暗号資産を担保にトレードを拡大し含み益数千万円を溶かす 暗号資産トレーダーU 2/4

「お小遣いとして数万円増やせたら」という軽い気持ちで、暗号資産のトレードを始めた兼業トレーダーのU氏。借金を通して下落局面で暗号資産を買い進め、2019年からの上昇局面でようやく資産が増え始める。ところが、さらなる利益を追い求めて、トレードを拡大したところ、その先に新たな落とし穴が待っていた。暗号資産の再上昇から、「コロナショック」を経て「コロナバブル」へ。さらにリスク度を増すトレードをU氏に振り返ってもらった。

U氏プロフィール
2017年より暗号資産のトレードを開始。相場全体のサイクルを見ながら行うトレードを得意とする。2021年のブル相場で資産を増やすも、21年の終わりに暗号資産担保ローンの取引をはじめ大きく資産を減らす。現在、各国のインフレや利上げ施策を観察しつつ、次の暗号資産のブル相場に向けて準備を進めている。

上昇トレンドに入りようやく資産も増加に

――2019年後半から暗号資産の上昇が始まりました。それまで塩漬け状態だった暗号資産の価値も上がり始めたということですね。

そうですね。長期的には上昇するだろう前提で2018年も分散して買い続けていたのですが、買ったら下がり、買ったら下がりで、なかなか苦しい時期が続きました。

それが、ようやくうまく回り出したのが、この頃ですね。

――その後、2020年に入って、コロナショックが起きましたね。

2019年後半から2020年1月にかけて、暗号資産が上昇したのですが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、市場が一気にリスクオフムードになり3月に大幅な下落が起きました。1日50%下げるほどの暴落でした。

2019-2020年のBTC/USDのチャート。2020年3月ごろに大きく下げている。出典:tradingview.com

このコロナショックの時期には売りも買いもしていないんです、全く。このときは、相場のサイクルに合わせて、中長期に保有して、上がれば売るというスタンスを決めていましたから。

――コロナショックで痛手は受けなかったのですか。

コロナショックはうまく耐えて、その後の上昇局面で大きく増やしました。もちろん、単純に価格が上昇したというのもあるのですが、ビットコイン建てのアルトコインのトレードでも、ビットコインを増やすことができました。

このときに選んだのが$ATOMと$KAVAでした。この2つはファンダメンタル的に中長期で評価・価格の上昇が見込め、かつビットコイン建てで見た際に価格が低下していた、という理由で保有していたのですが、予想どおり2020年の夏頃にビットコイン建てで上昇し、ビットコインの枚数を増やすことができました。

2020年のATOM/BTCのチャート。出典:tradingview.com
2020年のKAVA/BTCのチャート。出典:tradingview.com

いずれビットコインはfiat建てで大きく上昇していくだろうという見立てで、ビットコイン建てのアルトコイントレードでビットコインを増やしていけば、いずれfiat建て(日本円建て)の資産も増えていくだろうと考えで取引をしていました。

――なぜ$ATOMと$KAVAが中長期で評価・価格の上昇が見込めると判断したのですか。

$ATOMは簡単に言うと異なるブロックチェーン同士の相互運用を担うCosmosチェーンで使われるユーティリティトークンで、今後いろんなチェーンが出てくる中で利用や評価は上がってくるだろうと考えていました。

$KAVAはこのCosmosのブロックチェーンのSDK(ソフトウェア開発キット)を基盤に構築されていてMakerDAOのような仕組みを作るプロジェクトで利用されるトークンです。

BTCなどの資産を担保にして、USDXと呼ばれるステーブルコインを借り入れることができます

MakerDAOのプロジェクトは担保資産額が順調に増加しており時価総額も一定大きくなってきていて、$KAVAについても今後評価や価格上昇が見込めるのではと考えていました。

参考:異なるブロックチェーンを相互通信するcosmosの仕組みを理解する(2019年8月改訂版)

