自由を求めトレードを開始、2012年にビットコインに出会った 佐々木徹氏 1/4

15年間商社に勤めた後、試行錯誤の末に身につけたトレードの手法を頼りに、個人投資家に転身した佐々木徹氏。トレードの手法を米国オンライン教育サイトUdemyで公開したところ、2014年には日本人初のトップ15講師入りした。今も投資指導などの事業を行いながら、商品先物やFXなどの取引を続け、「トレードは勝とうと思い過ぎると失敗する。利益確定のタイミングが重要」と話す佐々木氏に、トレードを始めたきっかけや取引の手法、考え方などについて聞いた。

佐々木徹氏 プロフィール
40代から自由な時間と収益を作るトレード教育を行っています。ビットコイン / ゴールド / 原油 / 外国為替 の取引方法が学べる「ココスタ」運営(受講生4,800名)。現役トレーダー / 米CMT検定1級保有 / ビットコイン研究所ライター / 株式会社ファム代表取締役。
https://twitter.com/CocostaGeekend
インタビュー・編集:内田 誠也
執筆:山本 裕司

自由に生きたいと考え資産形成を始める

――最初にプロフィールを教えてください。

1998年に商社に入社しまして、2008年には米国にある子会社に出向しました。この間、結婚して子供もいたのですが、転勤が多くて、そのたびに子供の学校は変わり、何かと出費も多い。もっと自由に生きたいという気持ちが強くなり、資産形成を考えるようになりました。

最初に始めたのは2000年くらいだったのですが、外貨預金をしてみたのが手始めで、その後、株も買ってみました。

それで、資産を増やす方法をいろいろ調べていくうちに、FXというものがあって、外貨預金よりもFXのほうがいいということを知りました。日本ではまだ、FXとかレバレッジという言葉も、たまに聞く程度の時代でした。

当時は、レバレッジをかけて1万ドルを持っていると、1日でスワップが130円くらいもらえたんですね。これなら、会社で働きながら、そこそこ資金も増やせるということで始めました。

――そこから、トレードにのめり込んでいった。

転勤でアメリカに行くことになったのが一つの転機でした。

それまで、いろいろトレードの情報をネットなどで調べていたのですが、日本語で調べても埒があかないなと思い始めていた頃でした。

アメリカではマーケティングの仕事をしていまして、アメリカのマーケティングについて調べることもあったので、試しにトレードや資産形成についても英語のサイトで調べてみたんです。

英語で調べ始めてみると、日本で集められる情報とは雲泥の差というか、情報の量がけた外れに違うということが分かって驚きました。

投資をしている人が趣味で書いているような記事から、FXストリートみたいな情報系サイトまで、さまざまな情報があって、当時の日本では全くない知られていない内容も含まれている。

日米の格差っていうのはすごいなと思って、じゃあ、こうした情報を見ながらトレードをしようと思い始めた矢先に起こったのが、リーマンショックでした。そこで、FRBは経済を支えるために低金利政策を始めた。要は高金利の時代が終わったわけです。

すると、それまで、お金さえ入れておけば、スワップが入るというおいしい話もなくなり、資産を増やすにはキャピタルゲインを取りにいかなければならなくなった。それからトレードに本格的に取り組むようになったという流れですね。

――勉強や情報収集は主にネットだったんですか。

サイトなどで調べたことを実践するなどして、うまくいったりうまくいかなかったりを繰り返していました。

当時、日本になくて、アメリカにあったものの中にYouTubeを使った投資アドバイスというのがあったんですよ。今では珍しくありませんが、チャートの動きなどをスクリーンに映して、自分で指さししながら解説するみたいなことをやっている人がいて、それが結構的を射ているんです。

これはすごいなあと思って、それはよく見ていました。そうやって勉強して、実際に成功したり失敗したりした体験も組み合わせながら、それほどの額ではないのですが、トレードをしていました。

そのうちに、こうした日本では得られない情報がたくさんあるのに、自分のような英語のサイトにアクセスできる人間だけで抱えていくというのはどうなのかな、と思い始めまして、自分でもYouTubeやブログで発信してみようかと考えるようになりました。

それとは別に、アメリカに行ってから「金持ち父さん貧乏父さん」で日本でも有名なロバート・キヨサキさんの本など、啓発本の類を読むようになったんです。日本にいるときは全然興味はなかったんですが。

すると、会社が用意したルートに乗った人生ってどうなのかな、もっと、自分の人生を自分でコントロールできないかな、という、まあ勝手な考えですが、そんなことを考えるようになりまして。

それで、何かもう少し、自分でやったことが直接のリターンとして返ってくるようなことはできないだろうかと、ブログやYouTubeで自分の成功談や失敗を含めてトレードに関する情報の発信を始めたんです。

――その頃には、会社をやめて個人投資家としてやっていこうと思っていたのですか。

米国には4年あまりいたのですが、帰国する頃には、退社して独立したいなと考えていましたね。だけど、トレードで飯を食っていくという考えはありませんでした。投資は結局、水もので、うまくいくときがあれば、うまくいかないときもある。結婚して子供もいましたから、3人家族でギャンブルの世界に身を投じることは、さすがにできないですよね。

だから、独立するのであれば、YouTubeやブログなどでお金を稼ぐ道を考えなければならないと思いまして、試しに有料の記事をだしたんです。そうしたら、最初の記事を買ってくださる方がいらっしゃいまして。それが、今のオンライン教育などの事業につながっています。

