どういった家族であれば海外移住をお勧めできるか ビットコインマイナー弁護士・小峰氏 1/2

ビットコインマイナー弁護士の小峰孝史氏に、家族で海外移住した事例や移住がおすすめできる家族のケースなどについて伺いました。

小峰孝史氏 プロフィール

米系法律事務所Sidley Austinの東京オフィス・香港オフィスに勤務、TMI総合法律事務所所属時に香港駐在。2018年より現職。主として日本の富裕層向けに香港やその他の海外の税制上のメリットを生かす投資スキーム作り・移住をサポートしている。

Twitter:https://twitter.com/tkomine921 会社:https://owl-investments.com/

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取材実施日

2023年4月28日

カルダノへ投資し、その含み益を日本で利確せずにタイへ移住された事例

ーー家族での海外移住の事例について教えてください。

例えば、ご夫婦とお子様三人の五人家族で2019年にタイへ移住されたケースがあります。

お子様は小学生二人と幼稚園児一人で、現在は三人ともインターナショナルスクールに通われています。

かなり早い段階でカルダノへ投資し、その含み益を日本で利確せずにタイへ移住された方です。

クリプト投資専業だった訳ではなく、クリプト以外では日本で個人事業で飲食店を経営されていました。

その方の場合には、移住することに関しては決断しやすかったと思います。

ーーそれはなぜでしょうか。

一つ目は節税効果が大きかったためです。

クリプトの場合は日本で利益確定すると雑所得となり最高税率が55%になりますが、タイへの移住により、日本での税金もタイでの税金も含め、ほぼゼロにできています。

この点については、クリプト案件を数多く扱ってきたタイ人の弁護士とも議論しリーガルオピニオンも書いてもらい万全を期しています。

※編集者注:より正確、詳細な情報については税理士に確認することをお勧めします。

二つ目は、移住にあたってマイナスなことがとても少なかったためです。

このケースでは個人事業で経営されていた飲食店を売却して引退してもいいと元々考えられていたんですね。

奥様も日本で仕事はされていませんでしたし、お子様も小学生が二人、幼稚園児が一人と、海外への移住、転校に対して抵抗があまりない年代でした。

なので、クリプトの節税効果という大きなメリットがありつつ、ご自身の事業やご家族の事情で移住でマイナスになることも特になく比較的移住しやすかったと思います。

家族での海外移住が難しいのはどのようなケースか

ーー逆に家族での海外移住が難しいのはどのようなケースでしょうか。

これまで海外に住んだことがない場合や、外国語、特に英語ができない場合は、ハードルは多少は高く感じるでしょう。

ちなみに、先ほど紹介したケースではタイへ移住されていますが、タイはバンコクなどの都市部であればスーパーマーケットや飲食店など、日本語だけでも結構生活できます。

そのため、タイへの移住であれば英語が得意でない場合でも移住しやすいというのはあります。

ーー今回のケースの方は海外移住の経験がある方だったのでしょうか。

いいえ、ご本人も奥様も元々は海外移住の経験がない方です。

そうした、英語が得意でない方であっても、移住できるのがタイのバンコクの良さだと思っています。

海外のインターナショナルスクールは日本のインターナショナルスクールよりも日本人の受け入れ枠が多い

ーー現地のインターナショナルスクールへの転校の手続きについてはいかがでしょうか。

インターナショナルスクールの面接は弊社でサポートさせていただきました。

面接の際には通訳として同席もさせていただいています。小学生の場合であれば、弊社のサポートにより高い確率で合格までサポートすることが可能です。

ただ、インターナショナルスクールにもよりますが、中学生になると英語が既にできる生徒しか採らない場合が多く、弊社がサポートさせていただいても合格が難しい場合があります。

ちなみに、日本の名門のインターナショナルスクールだと既に日本人枠が定員に達し入学できない場合が多いです。

そのため、海外のインターナショナルスクールは日本のインターナショナルスクールよりは日本人の受け入れ枠が多く定員に達していないことも多く、日本のインターナショナルスクールとの比較では、入学がしやすいです。

