「botに限らずある戦略が使える賞味期限は必ずある」botter・BBB氏 2/3

botterのBBB氏に、印象的な取引やいまのクリプトのマーケットなどについて伺いました。

BBB氏 プロフィール

2017年から暗号資産に参入。主体となる戦略はトレンドフォローと恐怖への逆張り。ドローダウン多めのスイングトレーダー。取引自体はBotで運用。 2022年にクリプトユーザー向けのリアルスペース、Barの「CryptoBar P2P」をオープン。株式会社0xP2P代表取締役。

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取材実施日

2023年6月19日

戦略は常時何個も動かしており、それぞれの戦略が使えなくなることは普通のこと

ーー成功や失敗など、印象的な取引について教えてください。

成功した取引で印象的なものはあまりありませんね。

トレンドフォロー的なbotを動かしていたので、大きな値動きの際にドーンと利益が出ることはたまにありましたが。

テラショックやFTXショックのような大きな動きが持続するときには利益を得やすいというのもありますね。

逆に、失敗はたくさんありますね。

ーーそれはさまざまな戦略を試しているからという意味でしょうか。

おっしゃるとおり、戦略は常時何個も動かしており、それぞれの戦略が使えなくなることは常にあります。

今日もありましたし、明日もあるでしょう。使えない戦略が出てくることは普通のことです。

検証が不十分だったために失敗することもあります。

ポジションが片側に寄りすぎて一気に大きな損失を出したり、大きな失敗もありますね。

必ずしもシステマチックにロスカットしているわけではない

ーー大きな損失を出すこともあるとのことですが、ロスカットの指値は入れていないのでしょうか。

ロスカットの決済ルールはありますが、バランスが悪いときにはロスカットしないで持ち続けることもあるんですね。

その結果、とんでもない金額の損失が出て、慌ててシステムを停止し手動で強制決済することもあります。

ーーそういうときは気分的には落ち込みますか。

もちろん落ち込みますね。落ち込むというか困っちゃいますね。

ーーそのような際も新しい戦略をすぐに作り始めますか。

それはルールベースで、事前に計画を立てて進めています。大きな損失が出たらロットを減らすとか、そういったルールを前もって作っておいて、それに従って行動します。

ただ、損失が大きすぎると、一度休むこともありますね。

BBB氏が行っていた具体的なbotでの取引内容

ーーBBBさんは何系のbotterになるのでしょうか。

CEX botterになると思います。CEXの方が基本的に取引はしやすいんですよ。

APIが整備されており、「取引所で注文を出す」というAPIを叩くだけで済むので。

ーー具体的にどのようなbotの取引を行っているか教えてください。

例えばコインベースの現物価格とbybitの無期限先物の価格の乖離を見て上下を予想する取引などですね。

「一定の乖離があったらその乖離を縮小する方向に無期限の方が追いついてくる」とか、逆に「乖離が一定の範囲を超えたらさらに乖離が拡大する方向に二時間は進む」などのイメージです。

「乖離がn%以上になったら買い」「四時間経ったらポジションを閉じる」とか、そういった軸でバックテストを行い、トレードしていました。

アノマリーに関しても、例えばニューヨーク時間で八割上がるという情報があったとしたら、その一回一回の八割を狙うのではなく、一ヶ月間の取引全体で平均的に八割勝てるようにする、を目指すイメージです。

八割という数字が正しい前提で、それが平均に回帰することを想定してどんな局面でもトレードして最終的にこの数字を目指す、という取引をやっていましたね。

botに限らずある戦略が使える賞味期限は必ずある

ーーある一定程度まで勝てるようになったbotterがその後勝てなくなるケースはありますか。あるとしたらそれはなぜでしょうか。

それは往々にしてあります。相場の変動に対してシステムをアップデートできないと適応できないので。

これはbotに限らず裁量取引でも同じだと思いますが、ある戦略が使える賞味期限は必ずあります。

botの場合、バックテストでうまく機能したとしても、それは過去のデータに基づいているだけであり、これからもうまく機能することを保証しません。

相場の状況が変われば、右肩上がりの戦略もただのカーブフィッティングになり、実際に運用を始めると右肩下がりになることだってあるわけです。

そしてそういう戦略は意外と簡単に作れてしまいます。

そのため、基本的にはそのシステムがいつか使えなくなることを前提として考えます。

難しいのは、それが単に使えなくなったbotなのか、もしくは許容範囲内のドローダウンなのかを判断することです。

使えなくなったと判断して止めたbotの結果はその後復活して、止めなかったbotはその後も復活せず損を膨らませるというのはよくある話です。

相場は常に変わるので、バックテストの結果を盲信しないことが大切ですね。

特定のアルファに依存していた人が、そのアルファが消えた結果、利益を上げられなくなるケースは十分に考えられる

ーーおっしゃるようにそれぞれの戦略単位で勝てなくなるケースは多々あると思いますが、人単位で、一定勝てるようになったbotterが市場の変動に対応できずに勝てなくなるというケースはあるのでしょうか。