Sponsor

仮想通貨トレーダーズクラブ COINRUN

COINRUNは暗号資産の古参トレーダーである、田中さん、ヨーロピアンさんの2名による、暗号資産のトレードによって「まとまった資産を築く」「継続的な収入を得る」「ビットコインを増やす」ことを目的に、様々な有益情報を共有するオンラインコミュニティです。

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ビットコインの取引を始めて独特の感性がある人と知り合えたことが刺激になった

――トレードで勝てるようになったのはいつごろからですか

今でもつまらないミスばっかりやってますけど、プラスになり始めたのは2015年、16年ぐらいからですかね。退職して会社を設立したのが、2014年でしたから、2年くらいたってからですね。ようやく、それなりの額を運用して、安定して利益を積み増していけるようになったという感じですね。19年くらいから利益も大きくなって、今は3年目というところです。

――Twitterに「暗号通貨&ゴールド好き」とありますが、暗号資産の取引を始めたのはいつ頃からですか。

アメリカから日本に戻ってきた頃ですから、ビットコインを知ったのは2012年から13年ごろです。ビットコインのホワイトペーパーが出たのは2009年ですから、もっと早くに知っていても良かったのですが、少し遅かったですね。

ただ当時はあまり知られていなくて、メルマガに記事を書いてもビットコインの記事は開封率が低かった。ビットコインの記事が読まれるようになったのは2017年くらい、暴騰して大いに盛り上がった頃ですね。

▼佐々木氏の2014年の記事。ビットコインが大きく盛り上がる前からビットコインについて情報発信していた。

https://www.cocosta.jp/2014/free-bitcoin-tutorial/

実は私自身、ビットコインのトレードはあまりやっていないんですよ。買ったら、長期保有で持っておくくらいで。ビットコイン取引の感覚を忘れないように、ときどき、少額だけ取引しているという感じです。

それよりも、ビットコインの取引を始めてよかったのは、人脈の幅が広がったことです。ビットコインに早くから注目していた人って、変人が多いんですよ。独特の感性があるというのか。そうした人たちと知り合えたことは、とても刺激となりました。

「ゴールド好き」と名乗っているように、今のトレードの中心は商品先物ですね。ゴールドだけでなく、シルバーとかプラチナとか。

レンジの下限や幅で底の固さなどを判断しトレード

――今はどのような手法でトレードをしているのですか。

チャート自体はそんなに見なくて、実際の取引で資金が入ってきた場所や抜けた場所を見て、売買のタイミングを判断するというやり方です。

例えば、ビットコインを例にすると、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)で資金の出入りが多くなる価格帯を見て、上下で指値を入れるという感じですね。

だいたい今だったら下が2万1000ドルぐらい、上が2万4000ドルぐらいで固まってるんで。だから、2万1000ドルくらいに下がったところで打診を入れて、2万4000ぐらいで利益を確定するというイメージです。バシバシ売り買いして、利益を取りに行くっていう感じではないです。

今のビットコインの相場を見ていると、だいたい2万4000ドル近辺で売られるのがずっと続いてきているので、2万4000ドルから上はちょっと厳しい。

佐々木氏インタビュー前後のBTC/USDのチャート 出典:tradingview.com

でも下は2万1000ドルで先物の人たちがいつも買い戻してるんで、2万4000から2万1000のレンジで動くのだろうということです。ですから、その真ん中あたり、2万2500あたりでは売買せず動かない。

下落しても2万1000ドルで反転しているということは、2万1000ドルでショートのポジションを持っていて損した人も多いはずで、そうした人は、次に2万1000になったときは利益確定したり、買ったりするはずなんです。

だから、結構底堅いはずなので、そこで買っても奈落の底まで叩き落されることはないだろうというか、損してもそれほどの痛手にはならないだろうという読みです。そうやってリスクを回避するようにしています。

――そうした市場の動向は、毎日チェックしているのですか。

そんなに見ているわけではなくて、だいたい週に2回ぐらい、オンライン講義のコンテンツを作ってるんですが、そのときに指標などもまとめて見ています。

ですから週末に3、4日分まとめてチェックして、週の真ん中ぐらいにも、もう1回見るという感じですね。

チェックしているのは、さきほど言った資金の出入りと、メモリプールとかブロック情報など代表的なものだけで、それをスプレッドシートのような形で記録しています。それを見て、レンジの下限に近付いてきたら「そろそろ指値を入れておこうか」と判断するというやり方です。

――もし、レンジの下限あたりで買って、それでも下がった場合はどうするんですか。ストップロスを入れるんですか。

そのときは、さっさと手じまいして逃げますね。ストップロスを入れても、暴落したときなどはストップロスの値を突き抜けて約定しますから、怖いです。調子のいいときって、指値を入れた後、しばらくして見に行ったら、だいたい利益が出ていることが多いんですが、見に行っても利益が出ていないときは原点近くまで戻るのを待って、そこで手じまいします。

暗号資産をメインでやっていて、資産形成しているという人であれば、もうちょっと突っ込んでやらなければならないと思うのですが、私の場合は、暗号資産は少しずつ利益をだしていければいいという感じなので、指値入れて利益が出ていなければ、原点で閉じるという、まあ気楽な取引です。

板を見ながらタイミングを計ってエントリーするというのが、あまり得意ではなく、指値派なので。指値を入れたら、後はほかのことをしていて、勝手に約定してくれるのを待つという感じです。

今は暗号資産よりも、商品先物取引に軸足を置いているという佐々木氏。次回は、貴金属の先物取引などについてお聞きします。

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