不動産投資家の大友氏(仮名)に、初心者は戸建てとアパートどちらに投資すべきかなどについて伺いました。
大友氏(仮名) プロフィール
不動産投資家歴、15年。50歳。不動産会社に勤務しつつ、広島市内でアパート三棟、戸建て三棟の合計18戸を所有。
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取材実施日
2024年3月8日
賃貸の会社に勤めれば空室率の低い賃貸物件を見極められるようになる
ーー不動産を勉強するために不動産業界に就職するという話ですが、どんなタイプの不動産会社に勤務するのが最も理想的ですか。
賃貸がメインで、賃貸の管理物件を多く抱えている不動産会社です。
マンションやアパートではなく、大家をたくさん抱えている不動産会社のことですね。
なぜかというと、大家業は賃貸業でもあります。
借り手がつくかどうかの目利きができなければ、駄目な物件を買わされてしまいますが、その目利きを養う場は賃貸の不動産です。
売買の会社の方が扱う金額も大きく、賃貸の会社より優位な印象がありますが、売買の会社員ですら賃貸用のワンルームマンションを買って失敗したケースなどをたくさん見てきました。
また、どういう物件が賃貸のニーズに合っているか、その判断も重要です。
目利きのポイントは二つで、一つ目は借り手がつくかどうか、二つ目は空室が出てもすぐ埋まるかどうかですが、売買の会社へ就職してもこれらが学べず、投資の参考にはあまりなりません。
ーー営業マンと仲良くした方が良いという話ですが、不動産会社には大手もあれば町の不動産屋もあります。どのような不動産会社の営業マンと仲良くなった方が良いのでしょうか。
オススメは中から大規模で売買も扱っている不動産賃貸の会社です。なぜなら、賃貸の大家が物件を処分する際、多くのケースで、その賃貸業者に話を持って行くんですね。
お客さんに部屋を紹介する賃貸専門の会社は、まず売買の話が来ませんので、避けた方が良いでしょう。
また、大家さんの物件を管理する不動産管理会社も、ある程度管理物件を持っているため、仲良くした方が良いと思います。
何十件から何百件の世帯を保有している大家は、個人では管理しきれませんので、管理会社に管理を依頼しています。
管理料は、毎月の家賃の数%程度ですが、管理会社は大家の情報や大家とのパイプがあります。
大手では住友不動産や三井不動産などがありますが、あれはマイホームを売買している会社です。
基本的に購入者の住宅物件を扱っているため、価格も高く、購入した物件を賃貸に出すというのは現実的に難しいでしょう。
また、昔ながらのおじいちゃんおばあちゃんがやっているような町の不動産屋がありますが、地域の地主と仲が良く、地主が自分の家を売る際はまず町の不動産へ話を持っていくため、関係性が築けているとプラスに働くでしょう。
営業マンと仲良くなる方法ですが、キャバクラに一緒に行くという方法もよく聞きます。
キャバクラはお金がかかると思いますが、お酒を一緒に飲むと仲良くなる確率は高くなるとは思います。
町の不動産は地域の大家とのパイプが太く、横の繋がりで売買を仲介している
ーー町の不動産屋は基本的にはそのエリアの物件を扱っているのでしょうか。
基本的にはそうですね。
駅前の不動産屋であればその駅前のエリアに強いです。町の不動産屋は広くはカバーできなくても、その町のことなら大体のことは知っています。
地主の名士とも昔から付き合いがあったり、街のイベントにも手伝いで参加していたり、そういう付き合いで成り立っている商売です。
大抵暇そうにしていますが、彼らは家主が家やアパート、土地を売るという話が年間一件でも成立すれば生活していけるんです。
私が購入した物件も不動産関係の横の繋がりで話が来た物件で、横の関係性で売買が成立するケースは多いと思います。
ーー特に買いたいエリアがあった場合は、そのエリアの町の不動産屋と交流した方が良いということですね。
そうですね。
それに加えて、中から大規模で店舗数が多く管理物件を多く扱う会社ですね。
仲良くしていれば、いずれそういう話が回ってくると思いますが、いつかはわかりません。
その間、話が来たらすぐに物件購入に動けるよう、自己資金を貯めたり、銀行で融資可能な金額を確認しておいたり、事前準備はしておいたほうがいいです。
営業マンにとっては誰に売っても一緒で、すぐ買ってくれる人やすぐ買える人に話を持っていくので。
ワンルームマンションや1Kの分譲マンションを購入すると失敗した場合の損失を回収できない可能性が高い
ーーそのほか、不動産投資を始める上での注意点があれば教えてください。
まずは小さく始めることが良いと思います。
例えば、私のように数百万円の現金で買える物件を選ぶか、もしくは数百万円の自己資金でローンを組んで購入するかですね。
ただ、ワンルームマンションや1Kの分譲マンションを購入すると、もし失敗してしまった場合は損失を回収できない可能性が非常に高くなるので注意が必要です。
ーーそれはなぜでしょうか。
一戸建てやアパートは往々にして土地がついていますが、分譲マンションは空中に浮いている空間を買っているようなものです。
一戸建てやアパートは最悪の場合には土地代が損失をカバーしてくれるわけで、セーフティネットがついているとも言えます。
ワンルームマンション投資の多くは初心者や情報弱者を食い物にした商売です。多くの不動産投資家は私と同じことを言うと思います。
現金で買うか、融資で買うべきか
ーーこれまでの話を踏まえ、不動産投資において最も大事なことがあれば教えてください。
まず、自分は現金で買うのか、融資を組んで買うのか、よく考えることです。
