「ディープラーニングとマーケット予測、リスク管理周りの技術が他のbotterと比較してのエッジ」botter・よしそ氏 3/3

botterのよしそ氏に、ほかのbotterと比較した際のエッジやエッジを維持するために取り組んでいることなどについて伺いました。

よしそ氏 プロフィール

2017年から仮想通貨に参入。Deep Learningを始めとした機械学習モデルを活用して価格変動を予測し、低リスク高リターンな運用を行っているBotter。仮想通貨・株・為替と幅広く手掛ける。2021年には1万ドルを原資に5%以上のドローダウンを出さずに8ヵ月で1,000倍のリターンを上げる。

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取材実施日

2023年9月29日

ディープラーニングとマーケット予測、リスク管理周りの技術が他のbotterと比較してのエッジ

ーー一部で「日本のbotterでTOP3に入る」と評されているのが印象的でした。高いパフォーマンスを出されていると思うのですが、ほかのbotterと比較しなにがエッジとなり高いパフォーマンスに繋がっているとお考えですか。

これについては2つ考えています。

まず一つ目は、2015年ごろからディープラーニングとマーケット予測という文脈で技術を突き詰めてきていて、一般的なbotterと比較して多くの知識や技術を得られているという点です。

もう一つは、リスク管理周りの技術です。

多くの人は期待値をいかに大きくするか、シャープレシオを高めるか、ドローダウンが下がるかを検証するといったところまでしか取り組めていません。

シャープレシオを高めるために標準偏差周りのリターンという観点で見れているとは思うんですが、それ以上に内包されているリスク、モデルが抱えているリスクについて検討していない人が大多数だと思うんです。

私は、例えば一つの予測をとっても、その予測がどれだけテールリスクを持っているか、上げ予測ならモデルが上がると言っていても、期待値がプラスとはいえリスクはめちゃくちゃ高い、ダウンサイドリスクが高いような時はロットを小さめにしようみたいなことをフレームワークに含めています。

このように様々な面から見てリスク管理しているのは強みかなと考えています。

ーーほかのbotterの方々がそのようにリスク管理しないのは、そういった認識はあるが対処が難しいのか、もしくはそもそも認識していないのかどちらでしょうか。

どちらもあると思います。

実際にそれをモデルに落とし込むというのは技術的にもハードルが高く、やるのはかなり難しいんですね。やろうと思えばやれると思いますが、実際にそれでパフォーマンスを上げるためには多くの時間をかけて突き詰めなければなりません。

本当に気合を入れてやらないと成果が出ない分野ではあるので、実際にやれている人は少ないと思いますね。

ーーその「技術力」というのはロジックを考える難しさということでしょうか。

ロジックや全体として落とし込んで実装するスキルなどです。

エッジの維持、発見のために暗号資産以外でも汎用的にワークするモデルの開発、データ分析にも取り組んでいる

ーーディープラーニングとリスク管理周りの知識や技術がエッジとのことで、仮によしそさんが勝てなくなることがあるとしたら、なにがどうなれば勝てなくなると思いますか。

難しいトピックですが、もしマーケットが最適化されたら勝てなくなると思います。

マーケットが最適化されて、歪みが発生しなくなってくるのであれば収益は落ちていくでしょう。

総じて他のマーケット参加者がどんどん強くなってくればマーケットは最適化されると思っていて、強い競合が増えれば増えるほどマーケットに残るエッジは減っていくという認識です。

ーーいまのエッジを維持し続ける、または新しいエッジを発見するために取り組んでいることはありますか。

技術の改善は継続してやっていて、ディープラーニングの新しい技術の検証ももちろんやっていますし、常になにかしらコツコツとやってはいますね

そのほか、暗号資産に限らずエッジを見つけて取引していきたいとは考えていて、暗号資産以外のマーケットでも汎用的にワークするモデルの開発、データ分析といったことにも取り組んでいます。

▼よしそ氏の作業環境。よしそ氏提供

▼よしそ氏の作業環境。よしそ氏提供

経済的に成功しても新しい技術の吸収や本当に優れた技術の発見が楽しい

ーー経済的には既に一定以上の成果を達成されていると思いますが、現在のモチベーションや将来的な目標について教えてください。

モチベーションとしては知的好奇心の追求というのが一番大きいです。単純に新しい知識をどんどん得るのが楽しい。

ディープラーニング周りのトピックについて元々興味関心が強いので、その領域で新しい技術をどんどん吸収し、実際に適応した上で、本当に優れている技術を見つける。

また、モデルのリサーチをしていく中で、そのディープラーニングモデルの背景的な知識にも強い興味があり、理論的な側面も楽しいなと勉強しているというのが最近ですね。

最終的に技術力、成果が実際のマーケットで評価されるというのもやりがいがあります。

自分が作ったモデルが実際にマーケットで収益を上げるということは、自分は他の人より優れている、自分が開発したモデルは新しいことをやれているということで、そういった楽しさもありますね。