それもあるかもしれませんね。

その人がどのような戦略を用いていたかによると思いますが、例えばアノマリーにも様々な種類がありますからね。

月曜日は上がりやすいなど、特定の時間帯や曜日に注目するといった時間単位での戦略など、多種多様なものがあります。

そのような特定の戦略、つまりアルファに依存していた人がそのアルファが消えた結果、利益を上げられなくなるというケースは十分に考えられるでしょう。

ただそれは結局、素振りが足りない、その人が十分な準備をしていなかったということになりますね。

そうならないためには、様々なデータを収集し、例えばイーロン・マスクが犬っぽいものの画像を上げたらDogeを買うといった、簡単に作れるような戦略を考えることも大切です。

市場のセンチメントが変わったり、イーロン・マスクが画像を上げなくなったりした結果、その戦略が使えなくなったとしても、それはただ単にその人が十分な準備をしていなかったということでしょう。

特定のデータが使えなくなったら他の何を見るかなど、継続的なデータ収集や分析が必要です。

ただ、それは大変な作業ですし、流動性やボラティリティがなければ難しいですね。

それでも利益を上げ続けている人はいるので、強い人はやはり強いという印象です。

合成資産やAMMなど利用できるアセットは増え続けているし、市場からも求められている

ーー今後、クリプトのボラティリティは徐々に低下しbotterも影響を受けると予想されますが、BBBさんはどのように見ていますか。

そのボラティリティが、全体または特定のアセットに対して言うのかによって変わると思います。

例えばビットコインなどのメジャーな銘柄については今後ボラティリティは縮小していくと見ています。

一方で、合成資産やAMMなど利用できるアセットは増え続けていますし、市場からも求められています。

それに加えて、毎日新たな草コインも生まれています。

流動性を吸収できるのかという問題はありますが、それでも市場は効率化し続けるものであり、クリプトトレードが無限に続くとは限りませんが、個人のトレードがなくなるとは思えません。

ーー最近はクリプト全体でボラティリティが小さい時期が続きますが、BBBさんの運用についてはいかがでしょうか。

確かに難しくなってきており、今は手堅い取引を進めています。

大きな利益が出づらくそのためbotは頻繁には動かしてはいないのですが、ただそれはそれで戦い方があるんですよね。

例えば、stETHをLidoに預け同額のショートを無期限のファンディングレートで取得するといった、ステーキング報酬とファンディングレートの金利報酬を得るようなトレードも全然ありだと思います。

基本的には現物思考で、現物の価格変動によって資産額は常に変動しています。

半減期と価格の上昇を結びつけるには過去の事例に過度に依存しすぎている

ーークリプトの今後のマーケットについて、どのように見ていますか。

長期的には盛り上がると見ています。

ただ、よく話題に挙がるビットコインの半減期については、ビットコインが誕生した2008年以降、まだ三回しか訪れていません。

そのため、価格の上昇と結びつけるには過去の事例に過度に依存しすぎていると感じます。

カーブフィッティングに過ぎず、根拠としては薄いでしょう。

しかし、BTCの価値が国家が発行する紙幣と比較して相対的に価値が上がる仕組みであるということはわかりやすく、そういう意味で長期的に上がっていくとは考えています。

プロトコルが社会に組み込まれることとクリプトの価格が上がることはイコールではない

ーートレーダーやbotterにはクリプトを取引してもクリプトの未来には期待していないという方が多いですが、BBBさんはいかがでしょうか。

クリプトについては単に取引の対象であるだけでなく、プロトコルが社会の様々な面で活用されることに期待しています。

価格については長期的には上がるとは考えていますが、正直どちらでもいいと思っています。

それほど重要ではないかなと。

ーー価格が重要ではない理由は、ボラティリティさえあればどちらでも利益が出るように取引しているから、でしょうか。

それももちろんありますが、それだけではなく、プロトコルが社会に組み込まれることとクリプトの価格が上がることはイコールではないと考えているんですね。

プロトコルが社会に実装されることによってビットコインの価格が結果的にステーブルし、その上で現在の金のように社会に安全な資産として利用される。

そうなると価格上昇という面では旨味がないということになりますが、別にそれでいいかなと思いますね。

ーー最後に、botterを目指している方にメッセージをお願いします。

bot運用者向けのサービスや有志によるツールなど、bot運用者のコミュニティに参加するのが良いと思います。

例えば、pybottersを作っているまちゅけんさんのコミュニティなどは参考になるでしょう。

また、bot運用者が集まるDiscordに参加するのも良いと思います。

ただ、そういったこと関係なく強い人はどこにいても強いのですが。

ーーBBBさんは初期はどのように学習したのでしょうか。

本は個人的に好きで、色々と読みました。

人間の行動を観察し、それに基づいてアルファを探索することが多く、その意味では行動ファイナンス系の本は参考になりました。

特に、ポーカープレイヤーの方が書いた確率思考は非常に良かったです。

『「具体⇔抽象」トレーニング』もいい本でした。名著中の名著ですが「デイトレード」も好きですね。投資系の本は結構読んでいると思います。

参考:「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問
参考:デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術

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BBB氏のインタビュー、最後の3記事目ではCryptoBar P2Pについて伺います。

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