現金で買うのであれば、仮に失敗したとしても貯金が減るだけで、気楽といえば気楽です。
ただ、事前にお金を貯める必要がありますし、貯めるのにも時間がかかります。
私は結婚しましたが、独身の人で貯められたとしても、せいぜい1,000万円か2,000万円が限度でしょう。
そのため、リスクが低い分、物件が増えるスピードは遅くなります。
一方、融資を組む場合、物件を購入するスピードは早くなりますが、悪い物件を購入してしまった場合に、一気に資金がショートしてしまうリスクがあります。
どちらがいいという絶対的な正解はなく、その人の考え方次第です。
よく、「不動産投資を始めて三年でサラリーマンをやめました」といった広告がありますが、あれは融資を組んで物件を購入したタイプですね。
ただ、以前は2018年のスルガ銀行の事件のように簡単に融資を組めたケースもありましたが今は違います。
数年の不動産投資でFIREすることは難しいでしょうね。
不動産投資でFIREしたいのであれば現金での購入だけでは難しい
ーー大友さん自身は現金と融資、どちらで買うのがいいと思いますか。
私は35歳のときに不動産投資を始め、2年で4件購入しました。
まず300万円の一戸建てを最初に購入し、二件目は1,500万円のアパートを融資を組んで購入しました。
三件目はまた別の300万円の一戸建てを現金で購入、四件目は600万円のアパートを融資で購入しました。
トントン表紙に二年で四件と買いましたが、ここで貯金が無くなり、その後十年以上物件を買えませんでした。
理想としてはもっと物件を増やして行く予定だったのですが、結婚、自宅の購入、子どもができてとそれどころではなかったんですね。
また、物件は購入費以外にも固定資産税や不動産取得税が発生しますが、これが額としては馬鹿になりません。
もし不動産投資でFIREをしたいのであれば、現金で物件を購入して増やしていくのでは現実的には難しいでしょう。
一部上場企業に勤務し、融資をガッツリ組めて、一億円以上の物件を購入し、家賃収入が毎月100万円、200万円とあれば、仕事を辞められるかもしれません。
FIREを目的とすると、現金購入には限界があるため現金と融資の両方を利用する方が現実的です。
普通の人が不動産投資で会社員を辞められるほど収益を上げるには、うまくいっても10年から20年はかかる印象です。
現金一括と融資を組み合わせて物件を購入
ーー現金での購入と融資とそれぞれ使い分けられていますが、経緯について教えてください。
一つ目の物件は300万円と安かったので現金で購入しましたが、二つ目に購入したアパートは約1,500万円と現金では買えない金額だったので融資を組みました。
次の年に購入した三つ目の300万円の一戸建ては余った現金で購入することができましたが、四つ目の600万円のアパートは再度融資を組みました。
融資の内訳ですが、二つ目の1,500万円のアパートでは現金の持ち出しが200、300万円、四つ目の600万円のアパートでは100万円を現金で払い、残りを融資にしましたね。
不動産を購入すると税務署から不動産取得税の請求が届きますが、それが家屋の場合は購入した物件価格の4%です。
また、購入時の仲介手数料、登記費用や保険代など、合計すると不動産価格の一割程度の出費が発生するため、数百万円程度は現金として手元に残しておく必要があります。
現金がこれくらい出て行ったので、最初の二年間で四つの物件を購入した後は貯金がなくなってしまい、しばらく買えませんでしたね。
ーー合計六物件購入されていますが、全て個人名義でしょうか。
はい、すべて個人名義で購入しています。
もっと物件数が増えれば検討するかもしれませんが、現時点では特に困っていないので全て個人名義で契約していますね。
初心者が一つ目の物件を購入する場合には一戸建てをおすすめ
ーー所有されている一戸建てとアパート数の数がちょうど3:3ですが、意図してその比率にしたのでしょうか。
私は知人に紹介された物件は余力があればすべて買うようにしていて、一戸建てとアパートの比率が半々になったのはたまたまですね。
人によっては一戸建てしか買わない、またはアパートしか買わない人もいますが、私の場合は条件が合えばどちらでも良いというスタンスです。
一戸建てもアパートも、良い点はそれぞれあります。
ただ、初心者の方が一つ目の物件を購入する場合、私は一戸建てをおすすめします。
アパートと比較してリスクが少なく、一度入居してもらえれば短くても3、4年は住んでいただけて、管理の手間もかからないので。
アパートについて、よく「半分空室でも半分入居者がいればローンは返済できる」という話がありますが、私の経験からするとそれは安易です。
単身用の不動産は入居者の入れ替わりも激しく入居期間も短いため、その分修繕費用がかかります。
管理の手間もありますし、八世帯あればトラブルも八倍になるわけです。
ーー不動産投資というとアパートやマンションの一棟買いというイメージだったため一戸建てがおすすめというお話は意外でした。ファミリータイプのアパートもありますがそれについてはいかがでしょうか。
ファミリータイプの中でも2LDKや3LDKのアパートがベストだと思いますが、その分、物件価格が高くなってしまうという側面はあります。
おそらく単身用のアパートの2、3倍はするでしょう。
初心者の方にとってはリスクが大きいと思いますね。
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全3回の大友氏のインタビュー、最後の3記事目に続きます
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