ーーいまの取り組みの延長線上で新しく挑戦したいことなどはありますか。

中長期的な時間軸での目標などは現時点では立ててはいなくて、その次でなにをやるかというのはいま悩んでいます。

元々スタートアップ畑で好きな領域でもあり、培ってきた技術力も応用できると思うので、そういう意味ではエンジェルに挑戦しつつそれ以外にも面白いことに取り組んでいけたら、というのはぼんやり考えています。

このまま暗号資産のボラティリティが縮小していけばパフォーマンスも劣化し運用できないモデルや戦略も出てきて厳しい環境になる

ーー運用する金額が大きくなればなるほど運用の難易度は上がりますが、よしそさんの手法でも取引金額、運用額が増えたことで取引しづらくなっているというのはありますか。

それはもちろんありますよね。

取引量が増えれば増えるほどマーケットに対するインパクトは大きくなっていくので、基本的には私の手法でも難しくなってはいきますね。

実際、2021年に大きく資産が増えたことで使える戦略も限られてきています。

ーー一般的にこれから暗号資産のボラティリティが下がっていくことでbotも運用しづらくなるとされていますがどのように見ていますか。

それはあると思います。

ボラティリティがなければ手数料対比での価格変動幅が小さくなっていくので、一取引における期待収益も小さくなり、手数料のインパクトもどんどん大きくなっていきます。

なのでこのまま暗号資産のボラティリティが縮小していけばパフォーマンスも劣化し運用できないモデルや戦略も出てきて、厳しい環境になるだろうとは思っています。

ーー一部では「合成資産やAMMなど利用できるアセットは増え続けているしbotで収益が出なくなるほどにはボラティリティはなくならない」という意見もありますがこちらについてはいかがでしょうか。

ボラティリティ自体は縮小すると思いますよ。

市場規模が大きくなれば流動性は高くなりますし、流動性が高いということはそれだけ参加者が増えているということで参加者が増えればミスプライシングも減るので、市場規模が大きくなればなるほど値動は安定します。

なので、基本的にはボラティリティは下がるはずです。

半減期前後でのビットコインの価格上昇というのは金融緩和と半減期のどちらが本当に起因しているのか判断しづらい

ーーbotterの方には半減期などのマクロのイベントをあまり意識していない人が多い印象ですが、よしそさんはいかがでしょうか。

一応確認してはいる程度ですね。

半減期自体はそれほど信じてはいませんが。

ーー半減期に対してなにか準備していますか。

まず前提として、ビットコインの半減期と金融緩和のサイクルが被っていて、半減期前後でのビットコインの価格上昇というのは、金融緩和と半減期、どちらが本当に起因しているのか判断しづらいと思っています。

その上で個人的には金融緩和による価格の上昇というほうがしっくり来ていて、なので半減期というよりは次の金融緩和に向けて一定現物を仕込んでおきたい、とは考えています。

ーー既に仕込み始めていますか。

今はまだ全然ですね。一回金融ショックが来てから仕込みたいなって思っていて、まだリスク資産にベットできていませんね。

これだけ金融緩和した後の引き締めでそれを是正するだけのショックが来ないのはおかしいと思っているので、まだ様子を見ています。

MMbotは結果が早くわかり資金高効率も高いので試しやすい

ーーこれからbotを始めようとしている人やいまbotを開発しているけどうまくいっていないという人はなにから始めればいいのでしょうか。

実際にそれを実行できるかどうかはおいといて、実験を回しやすいのは短期の取引だと思っていて、そういう意味ではMMbotは始めやすいと思いますね。自分がトライした結果が、半日、1日待てばわかるので。

もう少し時間軸が長めの戦略だとそれこそ1週間、1ヶ月とか待たないといけなくて、検証に時間がかかりすぎてしまいます。

MMbotなど短期で売買するような戦略は結果がすぐわかりますし、使える資金が少なくてもリスクが小さく資金効率も高いので、始めやすい、試しやすいという意味で悪くはないかなと思います。

