18年の暗号資産の暴落で資産を溶かし、停滞期に市場サイクルに出会った暗号資産トレーダーU氏 1/4

会社員をしながら暗号資産のトレードを始め、現在は会社を経営しながらトレーダーとしても活動しているU氏。知識もないまま2017年から暗号資産を買い始めたものの、当初はうまくいかず、暗号資産の下落とともに多額の損失を抱え、生活にも困窮するほどだった。しかし、2021年に暗号資産が上昇トレンドに入ったのをきっかけに、資産を増やすことに成功した。そんなU氏にこれまでのトレードを振り返ってもらった。

U氏プロフィール
2017年より暗号資産のトレードを開始。相場全体のサイクルを見ながら行うトレードを得意とする。2021年のブル相場で資産を増やすも、21年の終わりに暗号資産担保ローンの取引をはじめ大きく資産を減らす。現在、各国のインフレや利上げ施策を観察しつつ、次の暗号資産のブル相場に向けて準備を進めている。

お小遣い稼ぎにと始めた暗号資産トレード

――トレードを始めたのはいつ頃ですか。

2017年の5月でした。当時働いていた会社の同僚の中で暗号資産の話が挙がりました。「これからはXRPが上がる」「暗号資産に詳しい知人がいて、規制などに関する情報が入ってきているから間違いない」というような話です。

「インサイダー取引じゃないのか、大丈夫なのか」と当時は怪しい話だなと思って聞いていました。僕自身、暗号資産自体について当時はテッククランチのビットコインに関する記事を読んだことがある程度で、暗号資産についての知識はほとんどありませんでした。

――投資には興味があったんですか。

大学生の頃から興味がありましたが、暗号資産については知識もなかったのですぐにはじめようとは思いませんでした。

でも、その話を聞いた会社の同僚たちが、XRPやビットコインを買うようになって、同時に会社意外の知人でも暗号資産の購入を始めたという人が増えてきた。そこで、私もやってみようかと思って始めました。話を聞いて、1-2カ月後のことでした。

――買う前に勉強はしたのですか。

全然。薄い本を何冊か読んでいたくらいです。正直なところ、投資に関する知識もほとんどなかったし、大きく増やそうという目的も当時はありませんでした。とりあえず、お小遣いを稼ぎたいな、自由になるお金を増やしたいといった気持でした。

――2017年の5月ということは暗号資産のトレードをする人がまだ、それほど多くない時期ですよね。

そうですね。僕みたいに、良く分からないけれど儲かりそうだから始めてみたという人が増え始めた頃ですね。

――それで、推奨されたXRPを買ったのですか。

いいえ、最初はDashというトークンを買いました。口座を開設して、最初に20万円入金したのですが、まず5万円ほどでDashを買いました。その後、6万円ほどでXRPを買って。

どんなトークンがあるのかも分かっていないのに、周囲がXRPで盛り上がっているから、自分は逆張りで違うものを買っておくか、という感覚です。Dashトークンがなんのトークンなのか当時もいまもよくわかっていません。

でも、買ったはいいもののすぐに上がらなくて、やっぱりXRPに変えようみたいな感じで、XRPに換えました。

換えると言っても、国内の販売所を使っていたので、売買ごとに5%ほどの手数料が取られるわけです。だから思い付きで日本円からDashトークンを買って、DashトークンからXRPに換えて、その2回の取引だけで手数料で10%目減りしてしまう。そんなことをしていて勝てるわけがないですよね。 

でも当時は、そんなこともわからず、取引していました。今から考えれば、負けて当然のトレードでした。

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下落局面で値上がりを信じて買い続ける

――当時の暗号資産の価格はいくらぐらいでしたか。 

ビットコインで20万円前後でしたね。 その後、急激に上昇して、みんながやりだす少し前の時期ですね。今から考えれば、そのままただただ持っていれば、何もせずに勝てるじゃないか、ということなんですが、だれも未来のことはわからないですからね。

少し上がれば、利ざやを取ろうと売買するのですが、結局、なんとなくでトレードしているから、勝てるわけがない。おまけに手数料は5%も取られてしまう。そんな状態がしばらく続いていました。

そこに、ビットコインが急上昇する時期がやってきました。2017年の夏頃から上がり始めて、秋にはバブルといわれるようになった。そして、12月には史上最高値の233万円をつけました。僕が買い始めた時期からみれば、約10倍です。

2017年のBTC/USDのチャート。17年12月-18年1月に大きく価格が上昇している。出典:tradingview.com

こうなると、僕のようないい加減なトレードでも、利益は出ますよね。100万円ほど入金して12月には300万円の評価額になっていました。

――300万円あれば、余裕をもってトレードに臨めるようになったのではないですか。

そうではないんです。実は僕は、最初から借金がありました。カード払いで買い物をしていて、そのリボ払いなどが200万円くらいになっていたんです。

だから、僕のトレードはゼロからではなく、マイナス200万円からのスタートなんです。2017年夏以降の上昇局面でカードローンを借りながら暗号資産を買っていました。

2017年の12月には300万円の評価額がありましたけど、借金も300万円くらいあったので、ならすとプラスマイナスゼロでした。

そして、一旦年内の取引結果を確定させる意味で、12月の頭に全て売却して現金化しました。ビットコインが最高値の230万円ほどをつける少し前です。

――すると18年初めの暴落からは免れたのですか。

最初はそうですけど、220万円をつけていたビットコインが、暴落して100万円になったわけです。

そこで「これはお買い得だ」と思ってしまって……。現金化していたお金で再度ビットコインなどの暗号資産を購入しました。しかし100万円まで下がっても価格の下落は止まらず、80万円、70万円と止まらず下がっていく。

