「ビットコインとステーブルコインとの組み合わせによりマネロンを適切にチェックする関係性が構築されている」JPYC株式会社・岡部典孝氏 4/4

JPYC株式会社の代表取締役である岡部典孝氏に、ビットコインの評価やビットコイン以外で注目している領域などについて伺いました。

岡部典孝氏 プロフィール

JPYC株式会社で日本円ステーブルコインJPYCを発行。Blockchain Award Person of the Year (Japan)受賞 BCCC 理事/ iU客員教授 人口167人の青ヶ島村に移住したスタートアップ経営者。

取材実施日

2023年4月20日

ビットコインとステーブルコインとの組み合わせによりマネロンを適切にチェックする関係性が構築されている

ーービットコインやイーサリアムについてはどのように見ていますか。

特にビットコインは驚くべき存在だと思っています。

中央銀行が発行する通貨は一定の信頼がありますが、国家自体が信用を失えば、その通貨の価値は簡単に失われるという歴史を繰り返してきています。

しかしビットコインは中央に管理者が存在せずに価値を担保しており、長期的には価値が上昇してきています。

これは本当に素晴らしいことであり、ビットコインは金融の在り方を本質的に変える可能性があると考えています。

ーービットコインとステーブルコインというテーマではいかがでしょうか。

私たちは、ステーブルコインを介して自然な形で決済される世界が当然のように実現されると想像していますが、それを実現するためには既に存在する多くの金融機関と良好な関係を築いていく必要があります。

そういう意味では、ビットコインが普及しパンドラの箱が開かれた結果、世界中のテロリストがマネロンを行い、悪事を働くという世界は、誰も望んでいないと思います。

ビットコインだけでは、一部危険な要素もあると考えていますが、ステーブルコインとの組み合わせにより、取引が行われる場所や取引業者がマネロンを適切にチェックする関係性が構築されています。

現在、各国はそのような規制を進めようとしており、日本は規制の面では最も進んでいる国です。

日本でうまくいけば、それが世界に広まっていくと思っています。

ビットコインは持っているだけでは利息はもらえないが、流動性供給によりリターンを得ることができる

ーー株式投資歴が長い投資家ほど「ビットコインやクリプトの本質的な価値がわからないから取引しない」という方がいらっしゃいますが、ビットコインの本質的価値についてどのようにお考えですか。

従来の金融理論では、利息や財産の分配を受けられないものは本質的な価値がないという議論が存在しました。

しかし、実際にはビットコインの方が良いパフォーマンスを示すことがあります。

それは取引の容易さが一因だと思います。

DEXなどでも明確ですが、ビットコインは持っているだけでは利息はもらえませんが、流動性供給によるリターンを得ることができる構造になっています。

このような構造がある限り、価値を感じる人は存在するでしょう。

金を所有していても利益を生み出さないのに対し、流動性を供給する側になれば少しの利益が得られるという点で、ビットコインやイーサリアムのようなクリプトは取り扱いが容易です。

トークン化され、一定の流動性があり、取引が行われ、流動性供給者にリターンが得られるという構造が維持されている限り、人々は流動性を供給したいと考えます。

その供給により報酬を得ることができるという要素は、私にとっては価値があると言えます。

あらゆる物が抽象化されてNFTとなり、ステーブルコインを使った取引が行われる世界では、ほとんどの取引が共通化される

ーービットコインとステーブルコイン以外で注目してるプロジェクトや領域はありますか。

物と取引できるNFTは非常に注目しています。

私は以前古物商もやっていましたが、物の取引には非常に多くのコストがかかるんですね。

物の真贋の確認や物理的な輸送など、さまざまなコストがかかるのですが、これが引換券のNFTになれば取引が非常に簡単になります。

また、ステーブルコインとの相性も非常に良いでしょう。

物と機械的に交換可能なNFTは今後成長していく領域だと思いますし、金や銀、プラチナ、小豆などのように先物相場が存在するものだけでなく、他のものもある意味でNFT化され、活発な取引が行われるようになるのではないかと考えています。