だからといってそれで稼げるようになるかと言われるとそれも難しいことではあります。

そのほか、アービトラージ系も始めやすく、明確に利益も出るのでそういう意味ではありだと思います。

ーーよしそさんと取引手法が似ているbotterはいますか。

僕も最初にブログなどを読んで勉強させてもらっていた、UKIさんやHohetoさんは近しいことをやっている気がします。

上下当てのbotで目立ってTwitter上で稼いでいるとされている人はあまり見かけないですね。単に私が追えていないだけかもしれません。

botの運用は何が一番難しいのか

ーーbotの運用で一番難しいのはどういった点でしょうか。

エッジのある戦略にたどり着くことだと思います。

かなり複雑な条件のモデルになることもありますし、エッジを見つけたとしてもうまくオーダーを捌かないと手数料をペイしないとか、ちゃんと収益化できないこともあります。

私の場合、リスク管理という意味では、例えば、単一のエッジに頼るというのはそのエッジが死んだ時に戦略が全部死んでしまうことを意味するので大きなリスクだと思っています。

なので、エッジをたくさん用意しておいて、ちゃんと分散して運用するということも重要です。

このように、エッジを見つけるのも大変ですし、エッジを見つけた後もうまく分散投資したりリスク管理したりといったことも含めて考えると、botの運用、利益を出し続けるというのはなかなか大変だと思います。

ーーbotを始めたい方におすすめの情報収集方法や書籍はありますか。

書籍で参考にしてるものは多くはありませんが、richmanbtcさんの「日給300万円のSS級トレーダーが明かす botterのリアル」は読み物として面白かったと思います。MMbot系のテンプレが書いてあるのでそれも参考になるんじゃないかなと思いますね。

アクティブ・ポートフォリオ・マネジメント」も株式などのポートフォリオマネジメントに関連する本で参考になると思います。運用する上で必要な統計的な背景、必要な情報などが一通り掲載されています。

最大ドローダウンの2倍で撤退を考えている

ーーコロナショックやFTX事件などの不確実性に大してどのように対処していますか。

ポジションという意味ではそういう時こそ収益機会になるので、むしろ歓迎です。

しかし、例えば特定の取引所が潰れるということであれば困るのですが、そこはもうどうしようもないのでリスク分散するしかないですね。

なるべく一つの取引所に入れる資産を少なくするとかそういった一般的に言われていることくらいしか対策できないです。

ーー一つ一つのポジションのドローダウンを狭くしているので、取引している銘柄の価格が大きく価格が下がっても被弾することはないのでしょうか。

そういうことです。

ショックが来る時は最も歪んでるところから崩壊するので、何かショックが起こったとしても基本的には儲かることの方が多いですね。

ーーFTXショックなどの際は、損失を出すよりは利益を出すことの方が多かったのでしょうか。

いままであったショックでは大体利益にはなってるのでモデルがカバーできているんだろうというのと、損失が出るにしても最大ドローダウンの倍ぐらいはあらかじめ覚悟してますね。

ーーどの視点から見てもよしそさんの運用は隙がないと感じました。

なんだかんだ、最終的には競合が増えてきて撤退せざるを得なくなる時期があるとは思っています。

そのときは最大ドローダウンの2倍で撤退しようと考えていて、なので運用している戦略のドローダウンが十分低ければ撤退するとしても一定の資金を持って帰れるような計画にはなっています。

統計的なトレードは再現性がある

ーー最後に読者にメッセージをお願いします。

統計的なトレードは再現性があります。

なので、ただひたすら米国株や指数を積み上げるよりも安定した収益を得ることができるトピックだと思っていて、すごく面白みがあるので興味がある人は試してみたらいいと思います。

その中でも、特に暗号資産は資金効率もいいですし、ボラティリティが小さくなってきているとはいえ株式よりはまだボラティリティがありますし、24時間365日マーケットも開いてるので、遊ぶには良い環境かなと思います。

ーー暗号資産はマイナーなアルトコインを取引されているのでしょうか。もしくはメジャーなコインだけでしょうか。

アルトコインは、流動性の問題で触れないものがあるので、メジャーなコインだけですね。

逆にこれから始めるのであれば流動性がないマイナーコインの方がエッジはたくさん落ちていると思うので始めるには良い選択肢になるかもしれません。

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よしそ氏のインタビュー、前のインタビューはこちら

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