そんな右肩下がりに下がっていく相場の中でも、僕は「これで220万円に戻したら、3倍になる」とプラスに判断していました。それで、下がれば下がるほど、再び上昇するはずだと、どんどん買い増していきました。

持っていた現金はすべて暗号資産の買い増し費用にあてたので、去年分の税金を収めるお金がありません。暗号資産が上がれば、払えるのですが、こちらは下がるばかりで税金のために売却したら損が確定してしまいます。

そのうち暗号資産も上がりもせず下がりもせず、もう動きようがない状態になりました。

17年12月から19年5月までのBTC/USDのチャート。18年1月に大きく下げてからじりじりと下げ続き、18年末から19年3月まではボラティリティが小さい期間が長く続いている。出典:tradingview.com

借金までして買ったビットコインですから、簡単に損切りするわけにいかないし、かといって税金の督促は届く。税金の未払いで、とうとう、夏には給与を差し押さえられてしまいました。

給料の手取りが30数万円しかないのに、50万円ほどの差し押さえがくるという状態でした。1回の給料で差押えできる金額というのは上限が決まっていて、僕の場合3回の給与が差し押さえられました。

本を読んで相場のサイクルに着目

――その頃は、同じように軽い気持ちで始めた人の多くが多額の損をしていましたよね。

最悪の状態でした。

2019年の1月ごろにビットコインの価格は30万円ほどまで下げて、それが後から見ると底値を付けていたのですが、その頃には「ビットコインは8万円まで価格下落する」という記事まで出回っていました。

僕は変わらずビットコインやイーサなどを保有していたのですが知り合いにも「暗号資産はもう終わり」「まだビットコインなんて買っているんですか」と揶揄されていました。

でも、2014年以前など古くから暗号資産に携わっている人の中には「価格は下がっているが開発は順調に進んでいてむしろファンダメンタル的な要素は進捗している」「引き続き長期的な価格に対してはポジティブに見ている」という人が多数いました。

こうした人達は、感情ではなくロジカルに話をしていて、僕はそちらを信じました。だから、下がり続けているのにもかかわらず、お金ができれば少しずつ買い増していました。

100万円や70万円で買ったものが30万円前後に下がっているわけですから、当時は本当につらかったです。どん底でしたね。

――転機が訪れたのはいつですか。

ビットコインが再び上昇し始めるのは2019年からなのですが、そのときたまたま「市場サイクルを極める」という本を読みました。

これは、相場は常に大きなサイクルの動きがあって高過ぎたり安過ぎたりを繰り返しているということを解説した本です。それから、相場における上昇と下落のサイクルを意識するようになりました。

振り返ってみれば、17年12月の暗号資産バブルのときは、会社に行けば、オフィスビルですれ違う人の誰かが常に暗号資産の話をしているほどの盛り上がりでした。

深夜に牛丼のチェーン店に行くと不良っぽい男が暗号資産について仲間と語っていました。

まさに多くの人が熱狂して、相場が過熱した状況だったわけです。

その後、大暴落し下落の時期に入るのですが、この上昇と下落の2つの相場を体験して、「市場サイクルを極める」で書かれていた「相場はサイクルを繰り返す、なぜなら相場はマーケット参加者の感情によって作られ、そして人は学ばないから」という理論がぴたり当てはまると感じたわけです。

いまが下落サイクルでそのサイクルの中でも総悲観の位置にあるとしたら、そう遠くないうちにまた上昇サイクルがやってくる。

よく「悲観で買い、歓喜で売る」と言いますが、まさにそれだと思いました。じゃあ、いま個人投資家がビットコインに見向きもしないこの時期に買い、また盛り上がったときに売ろうと。それが自分の性格に合っている気もしました。

そこで、いまその相場自体が大きなサイクルの中でどの位置に位置するのかを見極め、買い時と売り時を判断し、長期的に持つというスタイルになりました。ここが転機だったように思います。

――そして、2019年に再び上昇局面が訪れる。

そうですね。2019年の1-3月ごろにビットコインが30万円ほどで底値をつけて、その年の夏頃に上昇を始めてビットコインが120万円ほどまで上がり、僕の資産も増えていきました。

――それからはただひたすらビットコインを保有していたのですか。

いえ、ビットコインの保有と同時に、ビットコインとアルトコインの取引もしていました。

当時、HashHub Researchという有料の暗号資産に関するレポートを購読していたのですが、そこで、直近有望な暗号資産としてKNCというトークンが挙げられていました。

「KNCの取り扱い高などは順調に推移しているものの同カテゴリの他のZRXトークンなどと比較し時価総額が低く推移している、今後、同カテゴリのZRXと同じ水準にまで上げて行くだろう」という内容の見通しが書かれていました。

参照:KNCの投資判断 隠れ優良銘柄の可能性があるKyber Networkの近況

HashHub Researchは2年ほど購読していたのですが、それほど強気な見立てをすることはそれまであまりなかったので、珍しいなと思いました。

ちょうどそれが19年年末か20年の年始のタイミングで、休暇の時間を使って自分でも調べてみたのですが、レポート内で説明されていることはそれなりに確からしく、妥当性があると判断しました。

そこで、19年の12月末から翌年の1月にかけて分散して買いを入れて、2月ごろから上昇しはじめ、売り抜けました。ビットコインの保有と並行して、こういうビットコインとアルトコインの取引も要所要所でやっていました。

KNC/BTCのチャート。出典:tradingview.com

2019年後半から始まった暗号資産の上昇局面でようやく資産を増やし始めていくU氏は、その後もさらなる利益を求めてトレードを拡大していく。ところが、ハイリスク・ハイリターンを求めるあまり、再び危機に直面する。U氏のリスキーなトレードと、その顛末は「第2回」で。

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