオの構想を始めています。

▼長谷川氏が2023年1月に公開した2023年のシナリオ
波乱の年をくぐり抜けたビットコイン 2023年はどこに向かう? | ビットバンクプラス

ーーシナリオを構築する際のアプローチや考え方について教えてください。

前提としてマーケットはマクロ経済の動向に強く影響されると考えているので、マクロ経済のイベントを軸としてシナリオを構築しています。

さらに、ビットコイン固有のイベントや特性、例えば半減期サイクルなどを考慮に入れます。

シナリオ通りに進行した場合、オンチェーン上のアクティビティがどのように変動するかを予測し、それをもとに年末や月末のシナリオを構築する、という流れです。

中国が中心となる金融ショックは、まだ完全に市場に織り込まれていないはず

ーー現在のマーケットでまだ織り込まれていないであろうリスクはありますか。

チャイナショックです。

中国が中心となる金融ショックは、まだ完全に市場に織り込まれていないと見ています。

ーーなぜそうお考えなのでしょうか。

最近のマーケットは調整基調が強まってはいますが、株価などの動きを総合的に見て、市場がそのような大きなショックに対して完全に準備しているようには感じられないためです。

もちろん、必ず起きるとまでは考えていません。

ーー暗号資産で特に注目している領域があれば教えてください。

Lightning Networkのアダプションは2023年はうまく進んでいると見ています。

私自身はエンジニアではないため技術的な詳細については語れませんが、例えばバイナンスのような大手取引所がL2技術の採用を進める動きを見せるなど、良い流れがあると感じています。

一方、DeFiに関してはリスクが高いと感じていて、私自身、取引対象としては積極的な関与をやめています。

ビットバンクでは「botter道」を配信、年末まで月2回程度の配信を予定

ーー最後に、読者にメッセージをお願いします。

最近、Discordを通じてビットバンクのコミュニティ活動を展開しています。

コミュニティ内では、ユニークなbotの開発や、ChatGPTを用いたバックテストの情報共有、さらには取引所の裏話やビットバンクで実際にマッチングエンジンを操作しているエンジニアのトークイベントなど、非常に興味深いコンテンツを提供しています。

また、私とビットバンクのもう一人のアナリストの真田で、毎月一度、マーケットの最新動向に関するレポートを配信しています。

より多くの投資家、トレーダーの方々に参加していただけると、コミュニティがさらに活発になり、情報交換や学びの有益な場となりますので、興味を持っていただけた方は、ぜひ参加してみてください。

ーー今後予定している企画があれば教えてください。

8月下旬から「botter道」というシリーズが始まっており、ビットバンク営業部で、プログラミング未経験のナベさんがbot開発に挑戦して、ゼロからbotterになることを目指すという企画を行っています。

こちらのシリーズは、botterになりたい方、プログラミングはできないがbotの運用に興味がある方、一緒に勉強する仲間が欲しい方などにおすすめです。

「botter道」は年末まで月2回程度の配信を予定しておりまして、詳細はビットバンクのDiscordで随時配信して参ります。

イベント以外にも、ビットバンク公式Discordコミュニティ内のチャンネルで月〜金毎日1時間ずつもくもくbot開発しているので、みんなでbot開発したい方はぜひのぞいて見てください。

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