そういった意味でも、タイあたりのインターナショナルスクールはお勧めできます。

▼英国のパブリックスクール「ハーロー校」のタイ分校の写真。小峰氏提供。

どういった家族であれば移住がお勧めできるか

ーー特にどういった家族であれば移住がお勧めできますか。

まずクリプト投資家には強くお勧めします。

先ほど申し上げたように、日本居住者の場合は雑所得で最大55%かかる税制が海外であればほぼ0%にできます。

そのほか、株式や債券など有価証券は出国税が課税されますが、クリプトは少なくとも現時点では出国税の対象ではありません。

こちらもクリプト投資家においては強いインセンティブになるでしょう。

あと、ご家族が海外に出やすいケースですね。お子様が幼稚園、小学生だとベストです。

ご本人や配偶者がインターネットで完結する仕事をしている場合も移住しやすいと思います。

Webデザインやコンサルティング、YouTuber、アフィリエイトなどは仕事に影響が出づらく海外移住しやすいです。

ーー移住後の仕事についてはビザの問題があると思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

例えばタイに居住し個人事業主として事業を行うとなると、そのためのビザの取得が必要になり、現実的にはかなり難しいです。

その場合、代替案としては例えば香港で法人を設立し、その香港法人の名義で事業の所得を得るという方法があります。

タイに物理的に居住しながらビジネス用の香港法人を使うのが制度的にも生活の充実度的にもパフォーマンスが高い選択

ーーその香港法人からタイに居住している自分に対して給与を支払うというのは問題ないのでしょうか。

それは問題ありません。

ちなみに、日本の法人は経費として認められる限界がかなり厳しいですが、香港法人の場合、経費の上限はほぼないと考えています。

そのため、香港法人からタイ居住の取締役に対して給与を支払うこと自体は特に問題ないとしても、給与として必要性という意味ではあまりないのでは、というのが正直なところです。

総じて、タイに物理的に居住しながらビジネス用の自分の分身として香港法人を使う、というのが制度的にも生活の充実度的にもパフォーマンスが高い選択かなと私は思います。

ーー住みやすさというメリットも享受しつつ、仕事に関する問題も解決できるスキームであるということですね。

私は、物理的に住む場所とビジネス上の本拠地、資産管理の場所は同じである必要はないと考えています。

タイの家は広くて安く、学校も良いところがあるので住むには快適です。

ただ、ビジネス上の場所、会社を作る場所としてはタイの会社法の関係で使いにくい。

法人を作るのであれば香港かシンガポールになると思いますが、シンガポールは会社法により現地在住の取締役が一人以上必要という規制があります。

なので、タイに住み、ビジネスや資産管理は香港で行う、というのが比較的ハードルが低い、使いやすいパターンかなと思います。

▼バンコク市内のドン・キホーテの店内の様子。小峰氏提供。

香港は民主活動やジャーナリスト活動をするわけでないのであれば問題ない

ーー香港は以前と比べて使いづらくなっていると聞きますがいまでもそのような取り組みは可能なのでしょうか。

私は問題ないと思います。

中国共産党の影響が強まっているのは否定できませんが、民主活動やジャーナリスト活動をするわけでないのであれば問題ないでしょう。

例えばコンサルティング、アフィリエイトというのは香港にバランスシート上の資産を持っているわけじゃないですよね。

つまり、万が一、政府側から没収の対応があったとしても、香港に物理的な工場や建物を持っているわけではないので、没収されようがないんですね。

そういう意味でもそれほど心配することはないかと思います。

ーー香港の銀行口座を差し押さえというのはあり得ないのでしょうか。

さすがにそれはないのではと思っていますが、もし差し押さえられたらそれは防げないでしょう。

ーー香港の法人を運営する場合は銀行口座は香港の口座になりますか。

香港の法人で日本に銀行口座を開くというのはできなくはないですが、まず難しいです。

ではシンガポールで口座を開くのはどうかというと、経験がないのでわかりませんが、これも難しいと思います。

もし中国の支配が強まっていることが不安ということであれば、シンガポール法人を作ってシンガポールで資産管理をするというのが一つのオルタナティブとしてはおすすめです。

弊社のお客様でも、タイ在住で、シンガポール法人を作ってシンガポールの銀行口座を開いている方はいらっしゃいます。

相続税、贈与税がかからないのは、直近10年間で親子ともに日本居住でなく、かつ日本国外財産を相続・贈与する場合だけ

ーーそのほか、どのようなケースで家族での海外移住はお勧めでしょうか。

個人の節税のためという話をしましたが、法人においても海外に拠点を移すことでの節税メリットは大きいです。

日本の法人税はおおよそ実効税率30%ですが、例えば香港法人ならば8.25%ほどで大きな差があります。

もう一点、海外に移住すると相続税、贈与税がかからないというのもあります。

親子ともに日本居住の場合に相続税や贈与税が生じるのは当然です。

しかし親子ともに10年以上日本非居住であっても、日本に資産がある場合は相続税・贈与税が課されてしまうのです。

唯一、相続税、贈与税がかからないのは、直近10年間で親子ともに日本居住でなく、かつ日本国外財産を相続・贈与する場合だけです。

出典:小峰氏提供

日本で株式や不動産など資産を保有している場合でも、その資産を例えば香港法人の所有にすると相続税・贈与税をかからなくできるんですね。

10年以上、海外に住んでいなくてはならないので、そこまでするかという話はありますが。

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小峰氏のインタビュー、後編に続きます。

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