参考:Kavaの概要・考察。COSMOS SDKを用いてMakerDAOのような仕組みを実現するプロジェクト

――資金はあったのですか。

給料の一部を回したり、新型コロナ対策の給付金をつぎ込んだり。5月頃から9月頃にかけて、かなり資産を増やしました。

節税のために会社を作ったのも、この頃です。資産が増えて、運用額も増えてきたので、知り合いに「会社を作ったほうがいいんじゃないか」と言われて。

為替や株式などの投資に関する業務等、インターネットサービスの企画、を行うということで会社を設立しました。

暗号資産を担保にトレードを拡大

――この頃は何を手がかりにトレードをしていたのですか。

チャートとファンダメンタルズ、市場の雰囲気ですね。

相場はサイクルを繰り返すという大前提に立っているので、長期のチャートやTwitter、メディアなどで市場の過熱感を見ながら、いまサイクルの中でどの位置にいるんだろうということを考えます。

その上で先ほどの$ATOMや$KAVAのようにファンダメンタルズ的に魅力的なトークンを見つけ、そのトークンのビットコイン建てでの価格を見て売買をします。

テクニカル指標は全然わからない。RSIとかOIとか、全く理解していないので。

あとは、有料のレポートを読んだり、暗号資産のトレーダー向けのオンラインサロンに参加してインプットしたり、といったところですかね。

――レポートやサロンで勧められたら、取りあえず買ってみるのですか。

実際にそのレポートやサロン以外の情報を自分で調べてみて、確からしいと判断できれば買います。

中長期に保有するのが前提なのですが、一定自分なりの確からしさや確信がなければ数カ月も持てません。なのでただ推奨情報を見て鵜呑みにして買うのではなく、自分で一定調べて自分なりの確信を持って買うのが大事だと思っています。

Twitterは、世間ではどういったトークンで盛り上がっているのか、を参考にします。17年ごろの熱狂ぶりを肌で知っているので、あの頃と比べてどうか、と熱狂度を測ったりとか。

自分が持っていないアルトコインが急上昇しネットで盛り上がっていることもありますが、自分で確信が持てない限りは釣られて買ったりはしません。

自分が保有しているアルトコインが不人気だからといって話題のトークンに乗り換えかえると、それまで持っていたコインが上がるというのは、よくあることですから。

周りの声に惑わされず、自分なりの根拠を見つけて買うようになったというのは、18年ごろの失敗から学んだのかもしれません。

――そこから、さらにトレード額を増やしたのですか。

20年から21年にかけて、ビットコイン建てのアルトコイントレードで増やしたのですが、21年の秋から、とある暗号資産担保ローンを使って、さらにトレード額を増やそうと考えました。

――お金を借りて、トレードの資金に回すと?

そうです。暗号資産を担保に日本円を借りることができます。

最低担保率は200%で、例えば1000万円分の暗号資産を担保にすれば、500万円借りられるわけです。

けれど、当初は最低借入額が1000万円で、最低でも2000万円分の暗号資産を担保として差し出さなければならなかった。興味はあったのですが、リスクを考えると、そこまでの暗号資産は用意できませんでした。

それがある時期から最低借入額が500万円に引き下げられたんです。1000万円分の暗号資産なら、担保に入れても大丈夫だと思ったので、9月からお金を借りて暗号資産を買うことにしました。

――暗号資産の価格が下がって担保割れする危険もありますよね。

はい、もちろんです。担保資産が借り入れ資産の120%以下に達すると強制的に清算される可能性があります。

500万円を借り入れていたら200%の1000万円を担保にする必要がありますが、それが600万円以下まで下がると強制清算の可能性がある、という感じです。そこはリスクなのですが、僕はまだ、そんなに下落することはないだろうと考えたんです。

21年の市場は過熱気味と言われることもありましたが、17年の熱狂ぶりと比較するとまだ弱かった。だから、もう一段の上昇があるだろうと思っていました。

21年の9月ごろといえば、ビットコインは500万円ほどです。たとえ下がっても、借り入れ資産の約120%、300万円まで下がることってないだろうと思ってたんです。だから、1000万円分くらいなら大丈夫だろうと。

当時のBTC/USDのチャート。赤の楕円ヶ所がU氏が暗号資産を担保に借り入れ、再度BTCを買い増しした時期。出典:tradingview.com

「もう少し上がるだろう」の欲が仇に

――実際にやってみてどうだったんですか。

最初に500万借りて、全額でビットコインを買いました。すると、いきなり10%下げて、いきなり50万円の含み損になったのですが、その後すぐにぐっと上がって買い値より高い価格まで上がりました。