ーーいま盛り上がっているイラストのNFTというよりは物と引換できる領域に期待しているということでしょうか。

物が共通化されると非常に影響が大きいです。

例えば、以前はトウモロコシに関する取引システムや、プレイステーションに関する取引システムなど、それぞれのものに特化した取引システムが存在していました。

しかし、それが抽象化されてNFTとなり、ステーブルコインを使った取引が行われる世界では、ほとんどの取引が共通化されると考えていますので、大きく効率が向上すると考えています。

いまのマーケットでは銀行が潰れるリスクが軽視されている

ーーマーケット全体についてまだ織り込まれていないと感じているリスクはありますか。

銀行が潰れるリスクが軽視されていると感じます。

例えば、2023年3月のUSDCのディペグのケースは、問題はサークル社ではなくシリコンバレーバンクに起因しています。

サークル社は送金指示をしていたのに、銀行が送金を行わなかったために資金がなくなる可能性があったのです。

クレディスイスも、超法規的措置によって合併救済されたため大きな混乱は回避されましたが、通常の法律に従っていればより深刻な状況に陥っていた可能性もあります。

法律があるから安心というわけではないことが分かったと思います。

金利が上がり、不動産価格が下がることで多くの銀行が自己資本割れし、その上銀行の収益性も低下しているため、増資も集まらず破綻が連鎖するというシナリオは現実的なものでしょう。

海外の日本のクリプトに対する期待は思った以上に大きい

ーーそのほか、注目しているトピックを教えてください。

いろいろな海外の方々と話をしていますが、日本のクリプト業界に対する期待は思った以上に大きいと感じています。

日本の規制も見直されているし、治安や食事の美味しさなどは元々高い評価を受けている要素です。

税金がネックではあるのですが、国家戦略として税制改革も進められており、もし改善されれば、日本にクリプト関連企業が集まるシナリオも考えられます。

最近は香港が注目されていると聞きますが、香港には地政学的なリスクもあるため、日本は意外と良い場所かもしれません。

そういった意味でも、皆さんがどんどん日本にクリプトの資金をもたらすことが非常に重要だと考えています。

要は、たくさんの納税があれば、税率はそれほど高くなくても構わないわけです。

たとえば、20%の分離課税になったとしても、日本でクリプトトレーダーの方々がたくさん20%の税金を納税し、十分な税収が見込めれば、20%でも問題ないとする判断はあると思います。

しかし、数が少なく金額も大したことがない状態だと高い税率のままになってしまうでしょう。

ですので、ぜひ日本に居住されている方や日本に法人を持ちトレードされている方は、外国からたくさんの資金をもたらし、実績を積み上げていただけると、税率も下がる可能性があると思います。

そうすれば、日本の規制はおそらくアメリカと比べてもバランスが取れた良いものになっているので、ステーブルコインの発行体が日本に集まることも十分にあり得るでしょう。

予想していなかったJPYCの使い方をユーザーが見つけてくれている

ーーJPYCに関して、読者にメッセージがあればお願いします

JPYCが比較的緩やかな規制の下で利用されているのは、多くの方々に使っていただいたおかげです。

特にトレーダーの皆さんがJPYCを納税に利用する方法を見つけてくれました。

現在、金額ベースで最も多く使われているのはその方法です。

予想していなかったJPYCの使い方をユーザーの方々が見つけてくれたことにはとても感謝しており、今後も期待しています。

実際、クリプト長者の方々はあまり預金を持っていない傾向があり、納税時にJPYCを使用してカードで支払ったり、○○Payから納税する、といった使い方がされています。

数千万円単位の納税がJPYCで行われているという報告もあり、おそらくトレーダーの方々が行っているものと考えられます。

今後も皆さんがさまざまな良い使い方を見つけてくれることを確信しています。

私たちが提案するよりも、ユーザーの方々が見つけて広めてくれる方が説得力があり、速く広がると思います。

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