追加で入れた資産だけでも、価格がたった10%動いただけで給与の1-2カ月分の利益を稼げてしまう。「もっと借りとけばよかった」と思ったんです。

それでその後、追加で3回、500万円ずつ借りて、ビットコインの購入にあてました。合計で2000万円。担保に入れた暗号資産の評価額が上がれば、借り入れられる額も増えますし。それが2021年の9月から11月ぐらいの話ですね。

ーーすると、資産はどれくらいになっていたのですか。

暗号資産担保ローンで借り入れた資産も含めて、最高で数千万円ほどですね。

暗号資産のトレードを始める前は、資産がゼロでむしろ200万円ほどの借金があったのに、それが4年半で数千万円の資産を運用するようになった。

ただ、そのうち2000万円は暗号資産担保ローンで返さなければならないお金だったし、個人的な借金も残っていた。でも、資産が借金を大きく上回っていたので、すべて返し終わったような気分になっていました。

11月くらいには、ビットコインも700万円にまで上がっていました。借り入れしてよかったと思っていて、欲が出てしまった部分もありました。

――欲が出たのですか。

もともと20年から21年にかけての相場で、ビットコインが800万円ほどになったら利益を確定しようと考えていました。

前回2017年の高値が230万円ほどで、長期チャートなどを見てだいたいそのあたりで売り抜けるのが妥当なんじゃないかと。

それ以上に上がったとしても1200万円くらいだから、800万円から1000万円で手じまいしようとずっと思っていました。

けれど、700万円まで上がって、市場は盛り上がっていましたが2017年に比べるとまだ過熱感が弱く、ひょっとしたら2000万円までいくんじゃないかと、目標を上方修正してしまった。そして暗号資産担保ローンまで使ってしまった。

別に、そこからビットコインが4、500万円上がったところで、一生遊べるお金が手に入るわけではないのにリスクをとってその可能性に賭けてしまった。「あと、もう少し」と欲が出たんです。ダメですね。

――すると、そこから下がってしまったわけですね。

12月くらいから、またビットコインが下がり始めたんです。800万円くらいを目標に置いていたのなら、少し手前の700万円でも一部利益を確定すべきでした。しかし、「もう少し上がるのでは」とずるずる行ってしまった。

そして、ビットコインの評価額が下がってきたときに、はたと気づいたんです。このままでは、お金を返せないと。

当時のBTC/USDのチャート。tradingview.com

その時担保の解消には借り入れていた2000万円を差し戻さなければならなかったのですが、無計画に資産の差し出しをしていたたため、私が管理している資産は2000万円を切っていました。なので、担保契約を解消したくてもできない。

預け入れていた担保資産で清算するという方法もあったのですが、原則この方法は1年間の契約満期時にしか使えない契約だったんです。

このまま下がり続けると、1年後にようやく預け入れした担保で清算して解消できるようになっても、そのときはいま以上に資産が目減りして、今の借金を返済できないかもしれない。もしくは1年後を迎えるまでに担保資産の価格が120%割れをして、大きく資産を減らすかもしれない。

借金は、担保ローンだけではなく、税金の滞納もあったし、カードローンもあった。もし、大きく担保割れして、清算ということになったら、結局、残るのは借金だけです。

そこで、満期を待たずして担保を解消して全てを清算できないかとローン会社に相談して、最初は「できない」とのことだったのですが、そこをなんとか、ということで「検討してみます」という返事をもらったのが12月の末ごろでした。

――返事を待っている間にも相場は下がり続けたのですね。

結局、清算可能な連絡をもらったのが年明けの1月上旬ごろでした。そのとき、ビットコインは500万円を切っているくらいでした。

「600万円まで戻れば担保を解消しても損失を出さずに済む」と悩んだのですが、ビットコインの下落は止まらない。2018年に短期間で急激に価格を下げた記憶もあり、1-2週間ほど悩んで410万円ほどで清算しました。

その後、500万円に戻したこともあったので、もう少し高値で清算できたかもしれませんが、こればっかりは仕方がありません。ピーク時に比べれば、かなり減らしてしまいましたが、下手すれば担保割れして借金だけが膨らむ可能性もあったわけですから。

それでも、借金を返済して税金を支払っても、僅かのお金は残すことができました。200万円の借金からスタートしたことを考えれば、上出来かもしれません。

暗号資産を一旦手じまいしたU氏は、今、全く暗号資産を保有していないという。しかし、またチャンスは訪れるはずだとトレードの機会を探っている。そんなU氏の相場観は「第3回」で。

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